思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Continental Special 7' 7 1/2'' (B/Z 1971年2月製造)

2018-09-29 15:15:45 | Hardy Palakona

Hardyの竹竿は2本継でも3本継でも、大体二等分、三等分になるように設計されております。ところが、推測ですが、多分Pezon et MichelのSuper Parabolic PPPシリーズが英国でもFarlow'sやSharpe'sでの生産分も含めて人気を博した事も影響した為か、1969年〜72年にかけContinental SpecialというStaggerred Ferrule竿が市場に投入・製造されました。

大分以前に8'4''のContinental Specialを紹介しましたが、Continental Specialには他に7'7 1/2''、6'8''の二モデルがあり、計三モデルのContinental Specialが存在します。今回は7' 7 1/2''のモデルの紹介です。

以前紹介の8'4''モデルは緑の縁取りに黒の、Phantomと同じラッピングでしたが、7'7 1/2''モデルは黒の縁取りに赤のラッピング。Perfection、Gold Medalと同様なHardyの王道と言えるラッピングとなっております。これまた以前の話で、HardyのPalakona竿のラッピングは60年代末以降についてはアクションによって色分けされていたのではないか?という話があったと思いますが、それによると、赤ラッピングはどんな状況でも対応出来るアクション。ざっくり、目の高さで毛針をコントロール出来る竿、黒ラッピングは水面ギリギリまで毛針をコントロール出来る竿、緑のラッピングは目線よりも上から毛針を水面に落とす様な感じの竿だったように思います。確かに、Marvelの様な短竿はウェーディングしながらの釣りになるので、より水面に近い目線よりも高い所から毛針を水面に落とすという話は辻褄が合います。更に緑のラッピングの竿は竿先が細く、黒ラッピングのPhantomの様に水面に毛針を打ち付けるような投げ方をしても太い竿先のおかげで毛針がフワリと水面に落ちるという訳には行かないでしょう。
尚、Marvel 7'6''よりもちょっとだけ長いこの竿ですが、硬さは全く異なり、さすがPezon et Michelの様な設計の竿と思わせるアクション。Marvelの繊細さはありませんが、ラインを投げる能力はMarvelなんぞてんで問題にしません。テンポよく釣るにはこちらの竿の方が向いているでしょう。冒頭の写真は30cmくらいのグレイリング(ドイツ語でエーシェ)ですが、Marvelとは違いさっさと魚を揚げられました。

Pezon et Michel竿の様なバット部が短くティップが長いOne and Halfの設計。

実際に測ったところ、バット部が100.8cm、ティップ部が136cm。雄フェルールの部分を引くにしても32cmくらい長さに差があります。

竿尻にはゴム製のボタンがつき、アップロックでリールを装着。フェルールはシンプルなサクション。リングはオーブンブリッジではなく、スネーク。

60年代に再導入されたフックキーパーが付き、60年代の特徴である大振りで踊った様な字体のインスクリプションが施されております。

AFTMの番手は5番。これもHardyのこれくらいの長さの竿では中庸を行くもの。

ストリッピングは65年以降くらいの、簡素化されて製造コストも下がったであろうタイプ。

リングはスネーク。

トップは瑪瑙が入らないタイプ。完全にプラスチックラインの使用を前提に設計されております。

全景が撮影不能なのでとりあえず、ここで一枚。

更に一枚。

これは竿についてきたタグですが、1971年4月27日に27.70ポンドで売られたのかなと思わせる内容。リバプールのリチャーズというのは釣具店の名前でしょうか?面白いのは、1970年2月21日Hardy's Manchesterと読める消された記述に22ポンド17シリング6ペンスとの表記。1971年2月15日にポンドがそれまでの1ポンド=20シリング=240ペンスのシステムから10進法に変更された事情をうかがわせます。10進法では22ポンド87.5ペンスとなりますが、僅か1年ちょっとで21%超の値上げ。当時英国経済が振るわずインフレで大変だったとしても凄いものです。因みに、英国の1970年のインフレ率は6.4%、1971年は9.4%の様です。
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オーストリアのイワナ

2018-09-22 13:56:03 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

8月末、Etrachseeに泊まって釣りをした際は、湖だけでなく、そこに流れ込む小渓、Etrachbach(エトラッハバッハ)で渓流釣りも行いました。Bachというのは、有名な音楽家バッハと同じ単語。小川という意味のドイツ語です。
上の写真は釣りとは無関係なMurau(ムーラウ)市内の中心広場ですが、釣行記に頻繁に登場するムーラウの町は決してど田舎の小邑ではなく、結構おしゃれなお店もあるところ。釣り人だけですと斯様な写真は撮らないのですが、前回は家族連れだったので、一枚写真を撮ってみました。冬はスキーW杯会場もありますので、スキーがお好きでしたらお薦めな訪問先です。

エトラッハバッハを目指し湖沿いの小道を行きます。周りには牛どもが寝そべり草を食んでおります。

8月20日に使ったのは今年使いまくっているHardy LRH Wet 9'3''。強風でなければドライフライ釣りにも使えるペナペナ竿。釣り味は格別。
流れが幾分フラットな所を狙いドライフライを投げ込むと。

イワナ(Arctic Charr)が毛針を襲います。湖のものよりこの小渓の魚の方が大きく、釣りの楽しみも今回は上。昔は湖でも大物が上がったのですが、今年は期待外れでした。

上でイワナを釣った場所の一つ上流にある淵。

そこをHardy Marvel 7'6''にドライフライの道具立て狙うと、またイワナが毛針に出ます。LRH Wetも良く曲がる竿ですが、Marvelは更に華奢な竿。こんな魚でも根元から曲がり、釣り味満点。

淵で何匹かのイワナに遊んでもらった後、殆どの水深の無い瀬を上流に進むと倒木の下が多少深くなっている場所があり、そこを狙う事にします。

使った毛針は長くて硬めのファーナス・コックのハックルをまとったBaigent Brown鉤。魚にアピールするための鉤なので、サイズは12番。

倒木の直ぐ下を毛針が流れるとバッシャとアタリ。合わせれば、イワナが掛かり、Marvelをまたも曲げてくれます。イワナ釣りの楽しさはこの大雑把さ。繊細にあれこれ悩まなくても毛針をキチンと魚のいる場所に置ければ、魚に出会う確率は高いのです。

この小渓の限定されたポイントでドライフライを満喫していると、何やら寄ってくるものの影。野良ではないですが、放し飼いの馬が私の所に寄ってくるではありませんか。自慢ではありませんが、昔家内が乗馬をしていた際、馬の毛を沢山吸い込んだせいか、私は馬アレルギーになってしまい、以来、馬に乗っても馬車に乗ってもクシャミ・鼻水が止まらない体質。馬が寄ってきたので釣りはもうお仕舞いにします。イワナに沢山遊んでもらったのでもうイイや。

上はGreenwell's Glory。Sprite鉤に巻いたものですが、イワナを沢山釣ったせいで、鉤が曲がってしまいました。

これはクイルボディにスターリングのウィング、ハニーダンのハックルの鉤。上のGreenwell's Gloryもそうですが、繊細なスターリングクイルのウィングでも二重にしてあるので、魚をかけてもウィングはバラバラに壊れません。多少ばらけますが、使う時にオイルをウィングに付けて形を整えてやるとスッキリしたウィングに戻ります。ですので、スターリングクイルのウィング付きドライフライでも何匹魚を掛けても使えます。羽化したてのダンをもっともよく模している古典的な毛針。もっと多くの人に使ってもらいたいです。

最後はKite's Imperial。これは魚を何匹か釣る間にテイルが取れてしまいました。でも、テイル無しでもまだまだ使えるでしょう。
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Winged Dry Flyを巻く

2018-09-09 16:31:37 | 毛針/Flies
先週、ハックルドライフライを巻いたので、今回はウィング付きのドライフライを巻いて見ました。

フックはスネック鉤の1番(14番)。ウィング付きですので、アップアイ鉤を選びます。これはティペットをアイを通しウィングの間も通しハックルの後ろでタールノットで結ぶと姿勢が安定しウィングを水面にまるでヨットの帆の様に立てながら毛針が流れるから。タイイングシルクはパーソルズの昔のシルク。今の化繊のものよりも太いですが伸びが無いので逆に安心して巻けます。

ウィングはスターリングのクイル。魚を何匹掛けても使える様にダブルにします。

ダブルにした切片。

それを合わせます。

そうして合わしたウィングを鉤に乗せ、シルクで縛って固定します。私はいつもフォワードにウィングを結びます。

余分を切って8の字巻きでウィングを固定したところ。

テイルを付けてタイイングシルクでボディを整形します。尚、シルクにはワックスを良く浸み込ませます。

ゴールドワイヤーでリブを作ります。

毛針で一番大事なハックル。今日はOld English Game Cockの黒、或いは、ダークブルーダンに金色が乗ったものにします。ここで、何故、ダークブルーダン?とするのかですが、ブルーダンにはハニー、レッド、ラスティ等、茶色系の色が乗る事が多いのですが、ブラックにはそういう他の色が乗らないため。バジャーでないかとも思ったのですが、ホワイト、クリームが全体に乗るバジャーと違い一部に金色が乗るだけで、ブルーダンの例に近く、ちょっと違うなと思う次第。

アイから見て、巻き上がった時に表が出る様にハックルを巻きます。私はハックルをアイからテイルに向けて巻き、その後シルクをハックルの間を通しアイまで巻く方法でドライを巻きます。アイ側のファイバーが一番長くなり巻いた後の形が良いのと、シルクでハックルを更に固定していくのでハックルが解けなくなるからです。貴重なマテリアルを使って作る毛針ですので、直ぐに壊れる様では困りますから。

指を使ってウィップフィニッシュ。

ウィングは巻いた時は長過ぎる様に思えますが、ウィングを開いてやると左程長くは見えません。

ウィングは魚に毛針がダンだと印象付けるための大事なパーツ。余り短いと付ける意味がないので、巻いた時、長すぎるかなと思うくらいが、捲き上ると丁度良い長さになると思っております。

横から見るとこんな感じです。

老眼でシンドイので、5本巻いて今日はお仕舞い。もうシーズンも残り少ないですが、この毛針を使う機会はくるのでしょうか。
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