思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Gold Medal Pall Mall Centenary 8'

2020-07-19 16:49:28 | Hardy Palakona

2015年3月の記事でロンドンのPall Mall(ペル・メル)界隈を訪れたと載せましたが、少なくとも90年代末まではそこにはHardyのロンドン小売店があり、慇懃無礼な感じの販売員がHardy製品やその他の製品、書籍等を販売しておりました。ロンドンを訪問する際は必ずそこを訪れて何らかの買い物をしたものです。
そのロンドン店が1992年に開設100周年を迎えたのを記念して制作されたのが8フィートのGold Medalです。2 5/8の真鍮製のPerfect Houghton Reelと一緒にローズウッドの箱に納められたこの竿は全部で100セット制作されております。
私の手元にあるのはその中の008番目の竿。

8フィートで3本継。赤い段巻きを身にまとっております。

オスフェルールを守るための木製プロテクターも付属。

90年代の特徴的な書体でPall

Mall Centenaryと記載。

1892年から

1992年と100周年を表しております。

グリップにはフックキーパーが付きます。

一番下のリングは瑪瑙入りのもの。昔のHardyの竿では何の変哲もありませんが、制作されたのは1992年。その頃は流石のHardyもPalakona竿には瑪瑙リングは標準装備しておりません。

更にそれに輪をかけて回顧的なのがこのスパイク付きのオスフェルール。尚、フェルールには008の刻印が押されております。

一方、バットとトップ以外のリングはスネーク。Gold Medalのリングは通常フルオープンブリッジであるのですがこれはお愛嬌か。

トップのオスフェルールにもスパイクが付きまた008の刻印が施されております。

そしてトップはまた瑪瑙を入れたもの。

これは私がHardyに直接発注して1995年9月に完成したCC de France 8'のインスクリプション。1992年製のGold Medalと同じ方が書かれたようです。

更に、95年製のバットリングはその頃のPerfectのラインガードの様にセラミック。

トップはPVCラインを前提とした瑪瑙無しのもの。
この様なリングが90年代に細々と制作されていたPalakona竿のスタンダード仕様だったと思われる中、Pall Mall百周年記念竿には瑪瑙入りを特別に誂えたのです。

本当は8フィートの短竿等は日光湯川辺りに持ち出してHardy Marvelにはちょっと手強い鱒の相手をさせたいところですが、コロナ禍のここ数ヶ月中々憚られますので、同じ都内の養沢に行くのがやっと。残念ながら大きな魚は釣れませんでしたが、St. George Jr.にシルクラインを載せた胴調子気味のGold Medalは小さな魚でも楽しめる竿であります。まだまだ硬さの残る竿ですので使い込んで行けばより調子も柔らかくなるのではないかと思っております。
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Pezon et Michel Parabolic Ritz 8'2''(プゾン(ペゾン)・エ・ミシェル パラボリック・リッツ)

2020-05-04 11:43:07 | Fishing Tackles

"The best advice I can give a beginner is to chose a cane rod of one of the following types: Parabolic 8 1/2 ft. normal, Ritz Parabolic 8ft.2in., or Ritz Super-Parabolic P.P.P., Master 8ft.3in., or Power Plus P.P.P. according to the amount of money you have to spend. I only give these rods as examples; any other make providing a similar action will be just as suitable."
これはシャルル・リッツのA Fly Fisher's Lifeの58ページでリッツが初心者に奨める竿の幾つか。支払っても良い金額に従ってこういうアクションの竿を選んだら間違いないよ、と言っておるものです。彼が上げる竿の中の二番目、二番目にお手頃な価格なのかも知れませんが、そのParabolic Ritzを私も実は所有しております。

竿のインスクリプションはこの通り。AFTMで4/5とされております。因みに、私がプラスチックラインの規格を書く時、何時も"AFTM"と記載し、"AFTMA"と書かないことに以前からお気付きの方もいらっしゃると思います。AFTMはAssociation of Fishing Tackle Manufacturersを省略したもの。一方、AFTMAはAmerican Fishing Tackle Manufacturers Association。。。因みに、リッツの本では"AFTM"で解説されております。

さて。。。本稿の表題の「プゾン・エ・ミシェル」にギョッとされた方も多いものと思います。実は、本稿をアップロードした数時間後に天啓の様に閃いたのですが。。。「ぺゾンの竿ではリッツのデザインでない良竿も多いよね、例えばBretonvilliers、ブルトンヴィリエとか。。。あのDubos、店の近所の通りの名前、地名をデュボスは彼のデザインした竿の名前にしてたんですね。。。St. Louisは店の側のセーヌ川の中州サン・ルイ島の名前だし、Sully、シュリーはそのサン・ルイ島にかかる橋の名前だし。。。でも日本ではフランス語の発音通りに誰も読まないなぁ。。。」と思った時、それは起こりました。フランス語の発音で"e"の音は軽く曖昧に"ゥ"と発音されるか、無音になります。Café de Parisの発音は「カフェ・ドゥ・パリ」、パリ弁では「キャフェ・ドゥ・パリ」。"エ"と発音するには、”é:アクサン・テギュ”を付ける(長い発音だとè:アクサン・グラーヴ)。。。そう、その時遂に気付いたのです。"Pezon"の"e"はアクセントの付いていない"e"であることに!!
それこそフランス語を勉強する前からぺゾンと読んできて、全く疑いを挟む余地すらないこの名前の発音に疑問を抱いた瞬間、私のこれまでの世界は崩れ去りました。。。セントルイスではなく、サン・ルイ、ブレトンビリエールではなく、ブルトンヴィリエ、サリーではなく、シュリー、だよなと知ったかぶりをしていた私は本家本元の名前をフランス語の通りに読んでいなかったのです。恐る恐る、Google Traductionを開き、Pezon et Michelとフランス語の欄に記入し、発音を聞くと、そこからは「プゾン・エ・ミシェル」という非情な、機械的な女性の声での発音が出てきたのでした。。。(因みに、ドイツ語を選んで"Gebetsroither"と入力して発音を聞いて頂ければ、私が過去書き散らかしてきたことを理解頂けると思います)

この衝撃から今後どのように立ち直れば良いのか。。。個別モデル名は、オリジナリティを尊重して、その発音をフランス語に準拠して書くつもりですが、この"Pezon"は日本で過去数十年以上呼ばれてきたように、「ペゾン」と記載するつもりであります。。。今の所。


バットのトリコロール(三色旗)の下には68とあります。何の意味か私には分かりません。

コルクグリップの上には製造番号と思われるものが書いてあります。724...

48..

25..

9。72448259となります。以前Sawyer Nymphの際、スナフキン様からご教示頂いた情報では7-244-82-5-9と5つの要素に分解し、最初の7と四番目の5が75年、244がモデルコード、82が8'2''を示し、最後の9が多分75年に作られた本機種の9本目となります。

ラッピングは緑の単色。

とてもシンプルで、リッツの言うようにコストが余りかかっていないような感じです。

Pezon et Michelの多くの機種が採用するStaggerd Ferrule。

ティップ側にも68と謎の文字が記載されております。

コルクグリップにはプラスチックカバーが未だかけられており、使用された形跡は見られません。

リールシートはゴムボタンをつけた金属製。

これはリングがわを回して行くとドンドン伸びて行ってリールシートを取り付けられるようになる仕掛け。

ゴムボタンは地面に置く際の衝撃を吸収するものですが、取り外しも効きます。

手持ちのPezon et Michelの他の竿と並べて見ます。下から本竿Parabolic Ritz、次はSt. Louis 8'1''、そしてFario Club 8'5''、一番上はSawyer Nymph 8'10''。St.Louisのグリップが短いことに気付かされます。

PPPシリーズの二本に比べ、Parabolic Ritzのティップセクションが比較的長い(バットセクションが短い)ことが見て取れます。

コルクグリップに着く金属製のキャップの色ですが、Parabolic RitzとFario Clubは濃い色、St. LouisとSawyer Nymphは薄めの色。理由は不明です。

Sawyer Nymphのものは薄い色であることがお分かりになると思います。

赤いポチ同士を合わせればリングも一直線に竿を繋げます。

Pezon et MichelがHardyに発注したMarquisリール、Super Parabolicリール76、3インチを着けてみました。

Parabolic Ritz竿のバット側に着くプロテクターはシンプルにコルクがメスフェルールに入るようになっているもの。PPPシリーズですとそれがコルクではなく金属になっていてコストがかかっているのがみて取れます。

PPPシリーズのラッピングは緑に赤の線が着くもの。

一方、Sawyer NymphとParabolic Ritzは単色のラッピング。
この竿は、数年前まだチュニジア在住の時、米国のオークションに参加した際、全然ダメ元でこれくらいの価格までなら良いや、と入札して置いたらその価格以下で落札してしまったもの。米国からは日本の実家に直送してもらい、その後釣りに使うことなく今に至っているものです。振ってみただけの感想なので正確ではありませんが、竿の中央部まで曲がる一方、ロッドティップも曲がると言う、使い方によっては7:3調子でも使え、確かにリッツが言うように万人向けのアクション。Pezon et Michelにとってのスタンダード竿というところでしょうか。ハーディーで言えばゴールドメダルやパーフェクションが、ハーディーにとってのスタンダードなアクションを示しているようなものか?私はPezon et Michelには詳しくありませんので、戯言を申し上げているとすればご容赦下さい。
実釣で試せば良く分かるものと期待しているのですが、残念なことです。
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Ginger Quill(ジンジャー・クイル)

2020-04-29 14:33:26 | 毛針/Flies

天気が良くても釣りに行くことが叶わない今年の春。その徒然の中、本に目を通すなどしております。John Waller Hillsの「A Summer on the Test」もその中の一冊。英国の有名なテスト川での季節毎の釣り、そこで使う毛針、テスト川での釣りガイドであると同時に、Skuesの文章に比べると特にですが、平易で切れの良いリズムの良い文章で釣りの悦びを伝えております。
その第二章、「The Beginning of the Season」は春になって一年の釣りが始まる頃の話。英国もそうですが、4月と言えば欧州では未だ未だ春本番という感じではなく、時には雪が舞ったり気温が冬に戻ったりする時分。その4月のドライフライ釣りで活躍する毛針はBlue Upright、Dark Olive Quill、Gold ribbed Hare's Ear、Greenwell's GloryだとHillsは述べておりますが、特にBlue Uprightが良いとしております。そして季節が進むと、Blue Uprightのサイズを落とし、胴に巻くゴールドワイヤーも無しで良いとしながらも(HillsのBlue Uprightはピーコッククイルの胴にゴールドワイヤーを巻いております)、Blue Uprightが通じなければGinger Quillを使うとします。更にHillsは一つの毛針を一年通して使うとすればそれはGinger Quillだとしております(少なくてもテスト川では、と理解します)。
そのGinger Quillを巻いてみます。
「A Dictionary of Trout Flies」によるレシピは:
Hackle and Whisks: Pale brown ginger
Body: Peacock quill, pale
Wings: Palest starling
Hook: 16

スターリングのウィングは何時もの通り左右其々二つのストリップを使い魚を掛けてもバラけ難い強度を持たせます。

8の字巻きをしなくてもウィングは自然に左右に分かれますが、今回はキチンと8の字巻きをしております。

大きく左右に分けております。カゲロウではハッチの際、両羽をつけて流れるものとSpur Wingと言って左右に多少広げて流れるものがありますが、これはSpur Wingと言ったものでしょうか。

ボディの下巻きにテイルを付け、繊毛を取り除いたピーコッククイルを付けます。昔の英国人の毛針用マテリアルの中に処理済みのピーコッククイルがありましたので、それを使って今回は巻きました。

中身はこの通り。

クイルボディを巻いた後、ジンジャー色のハックルを取り付けます。私はいつもアイ側からテイル側にハックルを巻き、それをタイイングシルクでテイル側からハックルの間を通しアイ側に巻きます。シルクがハックルの間から見えることもありますが、こうすることによりハックルが魚をかけてばらけたりすることのない強度を毛針に与えることが出来るからです。格好は悪くなるかも知れませんが、折角作った毛針が直ぐダメになるよりも良いと思っております。

アイまでシルクを巻いたら、手でウィップフィニシュ。ウィップフィニッシャーの使い方はよく分かりませんが、素手では考える必要もなく出来ます。

ウィップフィニッシュを終え、余分なシルクを切ったところ。

斜めから見るとこんな感じ。

ウィングを唾で濡らし整えてやります。釣り場ではオイルを使ってやると魚を何回もかけた毛針でもウィングの形を整えてやることが出来ます。但しダブルウィングにしていたらの話になりますが。

斜めから見ます。

斜め後方から見ます。

上から見たところです。

「A Dictionary」はGinger Quillを「Red Quillの良いバリエーションのドライフライ、Pale WateryとLight Olive Dunのイミテーション」として薄い色のカゲロウのイミテーションと説明します。Red Quillと比べるとボディは一緒でも全体の色調は明るくなっており大分雰囲気は違います。奥に見えるのはGreenwell's Gloryのハックルとテイルをフランスハックルのスモークグレイにしたもの。ハックルとテイルを変えると毛針の印象もガラッと変わるものですね。
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Whirling Blue Dun (ワーリング・ブルー・ダン)

2020-04-18 16:20:48 | 毛針/Flies

Whirling Blue Dunという名前は、日本では聞くことはありません。少なくとも私は聞いたことがありません。

然し乍ら、この名前は英国では釣魚大全(The Compleat Angler)以来、忘れられることなく釣魚本に出てきております。
英国の伝統的な毛針の情報が詰まった「A Dictionary of Trout Flies」によれば、その正体がどんなカゲロウなのか?についてはYellow Dun、Autumn Dun、August Dun等々、過去の識者達はその説を述べているものの、統一された結論はなく、結局は「謎」のまま。しかし、イミテーションに拘ったHalfordは「釣れる毛針」として、何を模しているのか解らないこの毛針のレシピを以下遺しております:
Wings: Medium starling
Hackles: Two ginger cock hackles
Body: Water-rat fur
Whisk: Gallina dyed brown-red
Hook: 16 to 14

更に、他の効果的なレシピとして「A Dictionary」に紹介されているのが:
Wings: Starling, medium, light or dark
Hackle: Ginger cock's
Body: Hare's fur spun on olive or yellow dying silk
Tail: Three whisks ginger cock
Hook: 14

となります。

この毛針を巻いてみることにしました。
イエローのゴッサマー・シルクで何時もの様にスターリングを二重にしてフォーワードに結び、続いてボディを巻き、テイル、ボディと巻きます。

この毛針のボディ、テイル、ウィングの色については色々なバージョンがあるのですが、唯一外してはいけないのがハックルの色。ジンジャーでなければ効果が期待出来ないというのです。そこで、昔の英国のジンジャーハックルで巻くこととします。使ったのはMesseenaから1942年に購入したGolden Dunという名前のコックハックル 。リストは赤みがあり、ファイバーは金色に輝きます。
ジンジャーはレッドと同様に固くて艶の良いものが多く、水面上に高く浮かびます。「ジンジャーでなければダメ」というのも、色の他にそうしたジンジャーハックルの機能的性質があるのかも知れません。

出来上がった毛針。スターリングのウィングは二重ですので魚を掛けてもファイバーがバラバラに壊れることはありません。もしばらけてもオイルを塗ってやるとウィングの形を整えるのは簡単。また、使ったジンジャーのリストの赤みが毛針の前の方に強く出てます。
英国の様に日本でもこの毛針で釣れるのか?何故か日本なのに「Stay at home」と外国語で言われる、「外出自粛」下、実釣の場で試すことは未だ出来ませんが、釣れそうな雰囲気には溢れる毛針であることは同意するものであります。
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La mouche d'Ornans

2020-04-12 14:43:34 | 毛針/Flies

以前ノルマンディーに通っていた時、パリのオルリー空港で買ったフランスの毛針釣り誌「Peche Mouche」を久しぶりに手に取ってみたらフランスの毛針「La mouche d'Ornans」の記事が載っていました。

Pêche Mouche No.120。2017年5-6月号です。
「オルナン毛針」の由来ですが、1920年代にジュラ地方の教師で毛針釣り師のAmedee Gros(アメデ・グロ)が作ったものとの事。高名な釣り師であったグロに触発されたLeonce Valette(レオンス・ヴァレット)、ペンネームLeonce de Boisset(レオンス・ドゥ・ボワセ)は、1939年に出版された彼の著書「Les mouches du pecheur de truites(鱒釣り師の毛針)」の中でグロのこの毛針に言及し、更に1942年に発行された彼の二作目「Les Ephemeres(カゲロウ)」でもグロの毛針を取り上げた事でこの毛針は知られる事になります。また、グロは、この毛針をフランスの著名な毛針製作業者Gerard de Chamberet(ジェラール・ドゥ・シャンベレ)に贈りシャンベレはこの毛針を生産する事になったそうです。1941年にジェラールが逝去した後も社業を継続した彼の妻Germaine(ジェルメーヌ)はグロの毛針をシャンベレがグループ化した一連の毛針、La Loueシリーズに入れる事を考えましたが、La Loueシリーズにはウィングの有る毛針がない事から、このシリーズに入れるの止め、別の名前を付ける事にし、この毛針がOrnans(オルナン)という街の上流のモントリシャール伯爵の所有地で特に名声を博していた事より、オルナン毛針と命名したのでした。

0.8号のフロロカーボンをブラインドアイの昔の鉤に巻き糸とフロロカーボンを二重に巻く、昔の日本の鉤素巻きのやり方で固定しヘッドセメントで固めておいたものを取り出し、オルナン鉤を巻く事にします。

毛針のレシピは:
Cerque: fibres de hackle de coq gris (テイル:灰色のコックハックル)
Corps: en fil de montage jaune (ボディ:黄色の絹糸)
Ailes: étourneau (ウィング:スターリング)
Hackle: plume de coq gris (ハックル:灰色のコックハックル)
とシンプル。但し、灰色のハックル、ブルーダンは入手が極めて難しいのが玉に瑕。ですので、クックー(米語:グリズリー)がフランスでは一般に使われております。
今回、この毛針には以前フランスから入手したハックル、Gris fume(スモーク・グレイ)を使ってみました。

この毛針はどちらかというとウェットフライトして使われることが多いと思うのですが、出来上がった毛針はハックルの質もありドライフライという出来あがり。疫病で釣りに行けない徒然の一コマです。
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Williams' Favourite

2020-04-05 15:02:08 | 毛針/Flies

Williams' Favouriteは「A Dictionary of Trout Flies」の著者A. Courtney Williamsの父君がDysynni川を釣った時に初めて使ったとありますので、正確には判りませんが19世紀末に巻かれた毛針の様です。「A Dictionary」で著者は家族びいきの点は割り引いても英国のみならず、フランス、ベルギー、ドイツ、オーストリア、チェコスロバキアでも良く釣れ、数多くの鱒、シートラウト、グレイリングを掛け、川のみならず湖でも効果があるとしております。

タイイングは極めてシンプル。ブラックコックをハックルとテイルに使いボディはブラックシルクとシルバーワイヤー或いはティンセルでリブを付けるもの。

釣りに行けない暇に任せて、ブラインドアイの鉤にWilliams' Favouriteを巻いてみました。使ったのはフロロカーボンの1号に鉤、そして上のレシピの材料。ハックルは昔の英国のブラックコックハックル(写真では赤っぽくなってますがブラックであります) 。ブラックのコックハックル は遺伝のためか、レッド、ジンジャー、バジャーの様な硬いファイバーを持つものは極めて少なく、ドライフライのハックルとしては透明感が素晴らしいものの、水面に高く浮くという機能面では満足のいく品質のものはまずありません。染めたコックハックル は硬さは申し分ないのでしょうが、透明感が決定的にありません。ただ、このWilliams' Favouriteの様なウェットフライに使うならこの遺伝的な柔らかさは欠点にはなりません。
この毛針、絶大な効果を誇るSaltounとはスターリングのウィングの有るか無いかだけ。それだけでも釣れる感じがとてもします。

「A Dictionary」で著者は、昔Yorkshireに居た時、Swale川と他でワンシーズン、一週間に6日、一日数時間釣りをしたが、記録を見ると釣った魚の内、85%はPartridge & Orange、Snipe & Purpe、Williams' Favouriteで釣ったとしております。三つの毛針で一番魚をかけたのはPartridge & Orangeで特にシーズン前半は効果的だったとの事。尚、Partrige & Orangeは3本鉤仕掛けの場合センタードロッパーとして使うのが効果的というので、Williams' FavouriteはBob Fly(トップドロッパー)、Snipe & Purpeはリードフライとして使われたのでしょうか。。。

左からWilliams' Favourite、Snipe & Purple、Partridge & Orange。

さて、テグスと一体化した毛針の先端には輪を付けておりますが、これはドロッパーとして使うのに便利でもあります。

リーダー側の糸を摘んで毛針側の輪に通し、

こうなった形から引っ張ると、

絡みにくいドロッパーになります。ただ上下に動いてしまうので、リーダーの結び目の上にこの様な形でつけると使い勝手の良いウェットフライリーダーとなります。
養沢では3本鉤のウェットフライ釣りは出来ませんが、他の川で早く趣の有るウェットフライ釣りをしたいものです。
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Water-hen Bloa(ウォーターヘン・ブロア)

2020-03-29 14:40:40 | 毛針/Flies
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Water-hen BloaはPartridge & Orange, Snipe & Purple等と並ぶ柔らかい鳥の羽をハックルに巻いた、イングランド北部で良く使われるウェットフライ。スコットランドでも使われそこではWater-hen Blaeと呼ばれるそうです。

外出自粛のお願いが出て、且つ今年初めての本格的な雪となったこの週末、自由に釣りに行ける日を待ちわびながら毛針を作ってみました。

私の愛読書であるA. Courtney Williams氏著の「A Dictionary of Trout Flies」。そこからこのWater-hen Bloaのレシピをみますと。
Wings: Hackled feather from the inside of a water-hen's wing
Body: Yellow silk, dubbed with the fur of a water rat
Hook: 14
とあります。
ここでいうwater-henとはMoorhenの別名。ボディ材のwater-ratが手に入らなければmoleでも可ということで、moleで巻いてみました。
この毛針で気を付けなければならないのはボディのシルクに如何に疎らに獣毛を付け、そこから下のシルクの黄色がしっかり出ること。これが結構難しいのですが、シルクにワックスをしっかり掛け、毛足の短い獣毛を載せる様に付け巻いていくと写真の様に何とか仕上がりました。
またハックルのwater-henはスプーン型で裏側が艶々していなければならないとのこと。写真の毛針ではハックルを余分に巻いてしまいましたが使っているうちに疎らになるのではと思って巻いてしまった次第。
本当は3本の毛針を付けた仕掛けで釣るのが一番良いのでしょうが、養沢等毛針一本の仕掛けがルールになっている釣り場も多いので、次の釣行では多分一本鉤でその実力を試すことになりそうです。

他にCran Swallowも巻いてみました。上の本には収録されておりませんが、英国のTrout & Salmon誌が90年代終わりに発行した毛針集に載っていた毛針でスターリングフェザーとブラックシルクのみの毛針。

それにGreenwell's Gloryや、

Partridge & Orangeがあれば春の川で楽しい釣りが出来るかなと期待してます。上のPartridge & Orangeは先週末養沢で山女魚を掛けた後壊れてしまったもの。オレンジ色のシルクだけのボディですが、本当に釣れる毛針です。
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養沢釣行(2020年3月20日)

2020-03-21 06:36:24 | 釣行記/Fishing Trips

季節外れの暖かさに包まれた昨日、待っていた今年の初釣行に行ってきました。3月でも行ける養沢です。

アイの無いスネック鉤に毛針を幾つか巻き貯めて、釣りの出来る日を待ちます。準備したのはGreenwell's Glory、Snipe & Purpe、Partridge&Orange等。

テグスの付いたこれら毛針を入れるのは、20年近く前にギリシャのコス島で買ったタバコ入れ。私はタバコは吸ったことがありませんが、このタバコ入れは最初からリーダーワレット代わりに購入したもの。

中には使用したリーダーを保存しておりますが、そこにテグス入り毛針を入れてみました。

地元の駅を5時32分に出発。7時1分武蔵五日市駅発のバスで釣り場に向かいます。養沢の事務棟には7時30分前には到着。受け取った番号は19番。昨年の台風以来あまり釣りが出来なかった人が多いのか、今年の養沢は平日でも人が多いようですが、昨日も人が多く昼までには竿を出す場所に困る状況でした。

前回養沢に行ったのは昨年の8月の猛暑の日。7ヶ月以上も経ってしまったのかと思いつつ晴天の空の下に佇む家々を見るとこれから日々良くなる陽気に晴れやかな感じを受けます。

事務棟から歩いて15分程。遠藤前は台風の影響で昔のポイントは潰れてしまいました。それでも昔のプールの最上流にあった大岩の上流からテグス付きのGreenwell's Gloryを流し込みます。当日使ったのはF.E. Thomas竿9'。1911年製の竿にシルクライン。リールはSt. George Jr.の無塗装仕上げ。
水中を流れる毛針が何だか動かなくなったような感じ、第六感があったので聞き合わせをすると、柔らかい長竿の先がグイッと曲がり生き物の躍動感が伝わります。毛針を咥えたのは虹鱒。黒っぽい色で尾鰭は擦り切れていない魚。越年した魚でしょうか。

朝の遠藤前は日差しもなく、この時期は寒いので日差しを求めて更に上流へ。堰堤の上流へ更に歩き日差しのある場所に入りました。穏やかな流れの中には数匹の魚の姿が見えます。ドライフライを試しますが、魚は何とも反応せず。更にGreenwell's Gloryは穏やかな流れではバルキー過ぎるのかこれも無反応。そこでPartrige&Orangeを結んで流すと漸くリーダーを引き込む当たり。年寄り竿を結構曲げてくれた魚はとても綺麗な山女魚。

更に同じO&Pで別の山女魚も釣り上げることが出来、上流から事務棟への帰路も考えると昼近くだったのでもうこれでいいかと思い納竿。

13時22分のバスまでは時間があったので、帰路に川筋を見て歩きましたが、どこも人が入っていて竿を入れるのは無理。そんな中立岩は空いていたので入ってみましたが昔は深い淵だったポイントはすっかり浅くなり魚も底にへばりついていて錘の入っていない毛針では太刀打ち出来ずでした。

立岩の下流も台風のため砂利のフラットな流れになってしまってました。昔の水苔がついた石と深場が転々とする養沢を知っている身にすれば何とも味気ない姿ですが、季節が進んで植生も戻り、昔のような環境に戻る日が来ることを切に祈ります。



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Greenwell's Glory(グリーンウェルズ・グローリー)

2020-03-08 13:08:33 | 毛針/Flies

Greenwell's Gloryはスタンダードフライの中でも世界的に広く使われその名を知られている毛針。
元々はDurhamのCanon William Greenwell氏が1854年スコットランドのイングランドとの国境地域を流れるTweed川で5月に釣りをしていたところ、鱒達がMarch Brownよりも他のカゲロウを好んで捕食していることに気付き、Tweed川の畔で名を知られた毛針職人のJames Wright氏に彼が見た鱒が好むカゲロウに似せた毛針を巻く様に依頼、二人で考えた末出来た毛針。Greenwell氏がその毛針で他の釣り人に真似の出来ない大釣りをしたことから、「グリーンウェル氏の栄光」と呼ばれるようになった由。
そのレシピをGreenwell氏は下記のように書き残しております:
Wing: Inside of a blackbird's wing
Body: Yellow silk
Hackle: Coch-y-bondhu
Hook: 14
アイの付いたスネック鉤をH.S.Hall氏が開発したのは1879年。更にドライフライが南イングランドで愉しまれるようになるのが多分1860年代以降である事を考えると、元々のGreenwell's Gloryはガット付きの鉤に結ばれたウェットフライであった筈です。

昔入手した英国のお医者さんが残したハックル、シルク、その他のフェザー類の中にアイの無いスネック鉤やリマリック鉤があります。

鉤の入った小箱から幾つか出して見ます。

比較的大きなと言っても、12番程度の鉤の他は、

小さめの鉤15番からそれよりも小さい感じです。

雨の日曜日。徒然なるままこの鉤にGreenwell's Gloryを巻いてみることにしました。

15番程度の鉤にガットではなく、フロロカーボンの1号(4X程度)のテグスを黄色の絹糸で鉤に巻き留めます。この絹糸は昔のゴッサマー・シルク。良くワックスをかけておきます。

その絹糸のファウンデーションの上に、Blackbirdは入手不能なので、代わりにスターリングのクイルを付けます。ウェットフライのウィングは寝させるのが一般的ですが、北部イングランド等ではウェットフライのウィングを直立させていたことから、当時のスコットランドでもそうであったと想定し直立したウィングを取り付け、そこに、これまた昔の英国のCoch-y-bondhuのヘン・ハックルを巻き留めます。

出来上がった毛針を黒い背景で見て見ます。

このGreenwell's Glory。私も欧州、日本で使って大釣りをしたことがありますが、どちらもドライフライではなく、ウェットフライとして使ったときでした。東日本大震災の後の養沢は平和橋の上流の同じ場所であっという間に鱒を10数匹釣ったとか、オーストリア山中の湖で虹鱒、アルプスイワナ、ブルックトラウトを大釣りしたりとか。。。そんな数釣りでなくとも今は良いのですが味のある釣りを愉しみたいと思っております。ハックルはヘンですが、乾いていれば浮いてくれそうな毛針に仕上がったので、ドライフライでもウェットフライでも両刀使いでいけそうです。
もう少し暖かくなったらウェットフライも使えるちょっと長めの竿でこの毛針を川に連れて行くつもりです。
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Blue Upright(ブルー・アップライト)

2020-03-01 14:38:22 | 毛針/Flies

Blue Uprightは英国西部のウェットフライの中でも最も効果的と言われる毛針。暗い色調のカゲロウ、或いはカワゲラを模した毛針として多くの場面で用いられるとされますが、特に春の急な流れの中で魚にアピールするとあります。
3月になりシーズンインした今日、春の養沢で数多く目にするトゲトビイロカゲロウという大きく暗い色調のカゲロウをイメージしてBlue Uprightを巻いてみました。

彼の万能毛針Tup's Indispensableを創作したR.S. AustinがBlue Uprightを作ったとも言われておりますが、彼によるBlue Uprightのレシピは:
Tying silk: Purple
Body: Undyed peacock's herl (繊毛を取り除いたピーコックハール)
Hackle: Steely blue game cock's sharp, bright, and nearly black, but with a definite blue centre(スチールブルーのゲームコックハックル。キラメキが強く黒に近いがはっきりブルーのセンターを持つもの)
Whisks: ditto(同上)
Hook: 10 to 14
R.S. Austinは素晴らしいゲームコックハックルを多く保有していた様で、Tup'sでも金色が多く乗ったブルーダンをハックルに指定しておりますが、ブラックに近いスチールブルーでセンターはブルーというハックルは今やまず入手不能。ですので、これにはダークブルーのセンターを持つフランス・ハックルのGris fume (Smoked grey)で代用します。ピーコックは戦前・戦中の英国の骨董品。鉤はこれまた英国の骨董品のダウンアイのスネック鉤。テイル(ウィスク)はスペインから入手のスチール色のものを使います。

フランス・ハックルを手の前にかざすとこの様な感じ。多少はR.S. Austinのレシピに近ずけば良いのですが。

簡単な鉤ですので、巻くのはあっという間。春の陽光に毛針を置くと太陽の光に煌きます。

黒い背景に置くと錆色が目立ちます。

左上は以前英国のBlue Dunのハックルを巻いたもの。陽光下では青白く煌きます。これで良ければですが、R.S. Austinの指定するハックルはもっとブラックに近くなくてはいけないので残念です。
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