思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

ハックルの色の変化

2023-07-22 22:45:49 | ハックル/Hackles

ハックルの色の変化ということについては、本ブログにても過去明るい背景と暗い背景でのハックルの見え方の変化を写真を用いて解明する試み何回かして来ました。
鶏の先祖のジャングルフォウルのハックルの裏はチョークのような白なのですが、一般に裏が白いハックルの場合は表面の色が鮮やかに出る一方透明感が失われます。一方、表裏の色に差が余りないハックルは透明感が強くなり、そうしたハックルの中には光の当たる角度により色が変化するものもあります。
上の写真の毛鉤はFrank Elder氏が育てたRusty Blue Dunのハックルを一枚巻いだハックルドライフライです。この角度から見ると全体に錆色をしたハックルに見えます。

上の写真では全体に錆色であるものの、左側にバーブが計3本程光っているように見えます。写真では再現出来ておりませんが、肉眼ではブルーに光って見えます。

この写真では左側がかなり白っぽく見えますが、肉眼ではブルー色に光って見えます。

上の写真は、長野県の山間地で飼われた鶏のハックルを巻いたハックルドライフライ。これは軍鶏でも矮鶏でもない西洋鶏の血統なのだそうですが、区分すればRusty Dunに当たるもの。既にところどころバーブが光っております。肉眼では濃いブルーが出ているように見えます。

錆色がバーブに乗ったハックル。コックですが固くなく、水面が穏やかなところでは綿のように、或いは本物の虫のように水面をバズ(buzz)りながら動くこともあります。

こうした虫のような動き、虫の羽等を光が透過する際の色々変化する色彩・光り方をハックルが表現していることが魚の感性に訴えかけるのではないかと想像しておりますので、現在入手可能なジェネティックハックルには手が伸びず、昔のハックルや、インド・チャイナハックルの中から選んだハックルばかりを使って楽しんでおります。
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Dun Spider

2023-07-16 01:11:43 | 毛針/Flies

W.C. Stewartは1857年出版の著書The Practical Anglerでアップストリームのウェットフライ釣りを推奨し今日に至るまで多大な影響を与えております。そのThe Practical Anglerにて彼はBlack Spider、Red Spider、Dun Spiderの三つのスパイダーパターンを何か虫らしいものを表す毛鉤として紹介しております。

先日、7月2日(日)は16:30までにウィーン空港に戻らねばならず午前中だけEtrachsee(エトラッハゼー)で釣りをしました。

ボートが繋がれている桟橋の付近に大型の魚が集まっていることは分かっておりますので、ボートは使わず、桟橋から湖の水が流れ出すところを目掛けてGold Medal 10'を振ってみました。写真で見えるように風は山から流れ出しの方向に吹いております。そこで、写真の右側に毛鉤を落とし、徐々に旗の下あたりに流していって魚のアタリを取る戦法で試します。
Greenwell's Glory、Connemara Black、Ramsbottom's Favourite等のウィングドフライ、スレた魚に効果のあるKiller Bug等も流しましたが、かなりスレた魚達の関心を引くことが出来ず、そこで使ったのがStewartのDun Spider。

黄色のシルク糸にStarlingの明るい色のフェザーを巻きつけただけの簡単な毛鉤ですが、水に入れると柔らかいフェザーに包まれた黄色のボディが流される様は虫らしさを演出。その簡素さでスレた鱒も思わず口に入れてしまう毛鉤です。
10'の竹竿でDT5Fのラインを投げ水の流れに任せながら毛鉤とのコンタクトを保つために余分なラインをリトリーブしていき、魚の溜まっている辺りに毛鉤が来たと思われる瞬間アタリを感じ合わせると竹竿がグンっと持っていかれます。中々タモに入らず苦労した魚はアルプスイワナ。ブルックトラウトとの見分けは尾鰭の形でつきます。アルプスイワナの尾鰭は中央が窪んでいるのに対し、ブルックトラウトの尾鰭は一直線。鮭の尾鰭と鱒の尾鰭の違いと相似しております。

同じように毛鉤を投げてやるとまたアタリ。Gold Medalを曲げてファイトし、

水面からDAM社製のタモに中々入れられなかったのは

ブルックトラウトでした。このように良型ばかりをかなり上げてボロボロになったのが一番上の写真の左下にある鉤。原型を留めなくなっても魚をかけました。

冒頭の写真にあるのは黄色のボディがちょっと長くアピールするものですが、Stewartのオリジナルに近いものを巻いてみます。用意するのはStarlingの明るい色のフェザーと黄色のシルク糸。Starlingは古い英国の毛鉤用マテリアルにある小箱に整理されたものを使います。

ワックスを塗ったシルク糸で下巻き。余分の糸も意図的にゲイブ側に出しておきます。

Starlingのフェザーの先端部分を鉤に結びます。

そしてそのフェザーを余ったシルク糸と一緒に捻りファイバーをばらけさせながらアイの方に巻いていきます。

出来上がりはこれ。これはファイバーを長めにとったものですが、水中でこのファイバーが如何にも虫のような雰囲気を演出致します。
スレた鱒が多い管理釣り場等でも活躍するのではないかと思います。
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オーストリアMur川釣行(2023年6月30日)

2023-07-08 21:24:40 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

先月末オーストリアはシュタイヤーマルク州の山中エトラッハゼー(Etrachsee)に行き湖畔の宿に滞在した際、そこから約20数km離れたムーラウ(Murau)を流れるMur(ムーア)川にて釣りをして来ました。
怠けの虫が出てEtrachseeだけで釣りはいいかとも思っていたのですが、今回何とタモを忘れてしまい、初日は湖でタモなしの釣りをしたのですが、流石にタモなしてはどうしようもないと思い、翌6月30日、宿での朝食後、Murauの町に行きそこの狩猟・釣り具を扱うお店Waffen GruberにてドイツのDAM社製のタモを購入。その流れで天気も良かったので西に数km離れたSt. Lorenzenの旅行案内所でMur川のStau Bodendorf地区の釣り券を購入、釣りをすることになりました。

今回ウィーン空港で借りたVW Polo。昔私が西ベルリンで乗っていた1983年製のVW Golfと比べると今のPoloは当時のGolfよりも広く大きく力強い車です。時速150kmもすぐに出せる車でその気になればアウトバーンもサクサク走れますが、制限速度130kmを守り安全運転に徹しました。

オーストリア入りする事前の天気予報では6月30日以降は毎日雷に雨の予報でしたが、天気に恵まれ水も平水。

ところが最近の氾濫のせいか、何時も釣りをする左岸の方には砂が堆積し水に足を入れると砂に潜り中々足を抜くことが出来ません。水には足を入れず岸からだけで釣りをすることに致しました。

釣り竿入れがロストするリスクを考えてHardyのThe Traveller's Combined Fly and Spinning Rod (2023年1月14日記事参照)をスーツケースに入れてきたことから、同竿を8'10''に繋ぎ、それにどうせ天気が悪いからとシルクラインは家に置いてきてその代わりに持ってきたCortandのSylk DT5Fを巻いたSt. George 3'を組み合わせ釣りを開始。オレンジのシルクボディにゴールドワイヤ、古い英国のジンジャーハックルを巻いた簡易なハックルドライフライを15ヤード程度投げると水面にグレイリングが泳ぎ上がってきてフライを咥えます。

グレイリングのドライフライ釣りを私が好むのは、グレイリングが泳ぎ上がってきて毛鉤を咥えるまでの一部始終をゆっくり見ること出来、それがエキサイティングな点。

申し訳ないのですが、砂地で砂まみれになったグレイリング第一号を取り込み撮影、即リリース。

釣ったのはグレイリングが圧倒的なマジョリティでしたが、冒頭写真の虹鱒、そしてこの写真のブラウントラウトもドライフライに出てきました。

Traveller's Rodですが、10''のグリップに2'のピース4つの5ピース竿ですので、重いのは否めないものの、その調子はまさにGold Medalの胴調子。投げること、魚とやりとりすることのトータルバランスが良い竿です。
そして上が今回一番大きかった39cmのグレイリング。DAMのタモに入れるまでかなり手こずりました。

いつ見ても不思議なのですが、水から上げてみるとウグイのように見えるグレイリングも、水中では緑、紫、黄色、青と様々な色を帯びます。鱒の仲間であり、また、触るときゅうりの様な匂いの残る魚で、食べると美味。外来魚なので無理ですが、日本でグレイリング釣りが出来たらどんなに良いだろうかと夢想してしまいます。

その日は11:00から17:00までガッツリ釣りをして無数のグレイリングに遊んでもらい、ああ、Murauに来て良かったと心から思える日となりました。

上がその日一番実績を上げた毛鉤。天気、太陽光の調子、等色々な要素があるのでしょうが、陽光の下ではこのオレンジとジンジャーが燃えるように映え、魚にもきっとアピールしたことでしょう。
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Hardy Fred Buller Graphite Drifter 11' #5

2023-07-04 03:48:00 | Hardy

このブログを始めてから15年近く経っておりますが、今回初めてカーボングラファイト竿について投稿致します。

Hardyのカーボンロッド、Fred Buller Graphite Drifter 11' #5がそれです。
竹竿一筋の私がこの竿に興味を持ったのは、ブログを拝見しているyugawaski様やブログ「悠々気ままな時間」等で日本では極めて稀な竿であり、その調子は極めて独特なもので普通のキャスティングは困難或いは不可能、手首に極めて負荷がかかる。。。にもかかわらず釣趣に溢れた釣りが楽しめて大きな魚も相手に出来る11フィートの長竿という議論がされていたことに発します。
それで探してみたところ、英国で発見し、ボンドが今のように対円で高騰を見せる前のタイミングで入手出来、ロンドンからモロッコに持ち帰ったもの。

私が入手したこの竿はHVとあるので1981年7月製の竿。外見は何の変哲もない3ピースのグラファイトロッド。ただ、馴染みのパラコナ竿と違うのはトップとエンドのリングがセラミック入りのものであること。

竿尻にはボタンが付きますが、リールシートにはプラスチック製の部品があてがわれパラコナの様な高級感は少なく実用モットーなデザイン。

黒いグラファイト素材の上に#5 Fred Buller Graphite Drifterと記銘されております。

11フィートでAFTM 5というのは当時主流だったとは思えない組み合わせ。今ならユーロニンフとかに長尺でライトライン用の竿もありますので珍しくもないのでしょうが。

竿には11'とあり、11フィートの長竿であることを示しております。

HV8730とあるのはHV=1981年7月として、8730番目の竿という意味?いくらなんでもそんなに竿の生産量は無かったのではないかと想像致します。。。

この竿は英国の著名釣り師であるFred Buller氏がスコットランドやアイルランドで盛んなLoch Fishing用に開発したもの。つまりボートを使い風にある程度流されるDrift Fishing用の竿です。この竿を試すとすれば欧州で私が知っているのは一ヶ所。オーストリアはシュタイヤーマルク州の山中標高1400mにあるEtrachsee(エトラッハゼー)。先週イスラム教の祭日犠牲祭で連休となったところを利用しそこに行ってきました。

ボートから長竿を出して釣りを致します。因みに私が使って感じたことは、手首が破壊される様な程胴調子の長竿ではなく、トップは柔らかいものの調子はグラファイトらしくそれ程胴調子ではない、というもの。この竿よりもGold Medal 10'の方が下手をすれば手首がオシャカになりそうです。
キャスティングについては、トップが柔らかい故に前後に振り回すキャスティングには難があり、ボートよりラインを水から引き上げ、ラインの重さと水面張力を使って前に投げるウェットフライキャスティングを念頭にした竿と思います。実はこの調子に似たHardyの竿にLRH Wet 9'3''がありこれもフォルスキャストをする様に設計されていない竿。その経験があったのでFred Bullerにも余り違和感は感じませんでした。

爆釣の湖と謳われただけありイワナがバシバシ食いついてくるのですが、昨年に比べ今年は魚のサイズも上がり環境が良くなっているような感じです。

また、昨年全然見られなかった虹鱒も出てきてくれてその健在なところをアピールしておりました。

ボートから降りた後、フォルスキャストを加えたキャスティングで桟橋より釣りを致しましたが、今この湖で圧倒的なマジョリティであるブルックトラウトの他に、アルプスイワナも釣ることが出来、その数の回復に期待するところです。

釣りの後は地元Murau(ムーラウ)が誇るMurauer Bier(ムーラウァー・ビア)を湖畔の茶屋で賞味。朝01:15発の飛行機でフランクフルト経由ウィーンへ飛んで10:00ちょっと前に到着、そこからレンタカーを3時間飛ばし260kmを走破したどりついた後、釣りに勤しんだもう若くないオジサンは今回このビール二杯で沈没し早々に湖畔の宿で爆睡したのでした。
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