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思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Palakona H.E. Accuracy 8' (E94366 1954年製)

2019-01-05 17:30:37 | Hardy Palakona

新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお描い致します。
今回は昨年のオーストリアはムーア川(Mur)でも投入したH.E. Accuracyを紹介したいと思います。
現在自宅に居らずHardyの詳細資料が参照出来ませんため帰宅後内容を修正しようと思いますが、この竿は元々トーナメント競技の正確性を競う部門のためにHardyが開発したもので、それをライトウェイトのドライフライ竿としてカタログに載せたもの。1950年代始めの戦後の混乱が多少なりとも収まった時代、輸出用ではなく英国国内市場向けにHardyが製品の販売を再開出来た時代にほんの短い間(確か3年間程度)製造・販売された竿です。
上の写真がそのスペシフィケーションを全て語っておりますが、長さは8フィート、製造番号はE94366、ハンドルはコルク、リールフィッティングは竿尻のキャップとリング、ジョイントはサクションで、リングはスネーク。このような米国竿と同じような軽量化を図った結果、重量は4オンス4ドラムとなっております。因みにリングは米国で言うガイドの事。米語と英語には一般語でも違いが有りますが、釣り用語でも少なくとも昔は違いが有りました。但し、少なくとも1990年代までは米国の影響は有ったにせよ英国或いは欧州大陸風の物言いや釣りの格好というものが残っていたのですが、21世紀に入ると欧州の毛針釣りも米国流にベースボールキャップを被る人達が圧倒的な多数になっているので、今は英語でもガイドと言うかも知れません。。。

さて、ハンドル(これは米語でグリップ)から見てみると段巻きも無く特段特徴の無い普通の竿。

中間部も特段大きな特徴は見えません。

トップリングは瑪瑙が入っておりザラザラのシルクラインの使用を前提にした設計になっております。リングの総数は8個です。

しかし、ハンドルはオールコルクでありますので調整は効きますが、私の手で基本遊びがない短さです。

リールフィッティングにアジャスタブル・リングとあるリングには製造番号が刻印されております。

バットキャップにはMade by Hardy's Englandの刻印。

ハンドル上部のインスクリプションは50年代の気負いの無い書体でH.E. Accuracy Palakona...と記載されております。

ラッピングは黒。通常のHardyの竿の様に二色を使う事も無く、競技用に徹した様な仕上げです。

同じ50年代製造、8フィートのPerfectionと並べて見ます。リングはどちらも8個。多少ズレはありますが、両方とも同じ様な場所にリングが配置されております。

ハンドルではPerfectionの方が長く作られ、汎用モデルである事を示しております。

ハンドルの上部以降の比較。H.E.Accuracyはバット部分がPerfectionよりも太くしかも軽く感じます。以前紹介のLRHモデル同様に松材とダブルビルトされているのではと推測致します。

トップ部になると両方とも同じ様な太さ。つまりH.E. Accuracyの方が竿全体のテーパーがキツくなっております。

然るに、テーパーの設計の違いもさることながらリングに大きな違いがあります。H.E. Accuracyのリングは軽量化を狙ったスネークですが、スネークを使った他のモデルのものと比べ一回り大型で太いスネークリングが使用されているのです。Perfectionのフルオープンブリッジと比べても引けを取らない大きさです。

トップ部分は太さ、リングとも両者収斂という感じで大きな違いはありません。
さて、H.E. Accuracyのアクションですが、パワフルなトップアクションという感じで、Perfectionの様な胴まで届きそうなユッタリとしたアクションとは違います。正確性競技用の竿だけあってトップは曲げ易く実戦でも15ヤードくらい先の場所を狙って毛針を置くのは朝飯前という感じで重宝しますし、また、手に持って非常に軽く感じます。
然し乍ら、パワフルな竿なので、小型のドライフライを使ったグレイリングの釣りでは魚をかけた後に慎重なやりとりをしないと外されそうな感じであり、虹鱒やフラウントラウト釣りの方が向いているというのが個人的な感想です。
また、実釣時には以前PhoenixのDT6だったものをコーティングを全て取り亜麻仁油のみで再生したもの、大体AFTM 5くらいのものを使いました。Perfection 8'はAFTMで言えば4程度が適正と思いますので、perfectionよりもH.E. Accuracyは強い竿ですが、それでも竹竿の包容力の広さもあり、AFTM 4でも十分使いこなせる竿と思います。

LRHロッドの精華

2018-11-25 11:57:29 | Hardy Palakona

Laurence Robert Hardy(LRH)はHardy Brothers創業者William Hardyの長男。創業兄弟WilliamとJohn James (JJ)が経営から退いた後、戦前から戦後にかけ1925年に竹のマシーンカットを開始する等、Hardy製品を更に革新すると共に、竹竿の歴史に名を残すLRHの名前を冠した新製品を特に戦後投入し、グラスロッドが全盛となる直前の竹竿の最後の輝きに大きく寄与した経営者、アングラーです。
多分戦前から構想されていたと思われますが、戦後1948年に英国で、1947年には輸出用として投入されたLRHの自信作がLRH Dry 8'9''、LRH Wet 9'3''、LRH Dry Wet 9'3''のシリーズです。
この''LRH Palakona rods''と銘打たれた三本は、LRHの長年の辛抱強いテスト、様々なプロトタイプ間の比較、調整の結果完成したもので、「LRHは彼がそれまで扱ったドライフライ用、ウエットフライ用の多くの竿の中で最高のものであると、断言している」と、当時のAngler's Guideは高らかに宣言しております。
今、チュニスの拙宅にはその三本が奇しくも揃っております。今年はその中のLRH Wetを中心に釣りをし、最後はLRH Dry Wetも投入しました。今回はそれらの竿についてちょっと述べさせて頂きたいと思います。

まず、LRH Dry 8'9''です。
この竿は公式には1948年から1971年まで製造販売された竿でLRHシリーズの中では一番のロングセラー。竿尻にはリバーシブルスピアーが仕込まれております。ラッピングは緑に赤の縁取り。

リングはフルオープンブリッジ。アメリカ式、或いはHardyのライトウェイトロッドに見られるスネークリングでは有りません。

銘は1950年代のチマチマしたインスクリプション。

竿尻にはH8462と1956年に製造された事が判ります。竿の重さは8'9''の重さに対し、5オンス2ドラム。1オンスは約28.3グラム。ドラムは1/16オンス。ですので、約145グラム。竿は太いトップを持ち、私の感覚では短く非常に強い竿。Angler's Guideは''Inclined stiff for dry fly. An all-round rod''とそのアクションを評しております。

次はLRH Wet。
この竿は公式には1948年から1950年の3年間のみ製造販売された極めて珍しい竿。ラッピングは赤に緑の縁取り。これは以前紹介のLoch Levenと同じ色の組み合わせで、ウェットフライ竿を表していると思われます。竿尻にはボタンもスピアーも無く、軽量化を主眼にした竿である事が見て取れます。

リングはスネーク。これも軽量化を狙って設計された事を物語ります。

銘は1950年代のチマチマとは少々異なっております。

それもその筈。製造番号はE51613と、第二次世界大戦が欧州で開始された1939年の製造となっております。公式には1948年からの製造販売ですが、1947年の輸出専用カタログにすでに記載されている等、どうも戦前には出来上がっていたものが、戦争勃発により本格製造販売が先延ばしにされたのかも知れません。
この竿は9'3''の長竿でありながら、重さは4オンス10ドラムと約131グラム。LRH Dryよりも6インチ長いのに14グラム軽量化されております。その秘密は、LRHシリーズが竹と松材のダブルビルドである事。バットとミドルセクションをダブルビルドで製造し軽量化に成功しております。
アクションは持つ手に軽く、トップはペナペナ。ドライフライを投げる時は、ペナペナのトップが力を入れると大きくお辞儀する事を念頭に竿を振る必要があります。Angler's Guideはそのアクションを''Easy, for wet fly, either to gut or hair''とし、繊細な先糸を使ったウェットフライの釣りに適していると評します。

最後はLRH Dry Wet。
この竿は公式には1948年から1957年の10年間製造販売されたもの。竿尻はボタンもスピアーも無く、LRH Wet同様軽量化を設計思想に置いた竿。ラッピングは緑に赤の縁取り。これはLRH Dryと同様です。

リングはスネーク。アメリカ竿と同様に軽量化を念頭にした設計。

この竿はDry Wetと言う様に、ドライフライにもウェットフライにも適した汎用竿とされておりますが、トップにはWetとDryと其々書かれたものが用意されており、ウェットフライの釣りにはこのトップを使う様に指定されている様子。

これはDryと記載されており、ドライフライ釣りの際はこのトップを使うのがよろしい様です。

銘は余りチマチマしていませんが、1960年代の踊る様な大振りのインスクリプションとも違います。

製造番号はE90785。1953年製となります。9'3''の長さで重さは5オンス。約142グラム。LRH Wetと同じ長さながら、11グラム程重いこの竿は振ってみるとLRH Wetよりも遥かに張りのあるアクション。LRH Dryよりは柔らかい竿ですが、強風の英仏海峡付近のチョークストリームでなければ、開けた大河でドライフライを振るにも適した万能竿と言えるでしょう。Angler's Guideによるアクション表示は''Medium for dry or wet. All-round''と万能なミディアムアクションとしております。

シルクラインの場合はAFTMシステムの様な厳密な重さはありませんが、LRH DryとLRH Dry Wetには35ヤードのNo.3 Corona Double Taper Line、LRH WetにはNo.2のCorona Lineが適しているとしています。ざっくり言って、LRH DryとLRH Dry WetにはAFTM6、LRH WetにはAFTM4が適切なラインと言うところでしょうか。上の写真のトップから見て取れると思いますが、真ん中のLRH Wetのトップが一番細く、一番下のLRH Dryのトップは太く、8'9''と一番短いにも関わらず重さも一番有り、英仏海峡の強風をものともしない強竿である事が判ります。一番上のLRH Dry Wetのトップの内、下がWet、上がDryですが、その違いは微妙なもので私には殆ど感じられないものであります。
LRHがリールはLRH Light Weightを使うべしと、バランスも吟味に吟味を重ねたこの自信作ですが、長く生き残ったのはLRH Dryのみ。プラスチックラインにも対応しようと思うと長い軽量竿では、嵩張るプラスチックラインを投げるための追加の強さが足りなかったためでしょうか?1957年にLRHはHardyの取締役会から離れますが、LRH Dry Wetはその年を最後にカタログから消える事になりました。

Hardy Continental Special 7' 7 1/2'' (B/Z 1971年2月製造)

2018-09-29 15:15:45 | Hardy Palakona

Hardyの竹竿は2本継でも3本継でも、大体二等分、三等分になるように設計されております。ところが、推測ですが、多分Pezon et MichelのSuper Parabolic PPPシリーズが英国でもFarlow'sやSharpe'sでの生産分も含めて人気を博した事も影響した為か、1969年〜72年にかけContinental SpecialというStaggerred Ferrule竿が市場に投入・製造されました。

大分以前に8'4''のContinental Specialを紹介しましたが、Continental Specialには他に7'7 1/2''、6'8''の二モデルがあり、計三モデルのContinental Specialが存在します。今回は7' 7 1/2''のモデルの紹介です。

以前紹介の8'4''モデルは緑の縁取りに黒の、Phantomと同じラッピングでしたが、7'7 1/2''モデルは黒の縁取りに赤のラッピング。Perfection、Gold Medalと同様なHardyの王道と言えるラッピングとなっております。これまた以前の話で、HardyのPalakona竿のラッピングは60年代末以降についてはアクションによって色分けされていたのではないか?という話があったと思いますが、それによると、赤ラッピングはどんな状況でも対応出来るアクション。ざっくり、目の高さで毛針をコントロール出来る竿、黒ラッピングは水面ギリギリまで毛針をコントロール出来る竿、緑のラッピングは目線よりも上から毛針を水面に落とす様な感じの竿だったように思います。確かに、Marvelの様な短竿はウェーディングしながらの釣りになるので、より水面に近い目線よりも高い所から毛針を水面に落とすという話は辻褄が合います。更に緑のラッピングの竿は竿先が細く、黒ラッピングのPhantomの様に水面に毛針を打ち付けるような投げ方をしても太い竿先のおかげで毛針がフワリと水面に落ちるという訳には行かないでしょう。
尚、Marvel 7'6''よりもちょっとだけ長いこの竿ですが、硬さは全く異なり、さすがPezon et Michelの様な設計の竿と思わせるアクション。Marvelの繊細さはありませんが、ラインを投げる能力はMarvelなんぞてんで問題にしません。テンポよく釣るにはこちらの竿の方が向いているでしょう。冒頭の写真は30cmくらいのグレイリング(ドイツ語でエーシェ)ですが、Marvelとは違いさっさと魚を揚げられました。

Pezon et Michel竿の様なバット部が短くティップが長いOne and Halfの設計。

実際に測ったところ、バット部が100.8cm、ティップ部が136cm。雄フェルールの部分を引くにしても32cmくらい長さに差があります。

竿尻にはゴム製のボタンがつき、アップロックでリールを装着。フェルールはシンプルなサクション。リングはオーブンブリッジではなく、スネーク。

60年代に再導入されたフックキーパーが付き、60年代の特徴である大振りで踊った様な字体のインスクリプションが施されております。

AFTMの番手は5番。これもHardyのこれくらいの長さの竿では中庸を行くもの。

ストリッピングは65年以降くらいの、簡素化されて製造コストも下がったであろうタイプ。

リングはスネーク。

トップは瑪瑙が入らないタイプ。完全にプラスチックラインの使用を前提に設計されております。

全景が撮影不能なのでとりあえず、ここで一枚。

更に一枚。

これは竿についてきたタグですが、1971年4月27日に27.70ポンドで売られたのかなと思わせる内容。リバプールのリチャーズというのは釣具店の名前でしょうか?面白いのは、1970年2月21日Hardy's Manchesterと読める消された記述に22ポンド17シリング6ペンスとの表記。1971年2月15日にポンドがそれまでの1ポンド=20シリング=240ペンスのシステムから10進法に変更された事情をうかがわせます。10進法では22ポンド87.5ペンスとなりますが、僅か1年ちょっとで21%超の値上げ。当時英国経済が振るわずインフレで大変だったとしても凄いものです。因みに、英国の1970年のインフレ率は6.4%、1971年は9.4%の様です。

Hardy L.R.H. Wet 9'3'' (E51613, 1939年製)

2018-03-24 12:58:40 | Hardy Palakona

Laurence Robert Hardy (1884~1958)はLRH Light Weightリールに今も名を残すハーディーの2代目経営者。1925年に竹の切削機を導入する等ハーディーの生産技術の向上、新製品の開発を先代以上に押し進めた方の様です。
そのLRHが第二次大戦後、竿、リール、ラインの全てのバランスを考慮し自信を持って発表したのがLRHシリーズのパラコナ竿。LRH Dry Fly、LRH Dry Wet、LRH Wetの3種が投入されました。LRH Dry Flyは戦前に発表された9'4''、リングは全てメノウという豪華版が軽量化された8'9''、LRH Dry WetとLRH Wetは9'3''。LRHシリーズのこの3本は、軽量化のために松材とのダブルビルト製法が取り入れられた画期的な製品であります。
今回はその中のLRH Wet 9'3''のお話です。

James Leighton Hardy氏の本、"The House the Hardy Brothers built"によれば、LRH Wetが製造されたのは1948年〜1950年の僅か3年間。LRH Dry Flyが1948年〜1971年の間製造されたのに比し極めて短命で終わったとあります。尚、LRH Dry Wetも1948年〜1957年の短命で終わったとあり、極めて珍しい竿になります。

このシリーズは軽量化がテーマ。従い、戦前の段巻き、スピア、フルオープンブリッジリング、といった重量を増す仕様は排除され、リングはスネーク。まるでアメリカンな感じの竿です。

以前、Loch Levenの投稿で述べましたが、ラッピングは緑の縁取りをした赤。どうもこれはウェットフライ用のラッピングではないかと思います。

名前の通り、LRH Wetはウェットフライ用に設計された竿。その調子は、Anglers' Guide上では、Easy, for wet flyとあり、胴から曲がる調子。強いて上げるなら、MarvelやPezon et MichelのSawyer Nymph竿の様な感じでしょうか。

また、9'3''の竿なのに、重さは4oz 10drm (131g)と驚異の軽さです。これは、LRH Dry Wetが5oz、8'9''と短いにも拘らず、LRH Dry Flyが5oz 2drmとより重いのに比べればその差が目立ちます。

手に取ってみれば、全体に細身で軽く、ライン重量で言えば、2番のシルクライン(AFTM 4〜5番程度)が丁度良いかという感じ。リングはスネークです。

トップはメノウリング。シルクラインの使用が大前提の仕様です。

製造番号はE51613、1939年製となります。これは、JLH氏の本の1948年〜1950年の間に製造という記述に合っておりませんが、どうも、第二次大戦前後の部分はJLH氏の本の記述に合わない竿の例が他にもあり、多分LRH Wetは1939年には製造が開始されていたものの、戦争のため、マーケティング等に問題が発生したのではないかと推測します。

グリップは私の手で全く遊びがありません。これは、以前紹介のLRH Dry Wetと同様に、最適バランスを実現するためのもの。

細身で長い竿なので、調子は胴調子。ミドルセクションのみならず、バットも曲がります。

竿のティップ部分のみを曲げる事も簡単です。これは、MarvelやSawyer Nymphと同じ感じです。

LRH WetとLRH Dry Flyの全景を比較してみます。

LRH WetとLRH Dry Flyのグリップ回り。LRH Dry Flyのリングはフルオープンブリッジです。

LRH Wetの竿先がLRH Dry Flyのものに比べ相当細い事が見て取れると思います。
この竿で強風の中ドライフライを使うのは無理だと思いますが、オーストリアのMur川のグレイリング相手の小振りなドライフライの釣りや、Etrachseeでのウェットフライの釣り等では大物の魚でなくとも楽しめそうな感じです。チュニジアに来てから、Marvelの胴調子の釣りにハマってしまったので、より長くて使い易いこの竿は重宝しそうで今シーズンが楽しみです。

Hardy Palakona Marvel 7'6'' H/J (1968年7月製)

2018-01-13 14:42:15 | Hardy Palakona

チュニスのHardy Marvelがもう一本増えました。上の写真の一番下の竿、製造番号H/J、1968年7月製のMarvel 7'6''です。

左から、E49054(1938年製)、E87715(1953年製)、E/S(1967年5月製)、H/J(1968年7月製)。

上から下に段々新しくなります。

左から右に段々古くなります。

1953年、1967年、1968年製造の竿のリングの位置はほぼ一緒です。

1938年、1953年、1967年、1968年の竿のトップのリングの位置はほぼ一緒です。

これら4本の竿のアクションはほぼ同じ。胴調子で、カーボンの短竿の様にピュンピュン振り回すような釣りは出来ませんが、この竿をゆったりと振ってドライフライを投げる釣りはそれは楽しいものです。また、大物がかかっても張りを残しながら胴まで大きく曲がり大物を弱らせる竿で、自信を持ってやり取りの出来る竿であります。
但し、7'6''という短竿でかつ胴にかなりストレスがかかるアクションなので、多分ミドルセクションはそうしたストレスに耐えられるような設計になっているものと思います。1938年製、1953年製とも、ミドルセクションは多少重めになっているように感じますし、バーニッシュもトップ、ボトムとは違うように思えます。

さて、上は1968年製の竿のインスクリプションです。#4となっていて、AFTM 4番のラインを指定しております。

一番下にはH/Jと手書きで描かれ、1968年7月(H=7月、J=1968年)に製造された事を示しております。

こちらは、1967年5月(E=5月、S=1967年)製の竿のインスクリプション。ラインは# 4/5を指定しており、そこから1968年製の竿より強めのアクションかと思ってしまうかも知れませんが、両方を振ってみると全然そんな事はありません。両方の竿とも、プラスチックラインでしたらAFTM 4番、或は3番のライン、シルクラインでしたら、4番〜5番が一番楽しめそうな感じがします。
因に、1967年製、1968年製の竿の間にトップ、ミドル、ボトム夫々のセクションの互換性があるかと思ってチェックしましたが、1968年製の竿のフェルールは1967年製のそれらより口径が大きく、合いませんでした。また、1953年製の竿のフェルールは1967年製のものより口径が小さく、更に1938年製の竿のフェルールは1953年製のものより更に口径が小さい事が判りました。年代が下がる毎に口径の大きなフェルールを使っているという事になります。

一番下にE/Sと描かれております。

これは、1953年製の竿のインスクリプション。

上は1938年製のインスクリプション。

さて、何故またMarvelが増えたのか?ですが、北米の某オークションの案内がある日メールで来まして、落札出来ないだろうと思いつつ安めのビットをしたところ落札してしまったというのが理由。更に、新品のPezon et Michel Parabolic Ritz 8'2(1975年製)も落札してしまい、ビックリしてしまいました。日本の実家に送ってもらい年末年始の一時帰国時にスーツケースに入るMarvelのみを持ち帰ったものです。英国では中々Marvelは出物が無く、また、出ても高いのですが、北米では英国よりも出物が多く、そのため価格も安めです。Marvelを探している方は北米のオークション等をチェックしてみては如何でしょうか。

Hardy Loch Leven (Special) H34617 (1960年製)

2017-04-09 14:26:11 | Hardy Palakona
Loch Levenは1929年から1939年まで製造された湖でのウエットフライ釣り用の竿。James Leighton Hardy氏の著書"The House the Hardy Brothers built"によれは、11'6、12'6の3本継の竿となります。
そのLoch Levenの名を冠した10'の2本継のパラコナ竿を英国から先日入手してしまいました。製造番号H34617ですので、1960年製。Loch Levenの後に"(Special)"と銘が入っておりますので、特注品か特別復刻版と思います。

ロンドンの宿に届けられたこの竿はグリップにプラスチックは巻かれておりませんでしたが、新品にしか見えない状態の竿です。

さすがに、10'の2本継ですので、全体像を写すのはちょっと無理です。

赤い段巻きが施されておりますが、リングのラッピングは緑のシルクでティッピングされております。この色の組み合わせは他の竿には見られないものです。
(追記)1939年製のLRH Wet 9'3''で同じ様に緑のシルクでティッピングされた赤のラッピングの例がありました。これはウェットフライ釣り用の竿独自の仕様なのでしょうか。

メタル部品は未だピカピカ。今年で57歳とは全然思えません。

フェルールはHardy独自のロックファスト。使用中にフェルールが外れる事はありません。

フルオープンブリッジ。

2本継の竿は通常は替えトップが付いて来ませんが、特別製造なのか2トップとなっております。

竿袋は流石に57年の歳月で色あせております。

銘にはLoch Leven (Special)とあります。

1960年代のパラコナ竿の銘は大振りで踊ったような手書きになりますが、これは未だ1950年代に記銘していた担当の方のマニュスクリプトのように思えます。

しかしながら、1950年代のパラコナ竿には通常見られないフックキーパーが付いております。

ピカピカの竿尻には製造番号H34617と刻印されております。

コルクグリップの上の方にはバーニッシュが広がっております。
この竿の調子ですが、ロッホスタイルの釣りの竿と言えばイージーアクションの竿と思うのですが、さにあらず。新品で未だ張りが強い事もあろうと思いますが、Gold Medalの様に胴調子でありながら、ティップのみを曲げる事も容易で、先日ご紹介したPezonのSawyer Nymphと同じ様な調子です。従い、ドライフライにもウェットフライにも今の状態であれば使えそうです。またライン番手は記載されておりませんが、AFTM 5〜6番が合うのではないかと思います。最も、竹竿の場合は許容範囲が広いので、AFTM 4でも7でも使えると思います。

さて、昔Phantom 10'の記事のところで、HardyのRod Pattern Numbers Bookに触れました。このノートはHardyが過去の同社製の竿の仕様を将来に亘って残す為に自社で保管した基準竿をリストアップしたものです。

それを広げると、1番〜25番までがサーモン竿、26番〜143番が毛針竿(鱒竿)となっております。

更に鱒竿の一番、26番はLoch Levenの10'、2本継の竿で、1969年7月3日に基準竿が登録されております。

冒頭のJames L. Hardy氏の本ではLoch Levenな11'6"、12'6"の3本継の竿となっているのですが、11'6の3本継は基準竿であるものの、10'と10'6''は2本継の竿が基準竿となっており、1939年と1969年の間に何か仕様の変更か或は特別復刻製造がされたのか、何らかのイベントがあったような雰囲気です。本竿はその確たる証人という事でしょうか。
(追記)1935年のアングラーズガイドにLoch Levenに10'と10'6''が追加されたとありました。
10'の2本継ですので、飛行機で運ぶのは追加料金がかかる可能性があり面倒そうですが、オーストリアでの釣りに連れて行ってやりたいなと妄想しております。

Hardy Palakona Fairy 9' E41354 (1937年製)

2017-02-05 18:59:57 | Hardy Palakona
鱒釣りとは遠く離れたチュニジア。ですが、竿はだんだんと増えていきます。
Hardy Fairy 9'を落札する気が殆どないにも拘らず、適当な金額で入札だけしてみたら、落札してしまいました。チュニジアに直送は、問題の多い当地税関で確実にストップされて、その後どうなるか分からないので、確実な第三国に送付してもらい、そこに立ち寄った際に持ち帰るというちょっと面倒なステップを経て、この竿は昨年当地にやって参りました。
Fairyはあの「老人と海」でカジキマグロと老人の死闘を描いたアーネスト・ヘミングウェイの愛竿だった事でも有名な竿。ヘミングウェイは元々フライフィッシャーで、ロンドンに立ち寄った際、ハーディーでFairyを買い求め、それでアメリカを釣り歩いたのですが、以前読んだ話では、愛竿等一式を列車で送ったところ紛失してしまい、それでフライフィッシングを一切止めてしまったとありました。
ところが、この記事を書くに当たりネットを見回してみたところ、フライフィッシングを止めてしまった後、息子とアイダホで一回フライフィッシングをしたそうで、その際にFairyとJ.J.Hardyを使ったと息子が言っているとありました。
ヘミングウェイはFairyにウェットフライを三本付けた仕掛けて釣りを楽しんだそうです。

さて、そのFairy。三本継でトップセクションは二本。曲がりも反りもなく、今年で80歳になるとは思えない状態です。

緑の段巻きが施され、グリップは戦前の竿の特徴である先細り。

トップとバットのリングにはシルクライン使用を前提に瑪瑙が填められております。

光の関係で見えないですが、製造番号E41354がプリンスオブウェールズの紋章の横に刻印されております。

ちょっと長めのリールフットをもった1912年チェックのPerfect 3 3/8リールもちゃんと装着出来る設計です。

銘は戦前の手書きです。

上にFairyと書いてあるのが判ります。

先端部です。

トップのリングの瑪瑙のアップです。

その他のリングはフルオープンブリッジ。ザラザラのシルクラインが竹竿に触れないように設計されたものです。

フェルールは低コストのサクションジョイントです。

こちらは雄ジョイント。

リールフットはグリップ下のハウジングと二つのパーツより構成される可変式のリールホルダーで固定します。
同じ9'でも、手持ちのCC de Franceよりも強い竿ですので、強風が吹くノルマンディーで使うのに良いかも知れません。また、オーストリアの河川でも活躍する事でしょう。

これは、Frank Elder氏のハックル。1月で父君の残されたオールドイングリッシュゲームコック(OEG)のハックルの販売を止めるので興味があるなら発注して欲しいと娘さんからメイルを頂き、ダン系を中心に最後の発注をしたものです。これまでのコレクションと合わせこれで一生OEGのハックルに困る事は無いでしょうが、残念な事であります。

Hardy Marvel 7'6'' (E87715 1953年製)

2017-01-15 12:51:30 | Hardy Palakona
チュニスの拙宅に新しいHardy Marvel 7'6''が加わりました。
製造番号E87715、1953年製のMarvelです。

3ピース、2トップ。グリップはオールコルクがMarvelの仕様。

コルクは洗ったのか汚れが付いておりません。

導入当時からMarvelには段巻きはありません。1960年代半ばまで段巻きされたタイプがHardyの竿の主流でした。

製造番号はリールを固定するリングに刻印されております。

雄フェルールは接着されただけ。ピンで固定されておりません。

トップとバットのリングには瑪瑙があしらわれております。ザラザラのシルクラインを使う前提での仕様。

グリップ上の銘はRegd Trade Mark Palakona The 'Marvel' と50年代までのチマチマした字体で記入されております。

これで、チュニスの拙宅のMarvelは3本になりました。上から夫々、E49054、1938年製、E87715、1953年製、E/S、1967年5月製の竿になります。計測機器がないのであくまで感覚的な比較ですが、3本の中で1938年製が一番軽く、1953年製、1967年製は重さに差を感じません。
アクションは、全てがミドルセクションから曲がる胴調子ですが、1953年製の竿は振り方によりトップを他の2竿よりも曲げる事が可能で、繊細なティップを持っているように見受けます。日本の渓流で近距離に毛針を早いテンポで打ち込むような釣りにも合っているかも知れません。
また、1938年製、1953年製の竿ではミドルセクションがどうも他セクションに比較し固くて重い感じがします。胴調子で一番負荷がかかるミドルセクションに特別密度の高い竹を使ったのでしょうか。私は所有しておりませんが、昔読んだ話でHardy White Wickam Fairchild (8' 3pcs、1925年〜1939年製造)のミドルセクションにはスチールセンターが入っているとありました。Marvelも同じ1925年に導入されておりますが、胴調子の竿で一番負荷がかかるミドルセクションを強くするための方策がWhite Wickam Fairchildのスチールセンターであり、Marvelは密度の高い竹の使用だったのかも知れません。

グリップ側の写真。よく見て頂けるとお判りになると思いますが、1953年製と1967年製の竿ではリングの位置がほぼ同一であるのに対し、1938年製のものはリングの位置が違っております。それもその筈、1938年製のMarvelのリング数が8に対し、1953年製、1967年製の竿は9つのリングとなっております。1920〜1930年代のHardyの竹竿はリングの数が後年の竿よりも全般に少なくなっておりますが、Marvelでも同様のデザインの違いが見られます。

トップ側の写真。

1938年製のミドルセクションの雄フェルールを見て頂くと、フェルールにピンが打ち込まれているのが見て取れます。戦前の接着剤の性能は限られていたため、フェルールを接着した後、ピンを打ち込んで抜けなくしてあるのです。

1953年製のものにはピンは既に打ち込まれておりません。

1967年製のものも同様。接着剤の性能に対する信頼・自信の現れです。但し、戦後の竿であってもフェルールが外れたりする事がありますので、何事も過信は禁物と言ったところでしょうか。

30年代、50年代、60年代夫々のMarvelの勇姿。オーストリア・ドイツの山岳渓流の釣りが可能になる6月が楽しみです。

Hardy Perfection 8' (H8361 1956年製)

2016-09-17 14:53:11 | Hardy Palakona
竹竿はもう要らないのですが、先日また入手してしまいました。
英国出張時、ホテルに届いたそれはHardy Perfection 8', 製造番号H8361、1956年製のパラコナ竿です。

PerfectionはHardyの竹竿の代表選手。2本継の竿で11フィートまでラインアップされておりましたが、8フィートはその中で一番短いモデルとなります。入手した竿はアルミ製のスピアが仕込まれた特注品です。ところが、このスピア、60年の年のせいか、固まってしまっており抜けません。

トップリング含めたリングの総数は8個。

比較のため、製造番号H16943、1958年製のPerfection 9'と並べてみます。

9'のものは2年若いのですが、良く使い込まれているので、グリップも8'に比較し痩せて色がついており、アクションも8'よりもしなやかな感じがします。逆に言えば8'は未だ未だ使い込まれていない発展途上の竿のように感じます。

9'は1フィート長いだけですが、リングの数は10個と8'に比べ2個も多くなっております。トップセクションのリングは9'が7個に対し、8'は6個、バットセクションが9'は3個に対し8'は2個。所謂ストリッピングガイドとグリップの間隔は9'が33.7cmに対し8'は45.6cmもあり、ホールをかけてシュートするような投げ方により適しております。

8'の調子はやはりPerfectionシリーズの調子。太いトップですが、7・3調子という感じでトップが粘り強さを感じさせつつも(もったり感?)曲がり、更に力を加えると徐々に胴の方まで曲がってくるものの、Gold Medal程には胴調子ではないアクションです。
9'は長年使い込んできた竿で投げるに良し、魚もブラウントラウト、虹鱒、グレイリング、アルプスイワナ、山女魚、岩魚、その他の魚とこれまでどんな魚でも安心して取り込んできた竿ですので、8'もそういうものと思ってました。



それで、イスラム教の宗教祭日犠牲祭の連休を使ってオーストリアのMur川にドライフライでのグレイリング釣りに行った際、一番最初に使う事にしました。車はオペルのコルサ。

Kaizerの2番(AFTM 5程度)をSt. George Juniorに巻き込んでPerfection 8'を使い、Mur川の流れが多少緩く水深がある川の中心部に16番のドライフライOrange Quillを浮かべると、グレイリングが水底からスーっと上がってきて毛針をゆっくりと咥えます。
やった!と合わせて、St. George Juniorの逆転音を聞き、Perfectionの竿先がギュギュと曲げられるのを楽しんだのですが、グレイリングのジャンプとノシで、途中で毛針が外れてしまいました。
それを合計4回も繰り返してしまい、ちょっとこのPerfectionは愛用の9'に比べて固いなと思わされてしまいました。
写真は漸く取り込めたドライフライでかけた5匹目のグレイリング。60歳でも未だ未だ若いPerfectionをこれからもっと使い込んで固さをほぐしてやりましょう。

Hardy Marvel 7'6'' (E/S 1967年製)

2015-09-24 17:23:01 | Hardy Palakona
9月の中旬、一時帰国の機会がありました。その際パラコナ他竹竿を預けてある実家から1967年製のHardy Marvel 7'6''をチュニスまで持ち帰りました。今年手に入れた1938年製のMarvel 7'6''と比べるためです。



二本のMarvelを繋いで並べ立てかけてみると、1938年製の方がグリップが長いことが目立ちます。



リングの数は1967年製が9個に対し、1938年製は8個。これは他の戦前の竿もリングの数が戦後のものより少ないので特段違和感はありません。尚、1938年製のMarvelの日本のトップの内、一本はフェルール側が1インチ短くなっております。トップが折れて短くなるケースは多いですが、フェルール側が短い理由は如何なるものなのでしょうか。尚、短いトップの雄フェルールはピンが打ってあり、もし修理されているとすればHardyが修理したものと想像致します。



さて、パラコナで良く言われていること、「戦前の竿は戦後の物に比べ細い」という点につき、測定器具が無いのであくまで五官で感じる範囲の話と聞き流して頂きたいのですが、バットの太さ、トップの太さに違いは感じられません。一点ミドルセクションが1938年製の方が細く感じられます。但し、重さの点では1938年製のミドルの方が1967年製の太く感じられるミドルより重いように感じます。ひょっとしたら1938年製のものにはスティールセンターでも入っているのでしょうか。



トップからバットまでのリングの間隔を比較してみますと:

1938年製:
1.-2.: 9.8cm
2.-3.: 12.2cm
3.-4.: 17.7cm
4.-5.: 21.2cm
5.-6.: 26.6cm (14.2cm/ferrule/12.4cm)
6.-7.: 38.0cm
7.-8.: 40.5cm (26.0cm/ferrule/14.5cm)

1.-8.: 166.0cm

1967年製:
1.-2.: 10.4cm
2.-3.: 12.0cm
3.-4.: 17.2cm
4.-5.: 21.3cm
5.-6.: 23.8cm (14.8cm/ferrule/9.0cm)
6.-7.: 26.5cm
7.-8.: 27.9cm
8.-9.: 29.0cm (12.6cm/ferrule/16.4cm)

1.-9.: 168.1cm

つまり、1967年製のMarvelにはミドルセクションにリングが一つ多く配置されております。アクションはどちらも胴調子でミドルセクションに負荷がかかるもの。短竿でティップアクションの竿はティップが折れ易くなりますが、Hardyは竿の耐久性を考えてこの短竿Marvelの調子を敢えて胴調子にしたものと推測致します。そのため、負荷の中心になるミドルセクションには固めの竹、或はスティールセンターを入れて補強し、1967年製の竿ではリングの数を増やした、というデザインにしているのではないでしょうか。


グリップは1967年製が19cm、1938年製が20cmと新しい方が短くなっております。また、グリップ自体も1967年製の方が1938年製の竿より細めの作りになっております。



1967年製のインスクリプションは60年代のパラコナの特徴である大きな字体で踊るような文字になっております。また、AFTM表示で4/5とも記載されております。



1967年製のMarvelにはフックキーパーが付きますが、1938年製のものにはありません。但し、竿よりも長いリーダーを使う場合、フックキーパーを使うのは感心しません。フライラインとリーダーの結び目がトップリングよりもリール側に来てしまい糸を出す際ティップを痛める可能性があるからです。従い、毛針はバットの次のリングに掛け、リールにリーダーを回し、フライラインが必ずトップより出るようにしております。





バットリングは1967年製も1938年製もメノウが入ったものですが、1967年製造の方は60年代後半のより製造コストが少なそうなタイプのものとなっております。





トップリングは、1967年製のものはプラスチッックラインの使用を前提にメノウ無しのもの、1938年製のものにはメノウが入っております。





フェルールですが、前回1938年製Marvelの際触れましたが、1938年製のものはピンが入り物理的にフェルールが抜けないようになっております。一方、1967年製のものはピンが打ち込まれておらず、接着剤で竹とフェルールを付けただけとなっております。製造コストを下げるには良いでしょうが、接着剤が劣化してしまうと、何時フェルールが抜けるか分からない事態にもなり得ます。



この二本のMarvel、1967年製の方がプラスチックライン前提のデザインのためでしょうか、同じ胴調子でも戦前のMarvelよりも少々もったりした感じです。それでもこの新しい方の竿も鱒をかけるとぐいっと胴まで曲がり引きを楽しめる竿であることは変わりません。
欧州も既に秋、折角北アフリカまで長旅をして来ても、新入りには来年まで出番が回ってこないでしょうね。