思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

F.E. Thomas Special 8'

2021-11-28 12:26:33 | Fishing Tackles

以前John Betts氏からAri't Hart氏へ贈られたF.E. Thomas竿を入手して以来、米国竿との縁が出来てしまいましたが、また一本拙宅の米国竿が増えてしまいました。F.E. Thomas Special 8'です。
F.E.Thomas竿ですが、錦織則政氏の「The History of Bamboo Fly Rods」によると謎多き竿とのことでアクションは振って見ないと解らないと言われているそうですが、HardyのMarvel 7'6''のアクションで8'の竿を探している中、medium slowアクションのF.E. Thomas竿に出会い入手に至ったもの。

1934年製の竿とのことですが、竿は巻きも塗りも再生され、多分コルクも新品に交換されたため、新品同様のコンディション。

ガイドは8フィートの長さに11個が配置され、ミドルセクションのトップガイドはフェルールに隣接して配置されております。これはHardyには見られない米国竿の特徴。

F.E. Thomas竿の特徴の一つであるグリップ直上の飾り巻き。3-7-3-1の巻きが赤と黄の糸で為されております。

トップガイドはF.E. Thomas竿の特徴である片足を竹に乗せた独特のものが使われております。

バットのストリッピングガイドは瑪瑙入りのもの。

スネークガイドはEnglish snake guideと米国で呼ばれるもの。Hardyですっかり体に馴染んでいるものですが、写真下のLeonard竿のスネークガイドとは巻きの方向が違っております。

バットにはF.E.Thomas Special

Bangor, MEの刻印が入ります。

そして34との刻印。これを持って1934年製とされております。

ちょっと残念なのがこのバットのリールフィッティングの部分。手持ちのHardy製のリールではフットの先端部分しか入りません。

しかし実釣には問題はありません。

さて、Marvelに似たアクションなのかどうか?ですが、Kaizerの一番細いシルクライン(多分4番以下の重さ)を乗せると正にMarvelと同じようにシルクラインは飛んでいき、小さな鱒がかかれば竿はミドルセクションまで曲がり魚を寄せられます。日本の渓流でドライ、ウェット、ニンフと使うのに適した8'竿でMarvelと同様のアクションの竿は使うに楽しく、これからも多くの出番があることでしょう。

赤が目に鮮やかな養沢の風景。もう2021年の釣りも終了です。
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フランスのハックルと毛鉤巻きの映像

2021-11-06 11:59:52 | ハックル/Hackles
フランスで今も生産されるドライフライ用のハックルについては以前より紹介させて頂いております。coq de pêcheはそうしたハックルを取れる特定の種類の雄鶏を指す言葉。これでYouTubeを検索すると色々な画像が出て来ます。



その中で興味深かったのがTF1が1984年に放送したと思われる上の画像。Jean Louis Poirot(ジャン・ルイ・ポワロ)氏という釣り人且つプロの毛鉤製作者を通じて毛鉤釣りと毛鉤作成、その材料となるハックルを提供する鶏を紹介する番組です。4:53に出てくる雄鶏は今もCorrèzeで飼われているLimousin種のcoq de pêche。18:26から18:30にかけての映像はPoirot氏が巻いた毛鉤を暗い背景と明るい背景で見たもの。18:44から映される毛鉤を巻くシーンでは、独特のバイスを使いアイ側をバイスで固定し、ボビンは使わず素手で太めの糸(絹糸?)を巻いてドライフライを作る様子がとても興味深いもの。22:20以降は毛鉤用の鶏の品評会の様子が映されております。
毛鉤作成用のハックルといえば米国のジェネティックしか知らない人が殆どと思いますが、それは歴史が紡いで来たハックルの世界のほんの一部。英国でもハックルを細々と生産しているところがありますが、フランスでは今もcoq de pêcheの伝統は続いており、そのハックルを日本からでも入手出来るのです。
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新しいハックルの実験

2021-11-03 15:15:37 | ハックル/Hackles

先日、日本で飼育されている鶏のハックルを縁あって頂きました。色はブルーダン、ブラックに近いブルーダン、グリーンウェルに近いハニーダン。

ファイバーは伝統的なOld English Gameよりもやや細め。フワリとした感じのものです。

そのハックルを使ってハックルに合わせた10〜12番の大振りの鈎に毛針を巻きます。

英国パートリッジのアップアイドライフライ鈎。捻りが入っているのがお分かりになると思います。

これは他の色のハックル、グリーンウェルに近いハニーダンを巻いた10番。

これら毛鉤を持参して小田原の早川に初めて行ってまいりました。
小田急線で小田原まで、そこから箱根登山鉄道に乗り換えて二駅目の風祭駅で下車。そこから徒歩で15分くらい歩きローソンで日釣券を購入、ローソンから少し歩くと入渓出来ます。

朝8時くらいに到着しましたが既に多くの車が停まっておりあちこちに釣り人の姿が見えます。

関東近辺の釣り場では仕方がない光景。その中で空いている場所を見つけて入渓。

今回持参したのはW.F. Hardy 8'6''。1968年7月製造のもの。それに昔買ったHardyのDT5Fのオリーブ色のライン。リールは最後期のPerfect 3 3/8。リーダーは大きな鈎に合わせて3Xの9フィート。ロングティペット、しかも6X以下を常用されている方が見ると、如何にも啓蒙されていない初心者の道具立てに映るに違いありません。然し乍ら、今回はこの大きな毛鉤を出来るだけゆっくりと水面上を這う様に飛ばし、魚にアピールしながら釣るのが主題。そのためのW.F. Hardyであり、太くて大きな毛鉤をコントロールするのに適した長さのリーダーなのです。毛鉤を水面上に長く浮かばせることもあまり考えておりません。
そして入渓出来た場所で毛鉤をゆっくり飛ばしていると、まず最初にハニーダンの10番毛鉤に魚が出ましたが、着水後少し経って魚が浮き上がって咥えるさまが見えたことで興奮してしまい、痛恨の合わせ切れ。毛鉤を持って行かれてしまいました。
暫く釣り場を休め、毛鉤をブルーダンのものに替え、再度水面上に毛鉤を這わせる様に飛ばし魚にアピールしつつ何回か投げていると、毛鉤を水面に置いた瞬間魚が毛鉤に襲いかかりました。今度は冷静に合わせをくれると魚はジャンプ。何度か抵抗してW.F. Hardyを曲げてくれたのはこの虹鱒でした。
その後は残念ながら続かず、朝は寒かったのに日が差すと気温が上がりジャケットの下は汗まみれ。午前中で釣りは終了し、また一時間半強電車に揺られて帰宅致しました。
さて、今回の釣りですが、ハニーダンの方は朝の陽光が弱い時にハヤの襲撃を何度も受けるなど、魚にアピールしていた様でした。ブルーダンの方は日差しがあっても魚にアピールしていた様です。フィッシングプレッシャーが高い場所で水面に魚を寄せられただけでも効果はあったかと思いました。

1968年のW.F. Hardyの竿袋はグリーン・オリーブ色。70年代になるとブルーの袋になります。グリーン色の袋に入ったW.F. Hardy 8'6''は「いい竿だから決して手放してはならない」と言われましたが、確かにキャスティング、ラインコントロールがやり易いHardyの竹竿の最後を飾る名竿だと思いました。
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