思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

ノッテッドリーダーの試行

2024-09-28 12:35:18 | Fishing Tackles

リーダーはずっとテーパー付きの既製品を使ってきて痛痒を感じたことは特段ありませんでした。勿論ティペットを付け替えて長くしたりバットを切り詰めたりという調整は行なっております。
帰国する前に英国で20ポンドテスト以下幾つかのMaximaを購入していたので、一部マニアのいらっしゃるノッテッドリーダーを自作してみることにしました。

太いナイロン糸が赤みがかったものなため写真では全体に赤に見えます。

良く見ていただけると透明なティペット部分が見えると思います。

このレシピはシャルル・リッツのA Fly Fisher's Lifeよりのもの。上の写真はインチ表示。

これをメートル法に換算し直したもの。作成したリーダーはオリジナルが指定するティペット51cmよりも長く取りましたが、兎に角実戦で試してみることに致しました。

行ったのは丸沼と湯川。これは丸沼の写真ですが、天気の悪い連休にあたり、魚の気配も全く感じられないまま轟沈。Gold Medal 10'を使い投げましたがリーダーは真っ直ぐ狙ったところに毛鉤を運んでくれ、は、はぁーという印象を受けました。ノッテッドに拘る方々がいらっしゃることも納得です。

丸沼の湖畔にある湧水の表示。

翌日は湯川に行きましたが、雨具を着てもパンツまで濡れる程の豪雨に見舞われました。魚は釣れず、表面を流れる毛鉤を魚が見にきたところを何回か目撃出来ただけの成果。それでもリーダーは狙ったところに毛鉤を運んでくれました。
既製品でも支障はありませんものの、こういうところに拘るのも面白いなと感じた次第です。

午後雨が上がった後訪問した中禅寺湖畔の英国大使館別荘。今は栃木県が管理する記念公園となり一般解放されております。このコロニアル様式のテラスから見る景色は素晴らしいもので、釣果ゼロの残念な釣りを忘れさせるものでした。
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Payne 206L 9'

2023-09-23 23:02:17 | Fishing Tackles

前回の投稿後に気付きましたが、このPayne竿自体については過去投稿したことがなかったので今回改めて少々紹介させて頂きます。

Payneは高品質で極めて評価の高い竹竿を世に出してきたメーカーとして知られ、その竿は今日でもマスプロメーカーの製品としては極めて高値で取引されております。特に昨年来の円安やコロナ後の米国のインフレによる高騰で日本人には一段と手が出しにくくなりました。
E.F.Payne社の創業者Edward Fletcher Payneは元Leonardの職工で1885年にLeonardに入社、1890年にLeonardを退社後、Kosmic Rod製造に関わるなどした後、1898年に自身の会社を立ち上げたとあります。その創業者を継いだ息子James Arthur Payne、Jim Payneが父親の逝去後1914年以降E.F.Payne社の製品を作り出していくことになりますが、後年人々がPayne竿と呼ぶものは殆どがJimの作品となります。

1920年代中頃のモデルでは8フィートで竹の色が濃いものが200/202、薄いものが201/203、8フィート半が濃いもの204、薄いもの205、9フィートが濃いもの206/208、薄いもの207/209とのことですが、この竿は9フィートで色の濃い206となります。また206でも更に軽いラインを用いた繊細な釣りに使うために作られたライトモデルの206Lというのがこの竿のスペック。実際、前回のオーストリアではAFTM 4のPhoenix Silkを使って丁度良く、より軽いAFTM 3のシルクも使える9フィート竹竿です。

この竿の竿尻の刻印は「E.F.PAYNE ROD E.F.PAYNE ROD CO. MAKERS」というものであり、これは1925年のFrank Gibb OramがパートナーとしてE.F.Payne社に入社した後から1930年にE.F.Payne社が法人格を取得し新しい刻印「PAYNE」を導入するまでの間使われたものとのことで、この竿が1920年代後半のもの、もう少しで100歳になることを示しております。

少しずらして写した写真。

ラッピングはダークブラウンでその先にワインレッドの追加ラッピングが入ります。またバットにはフックキーパーが付いております。

ストリッピングガイドは赤瑪瑙入り。

フェルールはちょっとくびれたものが使われております。

前回記事にある通り、トップセクションの細さはHardyと比べると真ん中の1938年製7'6''のMarvel、1958年製のPerfection 9'のものよりも細く、9'の長さに比べ極めて繊細なものであることがお分かりになると思います。この竿は遠投を目指す竿ではなく、この長さを生かした繊細なウェットフライ釣りのための竿だと思いますが、コツは入りますものの繊細なドライフライの釣りにも使うことが出来ます。開けた川でのドライ・ウェット釣りでは良き伴侶になる竿だと思います。
(尚、本記事中のPayneの情報はThe History of Bamboo Fly Rods(錦織則政氏著)に準拠致しました。欧米の竹竿を網羅する名著です)
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Pflueger Medalist 1492 (1970年代製)

2023-09-02 21:56:18 | Fishing Tackles

F.E.Thomas Special 8' 3pcsは極めてソフトなアクションのペナペナ竿。これで尺以下の鱒を釣るのはとても楽しいのですが、この竿の欠点はリールフットの厚みが薄いリールでないとしっかりとリールが装着できない事。HardyのSt.George Jr.ではリールフットの端っこが入るだけでちょっと安心して釣りが出来ません。
そこでPfluegerのリールの中で小さいものを昨年入手しました。

これがそのリール。Pflueger Medalist 1492です。米語ではフルーガーと呼ばれるのでしょうか、私には良く分かりませんが、ドイツ語ではプリューガー(プは強い破裂音:昔のドイツの補助貨幣Pfennig:プフェニヒを日本語表記ではペニヒとしてました。。。)とカタカナ表記出来るこのリールは多分一般の釣り人に普及した手頃な価格のリールであったと思われます。回転部分の精度やその他部品の精度、重量はHardyに比べるべくもない品質ですが、重量は竹竿に合わせる分には気になりません。
別途インターネットで情報を探してみると、このリールはどうもこのモデルが導入された1973-74年から、製造が米国から中国、香港、日本に移管された1979年以前に製造されたもののようです。その割に使われた形跡が殆ど見られない美品で入手出来ました。

背面は軽量化のための肉抜きが施されております。

ワイドスプールですが、申し訳程度にバッキングを巻いた後、PhoenixのAFTM 3のラインを巻くともう一杯です。手前にはラインガードが見えます。

ドラグ機構は付いてなくシンプルなものですが、小型の鱒相手ではそれも全く不要です。

前回の釣行ではEtrachseeの上流のEtrachbachで小型のイワナ釣りを楽しみました。

川には誰が作ったのか、石が積んであって多分釣ったイワナをそこにキープしていたものと思われます。

F.E.Thomasのペナペナ竿にPfluegerリールとシルクラインのAFTM 3番を合わせドライフライを投げ込めば、イワナが水面を割り毛鉤に襲い掛かります。それを合わせると竿は満月にしなり相手が中型のイワナであっても楽しめます。そんなイワナを誰かが作ったか分からない生簀に入れてみました。無論後で全てリリース致しましたが。

釣りは午前中部屋の掃除が行われている時間だけ。昼過ぎには一旦宿に戻ります。山道を降り湖が湿地帯の向こうに見えてきます。

これは食堂がある昔の狩猟小屋。外部との連絡が可能な固定電話更にWifiはここでしか使えません。携帯の電波は届かない海抜約1,400mの山中です。下界の気温が34度でもここの最高気温は23度。朝晩は8度程度まで下がります。

宿泊棟は上の写真の建物でそこの部屋数は9つ。私の部屋は日本式3階の一番奥の9号室。お年寄りも多いこの宿では一番元気で階段で荷物を一番奥まで運べる客だと思われているのかも知れません。牛糞の香りたつ、下界とは切り離された天国のようなところで、北アフリカの乾燥地帯からくると森林の緑と湖の清冽な水で心が洗われる思いが致します。
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F.E. Thomas Special 8'

2021-11-28 12:26:33 | Fishing Tackles

以前John Betts氏からAri't Hart氏へ贈られたF.E. Thomas竿を入手して以来、米国竿との縁が出来てしまいましたが、また一本拙宅の米国竿が増えてしまいました。F.E. Thomas Special 8'です。
F.E.Thomas竿ですが、錦織則政氏の「The History of Bamboo Fly Rods」によると謎多き竿とのことでアクションは振って見ないと解らないと言われているそうですが、HardyのMarvel 7'6''のアクションで8'の竿を探している中、medium slowアクションのF.E. Thomas竿に出会い入手に至ったもの。

1934年製の竿とのことですが、竿は巻きも塗りも再生され、多分コルクも新品に交換されたため、新品同様のコンディション。

ガイドは8フィートの長さに11個が配置され、ミドルセクションのトップガイドはフェルールに隣接して配置されております。これはHardyには見られない米国竿の特徴。

F.E. Thomas竿の特徴の一つであるグリップ直上の飾り巻き。3-7-3-1の巻きが赤と黄の糸で為されております。

トップガイドはF.E. Thomas竿の特徴である片足を竹に乗せた独特のものが使われております。

バットのストリッピングガイドは瑪瑙入りのもの。

スネークガイドはEnglish snake guideと米国で呼ばれるもの。Hardyですっかり体に馴染んでいるものですが、写真下のLeonard竿のスネークガイドとは巻きの方向が違っております。

バットにはF.E.Thomas Special

Bangor, MEの刻印が入ります。

そして34との刻印。これを持って1934年製とされております。

ちょっと残念なのがこのバットのリールフィッティングの部分。手持ちのHardy製のリールではフットの先端部分しか入りません。

しかし実釣には問題はありません。

さて、Marvelに似たアクションなのかどうか?ですが、Kaizerの一番細いシルクライン(多分4番以下の重さ)を乗せると正にMarvelと同じようにシルクラインは飛んでいき、小さな鱒がかかれば竿はミドルセクションまで曲がり魚を寄せられます。日本の渓流でドライ、ウェット、ニンフと使うのに適した8'竿でMarvelと同様のアクションの竿は使うに楽しく、これからも多くの出番があることでしょう。

赤が目に鮮やかな養沢の風景。もう2021年の釣りも終了です。
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Leonard Tournament 9'

2020-11-22 11:06:41 | Fishing Tackles

Leonardの竿とは全く縁の無い釣り生活を送って来ました。
このメーカーに一つだけ興味があったのは彼のG.E.M.Skuesの愛竿W.B.R.(World's Best Rod)がLeonardが製作した9フィート3本継の竿だったということ。

今年10月送られて来た米国の釣り具オークションの案内を見ていたところ、Leonardの9' 三本継のTournament Rodがあったので、米国のオークションでのLeonard竿はいつも高値が付きますが、長い竿は多分人気が無いから安い指値でまあ入れてみよう、と駄目元で入札して放っておきました。

そして同オークションが終了した週末、結果を見てみると何と私がその竿の落札者になっており、その竿は二週間後拙宅にやって来たのでした。

9フィートで三本継。トップは二本揃っております。

リールシートは金属製。ラッピングは黄色に黒の縁取り。また黄色の段巻きを全身に纏います。

トップガイドはプラスチックラインが登場する前のHardyのものと同様に瑪瑙入り。F.E.Thomas竿とはこの点が違います。

竿じりにはThe Leonard Rod H.L.Leonard Rod Company REG.U.S.PAT.OFFとの刻印が入ります。これは錦織則政氏の「ザ・ヒストリー・オブ・バンブーフライロッド」によると1927年Leonard社が社名を「H.L.Leonard Rod Company」と変更した際、刻印を開始した由。

バットセクションの雌フェルールにはパテント番号が刻印されております。これは1930年前後に廃止されたと上記書にありますので、この竿は1927〜30年くらいに製作されたものになるのでしょう。

フックキーパーが付くのは戦前のHardy竿を同様。

バットの付け根部分には飾り巻きがされております。

ストリッピングガイドは瑪瑙入り。シルクラインで金属製のガイドが削れるのを防ぎます。

他は米国の竿に一般的なスネーク。
トップガイドは先ほど述べました通り瑪瑙入り。

Hardyでは二本の支柱を着けてガイドを支えますが、Leonardはこれで強度は十分と判断・設計しているのでしょう。

横から見たトップガイド。

私が所有するもう一本の米国竿、F.E.ThomasのSpecial 9'と比較します。
Leonard竿のガイドは14個。それに対しF.E.Thomas竿は12個。9フィートで14個のガイド数というのはHardyと比べても多くどのような設計思想に基づいてガイドの数が決められたのか興味深いです。

そして驚くのがグリップの短さ。私の手であっても小さい。握れる部分は決まってしまい、Hardy竿のように自分の一番しっくりする場所を握ることは出来ません。
F.E.Thomas竿とHardyの中では一番グリップの短いMarvelと比べると、Marvelよりはちょっと長いくらいです。これで9フィートの長さの竿ですので、ちょっとびっくり。
この竿のアクションですが、F.E.Thomas竿よりも多少バットが強めでティップセクションから7:3〜6:4くらいまで竿が曲がるような感じ。F.E.Thomas竿よりは重くHardy竿と比較して特段軽くはありません。
この竿、日本に来てから直ぐに鱒の引きを味わっておりますが、全くもって安心して鱒とのやり取りが出来る竿でありました。その話はまた後日。
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Pezon et Michel Parabolic Ritz 8'2''(プゾン(ペゾン)・エ・ミシェル パラボリック・リッツ)

2020-05-04 11:43:07 | Fishing Tackles

"The best advice I can give a beginner is to chose a cane rod of one of the following types: Parabolic 8 1/2 ft. normal, Ritz Parabolic 8ft.2in., or Ritz Super-Parabolic P.P.P., Master 8ft.3in., or Power Plus P.P.P. according to the amount of money you have to spend. I only give these rods as examples; any other make providing a similar action will be just as suitable."
これはシャルル・リッツのA Fly Fisher's Lifeの58ページでリッツが初心者に奨める竿の幾つか。支払っても良い金額に従ってこういうアクションの竿を選んだら間違いないよ、と言っておるものです。彼が上げる竿の中の二番目、二番目にお手頃な価格なのかも知れませんが、そのParabolic Ritzを私も実は所有しております。

竿のインスクリプションはこの通り。AFTMで4/5とされております。因みに、私がプラスチックラインの規格を書く時、何時も"AFTM"と記載し、"AFTMA"と書かないことに以前からお気付きの方もいらっしゃると思います。AFTMはAssociation of Fishing Tackle Manufacturersを省略したもの。一方、AFTMAはAmerican Fishing Tackle Manufacturers Association。。。因みに、リッツの本では"AFTM"で解説されております。

さて。。。本稿の表題の「プゾン・エ・ミシェル」にギョッとされた方も多いものと思います。実は、本稿をアップロードした数時間後に天啓の様に閃いたのですが。。。「ぺゾンの竿ではリッツのデザインでない良竿も多いよね、例えばBretonvilliers、ブルトンヴィリエとか。。。あのDubos、店の近所の通りの名前、地名をデュボスは彼のデザインした竿の名前にしてたんですね。。。St. Louisは店の側のセーヌ川の中州サン・ルイ島の名前だし、Sully、シュリーはそのサン・ルイ島にかかる橋の名前だし。。。でも日本ではフランス語の発音通りに誰も読まないなぁ。。。」と思った時、それは起こりました。フランス語の発音で"e"の音は軽く曖昧に"ゥ"と発音されるか、無音になります。Café de Parisの発音は「カフェ・ドゥ・パリ」、パリ弁では「キャフェ・ドゥ・パリ」。"エ"と発音するには、”é:アクサン・テギュ”を付ける(長い発音だとè:アクサン・グラーヴ)。。。そう、その時遂に気付いたのです。"Pezon"の"e"はアクセントの付いていない"e"であることに!!
それこそフランス語を勉強する前からぺゾンと読んできて、全く疑いを挟む余地すらないこの名前の発音に疑問を抱いた瞬間、私のこれまでの世界は崩れ去りました。。。セントルイスではなく、サン・ルイ、ブレトンビリエールではなく、ブルトンヴィリエ、サリーではなく、シュリー、だよなと知ったかぶりをしていた私は本家本元の名前をフランス語の通りに読んでいなかったのです。恐る恐る、Google Traductionを開き、Pezon et Michelとフランス語の欄に記入し、発音を聞くと、そこからは「プゾン・エ・ミシェル」という非情な、機械的な女性の声での発音が出てきたのでした。。。(因みに、ドイツ語を選んで"Gebetsroither"と入力して発音を聞いて頂ければ、私が過去書き散らかしてきたことを理解頂けると思います)

この衝撃から今後どのように立ち直れば良いのか。。。個別モデル名は、オリジナリティを尊重して、その発音をフランス語に準拠して書くつもりですが、この"Pezon"は日本で過去数十年以上呼ばれてきたように、「ペゾン」と記載するつもりであります。。。今の所。


バットのトリコロール(三色旗)の下には68とあります。何の意味か私には分かりません。

コルクグリップの上には製造番号と思われるものが書いてあります。724...

48..

25..

9。72448259となります。以前Sawyer Nymphの際、スナフキン様からご教示頂いた情報では7-244-82-5-9と5つの要素に分解し、最初の7と四番目の5が75年、244がモデルコード、82が8'2''を示し、最後の9が多分75年に作られた本機種の9本目となります。

ラッピングは緑の単色。

とてもシンプルで、リッツの言うようにコストが余りかかっていないような感じです。

Pezon et Michelの多くの機種が採用するStaggerd Ferrule。

ティップ側にも68と謎の文字が記載されております。

コルクグリップにはプラスチックカバーが未だかけられており、使用された形跡は見られません。

リールシートはゴムボタンをつけた金属製。

これはリングがわを回して行くとドンドン伸びて行ってリールシートを取り付けられるようになる仕掛け。

ゴムボタンは地面に置く際の衝撃を吸収するものですが、取り外しも効きます。

手持ちのPezon et Michelの他の竿と並べて見ます。下から本竿Parabolic Ritz、次はSt. Louis 8'1''、そしてFario Club 8'5''、一番上はSawyer Nymph 8'10''。St.Louisのグリップが短いことに気付かされます。

PPPシリーズの二本に比べ、Parabolic Ritzのティップセクションが比較的長い(バットセクションが短い)ことが見て取れます。

コルクグリップに着く金属製のキャップの色ですが、Parabolic RitzとFario Clubは濃い色、St. LouisとSawyer Nymphは薄めの色。理由は不明です。

Sawyer Nymphのものは薄い色であることがお分かりになると思います。

赤いポチ同士を合わせればリングも一直線に竿を繋げます。

Pezon et MichelがHardyに発注したMarquisリール、Super Parabolicリール76、3インチを着けてみました。

Parabolic Ritz竿のバット側に着くプロテクターはシンプルにコルクがメスフェルールに入るようになっているもの。PPPシリーズですとそれがコルクではなく金属になっていてコストがかかっているのがみて取れます。

PPPシリーズのラッピングは緑に赤の線が着くもの。

一方、Sawyer NymphとParabolic Ritzは単色のラッピング。
この竿は、数年前まだチュニジア在住の時、米国のオークションに参加した際、全然ダメ元でこれくらいの価格までなら良いや、と入札して置いたらその価格以下で落札してしまったもの。米国からは日本の実家に直送してもらい、その後釣りに使うことなく今に至っているものです。振ってみただけの感想なので正確ではありませんが、竿の中央部まで曲がる一方、ロッドティップも曲がると言う、使い方によっては7:3調子でも使え、確かにリッツが言うように万人向けのアクション。Pezon et Michelにとってのスタンダード竿というところでしょうか。ハーディーで言えばゴールドメダルやパーフェクションが、ハーディーにとってのスタンダードなアクションを示しているようなものか?私はPezon et Michelには詳しくありませんので、戯言を申し上げているとすればご容赦下さい。
実釣で試せば良く分かるものと期待しているのですが、残念なことです。
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F.E. Thomas Rod 9'

2019-12-15 10:04:46 | Fishing Tackles
F.E. Thomasは米国東海岸メイン州のロッドメーカー。錦織則政氏の「The History of Bamboo Fly Rods」によればLeonard(レナード)社で職工として研鑽を積んだFrederick Elton ThomasとEustis William Edwardsが1898年興した「Thomas & Edwards Co.」からこの事業では2人分の収益が期待出来ないとEdwardsが脱退し1900年に「F.E.Thomas Rod Co.」として竹竿の本格生産を開始したとあります。
同社の主力製品は1901年に発表されたDirigo、1904年のSpecialだとの事(大恐慌時に発表された廉価版Bangorもあり)。Hardyとは違いスペックが確立したモデル群がある訳でもなく、長さ、グリップ、アクションも客の注文に応じ柔軟に製造した由で、中古品しか入手出来ない現在、手に取って見ないとアクションは解らない竿との事。


今回紹介のこの竿は、シンセティック材料を使ったフライを精力的に創造した米国の故John Betts氏が元々所有し、それをオーバーホールしたものをオランダの著名リール・デザイナー、メーカーのAri t'Hart氏に贈った物。


非常に変わった点はミドルセクションが2本もある3本継の竿という点。従い、F.E.Thomas Bangor Maine 1911 Custom Special 5 piece Tonkinと銘打たれております。


トップガイドはHardyの様な瑪瑙入りでなく、Thomas竿に特徴的なガイド。チューブを竹に被せて接着、シルクで巻き留める他の竿のトップガイドとは違い、足付きのガイドを竹を削りそこに乗せ(スプライス)接着、シルクで留めたもの。


Special機種に装着の遊動式フックキーパー。また、後年巻き直されたと思いますが3本、3本の飾り巻きもあります。

この竿の珍しいところはグリップがラタンで巻かれているところ。コルクの上から巻いている様子。Hardyが20世紀初めに米国に輸出した竿にもラタン巻きグリップがあったと思いますが、当時米国で流行っていたのでしょうか。


バットエンドのキャップには「F.E.Thomas Bangor ME」と銘が入っております。


更に、キャップの底には謎の数字「5」が。この数字の意味は判っていないそうです。


バットエンドのキャップはピンで止められ抜けを防止しております。

リールフットの部分は昔の竿の特徴で精密に作られており、逆にいうと公差(トレランス)が少なく、どんなリールでも入るという訳にはいきません。私の手持ちでは1912年チェックのPerfect Reelは装着不能でした。


ストリッピングガイドは瑪瑙入り。F.E.Thomas竿の初期の特徴を示しております。


スネークガイドは左巻きの英国式。Hardy竿で慣れているので違和感はありません。


トップガイドのシルク巻きは厚くバーニッシュも乗っているのでよく判りませんが、他の竿とは違う事が解ります。


同じ9'で3本継のC.C. de Franceと比べてみると、F.E.Thomas竿のアクションはより胴調子。Mediumというもの。手に持った重さでみるとC.C. de Franceよりも軽く感じます。


トップの太さは両竿とも同じ様ですが、C.C. de Franceの方が細い感じで、振ってみるとF.E.Thomas竿よりも曲がる感じです。


フェルールはF.E.Thomas竿の方がちょっと長めですが、余り差はありません。

F.E.Thomas竿のアクションは先程も述べました様に胴調子。但し長竿ですので、HardyのMarvel 7'6''の様なペナペナ感はありません。合うシルクラインは1番くらい(AFTM3-4程度)から2番(AFTM5程度)まででしょう。中小型のウェットフライ、ドライフライの釣りはとても楽しそうな竿です。

私にとっては最初の米国竿でありますが、特段此れまでの欧州竿と大きく違うという感じはありません。釣りに使っていけば違いが見えてくるのでしょうか。
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Shakespeare Beaulite 2808

2017-12-17 18:55:12 | Fishing Tackles

日本からの引っ越し荷物を受け取ってから2年以上が経ちますが、未だ全部の荷物が片付いてどこに何があるのか整理がついた状況には残念ながらなっておりません。ハンガリー時代から使って来たKaizerのシルクラインの3番(AFTM 6/7番)が一体どこにあるのか探していたところ、私がフライフィッシングを始めて最初に入手したリールを見つけました。
シェークスピアのリールです。

確か、最初に買ったのはシェークスピアのフライフィッシングセット。グラスロッド8'とこのリール、更にフライラインとリーダー、更には毛針まで付いていた様に思うのですが。。。。このセットでフライラインの投げ方を一所懸命練習したものです。

このリール。ハッキリいって、ハーディーのライトウェイトシリーズのコピー。でも、フライリールに求められる基本的な機能は持っており使用するのに何ら支障はありません。ラインガードも右巻き用に付いておりますが、左巻き用に変更するのも簡単。

リールフットもネジ止め。

BEAULITE 2808というリール名。フランス語のBeau(美しい)にLite(light:軽いの綴りをいじったもの)を合わせた名前。ビューライトと読むのか、はたまた、フランス語風にボーライトと読むのか私には判断出来ません。



スプールを外してみると。

チェック機能は如何にもシンプル。ドラグの強弱を調整する事は出来ません。

軸は簡素な作りです。

スプールについて歯車も何の特徴もない普通のもの。

でも、このリール、PezonのSawyer Nymph竿のリールフットにピッタリハマります。

このリールとシェークスピアの竿の組み合わせでは結局鱒を釣ることは出来なかったのですが、このリールと確かKennedy Fisherの7'のカーボン竿4本継ぎで人生最初のイワナを釣りました。1980年の夏でした。その時から、社会人になって暫くまでは、釣りに行って魚を釣るのが本当に楽しくて、食は忘れませんでしたが、寝る時間を忘れて少ない時間を見つけては釣行に出かけたものです。学生時代、所有していた釣り道具は本当に僅かな物でした。それを酷使に酷使して釣りを楽しんだものです。時は流れ、このリールを使っていた時罹っていた釣りの熱病からはすっかり回復(?)しましたが、その替わり、垢のように長い年月の間釣りの道具は溜まって行きます。釣りに行けないストレスから釣り具が溜まるのか、はたまた、釣り具を集める方が主で、釣りは釣り具を楽しむためにやるのか、段々と自分でもハッキリとさせられなくなっておりますが、このリールを久しぶりに手に取ると、フライフィッシングを始めた当時の純粋な喜びが、人生の垢にまみれた心に蘇るような気分が少しだけしました。嗚呼、来年はどんな釣りが私を待っているのでしょうか?
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Pezon et Michel Super Parabolic 76 (ペゾン・エ・ミシェル スーパー・パラボリック76)

2017-10-23 21:07:12 | Fishing Tackles

Pezon et Michel(ペゾン・エ・ミシェル)はフランスの名門メーカー。同社のデザイナーとして迎えられたホテルの名門リッツの二代目御曹司Charles Ritz (シャルル・リッツ)が世に問うたパラボリックと名付けられたフルアクションの竹竿により欧州のみならず米国そして日本にまでその名を知られております。

これは先週10月19日のパリはVendome(ヴァンドーム)広場。向かって左側がホテル・リッツ。

ホテル・リッツの玄関口。この建物にシャルル・リッツは住んでおりました。また、シャネルの創設者であるココ・シャネルもホテル・リッツに住んでおりました。

そのペゾン・エ・ミシェル社が投入したリールの中で一番最近、1990年代まで投入されたフライ・リールが英国ハーディー社がOEM生産したSuper Parabolicリールです。このリールは、ハーディーのMarquis(マーキス)をベースに、多少改良されたもの。下がSuper Parabolic、上がハーディー・マーキス。

リールのスプール正面はマーキスとほぼ同一です。

しかし、裏面になると、マーキスとは全く違う形になります。背面の肉を抜き、軽量化を計っており、また、インスクリプションはPezon et Michel Superparabolic 76 made in Englandと刻印されております。76は76ミリ、つまり、3インチという意味。

またフレームは、マーキスがフルにフレームを持つ耐久性重視型なのに対し、ペゾン・エ・ミシェルの方はラインガードがついた部分のみにフレームを遺した軽量化最優先思想です。

この通り。

また、この通りです。

偶々、今から約30年前に西ベルリンで購入したハーディー・マーキス#5リールが同じ3インチなので並べてみます。

ハーディーの方は肉がそのまま残りまた、プラスチック部品を使ったデザイン。

ペゾン・エ・ミシェルのスプールは肉抜きがされておりますが、ハーディーの方はそのまま。

ペソン・エ・ミシェルのハンドルは縦に溝が入れてあります。また、スプールのリムにも細かい凹凸が入れられ滑り難いような加工が施されております。

それに対し、ハーディーの方はそうした滑り難さ指向の加工はなくハンドルもスプールリムもすべすべ。

ハーディーのスプールはそのままペゾン・エ・ミシェルのリールに収まります。その逆もしかりです。

ところが、ここからが悲しいところですが、Pezon et Michel Sawyer Nymph 8'10''竿のグリップにハーディーの方はキチンと取り付けることが出来るのですが、ペゾン・エ・ミシェルの方は、

先端の僅かな部分のみしか入らず、

実釣で使うのはまず無理。当方所有の竿ですと、欧州仕様グリップのFario Club 8'5''か、オールコルクグリップのSt. Louis (サン・ルイ)8'1''に合わせるしかありません。飛行機釣行を強いられる今の身の上ですと、Fario Clubは仕舞寸法が長過ぎてなかなか持ち出せません。また、St. Louisは今日本に遺したまま。宝の持ち腐れ状況から抜けられそうにありません。まあ、別に段巻きのない近代ハーディー竹竿に合わせて使っても良いのですが、どうもハーディー竹竿にハーディー以外のリールを合わせるのは憚られます。ハーディー製なんだからOKだろうと言われればそれまでのような気も致しますものの。。。。
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Pezon et Michel Sawyer Nymph 8'10'' (1975年製)

2017-02-26 14:39:42 | Fishing Tackles

また新しい竿がチュニジアにやって来ました。ペゾン・エ・ミシェルのソーヤー・ニンフ8''10'です。
ペゾン・エ・ミシェル(仏語発音はペゾン・エト・ミッチェルではありませんので念のため)の竿は英国で流行し、FarlowsやSharpe'sがブランク供給を受けて英国内製造・販売をするなどしたためか、大陸欧州以外でも英国内で結構出物があるのですが、この竿もその一つ。英国某所で退蔵されていたものを入手したものです。

どう見ても新品にしか思えない竿でフェルールもキツく、竿自体も張りと固さがあり全然使いこなされていないのが感じられます。

ハーディーの60年代前半までの竿と違い、トップリングは瑪瑙等が入っていないもの。1950年代に登場したプラスチックラインの使用を前提に設計された竿である事が判ります。

ペゾンの竿はPPPシリーズがスタッガード(トップとバット・セクションの長さが違う)デザインになっている等特徴がありますが、この竿の特徴はグリップとバット、トップの3セクションに分かれている事です。

グリップ側は雌フェルールになっておりますが、バット側の雄フェルールにはポッチが出ており、グリップ側の切れ込みに合わせれば使用中にズレる事がありません。しかしながらこの竿は未だ新しいからか、奥までフェルールを押し込めないので未だその機能を使えません。

インスクリプションは8'10''、#5/6となっており、AFTM 5〜6番を使うSawyer Nymph Mark IIです。

ここで気づいたのですが、この竿はNymphと書いてあり、仏語のNympheではありません。最初から英国向けの前提で英語のネーミングとなったのでしょうか?

ここで製造番号を見てみます。そこには724581057と9桁の数字が並んでおります。

ペゾンの竿はハーディーの竿の様にきちんと製造年を遡る事の出来る製造番号システムを持っていないのでやっかいですが、1970年代の竿の場合は、最初と最後の数字が製造年を示し(この場合は77:77年製)、左から2番目〜4番目の3桁の数字がモデルコード(この場合は245:これはSawyer Nymph Mark Iのモデルコード)、左から5番目〜7番目の3桁の数字が竿の長さ(この場合は810:8'10'')を示すという情報はあり、この竿の製造番号も大凡それで説明可能なのですが、左から8番目の数字5が一体なにを表すのか(1977年中5番目に作られたSawyer Nymph竿という意味か?)また、本竿はAFTM 5〜6番のライン用のMark II (モデルコードは243)なのに何故Mark Iのモデルコードなのか、判然としません。

(追記)
本記事にコメントを頂いたスナフキン様の情報と他のサイトの情報より、724581057は、製造年:Y、製造月:M、モデルコード:C、竿の長さ:L、とした場合、YCCCLLLYMとなり、1975年7月製造のモデルコード245、竿の長さ8'10''の竿というように理解致します(2017年3月5日)。スナフキン様ありがとうございました。


これは日本で山一マークと呼ばれるもの。これは山ではなくひっくり返してTと読み、仏語のTruiteの頭文字を示し、一というのは只の線で、そこからグリップまでの長さ23cm。つまり当時のフランスに於ける鱒の体長制限を示すものです。

バットリングはハーディーとは違い瑪瑙は入っておらず安価かつシンプルな仕様です。

さて、この竿のリールフットですがこれがちと厄介です。

バットエンドにキャップがあり、それをリングで締めるという特段特徴のないものですが、

手持ちのリールですと、1980年代のパーフェクトしか入らないのです。

それも先っぽが一寸だけ入るという程度。

このSawyer Nymph竿は英国のニンフ釣りの革新者Frank Sawyerの名前を冠したもので、Sawyerスタイルのニンフ釣りのために開発されたような印象を与えておりますが、実際のところはさにあらず、元々ウェットフライ釣り用に開発・販売されていたものをSawyerの名前を使ってリネームし、マーケティングしたというのが真相。そのため、アクションは胴調子。但し、トップセクションのみを振り方により曲げる事も可能で先日ご紹介したHardy Marvel 7'6''の1953年製の竿と似たアクションに感じます。

更にこの竿はまだ『新品』という感じで張りと固さがありますので、ドライフライにも十分使用出来そうです。グリップ分離式のお陰でチュニスエアの機内に持ち込める8フィート二本継用のロッドケースに入るので、ノルマンディーのRisle(リール川)、それと勿論オーストリアの川でこれからドライ、ウェット、ニンフと万能に使えそうで、とても楽しみです。
コメント (13)
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