思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy L.R.H. Wet 9'3'' (E51613, 1939年製)

2018-03-24 12:58:40 | Hardy Palakona

Laurence Robert Hardy (1884~1958)はLRH Light Weightリールに今も名を残すハーディーの2代目経営者。1925年に竹の切削機を導入する等ハーディーの生産技術の向上、新製品の開発を先代以上に押し進めた方の様です。
そのLRHが第二次大戦後、竿、リール、ラインの全てのバランスを考慮し自信を持って発表したのがLRHシリーズのパラコナ竿。LRH Dry Fly、LRH Dry Wet、LRH Wetの3種が投入されました。LRH Dry Flyは戦前に発表された9'4''、リングは全てメノウという豪華版が軽量化された8'9''、LRH Dry WetとLRH Wetは9'3''。LRHシリーズのこの3本は、軽量化のために松材とのダブルビルト製法が取り入れられた画期的な製品であります。
今回はその中のLRH Wet 9'3''のお話です。

James Leighton Hardy氏の本、"The House the Hardy Brothers built"によれば、LRH Wetが製造されたのは1948年〜1950年の僅か3年間。LRH Dry Flyが1948年〜1971年の間製造されたのに比し極めて短命で終わったとあります。尚、LRH Dry Wetも1948年〜1957年の短命で終わったとあり、極めて珍しい竿になります。

このシリーズは軽量化がテーマ。従い、戦前の段巻き、スピア、フルオープンブリッジリング、といった重量を増す仕様は排除され、リングはスネーク。まるでアメリカンな感じの竿です。

以前、Loch Levenの投稿で述べましたが、ラッピングは緑の縁取りをした赤。どうもこれはウェットフライ用のラッピングではないかと思います。

名前の通り、LRH Wetはウェットフライ用に設計された竿。その調子は、Anglers' Guide上では、Easy, for wet flyとあり、胴から曲がる調子。強いて上げるなら、MarvelやPezon et MichelのSawyer Nymph竿の様な感じでしょうか。

また、9'3''の竿なのに、重さは4oz 10drm (131g)と驚異の軽さです。これは、LRH Dry Wetが5oz、8'9''と短いにも拘らず、LRH Dry Flyが5oz 2drmとより重いのに比べればその差が目立ちます。

手に取ってみれば、全体に細身で軽く、ライン重量で言えば、2番のシルクライン(AFTM 4〜5番程度)が丁度良いかという感じ。リングはスネークです。

トップはメノウリング。シルクラインの使用が大前提の仕様です。

製造番号はE51613、1939年製となります。これは、JLH氏の本の1948年〜1950年の間に製造という記述に合っておりませんが、どうも、第二次大戦前後の部分はJLH氏の本の記述に合わない竿の例が他にもあり、多分LRH Wetは1939年には製造が開始されていたものの、戦争のため、マーケティング等に問題が発生したのではないかと推測します。

グリップは私の手で全く遊びがありません。これは、以前紹介のLRH Dry Wetと同様に、最適バランスを実現するためのもの。

細身で長い竿なので、調子は胴調子。ミドルセクションのみならず、バットも曲がります。

竿のティップ部分のみを曲げる事も簡単です。これは、MarvelやSawyer Nymphと同じ感じです。

LRH WetとLRH Dry Flyの全景を比較してみます。

LRH WetとLRH Dry Flyのグリップ回り。LRH Dry Flyのリングはフルオープンブリッジです。

LRH Wetの竿先がLRH Dry Flyのものに比べ相当細い事が見て取れると思います。
この竿で強風の中ドライフライを使うのは無理だと思いますが、オーストリアのMur川のグレイリング相手の小振りなドライフライの釣りや、Etrachseeでのウェットフライの釣り等では大物の魚でなくとも楽しめそうな感じです。チュニジアに来てから、Marvelの胴調子の釣りにハマってしまったので、より長くて使い易いこの竿は重宝しそうで今シーズンが楽しみです。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ドイツの釣り免許取得(Gastfischereischein)

2018-03-18 11:27:42 | その他の話題/Other Topics

先週ドイツのデュッセルドルフに行く機会があったので、釣り免許(Fischereischein)を取得してきました。上がその写真になります。

ドイツ国内の内水面で釣りをするためには、釣り免許を保持し、且つ、その上で、釣りをする内水面の漁業権を持つ個人・団体から釣魚券を取得(通常は購入という形になると思います)する必要があります。

釣り免許は、ドイツの場合、残念ながらお金を払えば取得出来るものではなく、試験を受ける必要があります。試験は法律、魚の生態、環境保護、等の質問につき、マークシートで最も適した答えを選択する一次試験と、一次試験合格者に対し、釣りの対象魚毎に15分以内で仕掛けを作らせる実技試験である二次試験よりなっております。しかしながら、外国人の場合は、一次試験され突破出来れば、二次試験はキチンとした仕掛けを作る事が出来なくとも大目に見てもらえる可能性があります。私が試験を受けた1994年10月の二次試験で、旧ユーゴ地域から来たと思われる外国人は二次試験に本当の意味で合格出来なかったのですが、大目に見てもらった事を実体験致しました。私はパイク釣りの仕掛けという簡単な問題で助かりましたが。。。

で、この法規ですが、ドイツ国内に居住していない外国人に対しては例外規定があり、試験を受けなくても、必要な知識を持っていると見做される場合、1年間有効のGastfischereischein(国外居住者用釣り免許とでも訳しましょうか。。。)を取得出来ます。

今回は、それを取得した訳ですが、デュッセルドルフの市役所環境局の釣魚課に事前に問い合わせ、過去ドイツの釣り免許を取得した事、並びに、釣り免許試験の合格証を所持している事を伝えたところ、合格証とパスポート、写真を持ってくれば、国外居住者用の釣り免許を発行してもらえると、確認出来ましたので、めでたく取得に至ったものです。また、住所がデュッセルドルフでなければダメと言われたため、ホテルの住所で釣り免許を発行してもらいました。

これで、2018年内はドイツで晴れて釣りが出来る身分になった訳ですが、昔通ったベルギー国境近くのHellenthalは今は釣りが出来ない様ですし、中々、フランクフルトやデュッセルドルフに近い所にはパッとした釣り場が見当たりません。ドイツの釣り雑誌の情報等を参考に根気よく探そうと思います。

上は、1995年デュッセルドルフ在住時に取得した釣り免許。5年有効。


上は、釣り免許試験の合格証。これさえあれば、国外居住者用釣り免許を何時でも取得出来ます。
因に、ドイツの釣り免許試験合格証が無くとも、各自治体の釣魚課が、必要な知識を持っていると認めれば国外居住者用の釣り免許は取得可能な筈です。じゃあどんなものがその証拠になるのかは、正直不明ですが、日本人の場合でしたら、どこかの釣りクラブの会員証とかがあれば、ドイツ語の通訳が出来る人にうまく説明してもらった上で、国外居住者用の釣り免許を取得出来るのではと推測します。
但し、ドイツ国内居住の日本人の場合は、キチンとした手続きに乗っ取った正式な釣り免許の取得が義務となりますので、お間違いのないように。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

シルクラインの再コーティング(その3)

2018-02-11 09:52:57 | シルクライン/Silk Lines
さて、前回亜麻仁油が厚く乗りすぎてしまったシルクライン。取りあえず大きな輪にして干しておきました。

新聞紙の上に干したシルクラインを乗せて、

よく見ると表面はこのような感じです。

チュニジアはアラビア語が公用語。そして一般にフランス語が良く使われる国。新聞もフランス語のみならずアラビア語で書かれております。

日本で以前購入した目の細かい紙ヤスリを投入し厚く乗った亜麻仁油の表面の凸凹を荒くならしてみます。

ヤスリかけが終わったラインはこんな感じです。また、ヤスリかけをすると乾き切らない亜麻仁油のベタベタ感が戻って来ます。

そこで、再度炊飯器で保温し亜麻仁油の乾燥を行いました。

炊飯器から出したラインです。

本当はパミス(軽石粉)を使いたいのですが、チュニジアには東●ハ●ズのような便利なところは無く、どこで売っているのか皆目見当もつきません。そこで、タルカム粉を含む製品、そう、ベビーパウダーを投入しヤスリがけの荒い表面を更に滑らかにしてみます。

ベビーパウダーをシルクラインに振りかけ、キッチンペーパーでしごいて表面を滑らかにしていくと、これだけの余分な亜麻仁油が取れました。

日本なら色々揃っているのに、北アフリカではより創意工夫が必要です。ベビーパウダーくらいなら近所に売ってましたので、助かりました。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

シルクラインの再コーティング(その2)

2018-02-03 13:10:06 | シルクライン/Silk Lines

さて、炊飯器で12時間保温し取り出して冷やしたシルクラインを巻いた特性糸巻き。

寒波の日本と違い、今年のチュニスは例年より気温も高く、青空が広がります。バルコニーから見る地中海の青が鮮やか。この天気でしたらシルクラインの手入れもやり易いというもの。

1回目のコーティングは成功。亜麻仁油はしっかり乾燥し、シルクラインに浸透しております。

ブレイデッドループの部分もこの通り。但し、未だコーティングの層が薄いので、2回目のコーティングを行います。

2回目のコーティングが終わった糸巻き。シルクラインはテカテカしております。

糸巻きからシルクラインを外してみると。

亜麻仁油がどうも多過ぎた様で、全体に油が厚く乗りすぎており、そのためしっかり乾燥せず、凸凹にコーティングが仕上がってしまっております。

シルクラインの中にはしっかり浸透しているので、防水(waterproof)という点では良いのですが、この凸凹を何とかしなければいけません。

コーティングを重曹で落とした後のシルクラインと亜麻仁油を浸透させコーティングした後のシルクラインの質感の違いがお判りに成りますでしょうか。

ブレイデッドループの部分はこの通り。
東京での作業と違い、どうも勝手が違います。しかし、亜麻仁油の余分をもっとしっかり落としておけば良かったです。トホホ。
因に肝心のシルクラインですが、2回目のコーティングで既にAFTM 5番程度の重さがあるように感じます。また、コーティングを剥がす前のガビガビさも無くなり、しなやかで実戦投入出来るような感じにはなっております。凸凹と半乾きのところを何とか片付け、しっかり乾燥させたら4月以降実戦で使えそうです。
コメント (2)
この記事をはてなブックマークに追加

シルクラインの再コーティング

2018-01-27 13:38:14 | シルクライン/Silk Lines


KaizerのGreen Lineシリーズのシルクラインで最後に買ったものの1つを買って直ぐ使おうとしてリールに巻きフェルトでグリスを塗ったところコーティングが剥がれてしまい、また、ラインがねじれて使い物にならなくなった事がありました。もう10数年前の事で、その一回も使わずに再起不能になったシルクラインは悔しいので捨てずにとってありました。今から4年弱程前に行った、シルクラインの再生の経験から、先日見つけたそのシルクラインの再コーティングをする事にしました。
上の写真のように重曹を湯に溶かし、そこにシルクラインを漬け込んで古いコーティングを剥がします。以前のPhoenixのシルクラインはこれで直に全てのコーティングが取れたのですが、今回のKaizerは中々手強く、湯につけただけではコーティングが取れません。そこで、鍋にお湯と重曹を入れてぐつぐつ煮込み、漸くコーティングを取る事が出来ました。
この取れないコーティング。何を使ったのか判りませんが、最末期のKaizerの品質悪化の象徴のような気が致します。

コーティングを取ったシルクラインは手製の糸巻きに巻いてしっかり乾燥させます。これは前回の経験から作成したもの。炊飯器にぴったり収まるサイズで設計してあります。

コーティングを剥がしたシルクライン。中々取れなかった古いコーティングの名残がそこそこに残っております。

机にばらしたところです。

ブレイデッドループをつけた先端部分。

シルクラインのコーティングを剥がした地肌はこのような感じです。

トルコ製でありながら、ドイツの研究センターで開発したと銘打ち、わざわざブランド名の下にドイツ語でHausgeraete(家電)と入れたトルコのFakirブランドの空き箱で作ったシルクラインコーティング用の糸巻き。因に、多くのチュニジア人がFakirをドイツブランドと信じて買っております。。。。

乾燥した無コーティングのシルクラインを丸めて、前回Phonenixシルクラインのコーティングに投入した真空容器に置きます。

今回コーティングに使用するのは、年末・年始の一時帰国時●急●ンズで購入した亜麻仁油。一回加熱したボイル油の方が乾燥が早いというのでそれを使います。

亜麻仁油に漬け込んだシルクラインから、空気を抜いていくと細かな泡が立って、繊維の奥まで亜麻仁油が浸透していくのが良くわかります。

亜麻仁油が染み込んだシルクラインを糸巻きに再度巻き込み、炊飯器で保温します。写真のものは炊飯器に入れる前の状態で、未だシルクラインは亜麻仁油でテカテカしております。亜麻仁油は事によると数週間もかかるといった程、中々乾燥しないのですが、66度程度に保たれる炊飯器の保温温度が亜麻仁油を急速乾燥させるのです。昔のレシピ通り、12時間は炊飯器で保温し、しっかり亜麻仁油を乾燥させましょう。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

Hardy Palakona Marvel 7'6'' H/J (1968年7月製)

2018-01-13 14:42:15 | Hardy Palakona

チュニスのHardy Marvelがもう一本増えました。上の写真の一番下の竿、製造番号H/J、1968年7月製のMarvel 7'6''です。

左から、E49054(1938年製)、E87715(1953年製)、E/S(1967年5月製)、H/J(1968年7月製)。

上から下に段々新しくなります。

左から右に段々古くなります。

1953年、1967年、1968年製造の竿のリングの位置はほぼ一緒です。

1938年、1953年、1967年、1968年の竿のトップのリングの位置はほぼ一緒です。

これら4本の竿のアクションはほぼ同じ。胴調子で、カーボンの短竿の様にピュンピュン振り回すような釣りは出来ませんが、この竿をゆったりと振ってドライフライを投げる釣りはそれは楽しいものです。また、大物がかかっても張りを残しながら胴まで大きく曲がり大物を弱らせる竿で、自信を持ってやり取りの出来る竿であります。
但し、7'6''という短竿でかつ胴にかなりストレスがかかるアクションなので、多分ミドルセクションはそうしたストレスに耐えられるような設計になっているものと思います。1938年製、1953年製とも、ミドルセクションは多少重めになっているように感じますし、バーニッシュもトップ、ボトムとは違うように思えます。

さて、上は1968年製の竿のインスクリプションです。#4となっていて、AFTM 4番のラインを指定しております。

一番下にはH/Jと手書きで描かれ、1968年7月(H=7月、J=1968年)に製造された事を示しております。

こちらは、1967年5月(E=5月、S=1967年)製の竿のインスクリプション。ラインは# 4/5を指定しており、そこから1968年製の竿より強めのアクションかと思ってしまうかも知れませんが、両方を振ってみると全然そんな事はありません。両方の竿とも、プラスチックラインでしたらAFTM 4番、或は3番のライン、シルクラインでしたら、4番〜5番が一番楽しめそうな感じがします。
因に、1967年製、1968年製の竿の間にトップ、ミドル、ボトム夫々のセクションの互換性があるかと思ってチェックしましたが、1968年製の竿のフェルールは1967年製のそれらより口径が大きく、合いませんでした。また、1953年製の竿のフェルールは1967年製のものより口径が小さく、更に1938年製の竿のフェルールは1953年製のものより更に口径が小さい事が判りました。年代が下がる毎に口径の大きなフェルールを使っているという事になります。

一番下にE/Sと描かれております。

これは、1953年製の竿のインスクリプション。

上は1938年製のインスクリプション。

さて、何故またMarvelが増えたのか?ですが、北米の某オークションの案内がある日メールで来まして、落札出来ないだろうと思いつつ安めのビットをしたところ落札してしまったというのが理由。更に、新品のPezon et Michel Parabolic Ritz 8'2(1975年製)も落札してしまい、ビックリしてしまいました。日本の実家に送ってもらい年末年始の一時帰国時にスーツケースに入るMarvelのみを持ち帰ったものです。英国では中々Marvelは出物が無く、また、出ても高いのですが、北米では英国よりも出物が多く、そのため価格も安めです。Marvelを探している方は北米のオークション等をチェックしてみては如何でしょうか。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

Shakespeare Beaulite 2808

2017-12-17 18:55:12 | Fishing Tackles

日本からの引っ越し荷物を受け取ってから2年以上が経ちますが、未だ全部の荷物が片付いてどこに何があるのか整理がついた状況には残念ながらなっておりません。ハンガリー時代から使って来たKaizerのシルクラインの3番(AFTM 6/7番)が一体どこにあるのか探していたところ、私がフライフィッシングを始めて最初に入手したリールを見つけました。
シェークスピアのリールです。

確か、最初に買ったのはシェークスピアのフライフィッシングセット。グラスロッド8'とこのリール、更にフライラインとリーダー、更には毛針まで付いていた様に思うのですが。。。。このセットでフライラインの投げ方を一所懸命練習したものです。

このリール。ハッキリいって、ハーディーのライトウェイトシリーズのコピー。でも、フライリールに求められる基本的な機能は持っており使用するのに何ら支障はありません。ラインガードも右巻き用に付いておりますが、左巻き用に変更するのも簡単。

リールフットもネジ止め。

BEAULITE 2808というリール名。フランス語のBeau(美しい)にLite(light:軽いの綴りをいじったもの)を合わせた名前。ビューライトと読むのか、はたまた、フランス語風にボーライトと読むのか私には判断出来ません。



スプールを外してみると。

チェック機能は如何にもシンプル。ドラグの強弱を調整する事は出来ません。

軸は簡素な作りです。

スプールについて歯車も何の特徴もない普通のもの。

でも、このリール、PezonのSawyer Nymph竿のリールフットにピッタリハマります。

このリールとシェークスピアの竿の組み合わせでは結局鱒を釣ることは出来なかったのですが、このリールと確かKennedy Fisherの7'のカーボン竿4本継ぎで人生最初のイワナを釣りました。1980年の夏でした。その時から、社会人になって暫くまでは、釣りに行って魚を釣るのが本当に楽しくて、食は忘れませんでしたが、寝る時間を忘れて少ない時間を見つけては釣行に出かけたものです。学生時代、所有していた釣り道具は本当に僅かな物でした。それを酷使に酷使して釣りを楽しんだものです。時は流れ、このリールを使っていた時罹っていた釣りの熱病からはすっかり回復(?)しましたが、その替わり、垢のように長い年月の間釣りの道具は溜まって行きます。釣りに行けないストレスから釣り具が溜まるのか、はたまた、釣り具を集める方が主で、釣りは釣り具を楽しむためにやるのか、段々と自分でもハッキリとさせられなくなっておりますが、このリールを久しぶりに手に取ると、フライフィッシングを始めた当時の純粋な喜びが、人生の垢にまみれた心に蘇るような気分が少しだけしました。嗚呼、来年はどんな釣りが私を待っているのでしょうか?
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

シルクラインについて(Kaizerの種類)

2017-12-03 15:32:52 | シルクライン/Silk Lines

今、チュニジアの拙宅にあるシルクラインを集めてみました。HardyのCoronaを除く現代のシルクラインで所有しているのはベルギー製のKaizer 7本にPhonenix 1本。
Kaizerの中でも、1990年代にGreen Line of Kaizerという名前で売っていたタイプのものと、只のKaizer Silk Lineとタイプは2つあります。
下は、只のKaizer Silk Line。これは、HardyのCoronaの様な感じのもの。シルクを亜麻仁油の様な油分で含浸し乾燥を繰り返したという感じの出来上がりで、余りそれ以上コーティングが施されているような仕上がりではありません。

未だ未使用品なので結ばれております。

これは表面の近影。編紐的な表面である事がお判りと思います。

これは、Green Line of Kaizerの2番ライン(AFTM 5番前後)。これは編紐的なラインに何らかのコーティングを施してあり、日本の高温多湿な真夏ではベタベタになりそうな予感がします。

亜麻仁油以外の追加コーティングの為、多少ザラザラ感は減退しております。

これはGreen Line of Kaizerの3番(AFTM6〜7番程度か)。上のシルクラインよりもコーティングが厚く乗っている感じのラインです。

表面も2番のものより更にコーティングによるザラザラ感の減退が見られます。

上はGreen Line of Kaizerの1番(AFTM3〜4番程度)。1990年代より実戦投入して既に20年選手ですが、全く問題なく現役で使用中。但し色は上記の新品のものとは大分変わり茶色が強くなっております。コーティングは3番のものと同じ種類で厚めです。

これは2010年代に入ってから実戦投入したKaizer Silk Lineの表面。個人的にはこのタイプが一番信頼が置けると思っております。夏の暑さでもベタベタにはなりません。

これはPhoenixを自分で亜麻仁油だけで含浸処理し直したもの(以前の記事参照)。これは何せ炊飯器で高温に耐えて来たものなので、ベタベタしようがないのが信頼して使えるものです。

Kaizerは以前にも紹介の通り、昔はルクセンブルクの釣具店で買えましたが、2000年代初めに生産停止。昔はペゾン・エ・ミシェルブランドのシルクラインを生産していた名門だったのですが、今はその痕跡を探すのが極めて難しいブランドになってしまいました。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

シルクラインについて(接続法)

2017-11-26 13:41:59 | シルクライン/Silk Lines

シルクラインを入手して最初の疑問はどうやってバッキングラインやリーダーに接続したらよいのか?ではないでしょうか。
PVCラインであれば、リーダーとはネイルノット、リーダーコネクター、等で接続ですが、只でさえ値段の張るシルクライン。先端を切ったりする結び方はもったいありません。

そこで、私の辿り着いた方法は、ブレイデッドループをシルクラインに被せ、二カ所をタイイングシルクで縛り、更に縛った部分の上をタイイングシルクで覆い、ヘッドセメントで解けない様に固めるというもの。上のループは更に亜麻仁油での10回のコーティング(過去記事参照)がされているので相当シルクライン自体と一体化しております。
この様にループ同士で接続するのが最適と考えておりますが、例えば釣りの最中にループが切れてしまったら一体どうすれば良いのでしょうか?
そうした時に役に立つのが、昔から行われて来たFigure of Eight(8の字結び)という結び方です。

上の図の様に強く結ぶ前のラインの姿が8の字に見える事から名付けられたこの結び方、少なくとも20世紀初頭から英国のみならずドイツ語圏の釣り関連解説書にてシルクラインとリーダーを結ぶ一般的な方法として挙げられております。

結んだ後はこのような姿。結び目が大きく、シルクラインの先端が飛び出るので竿の先端のリングを通りません。従い、10フィートの竿に9フィートのリーダーという仕掛けならまだ良いですが、短竿になると結構厳しいです。テレスコピックのタモがあればそれでも何とか対応出来るとは思いますが。
私も過去色々な場面でお世話になったこの接続法を実際に試してみましょう。

1912年チェックのHardy Perfect 3 3/8リールから伸びるバッキングラインの先端にはループが結ばれており、それに元はPhoenix 6番だった再生シルクライン(5番程度)を結びます。

バッキングラインのループとシルクラインの先端の拡大図。シルクライン先端のコブは、今年7月のMur川釣行時、根がかりしてラインを引っ張ったら切れてしまった時に作ったもの。8の字結びではまずコブが無くても解ける事は無いですが、長年の習慣で作ってしまったコブです。

ループにシルクラインを通し、

シルクラインの先端を折り曲げ、

ループに再度通し、

シルクラインの先端のループの下にシルクラインの先端が来る様にシルクラインを通します。

引っ張って結び目を締めるとこの様になります。

これはシルクラインの先端が余り長くならない様に一寸調整したもの。
8の字結びは解くのも簡単です。普段リーダーとバッキングラインとシルクラインをループトゥループで結んでいてリーダー側のループが壊れた時は、ひっくり返してバッキングラインとの接続を8の字結びにすればそのまま快適に釣りを続ける事が出来ます。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

シルクラインについて(特徴)

2017-11-19 13:58:02 | シルクライン/Silk Lines

釣りシーズンが終了したので、釣行記等鱒釣りの思いでについては来年までお預け。ストーブリーグの話題はモノの話になりがちで、何となくシルクラインについて書いてみたいと思います。
私がシルクラインを使うのは、PVCでコーティングされたフライラインが登場し一般的になる前の1950年代以前の竹竿に合わせるためです。シンセティックなフライラインが何故浮くのか?それはPVCコーティングの中に気泡を入れて、重量比で容積を高めているため。つまり船が浮くのと同じような理屈。それに対し、シルクラインは水より比重の高いシルクを浮かせるために表面にグリスを塗り表面張力で浮きます。従い、PVCラインはシルクラインよりバルキーで空気抵抗も強く、同じ番手でもPVCラインを飛ばすのはシルクラインに比べ竿に対する負荷を掛けなければいけない。。。1950年代までの竹竿はシルクラインを前提に設計されているであろうため、PVCラインは荷が重いと感じるからです。

現在使っているのは、1990年代末まで入手出来たベルギー製のKaizerと、以前再生記を掲載したPhoenix。上のSt. George Jr.に巻いてあるラインと、濃い臙脂色のラインがKaizer。ストロー色のラインがPhoenix。

下のPVCフライラインはハーディーブランドのDT5F。今シーズンSawyer Nymph竿と一緒にフランス、オーストリア、日本を転戦したものです。それに比して、上のKaizer 2番(AFTMで5番程度)はハッキリと細く比重が重く感じます。ですので、1960年代以前のPVCラインには非力な竿でもシルクラインは良く飛ばす事が出来ます。

Kaizer 2番の表面。一本一本の絹糸を編んでいるので表面がざらついております。一見黒に見えますが、よく見ると濃い臙脂色であるのが分かります。

これはPhoenixの表面。通常のPhoenixラインは油の含浸処理をした後、更に別の素材でコーティング処理をするため、容積が大きくなっておりますが、このラインはそうしたコーティングを重曹で一回全て取り除き、亜麻仁油のみで含浸処理したものですので、表面はザラザラです。

これはKaizerの1番(AFTM 3〜4番程度)。色はオリーブ色。以前Green Line of Kaizerとして売っていたもの。1990年代から変わらず使用しております。
シルクラインが一般的になったのは19世紀末にHalford (ハルフォード)が相談役としてEaton & Deller商会が開発・生産・販売した亜麻仁油を芯まで含浸させた防水加工のシルクラインが登場してからのようですが、それ以前には19世紀中葉(?)まで主流の馬素を編んだライン、その後登場したシルクと馬素の混合ラインも使われ、1867年出版のFrancis Francis (フランシス・フランシス)著A Book on Angling (魚釣りの書)第5版の152ページでフランシスはシルクと馬素の混合ラインを最上とし、シルクのみのラインは軽やかさと柔軟性に欠けるとして退け、馬素のラインは竿のリングに引っかかり投げ難いとこれまた退けております。
一方、1899年に出版されたSir Edward Grey (サー・エドワード・グレイ)のFly Fishingで、グレイは防水加工されたテーパー付きシルクラインを素晴らしいとしてますが、Manchester waterproof plaited cotton line (マンチェスター防水加工コットンライン)が最上としており、シルクラインがその地位を確立した後もそれ以外のリールラインが毛針釣りに用いられていた事が伺えます。

これは大分昔入手したHardyの看板シルクラインのCorona。

ダブルテーパーで、2番、という事は、AFTMで言うと、5〜6番程度の重さ。長さは30ヤードです。

一方の端にはリールからのバッキングラインにはこちらを結ぶようにと指示されており、撚りを掛けずにリールに収納する事に非常に気を使っております。

2番のダブルテーパー、30ヤードとタグが付けられております。

色はKaizerの2番と同様の濃い臙脂色。また、表面の感じもKaizerとほぼ同じ。

数十年も退蔵されていたため、注意書きとラインがくっついてしまい、注意書きを剥がした紙の残りがくっ付いてしまっております。使う際には一寸お湯かなにかで奇麗にしないといけないですね。

注意書きには、油を含浸させた防水加工シルクラインは出来るだけ空気に触れさせる必要があり、使用後はラインワインダーに巻き取り乾燥させ、オフシーズンにはリールから出して空気の通りが良い所にぶら下げて保管するようにとあります。
シルクラインには常にグリスを塗らなければならないような記述が日本では多いですが、それは実は間違っており、グリスは使用する際に必要なだけ薄く塗り余分は拭き取る事をシルクラインメーカーは推奨しております(Phoenix等)。何故かというと、余分なグリスは汚れをラインに吸い付けてしまい、それが原因で逆にシルクラインを浮きづらくしてしまうためです。やけにベタベタするようならばそのような状態になっていると疑った方が良いと思います。そんな場合、私の対処法でありますが、石鹸水でシルクラインのグリスを取り除き乾燥させた事もあります。乾燥させ切ってから必要なだけのグリスを塗れば、ラインはまた水に良く乗る様になります。
グリスを塗り続けてしっくりした、と喜んでいると、逆にシルクラインの機能を損なってしまっていたとならないように留意しましょう。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加