思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Talambote川釣行(2023年10月14日)

2023-10-15 09:10:00 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

諸般の事情がありモロッコで今シーズン最後の釣行に行ってまいりました。

10月は出張があり週末を二日間過ごせるところが14日と15日の週末のみとなってしまい、モロッコの鱒釣りシーズン10月一杯を考えると10月14日に釣りに行かないと今シーズンが終わりになってしまいます。最近疲れているのでこのままシーズンを終わらせようかとも思ったのですが、10月13日思い直して電車の切符を購入し、レンタカーを予約、払い込みをして怠けの虫の退路を断ちました。
朝07:00カサブランカ発のTGV Al Boraq号で出発です。

目指すのは前回初のアフリカ大陸ネイティブのブラウントラウトを釣り上げたモロッコ北部のTalambote川。ここは日本でも知られた観光地シャウエン(シェフシャウエン)の近くの山の中。上は08:38の位置ですが、カサブランカからモロッコ最北部のタンジェに向かっている途中です。

タンジェ駅到着後Hertzのレンタカーステーションに行ったのですが、私が予約した車が無く、タンジェ空港から持ってくるとのこと。おかげでレンタカーで出発するだけでほぼ1時間かかってしまいました。グダグダ話をしているとロシア語が聞こえたので久しぶりにロシア語で尋ねると、在米のロシア人とその友達のモスクワに留学した経験のあるモロッコ人の二人組とのこと。言葉はスポーツと同じで素振りをしていないと打てなくなるのと一緒。ロシア語を話そうとしてもモロッコで使い慣れたフランス語が出てきて邪魔をします。日本語の「でも/しかし」に相当するロシア語でHO(ノ)というところを仏語のmais(メ)と言ったり、相手の言っていることは分かってもアクティブにしゃべるのはかなり退化してしまっておりました。

漸くDaciaのLoganをゲットして釣り場に向かって出発。10:30にタンジェを出て飛ばしに飛ばして12:50頃釣り場の駐車場に到着です。

観光地のど真ん中を釣り場に向け歩いて行きます。

釣り場は石の橋の下流の淵一箇所。そこで17:00まで釣りをすることにしました。

今回持参したのはHardy Palakona The Traveller's Combined Fly and Spinning Rod。2フィートの竹のピース四つに10インチのハンドルで8'10''のフライロッドを組み、そこにSt. George 3"、AFTM 5のフライラインを合わせます。何故この竿にしたかというと、状況次第でスピニングもやってみようという魂胆からです。昨年の様に川の水が多くてフライでは太刀打ち出来ない場合はスピニングで何とか釣りをしようと考えてのこと。但し、今日も水は少なくウェーダーを履かなくとも河原に降りることが出来る程でした。

Ramsbottom's Favourite、William's Favourite、Greenwell's Glory等ウェットフライでアップストリームに投げますがウンともスンとも言いません。老眼で毛鉤を替えるのも面倒なのにこれから枝素を付けて仕掛けを作り直すのは無理。そこで苦渋の策で金玉付きのニンフを結び、ラインが全く見えないので餌釣り用のヤーン目印をリーダーに付け糸がどこにあるのか把握出来るようにし上流にブチ込みます。すると、淵の深いところに投入した毛鉤が右側の流れに乗って深場から浅瀬に移動している時リーダーが不自然に動き、すかさずアワセると魚の感触!!

フライラインを手で手繰ってやり取りすると魚がジャンプを繰り返してくれますが、この竿にはちょっと役不足な大きさで、全く問題なくネットに収まり御用となりました。アフリカ大陸のネイティブであるブラウントラウト。殆ど朱点の無い黒点ばかりの鱒は測ると24cm。前回のチビっ子よりは大きな鱒でした。

魚を釣り上げだのは14:30だったのですが、そこ後は全くアタリも無く、老眼に鞭打って毛鉤を替えたり、ブラッドノットで鉤素を替えたりとあれこれ試しますが、魚の感触は途絶えてしまいました。16:00になったので持参のHardy Altex No.1 Mark IVを付け、8'10"の一番太いバットの竹ピースを抜き全体で6'10''に替えた竿でスピニングを試してみます。40年以上もスピニングをやっていなかったのでまずルアーがどこに飛んでいったのか全く見えずしかも昔と違い細いラインに老眼がついていけず全くダメ。釣りにはとてもならない状況です。

そんなことをしていると17:00でタイムアップ。これからタンジェまで120km程と二時間以上かけ帰らなければなりません。上流には未だ釣りが出来る場所があるのですが、観光客がすぐそばを行き来するところでそこで釣りをするのは到底無理な相談。残念ですが、Talambte川では唯一静かに釣りが出来るあの淵だけで我慢しましょう。

21:00タンジェ発、23:10カサブランカ着のTGVに乗りながら、片道400〜420kmの道のりを1日で往復し、釣果が24cmの鱒一匹とはどういうことだろうと思いましたが、カサブランカ在住で日帰りの毛鉤釣りをしようと思ったらこれ以外に方法がないのであるとの現実にいつしか意識は朦朧として行くのでした。
それにしてもアフリカ唯一の天然鱒は本当に大切にしたいものですね。
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Etrachbachでの釣り(2023年9月30日)

2023-10-14 00:00:00 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

前回の釣行には小川用のペナペナ竿であるF.E.Thomas Special 8' 3pcsも持参致しました。となると当然湖の上流にある小渓Etrachbachを狙いイワナ釣りとなります。
グレイリングを釣った金曜日の翌日土曜日に曇天の中F.E.Thomasでの釣りを楽しむことに致しました。竿に合わせたのは8月時に使ったAFTM 3ではなく一番手思いAFTM 4のシルクライン。風が吹いても至近距離を正確にキャスト出来るようにとの魂胆です。そしてリールは竿のリールシートにピッタリ嵌るPflugerのMedalist。Hardyの滑らかさには全く敵いませんが、良しとしましょう。

曇天ですが、右下に人影が写っているようにトレッキングの客が多く通ります。更にその中の特に家族連れがわざわざ釣りをしているところまで近寄ってきて魚を散らしてきます。こちらも禁漁にもかかわらず釣りをするアウトローの釣り人ですので、そうした善男善女の振る舞いにも文句わ言わず、魚が散ればそれなりに釣りを継続致しました。

川は水が少なく、前回は水を湛えていた右側の釣った魚を入れておく場所は干からびております。釣りが出来る場所は限定的。

そんな状況の下、前回記事に出したオレンジボディのドライフライで釣りを開始。ここのイワナもこの毛鉤が大の好物のようで一投目からF.E.Thomas竿を胴から曲げる魚がかかります。
その後もドライフライで釣った魚の数は伸ばしましたが、流石に場荒れしてきて水面の毛鉤に反応しなくなりました。

そこでハリスの途中に輪を作りそこに枝素を結びドロッパーには上の写真のウィングにブラックバードのクイルを使ったオリジナルレシピに従ったGreenwell's Gloryを結び、リードフライには

Stuartの勧めるBlack Spiderを結びます。

この仕掛けでアップストリームに投げ込み、出来るだけ糸を張れるよう竿を操作し流してやると手元に当たりを感じイワナを釣り上げます。

アップストリームのウェットフライは私の場合、シングルフライだと本当に説明出来ない勘の類に導かれて合わせることが多く非常に難しい釣りですが、枝鉤付きの場合はそれがアンカー的に働くのかアタリが取りやすく、よりリラックスして釣りを楽しめます。
そうこうして釣りをしているとかなり重い手応えで合わせると竿がギュンと持って行かれ、すわ大物?と思ってやり取りすると、一荷でイワナがかかっておりました。取り込み途中で一匹逃げてしまいましたものの。無事上げたのが上の魚。

9月末の天候不順な天気では当然気温も低く、渓流での釣りは午後早い時間に終了。一旦引き上げ風呂に入りました。その後夕食後に暗くなったところで見る母家がこれ。Landhaus Etrachseeは9月末で営業終了。これが最後の夜となります。

再開は2024年の5月。これから長い冬を迎える山中なのでした。
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アトラクターとイミテーションの違い?

2023-10-11 00:25:00 | 毛針/Flies

原色のストリップを使ったマリードウィングを持つ毛鉤はサーモン、シートラウト用の毛鉤に多くありますが、一般にはアトラクターとして認識され分類されているものと思います。
上の毛鉤は前回Etrachseeで使ったRamsbottom's Favouriteですが、水に濡れたウィングは原色の派手さは見られず、マラードの下に水に濡れ黒みがかった赤・黄・青のウィングがチラリと見える様は生命の躍動が生む生き物の体色を表しているように思えます。

この写真のRamsbottom's Favouriteは上と同じものかどうか定かではありませんが、実釣で何匹も魚をかけたもの。乾いた状態ですと如何にもアトラクターという感じで生き物のイミテーションと言われてもピンと来ません。そのRamsbottom's Favouriteのレシピは:
Body: Yellow seal's fur, ribbed with gold twist
Tail: Red ibis feather
Hackle: Coch-y-bondhu
Wings: Mixed red, yellow and blue dyed swan feathers mallard over
というものですが、沢田賢一郎氏のウェットフライのパターン本で紹介されているものはマラードが付いておりません。水で濡らした際、生き物らしさを表すのがマラードなのでこれを省くことは避けなければならないと強く思います。

この「Ramsbottom氏のお気に入り」は私のお気に入りでもあり、過去数年に亘り大物鱒を釣り上げて来ました。上のブルックトラウトは前回釣行時のものですが体高があり太った魚で10フィートのGold Medalという強い竿でも中々タモに入れるのに難儀した魚でした。

上の写真は2020年11月の会津大川で釣った60cmの虹鱒。これもRamsbottom's Favouriteを咥えた魚。

これは昨年10月末の箱根早川での58cm。同じパターンの毛鉤での釣果。
ただのアトラクターで大鱒を含む魚達が多く釣れるのでしょうか?私には魚はこの毛鉤を何らかの虫か魚のイミテーションとして見ているのではないかという思いを払拭出来ません。人間の目で乾いた状態のものを見てこれはアトラクターと分類しても、水に濡れた状態では色が変わりますし、更に魚が認識する紫外線の影響も考慮する必要があるかも知れません。一般に言われるアトラクターとイミテーションの間には案外余り差がないのかも知れないと思っております。
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Mur川でのグレイリング釣り(2023年9月29日)

2023-10-07 20:16:28 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

9月29日(金)は山を降り、Mur川にてドライフライでのグレイリング釣りを楽しみました。

山中で携帯の電波は届かず、インターネットも食堂のある母屋のWifiのみという人里離れた湖の畔の宿Landhaus Etrachsee。朝食は新鮮な豚肉のハム、ソーセージ、チーズ、野菜類、果物類がビュッフェで提供されそれに各種のパンで楽しめます。因みにドイツ語でWurst(ヴルスト:ソーセージ)というのは腸詰めを指す言葉で、上でソーセージと書いたものは長いウィンナーの様なものではなく、サラミのように丸く薄切りされたもの。釣りの話には無関係ながらご参考までに。

朝食の席から湖を臨みます。天気は良好。朝08:00なので未だ湖のある谷間には余り陽が差しておりません。

宿から山道を降りること30分弱、St. Lorenzenにある旅行案内所で入漁券を購入。顔馴染みになった担当者と川の状況等の話をします。今年の漁期は10月15日までですが、20日まで延長されるかも知れないとのこと。もし昔の様にハンガリーに住んでいたなら毎週通ってしまいそうです。
因みに今回ウィーン空港ではVW Poloタイプを予約したのですが、当てられたのはSkodaのKamiqというSUVぽい車。

シュコダはチェコの伝統あるメーカーですが、共産主義崩壊後VWの傘下に入り今回運転のKamiqも運転した感じは全くVWの車。チェコにはTATRAというメーカーもあり戦前から共産主義崩壊まで独自の車を作っておりましたが、90年代終わりには軍用等特殊仕様のトラックを作っておりました。今はどうなっているのか。。。

何時もの通り漁区の最上流の橋Windritsch Brückeから降りたすぐの岸でPayneの206L、9フィート三本継の竿を繋ぎ、AFTM 4のシルクラインを巻いたSt. George Jr.を取り付け、釣りを開始します。

オレンジ胴の毛鉤が水面を流れていくと水中から影が浮き上がり毛鉤を咥えます。それを合わせるとPayne竿に心地良い感触が伝わります。

余り大きな魚ではありませんが、遊んでくれたことに感謝しながら毛鉤を掴み魚体に触らずリリースします。

それから数匹川の上流部でグレイリングに遊んでもらいましたが、初夏から夏場の釣りの際と異なり後が続きません。

川は水位が下がり川を渡りながら下流の洲まで行けますので、下流へ移動してみました。その間に対岸の際に毛鉤を打ち込んで行くとグレイリングが咥え結構な大物ともやり取りしましたが、カメラを取ろうとしたところ毛鉤を外されました。。。

下流の洲に移動しそこの最下流まで移動しました。途中は川の流れが早く、そこでも釣れるのでしょうが、川の流れが弱いところの方がグレイリングが浮き上がる様を見られよりエキサイティングな釣りが出来ます。
そこでドライフライを流してやると毛鉤が流れ切りそうなところで魚の影が浮き上がり毛鉤を咥えました。それを手首で合わせると繊細なPayne竿がグインと曲がり、グレイリングが宙を舞います。ここMur川のグレイリングはニジマスの様に宙を舞うのが特徴。それまでに大物を取り逃しているので慎重にやり取りし釣り上げたのが冒頭の写真のグレイリング。40cmの魚でした。

毛鉤を外し魚の回復を確かめて浅瀬に入れてやるとゆっくりと川の中に帰って行きました。

その後もドライフライでグレイリングを何匹か釣りPayneの感触を愉しめました。

元々、Mur川ではOrange Quillが当たり毛鉤なのですが、今回は上の様なオレンジ胴の毛鉤にしかグレイリングは出て来ませんでした。ハックルの色はは余り関係ない様でした。一番下の毛鉤はオレンジ胴に昔の英国のブルーダンのヘンハックルを巻いたものですが、これはMur川ではなくEtrachseeで今回活躍したものです。
実は、Pearsall'sのGossamerシルクのオレンジが後一巻きしかなく、早急に代用品を買わないといけない状況になっております。何がいいのか判りませんが困ったものです。
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禁漁にもかかわらずの釣り(2023年9月28日)

2023-10-05 03:29:21 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

イスラム教の祝日はイスラム暦に沿い決められますが、新月を目視することが必要で、天候や砂嵐で観察出来ないと一日ずれてしまいます。当初9月27日(水)と予測されていた今年の「預言者生誕祭」が9月28日(木)となり、モロッコで突然9月28日〜10月1日が4連休になることが判った9月22日(金)、ダメ元でEtrachseeの定宿Landhaus Etrachseeに問い合わせを入れました。
Etrachseeの禁漁期間が9月21日より始まってしまっているのですが、特別に9月28日から10月1日の間釣りをしても良いか?と問い合わせたのです。
「いつもリリースしているからそれならいいわよ」と直ぐに女主人より回答があり、急遽カサブランカとウィーンの間のLufthansa機、Europecarでレンタカーを予約、Etrachseeに行くことになりました。
Etrachseeでの釣りと、10月15日まで出来るMur川でのグレイリング釣りが目的です。

朝01:15カサブランカ発、フランクフルト乗り換えで09:45ウィーン着、そこから3時間超のドライブで14:00頃Etrachseeに到着。時速120〜150kmで運転する間、睡魔と戦うためレッドブルを飲みながら到着したそこは標高1,400mの天国でした。

因みに上は1800年頃Ferdinand Runkという画家が描いたEtrachsee。200年以上前からここでは小屋を建て牛を放牧していたのかと思うと感慨を覚えます。

部屋の鍵を受け取り荷物を部屋に入れて湖の桟橋に出かけ、Etrachseeで重宝する10フィート三本継の竹竿、Hardy Palakona Gold Medalを振ってやると、暫く誰も釣ることのなかった湖からイワナが小さな毛鉤に襲い掛かります。

冒頭の写真と上の写真のイワナはアルプスイワナ。北極海、グリーンランド、アイスランドでは巨大化した仲間が泳いでおりますが、アルプス山中では尺上が大物の平均でしょうか。

上はブルックトラウト。アルプスイワナと比べるとタイガーマークのような細かい縞模様が入り全体に緑・黄色がかった色。
禁漁期間中に釣りが出来るとは思いもかけなかったですが、この湖は個人所有で、湖に流入し、流出するEtrachbachも個人所有。女将さんがOKと言えば魚をキープしない限りシュタイヤーマルク州の漁業規則にも抵触せず釣りが出来てしまうのでした。
ここはハンガリー在住時の2002年から知って来ておりますが、20年来の知り合いの女将さんに感謝です。
初日は小手調べでイワナに遊んでもらい、その翌日はドライフライでグレイリング釣りに挑戦です。
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