思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy L.R.H. Wet 9'3'' (E51613, 1939年製)

2018-03-24 12:58:40 | Hardy Palakona

Laurence Robert Hardy (1884~1958)はLRH Light Weightリールに今も名を残すハーディーの2代目経営者。1925年に竹の切削機を導入する等ハーディーの生産技術の向上、新製品の開発を先代以上に押し進めた方の様です。
そのLRHが第二次大戦後、竿、リール、ラインの全てのバランスを考慮し自信を持って発表したのがLRHシリーズのパラコナ竿。LRH Dry Fly、LRH Dry Wet、LRH Wetの3種が投入されました。LRH Dry Flyは戦前に発表された9'4''、リングは全てメノウという豪華版が軽量化された8'9''、LRH Dry WetとLRH Wetは9'3''。LRHシリーズのこの3本は、軽量化のために松材とのダブルビルト製法が取り入れられた画期的な製品であります。
今回はその中のLRH Wet 9'3''のお話です。

James Leighton Hardy氏の本、"The House the Hardy Brothers built"によれば、LRH Wetが製造されたのは1948年〜1950年の僅か3年間。LRH Dry Flyが1948年〜1971年の間製造されたのに比し極めて短命で終わったとあります。尚、LRH Dry Wetも1948年〜1957年の短命で終わったとあり、極めて珍しい竿になります。

このシリーズは軽量化がテーマ。従い、戦前の段巻き、スピア、フルオープンブリッジリング、といった重量を増す仕様は排除され、リングはスネーク。まるでアメリカンな感じの竿です。

以前、Loch Levenの投稿で述べましたが、ラッピングは緑の縁取りをした赤。どうもこれはウェットフライ用のラッピングではないかと思います。

名前の通り、LRH Wetはウェットフライ用に設計された竿。その調子は、Anglers' Guide上では、Easy, for wet flyとあり、胴から曲がる調子。強いて上げるなら、MarvelやPezon et MichelのSawyer Nymph竿の様な感じでしょうか。

また、9'3''の竿なのに、重さは4oz 10drm (131g)と驚異の軽さです。これは、LRH Dry Wetが5oz、8'9''と短いにも拘らず、LRH Dry Flyが5oz 2drmとより重いのに比べればその差が目立ちます。

手に取ってみれば、全体に細身で軽く、ライン重量で言えば、2番のシルクライン(AFTM 4〜5番程度)が丁度良いかという感じ。リングはスネークです。

トップはメノウリング。シルクラインの使用が大前提の仕様です。

製造番号はE51613、1939年製となります。これは、JLH氏の本の1948年〜1950年の間に製造という記述に合っておりませんが、どうも、第二次大戦前後の部分はJLH氏の本の記述に合わない竿の例が他にもあり、多分LRH Wetは1939年には製造が開始されていたものの、戦争のため、マーケティング等に問題が発生したのではないかと推測します。

グリップは私の手で全く遊びがありません。これは、以前紹介のLRH Dry Wetと同様に、最適バランスを実現するためのもの。

細身で長い竿なので、調子は胴調子。ミドルセクションのみならず、バットも曲がります。

竿のティップ部分のみを曲げる事も簡単です。これは、MarvelやSawyer Nymphと同じ感じです。

LRH WetとLRH Dry Flyの全景を比較してみます。

LRH WetとLRH Dry Flyのグリップ回り。LRH Dry Flyのリングはフルオープンブリッジです。

LRH Wetの竿先がLRH Dry Flyのものに比べ相当細い事が見て取れると思います。
この竿で強風の中ドライフライを使うのは無理だと思いますが、オーストリアのMur川のグレイリング相手の小振りなドライフライの釣りや、Etrachseeでのウェットフライの釣り等では大物の魚でなくとも楽しめそうな感じです。チュニジアに来てから、Marvelの胴調子の釣りにハマってしまったので、より長くて使い易いこの竿は重宝しそうで今シーズンが楽しみです。
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ドイツの釣り免許取得(Gastfischereischein)

2018-03-18 11:27:42 | その他の話題/Other Topics

先週ドイツのデュッセルドルフに行く機会があったので、釣り免許(Fischereischein)を取得してきました。上がその写真になります。

ドイツ国内の内水面で釣りをするためには、釣り免許を保持し、且つ、その上で、釣りをする内水面の漁業権を持つ個人・団体から釣魚券を取得(通常は購入という形になると思います)する必要があります。

釣り免許は、ドイツの場合、残念ながらお金を払えば取得出来るものではなく、試験を受ける必要があります。試験は法律、魚の生態、環境保護、等の質問につき、マークシートで最も適した答えを選択する一次試験と、一次試験合格者に対し、釣りの対象魚毎に15分以内で仕掛けを作らせる実技試験である二次試験よりなっております。しかしながら、外国人の場合は、一次試験され突破出来れば、二次試験はキチンとした仕掛けを作る事が出来なくとも大目に見てもらえる可能性があります。私が試験を受けた1994年10月の二次試験で、旧ユーゴ地域から来たと思われる外国人は二次試験に本当の意味で合格出来なかったのですが、大目に見てもらった事を実体験致しました。私はパイク釣りの仕掛けという簡単な問題で助かりましたが。。。

で、この法規ですが、ドイツ国内に居住していない外国人に対しては例外規定があり、試験を受けなくても、必要な知識を持っていると見做される場合、1年間有効のGastfischereischein(国外居住者用釣り免許とでも訳しましょうか。。。)を取得出来ます。

今回は、それを取得した訳ですが、デュッセルドルフの市役所環境局の釣魚課に事前に問い合わせ、過去ドイツの釣り免許を取得した事、並びに、釣り免許試験の合格証を所持している事を伝えたところ、合格証とパスポート、写真を持ってくれば、国外居住者用の釣り免許を発行してもらえると、確認出来ましたので、めでたく取得に至ったものです。また、住所がデュッセルドルフでなければダメと言われたため、ホテルの住所で釣り免許を発行してもらいました。

これで、2018年内はドイツで晴れて釣りが出来る身分になった訳ですが、昔通ったベルギー国境近くのHellenthalは今は釣りが出来ない様ですし、中々、フランクフルトやデュッセルドルフに近い所にはパッとした釣り場が見当たりません。ドイツの釣り雑誌の情報等を参考に根気よく探そうと思います。

上は、1995年デュッセルドルフ在住時に取得した釣り免許。5年有効。


上は、釣り免許試験の合格証。これさえあれば、国外居住者用釣り免許を何時でも取得出来ます。
因に、ドイツの釣り免許試験合格証が無くとも、各自治体の釣魚課が、必要な知識を持っていると認めれば国外居住者用の釣り免許は取得可能な筈です。じゃあどんなものがその証拠になるのかは、正直不明ですが、日本人の場合でしたら、どこかの釣りクラブの会員証とかがあれば、ドイツ語の通訳が出来る人にうまく説明してもらった上で、国外居住者用の釣り免許を取得出来るのではと推測します。
但し、ドイツ国内居住の日本人の場合は、キチンとした手続きに乗っ取った正式な釣り免許の取得が義務となりますので、お間違いのないように。
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