日本から遠く離れた北アフリカの西の外れモロッコに錦織則政氏が書かれた「The History of Lure Fishing」が届きました。
私はフライフィッシング一筋でもう40年以上過ごしておりますため、ルアーのことはさっぱり分からないのですが、私のコレクションの中にはルアー釣りに関係する竿もあります。
上がHardyのThe Traveller's Combined Rod (8'10''或いは6`10'')、下がFarlow'sのLe Voygeur Rod (8'10''或いは6'10'')です。
Farlow'sのLe Voygeurは2020年9月の佐渡外海府での釣行に使い当時の記事で触れておりますが、HardyのThe Traveller's Combined Rodは今回が初のお披露目。
両方の竿とも、10"のハンドルと5pcs、夫々2'のブランクから構成されており、旅行時にスーツケースに入れられ、且つ、毛鉤釣りでもスピニングの釣りにも使えるという竿。名前もTravellerにVoygeur(仏語で旅行者の意味)です。
所謂、キワモノ扱いされそうな竿ですが、欧州の空港が大混乱した昨年、ロッドケースがロストになり3週間程行方不明になった経験より、飛行機に乗っての釣行ではこの様なパックロッドをスーツケースに入れておく必要があると思い、前回秋の一時帰国の際にモロッコに持ち帰ったものです。
5pcsのブランクを太い順から1番とし5番まで番号を振りますと、上の写真はハンドルで5番の雄フェルールが入るところ。
上の写真はハンドルの反対側、4番の雄フェルールが入るところです。
4番と5番のフェルールの太さはこの様に違います。
製造番号はH9108。1956年製です。
5番の一番下のリングは赤瑪瑙入り。美しいものです。
1950年代のちんまりした書体でThe "Traveller's"
と書いてあります。
左から5番、4番、3番、2番、1番夫々の先端部分です。
サーモン釣り用のトップである2番を残し、ハンドルと5番、4番、3番、1番を繋ぐと8'10''の毛鉤竿となります。その調子はAngler's GuideによればGold Medalの様な調子とされております。確かに金属製フェルールの重さ等が増されておりますが、振ってみた感じではGold Medalの調子の様です。
ハンドルに4番、3番、1番を繋げば、4ポンドライン用の鱒釣り用スピニング竿6'10''となります。またこの組み合わせは短いドライフライ用毛鉤竿としても使えるとされております。この組み合わせに合わせるとすれば、Hardyが作り出した現在のスピニングリールの原型と言えるAltexの一番小さなNo.1。これはアンチリバース機構が付いていないMark III(?)。
ハンドルに5番、4番、2番を継げば、8ポンドライン用、6'10''のライトサーモンスピニング竿となります。この剛竿に合わせるのはシートラウト、ライトサーモン用のAltex No.2。これはアンチリバース機構の付いたMark IVとなります。
モロッコは昨年から雨が殆ど降らない超渇水が続き、昨年12月は給水制限で水圧が下げられ、自宅では朝夕一滴の水も出ず、水が辛くも出る時を見計らい風呂桶に溜めた水でトイレを流し、台所で沸かした風呂の水で朝の行水を行うという事態が一ヶ月続きました。今も通常であれば山地で雨・雪が降る筈のところカラカラ天気が続いております。
こんな状況ですと、モロッコでは3月のシーズンが始まっても全く釣りにならない事態も想定され、このパックロッドをスーツケースに入れて欧州に行くことが多くなるかも知れません。また、日頃釣りが出来ずにいるカサブランカの海で、スピニングによる小物釣りで無聊を慰めることも出来るかも知れないと思っております。
果たして2023年の釣りは一体どうなるのでしょうか。。。