思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

シルクラインの再生(その4)

2014-04-30 21:06:56 | シルクライン/Silk Lines
ハルフォードの著書にあるシルクラインのコーティング方法。華氏150度のオーブンで10時間温めるという一見難しそうな問題でしたが、日本の家庭ではどこでも簡単に出来る事なのではと閃きました。
華氏150度は摂氏約66度。摂氏66度近辺で保温する道具。。。。。そう炊飯器です。

昨日夜炊飯器で保温した亜麻仁油が浸透したシルクライン。今朝出して、仕事に行っている間冷やしておきました。
帰宅してみると。大成功。


シルクラインは乾燥し、かつ固くなっているではないですか。


インターネットで色々な方の寄稿を見ると、最低三週間は乾かすとなっているのが、わずか10時間でこの通り。


最初のコーティングはこれにて完了ですので、今晩早速二度目のコーティングです。亜麻仁油にもう一度漬け込み、炊飯器で保温開始しました。明日の朝7時に取り出して仕事へ出かけます。

これで、ハルフォードの著書にあるシルクラインのコーティング方法は誤りでなかった事が証明出来ました。世界中の悩めるシルクライン愛好者に炊飯器が福音をもたらす事を。
家内は、全くの呆れ顔。
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シルクラインの再生(その3)

2014-04-29 19:30:56 | シルクライン/Silk Lines
さて、一昨日真空容器の中でボイルされた亜麻仁油に浸したシルクラインですが、昨日夜取り出し余分な油を落としながらReed Curry氏のおっしゃる通り紙袋へ入れ今日を迎えました。
普通の亜麻仁油よりボイルされたものは乾燥が早いと言われてましたので、期待しておりましたが、残念ながらシットリとしております。ドライヤーで温めてみましたが、無理なようです。
温故知新、ハルフォードの原点に戻る事にします。
"Dry-fly fishing in theory and practice"の中にHawksley氏が改良したシルクラインのコーティングの仕方が載っております。
それによると、
①真空容器中でシルクラインをボイルした亜麻仁油に入れ空気を抜き、シルクラインから空気が湧き出るまで漬け込む。
②漬け込んだシルクラインを取り出し、18インチの長さの木2つを鉄の棒でつないだ枠にシルクラインを巻き付ける。最初のコーティングの際は向かって一番左端の"1"とふってある斜め切り込みにライン先端をおき、鉄棒に巻き付け始める。次回は"2"と徐々に右側へ一つずつずらしていく。
③その枠を華氏150度のオーブンで10時間温め、ライン表面を硬化させる。
④ライン表面が硬化したら、ガラス布(紙ヤスリの様な物か)で表面を磨き、もう一度真空容器で亜麻仁油に漬け込む。
⑤こうしてコーティングを全部で10回繰り返す。8回目のコーティングが終わったところで軽石粉で表面を磨き上げる。9回目、10回目のコーティングでは磨きをかける必要はなし。

問題は華氏150度で10時間温める事の出来るオーブン。当然そんなものは東京のマンションと呼ばれる集合住宅暮らしのサラリーマン世帯にある筈もなし。困ったなと思っていたら、あるアイディアが浮かびました。火も使わず手間もかからずの方法です。今実験中ですので明日結果が出るのが楽しみです。
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シルクラインの再生(その2)

2014-04-27 15:59:09 | シルクライン/Silk Lines
前回重曹で奇麗にしたシルクライン。一週間ちょっと乾かして更なる作業へ進みます。
日本は本当に便利な国。ちょっと前まで頭を悩ませていた真空容器もネットで調べると幾つか手頃な価格の物がありました。その中で東●ハ●ズの通販で4000円弱のものを購入しました。

油分のすっかり抜けたシルクライン。引っ張ってみると伸縮性に富んでいて意外な感じでした。輪にして、片方のみ糸で結び解けないようにします。

真空容器の中に収まるサイズの輪にします。

亜麻仁油のボイルしたものを用意します。只の亜麻仁油より乾燥が早いという事。

油を入れシルクラインを浸します。

空気を抜くとシルクラインから気泡が湧き出し油の浸透が進む感じが致します。

取りあえず1日つけ込んでみます。

米国で90年代より中古シルクラインの購入・再生を手がけているReed Curry氏の記事に紙の買い物袋を二つ用意し、一つにシルクラインを入れ、奇麗な布をLinseed Oil(亜麻仁油)に浸したものにシルクラインを通し、もう一つの紙袋に入れて行き、乾燥させ、同じ手順を繰り返すだけでシルクラインのコーティング完了とありました。真空容器は上記よりも油の浸透が格段に良いでしょう。
但し、ハルフォードの著書を読み返してみると、真空容器でシルクラインに亜麻仁油を含浸させたら木の型枠にそれを巻き付け、低温のオーブンであたため乾燥を促し、更に亜麻仁油を含浸させる作業を10回は行い、かつ、そのシルクラインは1年以上使用してはならないとありました。。。。。。そこまではどう考えても無理ですので、Reed Curry氏のやり方より少し含浸率が高いという事で満足したいと思います。
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シルクラインの再生(その1)

2014-04-20 20:25:11 | シルクライン/Silk Lines
Phoenixのシルクラインが昨年の猛暑でコーティングが溶けてしまいベタベタになったところはフランスのシルクラインの紹介で触れさせて頂きました。
新しいものを買うのも出来ますが、前々から関心のあったシルクラインの再生に今回取り組んでみる事にしました。

これがベタベタになってしまったPhoenix DT6ライン。冷蔵庫に入れたのでちょっと固くなっております。

近所の薬局から重曹(Sodium Bicarbonate)を買ってきます。



バケツにぬるま湯をたっぷり入れそこに重曹を加えます。量は本当に目分量。

そこにベタベタのシルクラインをつけ込みます。

つけ込んで最初の数分はこんな感じです。

だんだん水の色が濃くなってきて、



30分後にはオレンジ色の水になります。

そうしたら、シルクラインを指でしごいて残ったコーティングをはがし、冷水に入れて行きます。重曹だけで油分や汚れはすっかり落ちたようで、指には殆どコーティングを感じる事はありませんでした。

残ったオレンジ色の水。シルクラインに含浸させた油分やコーティングが重曹の作用で溶け出した水です。



すっかりコーティングが剥げた純粋シルクのライン。もともとシルクラインはハルフォードの時代、亜麻仁油を入れた真空容器にシルクラインを入れ、1日容器を暖めて油を含浸させ、それを取り出し乾かしたらまた同じ事を計3回行って作られていた筈。真空容器というのが次のハードルですが、亜麻仁油(リンシードオイル)もありますし、5月の連休中にトライするつもりです。

現在、イスタンブールの空港でボーディングギリギリの中、本稿を書いており、乱文ご容赦の程を。
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OEG hackle samples(OEGの珍しいハックル)

2014-04-15 20:26:07 | ハックル/Hackles
注文したSprite Hookが届いたとの連絡を頂いたので、相模大野のバートンさんに初めて伺いました。
小田急線相模大野駅から歩いて5~6分。分かり易いところにありました。
先々週の日曜の昼、誰もいないお店にお邪魔し、Sprite Hook、Gossamer Silk等買いご主人と歓談します。
Pezon et MichelのSawyer Nyphme 8'10''を振らせて頂き、その柔かさにソーヤーの釣り姿にあるあの柔らかそうに曲がる竿を体感したり、と楽しいひと時を過ごしていると、さる著名な方が置いて行かれたOld English Game Cock等のハックルサンプルがあるとおっしゃる。


全てを写すのは憚られますので、一部のみ。左から1. スターリングのクイル。これは「ダン」という色の見本。その次が2. メッツで見つけた「ダン」色のハックル。その次の2枚(3.と4.)が19世紀待つから20世紀初めのハニーダン。これはリストが青ではなく黒っぽい色。一番右がインディアン・コック・ハックルで見つけたという5. ブラッシー・ブルー・ダン(Brassy Blue Dun)。


その次6.もBrassy Blue Dun。その次 7.はDark Brassy Blue Dun。最後の8.がRusty Blue Dun。


特に私の目を釘付けにさせたのが、5.のハックル。写真では見えないと思いますが、リストは非常に濃い、インキジェットなブルー。そこから生えて伸びるバーブは透明感に溢れ、先端に近づくに釣れレッド・ジンジャー・ハニーを夫々少しずつ混ぜて作った様な色になります。
こんなハックルが何枚もあったら思う様な出来映え。本当の眼福。
ここで上げられている、Honey Dun、Brassy Blue Dun、Rusty Blue Dunというのは歴史の積み重ねの中で用語に混乱が見られ、かつ、一つとして同じ色が無いといってもよい色なので、はっきりした定義が確立されてこなかったという背景での呼び名ですが、Frank Elder氏の"The Book of the Hackle"に整理されたカテゴリー(案)がありますので、後日紹介させて頂こうかと考えております。
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フランスのシルクフライライン

2014-04-06 15:28:48 | シルクライン/Silk Lines
現在入手可能なシルクラインはPhoenix(仏/英)、Thebault(仏)、Terenzio(伊)、矢野(日本)、中国と思っておりましたが、フランスでは更に3つのメーカーがシルクラインを作っている事が分かりました。


La soie des sources de Lozere
南仏の小規模家族経営のメーカーのようで、15年程シルクラインの製造を行っている様です。メーカーのサイトではsoie naturelleと、天然シルク製とありますので、間違いはないと思いますが、フランスの釣り人のサイトでこのLa soie des sources de Lozereはシンセティックの糸を編んだものとありました。そのサイトでは今はなきLa soie Robinsonもシンセティックと書いてあったのでどうかと思いますが。。。

次はSoie Chambord。2010年から製造開始のようです。製造者は個人で、もともとAu ver a soieに勤めていた様子。

上のLa soie des sources de LozereもSoie Chambordも付加価値税込みでEUR 100以下のお値段ですが、下のAu ver a soieのシルクラインはEUR 140以上になります。


Au ver a soieは1820年より今に続くパリの絹糸メーカー。それが、ここ数年前から新規事業分野としてフライフィッシングに進出、シルクライン、竹竿、毛針、タイイング用シルク、等等を製造販売しているそうです。
Hans Gebetsroither(ハンス・ゲベーツロイター)の弟子のHans-Ruedi Hebeisen氏 (ハンス-リュディ・ヘーバイゼン、HRH)のチューリヒのお店で売ってますし、フランスでも当然いろんなところで売っていると思われます。

実は、昨年の猛暑でリールに巻きっぱなしになっていたPhoenixのDT5のコーティングが大変な事になってしまい、養沢でも見やすい薄い黄色のDT5のシルクラインを買おうかなと思ってヨーロッパのサイトを見ていたらこんな事になっているのを発見したものです。やはり、フランスは奥が深い。。。。私もフランス語をブラッシュアップしなければ。

尚、上述フランスの釣り人のサイトの記事によれば、ベルギーのKaizerは2000年頃ベルギーの獣医学局にシルクライン製造機を売ってしまったとの事。何でも、ベルギー原産の牛の増産のために帝王切開用の縫い糸製造用として獣医学局が購入したとの事。なんともはや。
コメント (5)
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