思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Continental Special 8'4''

2010-08-15 07:07:25 | Hardy Palakona
ハーディーの竿は基本的にキリのいい長さ、8'、8'6''、9'、10'というものです。2本継ぎの竿なら、ティップとバットは同じ長さ、3本継ぎでも全て同じ長さというのがハーディーの竿作りの流儀です。
そのハーディーの竿の中で唯一、ティップとバットの長さが違う竿、これが、Continental Specialです。







製造されたのは1969年から1972年の4年間のみで、ハーディーの竿の中ではかなりマイナーです。竿の長さは、6'8''、7'7''1/2、8'4''とキリの揃っていない3タイプがありますが、非常に興味深いのは、それぞれのスレッドの色が違っている事です。
以前書きましたが、ハーディーの60年代~70年代の竹竿では竿の調子をスレッドの色で明示していたのではと思われるのです。緑はラインループを目線より上、赤はラインループを丁度目線で、黒はラインループを目線より下にコントロールする竿というのがその説。黒と言えばPhantomですが、正にラインループを水面スレスレにコントロールする事の出来る名竿です。
さて、このContinental Specialの6'8''のスレッドは緑、7'7''1/2は多分赤、そしてこの8'4''のスレッドは黒と、同じモデル名でも調子にどうも差があるようなのです。


竿にはF/Kとあり、1970年1月製造と読み取れます。


竿の長さは8'4''


スレッドの色はPhantomと同じ黒。

名前のContinentalから判るように、この竿は欧州大陸、フランスのPezon et MichelのStaggered竿(ティップとバットの長さが違う)の影響を受けた、英国竿ではない(欧州)大陸用特製竿だったのでしょう。また、調子の違う竿を同じタイプ名に纏めたのは、きっとStaggered竿という共通項からそうしたのでしょう。


さて、Fario ClubのコピーであるSharpeのFarioと並べ比べてみると、Continental Specialの方が、ティップとバットの差が大きい事が判ります。


実測しますと、Continental Specialはティップ139cm、バット118cm、Farioはティップ138.5cm、バット122.5cm。ティップの長さは殆ど同一ですが、バットの長さで差が出てます。実際振ってみると、Continental Specialの方がFarioよりティップの返りが早く、シャープな感じがします。因みに両方の竿ともAFTM 6ですが、5のDTの方が私には使い易い様です。竿の調子はPezon et Michelの竿の様にパラボリックでティップの返りが早く、Perfection、Deluxe、そして、Phantomといった英国竿の調子とは違います。戦後、50年代のスエズ動乱で大国の地位を失った事を自覚させられ、60年代にはアフリカ植民地を失い、70年代には英国病と揶揄された経済の停滞と、落日の英国がもはや英国の価値観のみでの勝負を諦めた象徴なのかも知れません。
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Trout and Salmon

2010-08-08 07:36:05 | その他の話題/Other Topics
英国には各種の釣り雑誌があるようですが、毛鉤釣りに一番関係があり、それなりに良く読まれているのは「Trout and Salmon」だと思っております。統計を調べた訳でなく、特に根拠はありません。が、毛鉤釣り関連書籍で同誌から出版されているものを英国の釣具店(昔ペル・メルにあったハーディーのロンドン店、同じくペル・メルに今もあるファーロー)で見かける事もあり、勝手にそう思っております。


最初の出会いは1994年11月のロンドン日帰り出張時、ヒースローで買ったこの号です。内容は、How to 本と化した日本のフライフィッシング雑誌とは違い、随筆を主体に、毛鉤の紹介、釣り場の紹介、英国各地での釣りの成果のダイジェストが、文字を主体に詰まっております。
また、John Norris、Stephen Forcett、Ted Carter等といった釣具店がセカンド・ハンドの釣具のオファーを載せていて、インターネットの無い時代はそこに出るハーディーのパラコナを、今から思えば、結構安値で購入してました。


これは1995年7月の40周年記念号。


表紙をめくると、チャールズ皇太子がその釣り姿と共に一文を寄せております。チャールズ皇太子はスプライス・ジョイントの竹竿を使った鮭釣りがお気に入りの様ですが(竿はそうするとSharpeか?)、故ダイアナ妃との結婚祝い品にはハーディー・パーフェクト・リール1912年チェックを所望されたとの事。


これは1955年7月の創刊号のコピーです。2005年7月の創刊50周年号のおまけです。


中を見ると1955年の英国の釣りに関わる記事と当時の広告が載ってます。いつぞやOgden SmithのWarrior 8'6''に言及しましたが、そのOgden Smithの広告も掲載されております。創業1763年の老舗だったのですね。


また、Sharpeは「a New Thrill in Game Fishing」と、新しいインプレグネーテッド・ロッドの宣伝を載せてます。


ファーローは22ヤードのショート・フライライン「Halford Series」の宣伝を載せてます。鱒用は44/6とありますが、さてこれは、2ポンド4シリング6ペンスの事かしら?住所はHaymarketとなっており、ペル・メル(Pall Mall)ではありませんね。

日本の雑誌との比較では多分フライの雑誌に近いのではと思いますが、真面目に釣りについて語っている分(日本では女性、笑いの要素が釣り雑誌にも浸透している気がします)、雰囲気が違います。
コメント (3)
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養沢釣行(8月7日)

2010-08-07 15:01:56 | 釣行記/Fishing Trips
いやあ、今日も大変暑かったですね。梅雨明けから続くこの酷暑で私もへろへろですが、さぞや渓流魚も大変なものと思います。

2ヶ月振りに養沢に行ってきました。

いつもの通り朝7時過ぎに武蔵五日市駅を出発するバスに乗り7時半に事務棟に到着、入漁券を購入し準備を済ませ8時ちょっと前に出発です。

朝からもう30度を超えているのでしょうか?止めどなく滴る汗。
兎に角前回同様平和橋の近辺で入渓です。







魚は見えるのですが、前回とは違いやる気が見られません。ドライ、ウェット、ニンフと試して、Partridge and Orangeで漸く最初の一匹をキャッチです。



その後もPartridge and Green等、ソフトハックル系でなんとか数匹釣り上げて見切りを付け、神谷橋へ遡行します。


(Partridge and Greenでの一匹)




(St. Louis 8'1''と虹鱒)






魚は居るのですが、かなり活性が低く反応は今一つです。

一時頃まで頑張ったのですが、この暑さでそれ以上釣りをする根性が無く、木の小屋で一休み。



帰路数匹追加で釣り、今日は3時5分のバスで帰る事としました。


(設立者トマス・ブレークモア氏愛用のHardy Marvel 7'6'')


(バス停からの眺め)

帰りのホリデー快速秋川号が、市ヶ谷駅での人身事故の影響で、中野駅で足止めをくいましたが、20分程の遅れで無事帰宅致しました。今年の夏の釣りはちょっと考え物です。
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Hardy The Sovereign 5/6/7

2010-08-01 11:17:20 | Hardy Reel
ラチェット・ドラグシステムの最高峰と思われる1912年チェックから80年程後年に製造されたリールがSovereignです。
金色に輝き、リールのつまみは木製。左右どちらへも即巻き方向を変えられる機構、ディスクドラグと言ったら良いのか、わかりませんが、竿先の反発力が強くティペットに衝撃がかかり易いカーボンロッドでも衝撃を緩和してくれるドラグ機構を内蔵した名機です。またMarquisから続き、指でリムにドラグをかける事も可能です。




ドラグは中央のノブで調節。背面にはPrince of Wales(英国皇太子)の紋章が刻印されている。まさにSovereignの名前に相応しい(?)。


ユニークな内部機構。


リールドラム側に、右巻き、左巻きを瞬時に変更出来るノブがある。特許を取っていると見えてPATの文字が刻印されている。


ドラグ機構。一番下の歯車がリール背面のドラグ調節ノブを動かす事で動いたり動かなかったりする。これが基本的なドラグのシステムと思われる。


リールドラムのリムがハウジングの外を覆っているため、指で追加のドラグをかける事が可能。ラインキャパシティーはたっぷりある。

このリールはドイツ在住時、通っていたEssenの釣具屋で何となく購入しました(他にもPerfectを沢山所有していたのにどうしてか分かりません)。カーボンロッドに合わせるのが本当なのでしょうが、Hardyに特注した8'の竹竿、ドイツの竹竿職人Rolf Baginski氏に作ってもらった竿、に合わせて使ってました。最近はさっぱり出番が無くなってますが、思い出の詰まったリールです。
Sovereignは極めて優れた機構を持つリールと思いますが、凝り過ぎてコストが高く、あまり人気のあるリールではないようです。生産数もそんなに多くはないのでしょう。釣り場ではお目にかからないリールの一つです。
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Hardy Perfect 1912 Check

2010-08-01 10:20:15 | Hardy Reel
5月に私の持っているPerfect 3 3/8 1912 Checkについて記載いたしましたが、夜に撮影した事からあまり良く映っていないようなので再度撮影してみました。


ハンドルはアイヴォリー。象牙ではないと思うが。


ラインガードには赤メノウがはめ込まれている。ドラグ調整用スクリューネジは外れないよう、ブリッジがかけられている。1912年チェックまでは構造上必須。


スピンドルには逆回しのネジが付属。ファイト中にリールドラムが外れる事故を防止。




ドラグをかけていない状態。明るいブロンズ色のアームはリールのリムに接し、板バネへの圧力は最小。従いトング(或いはポール)への圧力も最小の状態。


ドラグを最大にかけた状態。アームは下までおり、板バネに最大の力をかけている。

この構造は生産コストが非常にかかり、第一次大戦中にコスト削減のため1917年チェックへと移行します。同じチェックシステムでも、コストがかかっているだけ、シルキーな動きのような感覚です。ウーン、3インチ以下でこれをもう一つ持っていたらなぁ。
尚、このリールのフットは長く、1958年の9'Perfectionではまだぎりぎり使えますが、最終モデルのPerfectionではもう使えません。基本的に1950年代までの竿になんとか使えるかというところです。
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