思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Pezon et Michel Sawyer Nymph 8'10'' (1975年製)

2017-02-26 14:39:42 | Fishing Tackles

また新しい竿がチュニジアにやって来ました。ペゾン・エ・ミシェルのソーヤー・ニンフ8''10'です。
ペゾン・エ・ミシェル(仏語発音はペゾン・エト・ミッチェルではありませんので念のため)の竿は英国で流行し、FarlowsやSharpe'sがブランク供給を受けて英国内製造・販売をするなどしたためか、大陸欧州以外でも英国内で結構出物があるのですが、この竿もその一つ。英国某所で退蔵されていたものを入手したものです。

どう見ても新品にしか思えない竿でフェルールもキツく、竿自体も張りと固さがあり全然使いこなされていないのが感じられます。

ハーディーの60年代前半までの竿と違い、トップリングは瑪瑙等が入っていないもの。1950年代に登場したプラスチックラインの使用を前提に設計された竿である事が判ります。

ペゾンの竿はPPPシリーズがスタッガード(トップとバット・セクションの長さが違う)デザインになっている等特徴がありますが、この竿の特徴はグリップとバット、トップの3セクションに分かれている事です。

グリップ側は雌フェルールになっておりますが、バット側の雄フェルールにはポッチが出ており、グリップ側の切れ込みに合わせれば使用中にズレる事がありません。しかしながらこの竿は未だ新しいからか、奥までフェルールを押し込めないので未だその機能を使えません。

インスクリプションは8'10''、#5/6となっており、AFTM 5〜6番を使うSawyer Nymph Mark IIです。

ここで気づいたのですが、この竿はNymphと書いてあり、仏語のNympheではありません。最初から英国向けの前提で英語のネーミングとなったのでしょうか?

ここで製造番号を見てみます。そこには724581057と9桁の数字が並んでおります。

ペゾンの竿はハーディーの竿の様にきちんと製造年を遡る事の出来る製造番号システムを持っていないのでやっかいですが、1970年代の竿の場合は、最初と最後の数字が製造年を示し(この場合は77:77年製)、左から2番目〜4番目の3桁の数字がモデルコード(この場合は245:これはSawyer Nymph Mark Iのモデルコード)、左から5番目〜7番目の3桁の数字が竿の長さ(この場合は810:8'10'')を示すという情報はあり、この竿の製造番号も大凡それで説明可能なのですが、左から8番目の数字5が一体なにを表すのか(1977年中5番目に作られたSawyer Nymph竿という意味か?)また、本竿はAFTM 5〜6番のライン用のMark II (モデルコードは243)なのに何故Mark Iのモデルコードなのか、判然としません。

(追記)
本記事にコメントを頂いたスナフキン様の情報と他のサイトの情報より、724581057は、製造年:Y、製造月:M、モデルコード:C、竿の長さ:L、とした場合、YCCCLLLYMとなり、1975年7月製造のモデルコード245、竿の長さ8'10''の竿というように理解致します(2017年3月5日)。スナフキン様ありがとうございました。


これは日本で山一マークと呼ばれるもの。これは山ではなくひっくり返してTと読み、仏語のTruiteの頭文字を示し、一というのは只の線で、そこからグリップまでの長さ23cm。つまり当時のフランスに於ける鱒の体長制限を示すものです。

バットリングはハーディーとは違い瑪瑙は入っておらず安価かつシンプルな仕様です。

さて、この竿のリールフットですがこれがちと厄介です。

バットエンドにキャップがあり、それをリングで締めるという特段特徴のないものですが、

手持ちのリールですと、1980年代のパーフェクトしか入らないのです。

それも先っぽが一寸だけ入るという程度。

このSawyer Nymph竿は英国のニンフ釣りの革新者Frank Sawyerの名前を冠したもので、Sawyerスタイルのニンフ釣りのために開発されたような印象を与えておりますが、実際のところはさにあらず、元々ウェットフライ釣り用に開発・販売されていたものをSawyerの名前を使ってリネームし、マーケティングしたというのが真相。そのため、アクションは胴調子。但し、トップセクションのみを振り方により曲げる事も可能で先日ご紹介したHardy Marvel 7'6''の1953年製の竿と似たアクションに感じます。

更にこの竿はまだ『新品』という感じで張りと固さがありますので、ドライフライにも十分使用出来そうです。グリップ分離式のお陰でチュニスエアの機内に持ち込める8フィート二本継用のロッドケースに入るので、ノルマンディーのRisle(リール川)、それと勿論オーストリアの川でこれからドライ、ウェット、ニンフと万能に使えそうで、とても楽しみです。
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Hardy Palakona Fairy 9' E41354 (1937年製)

2017-02-05 18:59:57 | Hardy Palakona
鱒釣りとは遠く離れたチュニジア。ですが、竿はだんだんと増えていきます。
Hardy Fairy 9'を落札する気が殆どないにも拘らず、適当な金額で入札だけしてみたら、落札してしまいました。チュニジアに直送は、問題の多い当地税関で確実にストップされて、その後どうなるか分からないので、確実な第三国に送付してもらい、そこに立ち寄った際に持ち帰るというちょっと面倒なステップを経て、この竿は昨年当地にやって参りました。
Fairyはあの「老人と海」でカジキマグロと老人の死闘を描いたアーネスト・ヘミングウェイの愛竿だった事でも有名な竿。ヘミングウェイは元々フライフィッシャーで、ロンドンに立ち寄った際、ハーディーでFairyを買い求め、それでアメリカを釣り歩いたのですが、以前読んだ話では、愛竿等一式を列車で送ったところ紛失してしまい、それでフライフィッシングを一切止めてしまったとありました。
ところが、この記事を書くに当たりネットを見回してみたところ、フライフィッシングを止めてしまった後、息子とアイダホで一回フライフィッシングをしたそうで、その際にFairyとJ.J.Hardyを使ったと息子が言っているとありました。
ヘミングウェイはFairyにウェットフライを三本付けた仕掛けて釣りを楽しんだそうです。

さて、そのFairy。三本継でトップセクションは二本。曲がりも反りもなく、今年で80歳になるとは思えない状態です。

緑の段巻きが施され、グリップは戦前の竿の特徴である先細り。

トップとバットのリングにはシルクライン使用を前提に瑪瑙が填められております。

光の関係で見えないですが、製造番号E41354がプリンスオブウェールズの紋章の横に刻印されております。

ちょっと長めのリールフットをもった1912年チェックのPerfect 3 3/8リールもちゃんと装着出来る設計です。

銘は戦前の手書きです。

上にFairyと書いてあるのが判ります。

先端部です。

トップのリングの瑪瑙のアップです。

その他のリングはフルオープンブリッジ。ザラザラのシルクラインが竹竿に触れないように設計されたものです。

フェルールは低コストのサクションジョイントです。

こちらは雄ジョイント。

リールフットはグリップ下のハウジングと二つのパーツより構成される可変式のリールホルダーで固定します。
同じ9'でも、手持ちのCC de Franceよりも強い竿ですので、強風が吹くノルマンディーで使うのに良いかも知れません。また、オーストリアの河川でも活躍する事でしょう。

これは、Frank Elder氏のハックル。1月で父君の残されたオールドイングリッシュゲームコック(OEG)のハックルの販売を止めるので興味があるなら発注して欲しいと娘さんからメイルを頂き、ダン系を中心に最後の発注をしたものです。これまでのコレクションと合わせこれで一生OEGのハックルに困る事は無いでしょうが、残念な事であります。
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