思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

鱒類にはどの様に見えているのか?

2021-10-24 08:14:27 | ハックル/Hackles
毛鉤が鱒類にどの様に認識され、捕食行動(或いは攻撃行動)に結び付いているのか、は長年釣り人の間で議論されてきたことです。ハルフォードの厳格なる模倣、それを人間の目から見た模倣は魚から見たカゲロウの姿とは違うとして非難した数々の議論。光の影響、陽光の下で見た色彩の変化、等々議論は散々出尽くした様に思えますが、一点気になっていたことがあります。
それは、魚の目には青、赤、緑の色を知覚する錐体の他に紫外線を知覚する錐体があるということ。人間とは違い虹鱒の目には紫外線が良く見えているということは科学的に証明されているので、他のサケ科の魚も紫外線が良く見えているとすると、私達が人間の目で知覚しカゲロウにそっくりと思っている毛鉤は鱒類の目から見ると一体どの様に見えているのでしょうか。
また光は水中では減衰するので、紫外線の影響はウェットフライでは然程無いかも知れませんが(例えば赤外線は水中深くまで到達しないので鯛の赤色は水中では黒っぽい保護色になっている等)、水面上にあるドライフライでは影響が大きいのではないのか?
日本でstay home(ステイ・ホーム)と過度に横文字好きな政治家により米語(英語ではstay at homeと"at"が入ります)で行動制限を強いられた中売り上げを伸ばしている通販を見ていたら紫外線ライトというものが売られているのを見つけ、900円で購入、早速実験してみました。

これはFrank Elder氏のRed Hackle。

紫外線下で見ると案外白っぽく見えるのが分かりました。

これはKeoughのWhite Hackle。1990年代初めのものです。

全ての可視光線を反射する白はここでは青っぽく見えます。

これはMetzのLight Blue Dun。

紫外線下ではリストが紫色に変化しております。但しバーブはWhiteの様に青色がかっております。

これは少し前に紹介した英国のOlly's HacklesのBlue Dun。全体に灰色がかっているもの。

紫外線下ではこのグレーが紫外線を反射し全体に紫色に変化しております。

これは1940年代の英国のHoney Dun。リストは本当の青、バーブはRed或いはRustyに見えます。

本当の青のBlue Dunのリストなのでこれは青色に浮かび上がるのは兎も角、これが面白かったのですが、人間の目にはRed〜Rustyに見えるバーブの一部が紫色に光っております。つまり、灰色の色素がバーブの中に入っている様なのです。

これは1940年代の英国のBlue Dun。

これも上のHoney Dun同様にバーブの一部が紫に光ります。

これは数年前に相模大野で購入したチャイニーズ。

紫とは言えませんが、紫外線下でところどころキラリと光ります。

これは2018年にオーストリアのムーア川でグレイリング釣りをしていた、ドイツ語の訛りから判断するにオーストリアの釣り人から貰ったニンフ。

紫外線を当てると赤い部分が強烈に光ります。しかし、紫外線を強く反射する水面の更に下に沈めるこの重りが入ったニンフが実際魚にどこまでアピールするかは怪しい感じが致します。
この実験で分かったことは、紫外線の影響を直接受けるドライフライ、特にハックルについては、人間の目にも見える青、赤、緑以外の色も考慮する必要があること、更により具体的に言うと、灰色は紫外線を反射し紫色に魚の目には見えている可能性があること、でしょうか。
カゲロウの亜成虫、ダン、の羽は人間の目には灰色〜濃い灰色に見えますが、魚の目には紫色に見えているのかも知れません。そう言うことも考えながら毛針の材料を検討するのも面白いかな、と、思った次第です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2021年10月9日会津大川釣行

2021-10-10 10:42:41 | 釣行記/Fishing Trips

緊急事態宣言のため今年の釣りシーズンの殆どは東京都内に留まることを余儀なくされました。その緊急事態宣言が解除され最初の週末は台風一過のタイミングで鉄道がきちんと運行されているのか分からず見送り、満を持して約1年振りの会津大川へ行くことにしました。
地元漁協による放流が無いなど、インターネットでは危ない情報が出ておりますが、どうせダメで元々と思い、朝06:42北千住駅初のリバティ号に乗り込みます。

約3時間電車の中で微睡みながら過ごし会津田島駅を出ると生憎の天気。こめや釣具店で券を購入した際に状況を伺ってみると、「具体的なことはホームページを見るように言われているけど、インターネットとか見ないからねぇ」と、漁協が何をやっているのか良く分からないとのお話でした。
丹藤橋に来ると先客が2人釣り支度をされているので、下流の方に雨の中をトボトボ歩いて行きます。

下流の河川敷公園で支度をすると、持参した1936年製のDe Luxe 9'のミドルセクションの一番上のFull Open Bridge Ringが欠損しているではないですか。放流の有無の疑問、雨、そして持参した竿の故障。前途を悲観するに十分な内容。

しかし、北千住への地下鉄移動も含め、片道4時間弱もかけて来た私には、「撤退」の文字はありません。士気は上がらなくても魚を見つけて毛鉤を鼻先に流しこむ以外の選択肢は無いと諦め、魚を探してあちこちウロウロすると、何と魚の影があるではないですか!出来るだけ気配を消して観察すると、大部分は丸々太った鯉。ただ、鯉の群の外側の流れに色がより薄い魚の影が辛うじて見て取れました。
昨年のことを思い出し、冒頭写真の重めに巻いたPheasant Tailを1号のフロロカーボンの鉤素に結びシルクラインを降って10数メートル程投げてその魚の影の近くを毛鉤が通過するようにします。故障中とはいえDe Luxe 9'は硬めのアクションで持ち重りせず、流石ドライフライアクションの竿という風にシルクラインを飛ばしてくれます。視認性は非常に悪いですが、リーダーの動きと魚の動きを注視すると毛鉤が通過すると思われるタイミングで魚がチラリと横に動いた感じがします。そこでアワセをくれると、いきなり重い手応え。
「掛かった!」
と心が弾むのと同時に「ジィィィ」とリールが逆転、シルクラインがどんどん出されて行きます。そのまま勝手に走られると障害物に絡まれ、一巻の終わりになるかもと、こちらも必死にラインをリールに巻き込みますが、その度ごとにラインを引き出されてしまう始末。
しかし、De Luxeの竹竿特有の弾力を最大限活用し、相手を出来るだけ開けた浅瀬に誘導していくと、漸く弱った魚は一気のダッシュをしなくなり、持参のテレスコピックタモに収まったのでした。

タモから出さずに体長を測ると56cmの虹鱒。ところどころ血の赤いスポットが出ていて、怪我をしたのか心配ですが、丸々太った魚でした。

エラに水を通し体力を回復させて水に返します。

そして暫く休んで鯉の群れの外側にいる魚影を狙ってPheasant Tailを再度投入すると、今度をリーダーがスッと引き込まれるのが見え、即アワセをくれると、再度重い手応え。しかし虹鱒の強烈な引きとは異なり、重さを活かした引っ張りです。

案の定、真ん丸のお腹をした鯉。相当な重さですが体長を測ることなく、即リリース。

その後、魚の姿を探し上流に移動して行くと、小さなハヤの群れの下流に虹鱒の姿を見つけ、あれやこれやと試して時間を過ごしましたが、散歩のお爺さんがやって来て万事休す。魚はサッと離れ、ジ・エンド。先に入っていた釣り人も撤退したようで、丹藤橋の下流で昨年最後に大鱒を釣ったポイントに最後のトライをしましたが、チンピラのアタリだけで14:00の撤収を迎えました。

15:00のリバティ号で帰宅するため、荷物をリュックに入れます。濡れたウェーディングシューズが背中の重量を増していますが、朝とは違い、心は軽く、会津まで足を伸ばして良かったと思えた一日となりました。

久しぶりのヴオーノさんの塩ラーメン。雨で濡れ、冷えた体に暖かさが戻ります。
さて、会津大川の状況ですが、やはり事前情報の通りで残念ながら2019年以前の面影はありません。それを知って釣り人もいない残念な状況ですが、私は長い竹竿を存分に振るという目的での釣行でありますので、行く甲斐はありますものの、魚を釣るのでしたら他により良い場所もあるのではないかと思わされた次第です。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする