思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

De Luxe 9'とPhantom 9' 3pcsのリングの位置

2010-11-27 07:59:10 | Hardy Palakona
私の手元には同じ9'ですが、2本継と3本継のPhantomがあります。



2本継の製造番号はH61356、1964年製、3本継は製造番号H57872、1963年製です。
2本継と3本継を比較すると、3本継の方がバットが太く感じられ振った感じも何となくトップが軽い、先調子な感じですが、リングの位置が違っております。3本継ぎの方がトップに近いほうにより密に10個のリングを配置しております。



それで今日気付いたのですが、Phantom 9'3pcsとDe Luxe 9' 3pcs(H41621C、1961年製)のリングの配置はほぼ一緒でした。




De Luxeのモッタリして胴にくる振り心地とPhantomの軽い先調子の違いはひとえにテーパーデザインによるものなのでしょうか。
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Sea Trout Fishing (Hugh Falkus)その4(最終回)

2010-11-23 09:54:15 | その他の話題/Other Topics

Falkusによれば、Sea Troutは臆病で川で日中釣ることはほぼ無理、活動が活発化し人間の姿が見えにくい夜釣りなら妥当なレベルで釣れる可能性ありとの事。同じ夜でも、夏場が中心のSea Troutの川釣りでは、真夜中までは本当の暗闇にはなりにくく、日暮れから真夜中過ぎまでを''First Half''とし、その後30分から1時間程度を''Half Time''、それから日の出までを''Second Half''としています。

First Halfの釣りはフローティングラインかシンクティップでMedicineを泳がせる釣りが中心で、もし寒ければシンクラインを使い川底をスローに魚の鼻先に毛鉤を持っていく様なリトリーブを行うのが肝要です。
Half Timeは魚の活性スウィッチが切れる事が多く、シンクラインでの巨大毛鉤''Sunk Lure''での釣り、或いは、''Surface Lure''に切り替えてSecond Halfを待ちます。
Second Halfは魚の数は出なくとも、大物が釣れる時間帯。Sunk Lureを使う場合はスローリトリーブに徹し魚の鼻先に毛鉤を持っていく事を主眼にした釣りになり、Surface Lureは漆黒の闇の中でウェーキングを行わせて魚を誘います。

日中の釣りでチャンスがあるのは増水して川が濁った場合。シンクラインでのスローリトリーブの釣り、ルアーでの釣りで少ないチャンスをものにする様努力します。平水での日中の釣りではチャンスは殆どないのですが、僅かにUp Stream Worming、或いはWormを使った浮き釣りに望みがあるそうです。

湖と海の釣りでは、ボートからのウェットフライの釣りに分があり、Bob FlyとLead Flyをうまくアピール出来るよう、太陽の向き、風の向き、ボートの向きを良く考えながらカーストする必要があります。。。。。

と、つらつら書き連ねましたが、この本の特徴は釣りの技術だけの本では無いという事と思います。


川に立ち込んで釣りをしている時、もし流されたらどうしたら良いのか?

海のボート釣りをしていて潮が満ちてきてアンカーにボートが引っ張られたらどうやって転覆を防ぐのか?

安全に関する記述も多く含まれております。Falkus自身が、過去、自然観察フィルムの撮影で撮影クルー、夫人と共に海で遭難し、彼一人だけが生き残ったという辛い体験が、読者に安全な釣りを楽しんでもらいたいと思う彼の心の背景にあるように思えます。

パイロット、自然観察家、ジャーナリスト、ハンター、釣り人。幾つかの顔を持つFalkusは、日々の糧を得る職業の他に、洗練されたアマチュアリズムで追求する趣味を持ち、しかも自然に深く関わる事が出来ている、という点で、英国紳士の理想を体現した人物です。

彼の''Sea Trout Fishing''は1962年の刊行から今に至るまでSea Trout釣りの教科書として読み続けられております。毛鉤釣りのみではなく、スピニング、餌釣りも包括し、自然観察・自然と人間の関わり方にまで言及した釣りの本、例えば、桜鱒釣りの本が、日本で刊行されたら本当に良いだろうと思いつつ、Falkusの紹介を終えさせて頂きます。
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Hardy Houghton 9'6''(D2009 1922年製)、11'(E57678 1946年製)

2010-11-20 04:36:42 | Hardy Palakona
英国南部の石灰台地を流れるチョークストリームのTest川とそこに漁場を有する19世紀より続く名門釣りクラブHoughton Club。クラブのメンバーは全員Lord、Sirの称号を有するという格式と、リバーキーパーWilliam Lunnの作り出したLunn's Particular、Houghton Ruby、Yellow Boy等のクラッシクな毛鉤でのドライフライオンリーの釣り。正に英国の釣りの昇華を象徴する釣文化の源泉です。そのHoughtonの名を冠したドライフライロッドとして完成したのがHoughtonです。
1894年から1957年まで生産されたこの竿、当初はチョークストリームのドライフライ竿としてデザインされましたが、その後第一次大戦、第二次大戦の激動を経て徐々にシートラウトや大型の鱒を釣るための竿に変化していきます。
最後期のモデルはHugh Falkusがシートラウト用に推奨する、パワフルながらも固すぎず、シートラウトの微妙なアタリも取る事が出来、かつ、取り込み時もその優雅なベンディングカーブで大物鱒の取り込みも楽に出来る竿へと変化しております。
私の手元にあるのは、1922年製の9'6''、1946年製の11'です。


下が9'6''、上が11'。グリップの形状等、違った竿になっております。


9'6''と11'、3本継でも長さに差があります。




9'6''はLockfast Jointです。


製造番号D2009


グリップ先端は金属製キャップ付き。




11'はStud Lock Jointです。


珍しい事にIntermediate Wrap:段巻きはありません。


スピアが仕込まれた竿尻は昔から変わっておりません。




一寸見ずらいのですが、9'のPerfectionと並べてみました。11'のシングルハンド竿。その長さは恐るべきものがあります。11'を振った後の9'はまるで爪楊枝のように感じます。
日本のシートラウト、桜鱒釣りでこの竿を使うような状況がありますでしょうか。桜鱒の釣りはダブルハンドに重いラインというのが相場でしょうが、ひょっとしたら桜鱒も夜釣りでは警戒心が薄れ大型鱒が活発に動くというような事ないのでしょうか。距離を投げる必要がそんなにないなら英国風の竹竿を使った味のあるスポーツが出来そうな予感がします。(おっと、日本の渓流では夜釣りは基本禁止ですね。。。)
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Fish on 王禅寺(11月6日)

2010-11-14 05:17:09 | 釣行記/Fishing Trips
ハンガリー駐在時代に日本人会釣り部で一緒に釣りに行った仲間からメイルを貰いました。Fish on 王禅寺という神奈川県川崎市の管理釣り場で一釣如何?というものでした。禁漁に入り、3月までは管理釣り場にお世話になります。どんなところか行ってきました。

小田急線の急行で新百合ヶ丘まで22分、その後バスで田園調布学園大学前まで10分ちょっと、自宅からドアトゥードアで1時間かかりません。バス停から管理釣り場までの道は住宅地ですので、道に迷ったかと、ちょっと不安でしたが無事に到着です。入り口を入ると直ぐにレストラン併設のクラブハウスがあり、そこで6時間の券を購入します。尚、レストランに入る時、券を預けると、レストランで過ごした時間分、釣時間を延長してくれます。

クラブハウスの目の前はルアー専用池。かなり混んでます。

フライ専用池に行き釣り始めます。ウェットフライ、ニンフを選んで投げますが中々アタリが出ません。管理釣り場では普段使っている毛鉤は効かない様子で色々試したところ、グリーンボディー、レッドテイルのParallettaで漸くアタリ、一匹釣り上げました。
投げた後それをゆっくりリトリーブする釣り方でしたが、鱒に毛鉤を飲み込まれ、次ぎの毛鉤を探したところ、昔懐かしのモンタナニンフが出てきました。
普段の釣りでは全く出番のないこの毛鉤、30年前はニンフというと良く登場したもので、当時ダイワが出していた毛鉤セットのニンフはモンタナマラブーにウーリーバガーだったものです。
モンタナニンフでスローリトリーブをかけていると、それまでの鱒より強い引き!Phantom 9'をグイグイ曲げてランディングネットまで出動させた鱒は37cmの虹鱒君でした。

レストランでの昼食後、フライ専用池に戻りましたが、後ろが開けて太陽の光の向きも良好な場所は既に他の釣り人が入ってます。ちょっと光の関係で水面が反射し殆ど見えない場所ですが空いているところに入ります。


隣の釣り人が魚をかけました。

昼食後は殆ど釣れなかったですが、それでも久し振りにのんびり楽しく釣りをする事が出来ました。大都市の近郊なので情緒が無い、人が多いと、不平を言えば色々出るでしょう。でも、その気になれば突っ掛け履きで行ける鱒釣り場。いい発見を致しました。
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Sea Trout Fishing (Hugh Falkus)その3

2010-11-10 12:43:27 | その他の話題/Other Topics
Falkusはまずどのような毛鉤(Lure)がSea Troutを釣るのに適しているのかを考察する事からSea Trout釣りの本を書き始めました。普通のHow to本では、釣り人の関心事項に合わせ竿、リール、ライン、等等が一等最初に来るところです。
Falkusの論理は非常に正しいもので、文句の付け様が無いのですが、私も一般の迷える釣り人、かつ、古い英国竹竿中心に収集している救いから遠く見放された罪人です。どうしてもどんな竿がいいのか、どんなリールがいいのか、早く教えて頂戴と思った次第です。
Falkusの本では第4章に漸く救いの手が差し伸べられます。

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竿

Sea Trout釣りで使われる毛鉤はMedicineは兎も角、Sunk LureやSurface Lureは巨大かつバルキーです。また、周りが良く見えない夜釣りである事も忘れてはなりません。決して遠投をする訳ではなく、出来るだけポイントに近づいて釣りをすべしとおっしゃるFalkusですが、竿は短くて良いとはなりません。
Falkusによれば、10フィート以下の竿はSea Trout釣りには全く向かない事となります。10~11フィートの竿で、体力・腕力の許す範囲で出来るだけ長い竿を選ぶのが正解との事。彼が勧めるのは、カーボン竿では、Bruce & WalkerのSalmon and Sea Trout 10'6''、竹竿を愛好する向きには(To whom who fancies cane)、Sharpe'sのSea Trout Special 10'2''、更に、本書が書かれた時には既に生産中止となっておりましたが、竹竿で彼が特に勧めるのは、HardyのHoughton 10'6''です。丁寧にも、Crown Houghton 10'ではないと、特に注意を促しております。

尚、夜釣りでは、リールに服が引っかかったりしたら取り返しがつかない事になる可能性があります。従い、リールを出来るだけ服から離す事が肝要です。そこで、FalkusはHardy Houghtonについてはスピアを使うようにと指示し、Sharpe'sのSea Trout Specialについては、竿尻に散弾銃の空カートリッジを自分は差し込んで使っている事を示しております。

Falkusは、Bruce & Walker、Sharpe's、Hardyからは、この宣伝に対して一切何も受け取っておらず、自分の意見である事を強調しております。確かに、既に生産されていないHoughtonに言及しても宣伝にはならないでしょうね。

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リール

リールは3 3/4以上の直径が必要で、また、ドラムの幅は狭い(Contracted)のものが適しているとし、数あるリールの中でその名に最も相応しいものはHardyのPerfectであると結論付けております。彼の使っているモデルはHardy Perfectの3 7/8、30年以上使っているが一度も問題を起こした事がないと推奨しております。他に彼が推奨するのはHardyのMarquis 3 3/4です。

彼は、HoughtonとPerfectを中古市場で見つけたら、お宝と思ってまずは買うべし!とまで書いてます。




リールは、St John 3 7/8、Perfect 3 7/8、Perfect 3 5/8(最終型)、竿はHoughton 11'

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他に、シルクラインからPVCラインへの移行期に書かれたためか、AFTMシステムの解説を詳細に行い、また、リーダーとPVCラインの接続方法(フィギュア・オブ・エイト、ループ・トゥ・ループ、スプライシング)を彼は詳説します。その後、針、小物類まで彼の微に入り際に入る解説は懇切丁寧に続きます。

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(続く)
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Sea Trout Fishing (Hugh Falkus)その2

2010-11-03 08:40:47 | その他の話題/Other Topics

(FalkusとSea Trout釣りの仲間達。1966年8月の写真。全員が竹竿を使っていて、Hardy Popeと思われる密な段巻きが施された2本継ぎ竿も写っている)

前回は、Falkusが万能疑似餌と呼ぶMedicineのところまででした。Medicineの他にもSunk Lure(沈針)の西の横綱とでも呼べるそのものずばり''Sunk Lure''という毛鉤も紹介されております。これは、針をタンデムに繋ぎ、青いフェザーで側面を覆った巨大Lureで、水面下の釣りの中で使う毛鉤として言及されております。他にも、大き目のウェットフライの後ろに三本針を繋いだ''Secret Weapon''が記述されております。これは、ウェットフライに「サシ」(蛆虫)を刺して釣りをする場合、サシだけ取られないよう、三本針を取り付けたもの。正統派毛鉤釣師から見れば邪道も良いところですが、あくまでもSea Troutを釣る方法を紹介する本の中でのFalkusの自由な発想を評価したいと思います。


日が沈んでから真夜中までは、沈針での釣りが勧められておりますが、1時を過ぎるあたりからは、浮針での釣りが場合により効果的で面白いと紹介されております。


Surface Lureというコルクに針をつけ姿勢制御の一助として時にはフェザーをつけたLureが紹介されております。水面上の釣り方は、基本的にダウンクロスに投げた後、ドラッグがかかり始めたあとからのウェーキングで魚を惹きつけるというものです。この一見情けないコルクの塊でウェーキングの波を起こせるなら凝ったドレッシングは全く不要。何とも実質重視の方針です。


漆黒の真夜中に、静かなプールにSurface Lureを投げウェーキングの波を立てさせる。すると水面下がざわめき大きなSea Troutが水面に炸裂するという寸法。


尚、夜釣りであるため、道具に衣服が引っかかってトラブルの元にならないよう、Falkusはスピアを何時も出して釣りをするのを良しとしております。写真のHardy Houghtonもスピアを出した状態です。


解説用のポンチ絵でもしっかりスピアが書き込まれてます。


これは、1946年製(製造番号E5767811'のHardy Houghton。11フィートの長竿で、通常Houghtonに施されている段巻きが無い非常に珍しい竿です(オリジナルコンディション)。第二次大戦終了の翌年で人手がなかったのでしょうか。或いは、特注でしょうか。取り合えずFalkusの言う10'以下の竿はSea Trout釣りには全く向かないという条件をクリア出来て良かった良かった。


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