思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy JLH Ultralite Disc Reel #5 & #6

2012-01-29 13:49:07 | Hardy Reel
二回目のドイツ滞在はデュッセルドルフの街でした。ベルリンの乾いたすがすがしい、冷涼な空気をドイツと思っていた身には、ライン川の湿気を帯び、大西洋に近い温暖なデュッセルドルフの空気は最初多少異質な感を受けたものです。また、デュッセルドルフはカトリックの街で、プロテスタントが支配的なベルリンとは人々の気質も違っていた事も異質な感じを受けた原因だったのかも知れません。

1993年から96年までと短い間の滞在でしたが、この間ドイツの釣免許を取得し、晴れてドイツ国内で毛鉤釣りを楽しめる身分となりました。週末は車でベルギー国境近くの小さな町Hellenthalへ片道二時間弱程走り、Olef川で虹鱒、ブラウントラウトの釣りを楽しんだものです。

釣具屋はデュッセルドルフから見て北のエッセンの釣具屋と、南のケルンにある釣具屋に通っておりました。エッセンの釣具屋はハーディーの製品を置いており、94年にそこで発売されたばかりのJLH Ultralite Disc Reelの#5と#6を購入しました。



このUltralite Disc Reelは、同時に発表されたUltralite Rodに合わせるように宣伝されておりました。この組み合わせのStunning Performance云々と当時のTrout & Salmon誌にハーディーの広告が載っております。



私のリールは発売直後のもので、限定ナンバー入り。



私はこのリールを当時使っていたSageの竿、Baginskiの竹竿等に合わせて使っておりましたが、そのパフォーマンスには満足しておりました。特にカーボン竿の場合、強い反発力の竿先からリーダーを守るにはディスクブレーキが有利な事は論を待ちません。
この頃のハーディーのリールには、Leight Weightシリーズ、Sovereignシリーズ、Marquisシリーズ、JLHシリーズ、Ocean Prince等があったと思いますが、Leight Weightを除き、20世紀から21世紀の変わり目を生き延びたものはありません。
Ultraliteも長く生き延びる事は出来ず、99年頃発表のSovereign 2000リールが出た頃にはその生産を終えている筈です。



構造は本当にシンプルで、リール本体のドラッグ調整つまみを回すと、スプール側のラッチ部分が本体に圧着される度合いを調整出来るというもので、部品点数の削減による軽量化と機能性を美しく両立する事に成功しております。



ラージアーバーリール全盛の21世紀、この手のリールはもう古いのかも知れませんが、このシンプルで粋な黒いリールをハーディーが送り出した当時を思い起こすと、何か自分の中で失われてしまった、純粋な釣りへの情熱と、当時の毛鉤釣りが持っていたスタイル、等を、刹那に思い出すような、何とも表現しがたい思いに捉われます。
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英国ドライフライ針(Partridge of Redditch)

2012-01-21 00:01:00 | 毛針/Flies
滞欧中はウェットフライでの(比較的)大物釣りが中心でしたが、帰国以来ドライフライの釣りに多少回帰しております。それで、昔買った英国の釣師のためのエントモロジー本(対応する毛鉤パターン付)を眺めたりしながら、ドライを巻く事が多くなった訳ですが、そのため遂にドライフライ針の在庫が尽きてしまいました。



私がドライフライに使っているのは、アップアイでゲイプに捻りが入った、Partridge社の針で、特に太軸でスタイルの良い"Albert Partridge Widegape Up Eye Hook"がお気に入りです。90年代にロンドンのFarlow'sで購入したもので、25本入り3.30ポンドの値札が付いてますが、これが後1本しか残っておりません。





伝統的なスタイル。何故アップアイを使うのかと言われると、針掛かりの良さの他、アイで結ぶのでなくタールノットでハックルの後ろで結ぶため、合わせ切れの防止、バランスの良い浮かび方を演出出来る事が理由です。





右への捻り。これはスタンダードな英国ドライフライ針の特徴。



Farlow'sの紙袋。90年代のロンドンの雰囲気を今に伝えます。

アップアイ針でも捻りのないものは今でも手に入りますが、捻りの入ったものはインターネットで探してもどこにも見つかりません。唯一、サワダのメイフライフックに在りましたが、色が緑なのがどうも。。。ブロンズだったら最高なのですが。

どこか日本に昔の針の在庫は無いのでしょうか。
コメント (3)
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Hardy Hollokona Salmon Deluxe 9'6'' (H62102, 1964年製)

2012-01-14 01:50:08 | Hardy Palakona
新年明けましておめでとうございます。今年も本ブログにアップ出来るような釣りが出来ればと期待しておりますので、宜しくお願い致します。

昨年後半は東欧、東アフリカ、中東、インド、スリランカ、南アフリカ、英国、東欧、トルコと立て続けに出張があり、釣りも中途半端で終わってしまい、ブログも暫くお休みしてしまいました。

心機一転、今年はHollokona Salmon Deluxeで始めようと思います。



Hollokona Salmon Deluxeは、1961年から1966年の6年間に製造された竿で8'6''-9'6''のタイプがあります。適合ラインはAFTM #7と、鮭釣りの竿としては華奢。基本的にもっと重いラインが必要なウェットフライではなく、カナダあたりで好まれるドライフライでの鮭釣り、他大物鱒釣りに設計された竿のようです。
Hollokona Salmon Deluxe was introduced in 1961 and its production was ended in 1966, manufactured for 6 years only, with models ranging from 8'6'' to 9'6''. Designed for AFTM #7 lines, it is a light rod appropriate for dry fly fishing practiced in Canada etc than normal wet fly fishing requiring heavy lines, aiming most probably for salmon and big trout.



私の竿は9'6''。黒で縁取りされた濃赤色のスレッドでラッピングされており、竿のアクションはPerfection、WF Hardyの様に伝統的な英国竿のアクション、ラインの高さを目線の先でコントロールするアクションです。
一見して、WF Hardyに似ておりますが、リングがスネークであるところ、Hollokonaであるところが違います。
My rod is 9'6'' one. Wrapped in ruby crested in black thread. The action of it is a traditional English action, as the ruby wrapping suggests, like action of Palakona ''W. F. Hardy'', so that the angler can control the line at the eye level height.



60年代を特徴付ける大振りで踊ったようなInscription。
Typical inscription of 1960s. Bigger and dancing letters.



トップリングはメノウの入らない現在使われているものと同じもの、他はスネークと、Phantomと同じ仕様です。
Top ring is not equipped with agate, just current one. other rings are snake. Just like ''Phantom''.



バットリングはメノウ入り。
Butt ring is furnished with agate.



この竿を振った感触ですが、まず9'6'' AFTM #7というゴツさから想像されるよりも、かなり軽く感じます。また、同じHollokonaのPhantomが先調子に感じられるのとは異なり、バットは多少固く感じるものの、ハーディーのミディアムな調子を手に感じる事が出来ます。
Not corresponding the image given from that length 9'6'' and line weight AFTM #7, it is quite light in hand. Phantom is felt rather tip action in hand, but, thought its butt section is perhaps stiffer than other Palakonas, you can feel Hardy's traditional medium action in hand.



良く見えませんが、竿尻に製造番号H62102が刻印されております。
Production Number pressed is H62102, not clear in picture though.



Perfect 3 5/8にDT7Fを合わせてますが、DT6Fでもバランス良く使えます。
I use this rod with Perfect 3 5/8 with DT7F, but DT6F performs good in balance as well.

この竿は今から15~16年前、英Trout & Salmon誌に広告を載せていたJohn Norrisから購入した様に記憶しております。インターネットの無い昔、Trout & Salmonに載った竿のコンディション(A, B, C, D)のみを信じて、ファックスでやり取りしながら中古竿を購入する。今から考えると恐ろしく思いますが、お店を信用してやり取り出来た牧歌的な時代だったのかも知れません。当時買った竿で、明らかにコンディションが記述と違っていた例は、私の場合、ありませんでした。
I recall that I bought this rod 15-16 years ago from John Norris who inserted his advertisement regularly in ''Trout & Salmon'' magazine. Believing the description on conditions A, B, C, D in the magazine only, without seeing any pictures, I placed orders with secondhand rods via facsimile. It sounds quite challenging from today's standard, but it was good old days when you could believe in dealers at trading. I did not experience a single case I received rod quite different in its condition from the description in the magazine. Now in 21st century of internet era, I already experienced some of such cases unfortunately....
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