思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Palakona Marvelの比較

2021-06-06 10:37:49 | Hardy Palakona

釣りに行く気分になれないこの週末、徒然なるままに手持ちのHardy Palakona Marvelを取り出してみました。
久しぶりに4本勢揃いしたMarvel。下から古い順にE49054(1938年製)、E87715(1953年製)、E/S(1967年5月製)、H/J(1968年7月製)となります。一番古い1938年製のMarvelは5月の中旬に養沢に連れて行き、ドライフライでの反応が良くなかったので、アップストリームのソフトハックルでの釣りに使いましたが、20数センチ程度の養沢の鱒であってもまるで会津大川の60cmの虹鱒をLeonardの9フィートTournament竿で釣る如く(とはちょっと言い過ぎかしら?)、やり取りが楽しめてしまう竿。

まず、その1938年製の竿を見ると、写真では見難いのですが、ミドル部分のバーニッシュが他の部分と異なる色になっております。またミドル部分の重量感がバットに比べても密度が高い様な気が致します。これは以前White Wickam Fairchild竿のミドルセクションに何故かスチールセンターが入っている理由と共に述べたのですが、一回の釣行で何百回と竿を振るフライフィッシング用の三本継のミドルアクションの竿では、ミドルセクションにかなりの負荷がかかるため、同セクションの強化が必要であるためではないかと推測しております。

バットリングは他のHardy竿に見られない特徴的なものを使っております。普通のバットリングですとフルオープンブリッジと同様の構造ですが、この竿では竿にぴったりと金属製の薄片が土台の様に付けられておりそのためフットは二本の腕でリングを支える格好になっておりません。この様な特殊なリングを作るには追加コストが必要で1930年代はキチンと製造コスト計算が出来ていたのか心配になる凝り方。

同じリングを

両方から撮影しました。

一方、エンドリングは普通のものですが、径は狭くシルクラインと合わせなければなりません。

これは1953年製のMarvelのバットリング。戦後コストがよりシビアになったのでしょうか、通常のものとなっております。

フルオープンブリッジに瑪瑙をあしらったものです。

エンドリングは1938年製と同じタイプですが、より頑丈なもの。

これは1967年製のMarvelのバットリング。製造コスト低減のためよりシンプルな作りになっております。

中には瑪瑙が埋め込まれております。

エンドリングは瑪瑙が入っておりません。既に1950年代に登場したプラスチックラインの使用を前提にした設計となっております。

これは1968年製のバットリング。1967年製のものと同一です。

瑪瑙が埋め込まれているのも同一。

エンドリングもプラスチックラインの使用を前提にデザインされております。

1938年製、1953年製共にフックキーパーはありません。

一方、1967年製、1968年製にはフックキーパーが付きます。エンドリングの径が大きくなりプラスチックラインとナイロン糸の継ぎ目がスムーズにリングを通る様になったためフックキーパーを付けても釣り人が竿を壊す恐れが無くなったためでしょうか。フックキーパーが無い竿の場合、竿の全長より長いリーダーを使う際は、竿のリングに鉤を掛け、リールの外周にリーダーを沿わせて糸を張れば問題なく移動することが出来ます。

1938年製、1953年製のMarvelのリング周りのラッピングは透明。1960年代の緑とは異なります。

トップセクションを比べると、1960年代の竿はよりバルキーなプラスチックラインの使用を前提にデザインされているにも関わらず、1938年製、1953年製と太さに変わりは感じられません。全体的に1960年代以降は竹の品質の問題とプラスチックラインの使用によるパワー追加の必要性から太めになる竿が多い中、意外な感じです。

一方、写真では良く分かりませんが、バットセクションは1960年代のものの方が若干太く感じられます。Marvelはスウェルバットになっているのですが、その部分がどうも太い様です。これがプラスチックライン対応による強化策と思って良いのでしょうか。
これらMarvelは使って楽しく、40cm程度の鱒なら多少時間はかかっても問題なくタモに誘導出来る力を持った竿です。早い打ち返しが求められる場所はよりファストアクションの竿に譲るとして、数釣りではなく如何に釣りそのものを愉しむかにはピッタリな竿であります。
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Metz light blue dunと古い英国のblue dunとの比較

2021-05-30 11:44:03 | ハックル/Hackles

CDC:Cul de Canard(キュル ドゥ カナール、仏語でculは尻、canardは鴨。つまり鴨の尻。。。)が普及する以前の話とご理解頂きたいのですが、ドライフライの最重要パーツであるハックルについては色、硬さ、形と色々とそれを評価するポイントがあり、また、そうしたポイントも毛鉤の作り手の価値観により違ってきます。それを踏まえた上で現在入手可能なBlue Dun系の天然色のジェネティックハックルのMetzのサドルハックルと古い英国のBlue Dunの雄鶏と雌鶏のハックルを比較して見ました。

Metzのサドルハックルの付け根付近のハックルですが、色はスモークグレーという感じでLight Blue Dunと言って差し支えない色調です。Quill Gordon等の米国の古典的なドライフライを巻くには適した色合いのハックルで、Metzのサドルには細かいバーブが密集した極めて長いハックルがありますので、小さなサイズの毛鉤を巻くには最適であろうと思います。コマーシャルタイヤーが使うには非常に経済的ですね。

これは英国のBlue Dunヘンハックル。コックハックルと違い、バーブ同士がくっ付き易い構造になっているので、写真では青色がよりハッキリと出ております。

最後は英国のBlue Dunコックハックル 。雄鶏の首回りの毛は逆立てて敵を威嚇するためにバーブがくっ付かない構造になっており、また色艶がヘンよりも出ているので、この写真では光を反射して白っぽく写っております。
このハックルでは、16番以下のドライフライを作るのは、Variantという様にしないと無理。老眼で小さなサイズの毛鉤はもう釣り場で鉤素に結ぶのも一苦労な私にとって、こうした今となっては大振りのハックルでまあ良しとしております。
しかし、一番上の写真の通り、英国の昔のコックハックル の青色のハッキリした様は、ブルーの色は白と黒の色素の組み合わせで出来ているという説明が俄かに納得出来ないもので、将来的にクローン技術で昔の鶏のハックルの色を再現出来ないかという妄想を呼び覚ますものであります。
Metzでも、Whitingでも、お金と技術を持ったところからクローンプロジェクトなんかでお声がかかれば、手持ちのハックルを喜んで提供するのですが。。。
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Hardy The Kenya Fly Rod (E87364, 1953年製)

2021-05-23 12:24:44 | Hardy Palakona

暫くはハックルや毛鉤の話ばかりでしたので、今回は道具の話を一つ。
Hardyの竹竿には場所の名前が付けられたものが幾つもあります。竹竿では1886年に発表されたTest川に因んで名付けられたPerfect Testがその嚆矢。英米、大洋州の川湖の名前を付けられた竿々の中で唯一アフリカの地名が付けられたのがThe Kenyaです。
アフリカ大陸でも、旧英国植民地の南アフリカ、ケニアには英国人によって放された鱒が生息しております。ケニアは赤道直下で、港町のモンバサは流石に毎日暑いのですが、高地にある首都ナイロビは一年を通じて過ごしやすい気温でそこから更に山岳地帯に行けば鱒の生育に適した川が幾つもあります。
更にアフリカ大陸の北部、モロッコの山岳地帯には放流されたものではない自然のブラウントラウトの仲間が生息しておりアフリカ天然鱒の釣りも出来るのです。チュニジア在住時にモロッコで釣りをする機会はありませんでしたが。。。

この竿は8'の3pcs。1934年から1957年の期間製造されております。
Angler's Guideには:"A light yet powerful rod designed to handle fish up to 5lbs and to meet the special requirements of anglers in Kenya. The rod is short for transport - and capable of tackling heavy strong fish, and to hold them out of snags"とあり、持ち運びの便を考えた軽い短竿の3pcsですが5ポンドまでの大魚を障害物から引きずり出す力を備えた竿である旨の特徴が分かります。ケニアの釣り人の要請で作られたこの竿、1957年までの長い間製造されたのはケニアの釣り人のみならず、欧州、あるいは米加、大洋州でも需要があったのではないでしょうか。しかし当時のケニア植民地で繰り広げられたマウマウ団との戦いで現地はのんびりと釣りをする様な状況にあらず製造中止になったのかな、と想像しております。

段巻きはクリムゾン。リング周りの巻きはクリムゾンにスカーレットの縁取り。ジョイントは軽量級の竿と同様にサクションです。

1953年製ですので、グリップの上にフックキーパーはありません。

1950年代前半の銘を担当していた方の特徴がPの字に出ております。

竿のタイプ名、The Kanya

が手書きされております。

butt ringは瑪瑙入り。

intermediate ringはFullopen bridge。

End ringは瑪瑙入り。ザラザラするシルクラインからリングを守るための選択。

この竿にはjoint protectorが付きます。

アルミ製の円筒の内側にコルクを張っております。円筒の脇に切れ込みが入っているのはStud lock用。Kenyaはサクションなのでコルクで塞がれております。

製造番号はE87364。1953年製となります。

英国王の御用達印が刻印されております。これは1952年即位のエリザベス女王のワラントではなく多分ジョージ6世のものをそのまま継続しているのでしょう。

この竿、かなりの強竿なのですが、同じ8フィート3pcsのDe Luxeと比べて見ます。

下がDe Luxe上がKenyaですが、トップを比べるとかなりKenyaは太くなっているのが分かります。Kenyaの調子はAngler's GuideによればStiff(硬調子)。De LuxeはInclined Stiff(硬調子より)。重量はKenyaが5oz 1/2に対しDe Luxeは5oz。8フィートで1/2オンス(14グラム)の差があるというのは使われている竹のボリュームがKenyaの方が多いことを表しております。
De Luxeは日本の渓流で使うのに丁度良いのですが、Kenyaでは養沢や一般渓流の魚は役不足。私が思い浮かぶ限りですが、会津大川の50cm虹鱒あたりが丁度良さそうに思います。非常事態宣言中は養沢に行くしかありませんものの。。。
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Blue Dun hen hackleを使った毛鉤

2021-05-05 15:12:15 | 毛針/Flies

大型連休も今日で終わり。東京は曇り空に強風が吹き荒れる生憎の天気。そんな日に出来る事は毛鉤を巻くことくらいと、Blue Dunのヘン・ハックルを使った毛鉤を巻くことにいたしました。

選んだのはMcCaskie's Green Cat(擬き)。ボディー材に使う青猫のファーを36時間ピクリン酸に漬けてオリーブ色にしたものは入手不可能なのでオリーブ色のシールズファーで代用しました。
オリジナルのレシピは:
Tying silk: Pale orange waxed with clear wax.
Hackle: Soft dark blue henny cockerel as blue as possible (like a blue wing of a blue winged olive).
Whisks: Soft honey dun cock's shoulder hackle.
Body: Blue cat's fur, dyed for thirty-six hours in picric acid.
この毛鉤を彼のスキューズは英国南部の川でのグレイリング釣りに際し、Blue Winged Oliveのイミテーションとして推奨した旨、A Dictionary of Trout Fliesに記載があります。私の目的はBlue Dunハックルを使ってウェットフライを巻くことだけですので、グレイリングでなくとも釣りに使えれば良いのですが。

さて、一昨日の養沢でBlack Spiderを消費してしまったのでついでに巻いております。これは簡単なのでついつい多く巻いてしまいました。

コンクリ護岸の直下にいる虹鱒に向けて、コンクリにぶつけ、水面に弾き落としたBlack Spiderに疑い深い虹鱒も思わずパックリと襲い掛かります。竿は1992年製のHardy Gold Medal 8'。

養沢でブラウントラウトの放流はしていない筈ですが、過去に放された魚が世代交代を繰り返し、ちょくちょく釣れます。これは虹鱒と同じ場所でPheasant Tailをちょっと引き上げる誘い釣り(induced take)で毛鉤を咥えた魚。
解禁から2ヶ月が経ち、一番良い釣り季節に入るのに、コロナ禍が収まらず悲しいことです。
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Blue Dun hen hackle

2021-05-02 13:46:37 | ハックル/Hackles

暫く前ですが、英国からBlue Dunのハックルを入手しました。
入手したのはコック(雄鶏)ではなくヘン(雌鶏)のハックル。

かなり前に入手したBlue DunのコックハックルはBlueの色にバーブの端が金色に輝くものでしたが、このハックルは端がクリーム色という感じのもの。ヘンですのでドライフライに使う訳にもいかずウェットフライのハックル用です。

このBlueの色は今飼われている鶏からは入手がほぼ不可能。先人が残したハックルを幸運の助けを借り入手するしかありません。

HardyがBlue Dunとして売っていたハックルが手元にありますので、比べて見ます。Hardyのものはパッケージに書いてある通り染色されたものです。

上がHardyのハックル、下がBlue Dunのヘンハックル。

色調はHardyのものは多少紫かかっている感じですが、一方、今日でもフランスから入手出来るハックルの色に似ています。

なかなかどこにも行けない徒然のままに、このBlue Dunハックルを使って毛鉤を巻いてみます。以前ご紹介したW.C. Stewartの推奨する毛鉤の中のDun Spiderを念頭に黄色のシルクボディにBlue Dunのハックルを結ぶことにしました。

このタイイングシルクも昔の英国のお医者さんが残したもの。ゴッサマーシルクです。

ティムコの14番の鉤にシルクを二重に巻きBlue Dunのハックルを巻いただけの毛鉤。老眼でも簡単な作業です。

Dun Spideは正にDun色をしたスターリングのハックルを使いますが、この青白い色のスパイダーは果たして魚にアピールするのでしょうか。Blue Dunに取り憑かれた人間の目には釣れそうに見えますが判断するのはあくまでも魚達。コロナ禍で在宅が続く中答えを見つけるには時間がかかりそうです。
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新潟の渓へ再挑戦

2021-04-25 07:34:29 | 釣行記/Fishing Trips

東京近郊の管理釣り場を含めた渓流では枝針付きの仕掛けは使えないところが多いため、4月初めに行った新潟の渓流に再度行ってきました。早朝の新幹線で今度は燕三条駅で下車、レンタカーを借りて向かいます。レンタカーを借りる時間が予約が遅かったため09:00からとなり、新幹線は始発ではなく07:00少し過ぎで少々楽ではありますが、その分釣りをする時間は少なくなります。

今度も1930年代製のHardy Palakona De Luxe 8'に歴戦のSpitfire Perfect 2 7/8インチ。それにシルクラインを合わせます。

釣り場に着くと既に全部で8台も車が停まっており、まさかこれ全部釣り人か?と己の運の悪さに絶望ですが、ちょっと観察していると山菜採り、登山客の様子。もし釣り人が先行していても仕方ないと観念し入渓します。
上の写真のように良さそうな場所はあるのですが反応はゼロ。

時間も限られるので、上流に向かって行くと堰堤に遭遇。そう言えば今から20数年前にもこの堰堤に出会ったと感慨を覚えましたが未だに釣りにならないこの身。思い出に浸る前に今の釣りに没頭が必要。W.C. Stewartの3本鉤仕掛けで堰堤の下を探ります。
すると何だか流れるシルクラインが数秒止まるような感じがあり、竿を立てると魚の感触。アタリをくれるとかかりました。上がってきたのは山女魚。その口には真ん中のドロッパーに付けたBlack Spiderが掛かっておりました。前回紹介した正にその毛鉤です。

堰堤の上は確か水量も少ない流れだったと思いそこで引き返します。川を覗きながら歩いて行くと淵に大きな山女魚が浮かんでいるのを発見。その淵に行くには下流に行ってそこから遡行しなければなりませんが、魚を見ていて引き下がる訳にはいきません。仕掛けをドライフライ仕掛けに交換し、淵を観察。魚の姿を探しますが中々現れません。渓流ではカゲロウが飛び交っており、その多くは金色に輝くもの。そこでフランス・ハックルの蜂蜜色(Miel)を巻いたハックルフライを結びます。冒頭の毛鉤がそのドライ・フライです。

そこで、川の流れに毛鉤を乗せて流すこと数度、流れに乗り金色に輝く毛鉤に淵の底から魚がバッサリ襲いかかりました。合わせると重量感が伝わります。これが20数年前に味わった釣り。De Luxeも曲がります。上がってきたのは岩魚。色は少々薄く陽光の下で元気に飛び跳ねます。写真に綺麗に収まる気もなくですが、写真を撮って毛鉤を掴み数度振ると岩魚は元気に渓流に帰って行きました。

その後も下流を覗いて見ましたが水量が少なく魚がいそうな場所もなく竿を出しても何の反応も得られません。2時には上がらないと東京に戻る時間が遅くなるので上がりレンタカーに戻ります。年配の登山客の方々が帰り支度をされていて、何時も通りに「釣りに来れられたんですか」「何が釣れるんですか」というやり取りをして「上越は未だ釣りは出来ねんですかね?」と言われ、ああレンタカーは上越ナンバーなんだな、と、思い、言葉を濁しました。。。東京から来たと言うのは気まずい、悲しい時が未だ未だ続きます。。。
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Spider毛鉤を巻く

2021-04-18 12:10:29 | 毛針/Flies

本当は4月17日の土曜日に釣りに行きたかったのですが、東日本では生憎の天気でどこにも行けず仕舞い。
そこでW.C.Stewartのお気に入りであったスパイダー毛鉤をブラインド・アイの鉤に結んで見ることにしました。

古い英国の鉤。とは言っても19世紀のものではなく20世紀に入ってからのもの。何故アイ付きの鉤が発明された後もブラインド・アイの鉤が使われ続けたのでしょうか。当時のガット鉤素では結び目が大き過ぎたためなのか?

今回は3本鉤のウェットフライ仕掛けを想定し、ブラインド・アイに結ぶ毛鉤は短い鉤素を使ったものにします。リーダーに輪を作ってやれば枝鉤の取り付け・交換も簡単だという目論見。

取り付けてみるとこんな感じになります。鉤素の長さは10cm弱。

最初はBlack Spider。
James Baillieという方が考案したそうですが、W.C. Stewartがこの毛鉤に出会ってからこれを使わなかったことはなかったという程、効果を認めていた毛鉤。
レシピは:
Body: Brown silk, waxed.
Wings: Hackled with the black and green glossy feather from the neck of a cock starling.
という極めて単純はもの。スターリングのハックルが日本では入手が難しいかも知れませんが、不可能ではないと思います。
ちょっとソラックスが太くなっておりますが、鉤素を鉤に固定するのに二つ折りにしたりしておりますためです。

二番目はRed Spider。レシピは:
Body: Yellow waxed tying silk.
Hackle: Small feather from the outside of a landrail's wing or small red hen.

最後はDun Spider。これはアイ付きの鉤に巻いてみました。レシピは:
Body:Yellow tying silk, well waxed.
Hackle: Small dun feather from under-part of starling's wing.
W.C. Stewartは19世紀中葉のスコットランドでアップストリームのウェットフライ(枝鉤付き)を提唱し且つ今からすれば信じられないくらい鱒を釣り上げた釣り人。上の3つのスパイダー毛鉤を主に使っていたと伝わります。

輪を付けた鉤素を10本作ったので余ったものにPartridge and Orangeを巻いてみました。
但し、枝鉤付きの仕掛けでは養沢等では釣りが出来ません。どこか別の釣場に行く時までしまっておきましょう。
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2021年初釣行

2021-04-11 15:49:53 | 釣行記/Fishing Trips

4月最初の週末の暖かい日差しに恵まれた土曜日、今年の初釣行に行って参りました。
6時8分東京駅発の新幹線で向かった先は新潟。8時過ぎに到着しレンタカーを借りて目指したのは20数年前に行ったことのある小渓。ここは初夏になるとメジロアブが酷くまた蛭も居るので釣りは春先しか出来ないところ。何時ものように養沢へ行くのも人が多いので何となく憚られそれならと目指しました。

大昔に行った時は、岩魚が残雪の残る清流からドライフライにバッサリと食いついたのですが、その場所もすっかり浅くなってしまいとても魚はいそうにありません。また、林道にはスバルのSUVが一台停まっており、登山客かはたまた釣り人か、いずれにせよ幸先の良くない感じです。因みにこの写真に映る車はレンタカーで借りたスズキ・スウィフト。

昔の記憶の様に岩魚が水面上の毛針にアタックしてくることもなく、水面下の毛針に変えても何の魚信もなく、時間だけが過ぎていきます。それでも少しでも魚のいそうな深みやヘチにHardy Palakona De Luxe 8'でシルクラインを操り毛針を投入、流していくと。

水面下のPartridge & Orangeに魚が襲いかかったアタリを感じ素早く合わせると小物ながら水の中を俊敏に右に左に泳ぎ回る魚の引きをシルクライン越しに感じます。De Luxeも8'になると繊細で小物であっても竿先が曲がってくれます。そして釣り上げたのは何と背中にスレがかりした山女魚でした。岩魚の川と思っていたのですが、20数年も経つと下の本流から山女魚が上がってきたのか?或いは放流でもされたのか?

山女魚を釣ったところから釣り上がって行くと堰堤を上がって更に上流に魚の居そうな深みを発見。ここで出なかったら諦めようと思い毛針を投入、ラインを出来るだけ張りアタリを逃さないように努めます。

数投したところでリーダーが水中に引き込まれるところが見え合わせると魚の動きが竹竿に伝わってきます。ラインをリールに巻き込み小物ですがリールでやり取りすると上がって来たのは岩魚。昔の記憶にあった茶色と黄色を中心にした色彩を纏った地場の岩魚でした。

毛針を掴んで一振りすると毛針は岩魚の口から外れ、魚は水中へ帰って行きました。その後下流に戻りちょっと開けた場所で釣りをしようとしたところ右手から流れた血がロッドのグリップを真っ赤に染めているのにビックリ。右手首から出血していましたが、血が止まらず応急措置でティッシュペーパーを当て、コンビニのビニール袋で手首をできるだけ強く巻いて止血。血が止まらなのは蛭にやられたためでしょう。蛭に噛まれても麻酔成分で全く感じず、且つ血液の凝固を妨げる成分を注入するので血が止まらないのです。
もうこれで釣りはおしまい。10時ちょっと前から初めて13時過ぎのたった3時間の釣りで新潟駅を15時ちょっと過ぎに出発、東京駅には17時丁度に到着。
出血のハプニング付きの今年の釣りのスタート。これからどんな釣りが待っているのでしょうか。
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チャイニーズハックル

2021-02-21 08:08:07 | ハックル/Hackles

確か今から5年前、北アフリカから一時帰国した機会に相模大野のバートンさんでチャイニーズハックルを購入しました。バートンさんのブログでチャイニーズハックル入荷の記事にあった写真を見てそれが魅力的だったため足を運んで購入したものです。近年インドもチャイナもハックルが昔に比べ入手しずらくなっているようですがそうした安いハックルの中にも魅力的なハックルが埋もれているものです。

同じハックルを未だ光の弱い朝撮影したもの。

このハックル、写真では伝えられないのですが、艶があり色もはっきりしており、正にbright and sharpといったもの。

透明感も十分です。

暗い背景に置いてみると、芯が淡いグレイ、先にも同じ色が入ります。

数枚のハックルを暗い背景で見るとこんな感じですが、

明るい背景ですと先にも色が入っていることが良くお分かりになると思います。

このハックルを使い、Pheasant Tailを巻いてみました。
Pheasant Tailと言うとフランク・ソーヤーの創り出した傑作ニンフが頭に浮かびますが、それ以前にドライフライとして同じ名前の毛鉤が生み出されております。元々は英国南西部のデヴォンシャーの毛鉤だそうですが、1901年前後にPayne Collier氏が生み出したもの。
そのオリジナルレシピは:
Hackle: Honey Dun, called in the West Country, "brassy".
Body: A very dark herl of a cock pheasant's tail feather, with four turns of gold twist.
Tail: Three long herls from a saddle hackle
Hook: 14.
このオリジナルから派生したG.E.M. Skuesのレシピは:
Tying silk: Hot orange.
Hackle: Rusty or sandy dun cock, bright and sharp.
Whisks: Two or three strands of honey dun cock spade feather.
Rib: Fine gold wire.
Body: Two or three strands of rich-coloured ruddy fibres from the centre feather of a cock pheasant's tail.
Hook: 16 to 13.
暗い背景ではチャイニーズハックルが自己主張し見やすい毛鉤です。

明るい背景ですと透明感の中に金色の煌めきと根元と先端の暗い色が出ていい感じです。ところで、このハックルの長さを長すぎると感じる方も多いとは思いますが、カゲロウの羽の長さを考えてみて下さい。米国ジェネティックのハックルの長さでは14番の鉤の大きさのカゲロウの羽の長さを表現することは不可能。その場合は別途ウィングを付ける必要が出てきますが、元々ハックル・ドライフライはウィングの長さもハックルで表現するもの。ですので、このハックルの長さは必要です。

巻き上がった毛鉤。根元のグレイ色がハニーダン同様に良さそうな感じです。バジャーや芯の色の濃いジンジャーも毛鉤に巻くと根元が目立つのですがこれが何らかの効果をもたらすのでしょうか。

少なくなってきているようですが、米国ジェネティックとは違うインド、チャイナのハックルから魅力的な一枚を発掘するのも楽しいものであります。
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Steely blue....

2021-02-13 14:10:59 | ハックル/Hackles

春を待つこの季節、シーズン入りを前に良く目を通すのがこの名著「A Dictionary of Trout Flies」。英国での出版は戦前ですが版を重ねて70年代までの毛鉤を網羅する毛鉤の正に辞書。それも単にレシピが書いてあるだけでなく夫々の毛鉤にまつわる物語が書いてあって読み物としても面白いものです。

その辞書の中でもとりわけ関心を引く毛鉤は幾つかあり、その一つが以前も紹介しておりますBlue Uprightという毛鉤。英国南西部デヴォンシャー等を中心に全土で良く使われかつ釣果を上げている毛鉤。特に春の速い流れの中で威力を発揮するとあります。辞書が特に効果的とするのが、タップス・インディスペンサブルを考案したR.S. AustinのBlue Uprightのレシピ。タイイングシルクはパープル、ボディは繊毛を取り除いたピーコックハール、特にピーコックの羽の目玉部分の脇に生えるピーコックハールが模様がはっきり出て宜しいとのこと。これは全く問題ないのですが、R.S. Austinの毛鉤に特徴的なのが素晴らしいものの、入手が極めて困難、今日ではまず不可能なハックル。Blue Uprightに指定されているハックルは、「Steely blue game-cock's, sharp, bright, and nearly black, but with a definite blue centre」というもの。ミディアムからペイルのブルーダンハックルはありますが、殆ど黒に近いがブルーのセンターを持つスチールに近いブルーのハックルというものは全く頭に浮かびませんでした。
ある時ペラペラと辞書をめくっていた時に頭に浮かんだのが、Blue Andalusiaのハックル。殆ど黒にしか見えないものの、中央部がスチール色・グレー色のものがあったと思い漁って見ると数年ぶりに上のハックルが出てきました。

Austinの指定するハックルのうち、Sharp、BrightはOK。Austinの住んでいたデボンシャーは素晴らしいブルーダン、ハニーダン、ラスティーブルー等を生み出すゲームコックの産地だったことも与ってでしょう、タップス・インディスペンサブルの場合は「金色が厚く乗った薄いブルー」のハックルを指定するなど、今日オリジナルに迫ろうとする試みを悉く粉砕するレシピを提示している訳ですが、nealy black steely blueは取り敢えずこのハックルで良しとしましょう。

上のケープから抜いたハックル。バーブの先端はブラック、センターは多少赤みが感じられるグレイ。

白い背景ではこのような感じ。

バーブには太陽の光による煌めきがあります。

白い背景ではセンターが暗くバーブは黒が過疎になるので透明感が生まれます。

このハックルで巻いた毛鉤。1番(14番)のダウンアイのスネック鉤に巻きました。ウェットフライなのでアップアイを使いウィングの後ろでタールノットにする必要はありません。

白い背景では全体が黒っぽくなります。

ハックルのバーブの根元は確かに多少薄い色で先端は黒。光を反射しております。

白い背景では全体が暗く浮き上がり輪郭もはっきりしてより釣れそうな感じ。
養沢で黒っぽいダン・スピナーが舞い踊る3月〜4月の肌寒い季節に、この毛鉤をアップストリームに投げて会心のウェットフライの釣りをしたいものです。ウェットの釣りだと竿は長い方が有利なのですが、どの竿にお供させましょうか。シーズン入りが待ち遠しい2月です。
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