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思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Marvel 7'6'' (E49054, 1938年製)

2015-06-21 12:25:35 | Hardy Palakona
Hardy Marvelは1925年より1970年まで製造され、その後も復刻版が製造される等、Palakonaの中でも今に至る迄人気の高いモデルです。
製造当初はCC de Francen等例外を除き、殆どの鱒竿が9'以上の中で、極めて短く軽い特異な竿として導入されたのではと想像致します。


3本継で2トップ、戦前の竿ですが段巻きのないところも特異な竿です。


グリップはオールコルク。バットエンドのキャップ、リングでリールを固定します。


Wrappingはグリップ直前、フェルール前後、トップリングが緑の他は、各リングの物は透明です。これは全て緑で巻かれた60年代の物との違いです。


ミドルセクションの色が他のセクションのものと違っているのがお分かりでしょうか。


製造番号はE49054。1938年製となります。


戦前の銘。小振りな文字で60年代の大きく踊るような文字とは全然違います。




さて、上の写真二枚はミドルセクションと他のセクションの色の違いを写したものです。このミドルセクションですが、どうも比重が高い様に思われ、持ってみるとバットセクションよりもひょっとしたら重いかもしれないと思える程です。


フェルールはただ接着されているだけではなく、ピンを打ち込んであり物理的に抜けなくしてあります。ひょっとしたら別のエントリーで説明する事になるかも知れませんが、これは、非常に重要な点です。






リング周りの巻きの色です。戦後60年代のものとは違って竹色にとけ込んでおります。


さて、ここからが面白いところです。アクションは、張りのあるミドルアクションです。これだけの短竿でカースティングの際はその短いミドルセクションに主に負荷がかかる事より、ミドルセクションが強くなければすぐに折れてしまうのではないでしょうか。それが、ミドルセクションの比重の重さ、バーニッシュの違い(色の違い)に現れているように感じます。また、1950年代以降のペナペナ・アクションのMarvelとは違い、しっかり張りのあるアクションです。これは先日ロンドン近郊で拝見した1953年製のMarvel 7'6''のペナペナ・アクションとの大きな違い。1953年製のMarvelはバットセクションも良く曲がる感じでしたが、1938年製のものはバットがよりしっかりしているように思います。戦前の性能の限られた接着剤で短いセクションを絶えず曲げているとその内接着が剥離して折れてしまう可能性が心配されます。それをトップ、バットセクションよりも一段強いミドルセクションを組み合わせる事で解決したのでしょうか?それが戦後になり接着剤が強くなったためデザインを変更しバットから曲がるようなペナペナ・アクションになったのでしょうか。。。興味のあるところです。
この竿、ちょっとした縁ではるばるチュニジアまでやって来たもの。チュニスの7人の侍が8人に増えてしまいました。

Hardy L.R.H. Dry Wet 9'3'' (E90785, 1953年製)

2014-08-23 14:59:18 | Hardy Palakona
Laurence Robert Hardy(LRH)はHardy Brothers創業者兄弟William Hardy(兄)、John James Hardy(弟)の兄の息子として1884年に生まれ、1958年に亡くなるまで、プロフェッショナル・キャスター、Hardy Brothersの経営者として活躍した方です。
二代目経営者として様々な革新を持ち込みそれは、今日の製品にもLRH Light Weight Series Reelにその名を留めております。
そのLRHは自身の名を関したパラコナ竿を幾つも世に問うております。
最初は1928年に登場したLRH Dry Fly。最初は9'4''で登場し、段巻きを纏い、全てのリングにはメノウが使われた重厚なドライフライ竿でしたが、1948年以降は8'9''と短くなり、段巻きもなく、リングも通常のものに変わっております。
その1948年に登場したLRHの名を冠した別の竿に、LRH Wet、LRH Dry Wetがあります。


私の手元にあるのはLRH Dry Wet 9'3''。この竿は1948年から1956年の8年間と短い期間に製造されたもの。3ピースでトップセクションは2つと一見通常のHardyの3本継パラコナ竿です。


この竿が普通の竿と違うのは、トップの1本はドライフライ用、もう1本はウェットフライ用と用途が分かれたトップが夫々付いている事。

段巻きもなく、モダンな感じの竿です。


また9'3''という長さの竿にしては、軽く感じるのも直ぐ判る特徴。重さは5ozとより短い8'9''のLRH Dryの5oz 2drmより2drmも軽くなっております。カタログは沈黙しておりますが、その秘密はバットセクションとミドルセクションに竹とパイン(松材)のダブルビルとを採用した事。竹より軽いパインを使う事で重量削減を実現しているのです。


私の竿は1953年製。緑のラッピングに赤の縁取りがされております。これはLRH Dryと同じ色使い。


リングはスネークが採用され、軽量化を狙った事が判ります。この時期にはプラスチックラインも誕生し、シルクラインの様にザラザラしたラインが竿を痛める懸念が無くなった事も反映しているのかも知れません。


ちょっと見え難いのですが、これはウェットフライ用のトップ。先端がドライフライ用よりも細くなり、繊細なトップを持った3本継竿になっており、水中のアタリを感じ易くしております。


これはドライフライ用のトップ。ウェット用に比べ太く、竿を振ると先調子ではなくパラボリックというか竿全体が曲がる感じです。


このLRH Dry Wetに合わせるリールとして推奨されるのが、Light Weight Reel 3oz 8drm。そこに35yrdのFillip No.2ラインを合わせ20yrdのシルクバッキングを加えると合計で9oz15drm。この総重量を一番軽く感じる絶妙のバランスを実現出来るよう、コルクグリップは非常に短く遊びはありません。LRH Dry Wetのグリップ長14.5cmに対し、1962年製のLRH Dry 8'9''のグリップは17cmあります。


リールシートも下のLRH Dryのものより短く遊びを排除した作りになっております。




これはLRH Dry Wetのグリップ。遊びは全くありません。


それに対しこればLRH Dryのグリップ。通常のHardyパラコナと同じように随意にグリップ位置が選べます。

このLRH Dry WetはLRHが絶対の自信を持って世に出したものだったのでしょうが、その絶妙なバランス感は世の人に広く受け入れられなかったのでしょう。製造は8年間で打ち切られ、極めて稀な竿になってしまいました。

Phantom 9'の二本継ぎと三本継ぎ(H57872, H60958, H61356)

2014-06-15 14:48:21 | Hardy Palakona
土曜日は寝坊し、今日はサッカー日本代表の初戦コートジボワール戦。週末は結局釣りに行けませんでした。
そんな日曜日の午後、2010年11月27日の記事の通り、私の手元に9'のPhantomがもう一本ある事を思い出し二本継ぎの2本と比べてみる事にしました。

前の記事の通り、二本継ぎのPhantomに比べ、三本継ぎのものはリングがトップに寄っているのが特徴です。私はロッドデザインを知りませんので推測でしかありませんが、三本継ぎでも二本継ぎと同じ様なアクションを目指したものか、はたまた、Delux 9'とほぼ同じ配置である事をみると、当時の9'三本継ぎのスタンダードデザインだったのか。。。


暇にまかせ、トップリングからグリップまでの各リングの先端の間隔を測ってみました。

H57872(1963年製、三本継ぎ)

Top Ring - 2. Ring: 11.0cm
2. Ring - 3. Ring: 13.1cm
3. Ring - 4. Ring: 15.5cm
4. Ring - 5. Ring: 17.7cm
5. Ring - 6. Ring: 20.5cm
-------------------------Top Section
6. Ring - 7. Ring: 21.5cm
7. Ring - 8. Ring: 31.5cm
8. Ring - 9. Ring: 33.5cm
-------------------------Middle Section
9. Ring- 10. Ring: 41.8cm
10. Ring -Grip End: 44.0cm
Gripの長さ: 26.5cm

H60958(1964年製、二本継ぎ)
Top Ring - 2. Ring: 12.5cm
2. Ring - 3. Ring: 14.5cm
3. Ring - 4. Ring: 17.0cm
4. Ring - 5. Ring: 19.9cm
5. Ring - 6. Ring: 21.3cm
6. Ring - 7. Ring: 30.1cm
-------------------------Top Section
7. Ring - 8. Ring: 33.6cm
8. Ring - 9. Ring: 29.4cm
9. Ring- 10. Ring: 35.8cm
10. Ring -Grip End: 35.8cm
Gripの長さ: 25.8cm

H61356(1964年製、二本継ぎ)
Top Ring - 2. Ring: 12.7cm
2. Ring - 3. Ring: 14.5cm
3. Ring - 4. Ring: 17.0cm
4. Ring - 5. Ring: 19.5cm
5. Ring - 6. Ring: 22.3cm
6. Ring - 7. Ring: 29.6cm
-------------------------Top Section
7. Ring - 8. Ring: 33.1cm
8. Ring - 9. Ring: 29.2cm
9. Ring- 10. Ring: 36.0cm
10. Ring -Grip End: 36.8cm
Gripの長さ: 25.3cm

面白いのは、三本継ぎの方はリングの間隔がトップからグリップにいくに従い広くなっていくのに対し、二本継ぎの方はトップから8番と9番目のリングの間隔が、6番・7番、7番・8番の間の間隔より急に狭くなっている事。その理由は私には全く判りませんが、ロッドデザインを理解されている方の参考になれば幸いです。


上二本の二本継ぎには9FTと書いてますが、三本継ぎには竿の長さの記載はありません。

Hardy Hollokona Phantom 9' (H60958とH61356, 1964年製)

2014-02-09 16:07:18 | Hardy Palakona
古い竿は自分でも分からなくなる程ありますので、もう新しく入手する必要はないと思っておりますが、先日インターネットのオークションでPhantom 9'が出ていたのに妙に気を惹かれて落札出来ないのを覚悟で応札したところ、思いもかけず落札してしまいました。
それが、Phantom 9' (H60958)です。
最近では昨年の会津大川と、歴戦に参加したPhantom (H61356)と同じ1964年製の竿ですが、状態が非常に良く、まだ振りこなされていない、固い調子の竿です。また、どうもバット部分がH61356よりも太い様な感じもします。
そこで二つの竿を並べてみました。するとバット部分が違っているのに気がつきました。写真の下が、H60958(新入り)、上がH61356(古株)です。


コルクグリップの長さはH60958: 25.6cm、H61356: 25.2cmと4mm相違があります。


リールシート部分は、H60958: 8.5cm、H61356: 9.0cm。




コルクグリップからバットリング迄の間隔はH60958: 35cm、H61356: 36.5cmとまた相違があります。








バットセクションは先端までH60958はH61356よりもリングがグリップに近く取り付けられております。


トップセクションではバットのような違いはありませんが、ティップから二番目、三番目のリングのラッピングがH60958ではH61356よりも狭く巻かれております。四番目のラッピングからはほぼ同じ巻き幅になっております。








同じ年に製造された同じモデルではありますが、コルクグリップからリングの位置にこうした違いが見られるのは所謂製造時の誤差なのか、或は、途中で設計に変更が加えられたからなのか、興味深いものです。
この違いは実際の釣りを通じてその理由を感じるしかなさそうです。

Hardy Perfection 8'6'' (E1725 1925年製)

2012-12-02 06:31:24 | Hardy Palakona
この前のHebrideanと同じで、久しぶりに竿をゴソゴソ見てみたら出て来たのがPerfection 8'6''です。これは何時入手したか良く覚えておりませんが、9'のPerfectionに比べかなり華奢な感じがしたため中欧での釣りには使わず今に至っております。製造番号はE1725、1925年製です。試しに他のPerfection 9' (H16943 1958年製、L/J 1969年11月製)と比べてみました。




バットからブリップの一番上までの長さは1925年製:12インチ、1958年製:10 6/8インチ、1968年製:10 6/8インチとなっております。一方、グリップのコルク部分のみ比較すると1925年製:7 1/8インチ、1958年製:6 7/8インチ、1968年製:7インチと、1958年製のグリップが一番短くなっておりました。


Perfectionのジョイントですが、1925年製はスパイク付きのロックファスト、1958年はロックファスト、1968年は普通のサクションとなっております。
一方、リングの数ですが、1925年製、1958年製ともども10個ですが、1968年製になると9個になっております。バットリングの位置が竿先に近くなっている事が違いです。もともと、DTを使いラインを十分伸ばして毛針を置く竿の場合バットリングはグリップに近いところにあり、WFを使いシュートする釣りをイメージした竿はバットリングが竿先に近くなるという事をどこぞで伺った事がありますが、1968年製のPerfectionになると、プラスチックライン使用を前提に色々な変更が加えられたのでしょうか。

Hardy Hebridean 13'9'' (E11809 1928年製)

2012-11-25 12:32:26 | Hardy Palakona
パラコナを全部で何本持っているのか正直よく分からなくなっております。殆どはシングルハンドで日本でも使えるものですが、日本で使うのは場所を選ばないと難しい大物竿も所有しております。
今日、久しぶりに竿をゴソゴソ見てみたところ、出て来たのがこの竿、Hebridean 13'9''です。



Hebrideanというのはスコットランドの更に北西にある島々Outer Hebrides、Inner Hebridesのゆかりの名前で彼の地の鮭・シートラウト釣り用に開発された竿と理解しております。最果ての荒涼としたところの様ですが、今から10数年前にTrout and Salmon誌にそこの地主貴族の娘さんが地元の釣りを紹介していたような記憶があります。
HardyのHebrideanは1925年から1956年まで製造された竿。この時期にカタログ入りした竿にはMarvel (1925年~1969年)、AHE Wood (1926年~1969年)、LRH Dry Fly (1928年~1971年)等があり、Hardyが竹の切削機を1925年に導入した後、世に問うたモデルの一つです。


この竿にはフェルールのプロテクターが全て揃って付いております。スパイク付きジョイントのプロテクターは木製のもの。


ジョイントは弛みが致命傷になる鮭釣り用にロックファストが採用されております。




リングは20年代までの竿に見られる竿に対し斜めに付けられたオープンブリッジです。


プラグは通常のもの。


トップリングは赤メノウと普通のメノウが付けられております。


アクションは適切な表現か分かりませんが、ゴールドメダルの様な胴に乗ってくる伝統的な調子で、Wye 11'の様な先調子とは違うものです。
この竿は13'9''ですが、かなりの重量がありグリップも半端な長さではありません。11'のWyeとグリップを比べてみるとその長さがお分かりになろうかと思いますが、Wyeの17.5インチに対し、Hebrideanは24インチもありました。
手に入れてからまだ一度も実釣に使用しておらず、竿に申し訳ないのですが、暫くスコットランドに鮭釣りに行く機会は無さそうです。

Hardy Wye 11' 3pcs (H56953 1963年製)

2012-03-10 13:30:56 | Hardy Palakona
いつかはこの話題も尽きる時が来る筈ですが、3月の解禁を迎えてもこの天候と釣行に行く機会がない事より、今回もパラコナの話題を一つ。
Hardyの鮭釣り用毛針竿の中でWyeは最も有名なものの一つでしょう。
第一次世界大戦が勃発した1914年から1978年まで製造され、鮭釣り用の竿の中では最も最後まで製造されております。
仕様は、2本継と3本継があり、10'6''から13'の長さとなっております。
そのアクションはというと、以前ご紹介したAHE Woodが多少胴調子なのに比べ、ハーディーの伝統的な調子とも言えるような調子、つまりパーフェクションの様にトップから徐々に曲がっていくが、バットはしっかりしているので、胴まで曲がる事はない様な調子になっております。そのため振ってみてもAHE Woodよりは手に軽くシングルハンドでも余り疲労を感じない竿です。
私の竿は11'の3pcs。Wyeの中では余りお目にかかる事の出来ないライトロッドの3pcsです。

I do not think I can give you something new among my Palakona rods in this blog for so long, but, for I could not go fishing so far after the beginning of this fishing season, I would like to mention one of them this time as well.
Many would agree with me that ''Wye'' would be one of the most popular bamboo salmon rods Hardy Brothers made.
It was introduced in 1914 when the First World War broke out and continuously manufactured until 1978 as the last bamboo salmon rod of Hardy Bros.
''Wye'', according to the book of Mr. J.L.Hardy, is either in 2 pcs or 3 pcs, with length ranging from 10'6'' to 13'.
Its action, comparing with A.H.E. Wood I introduced before in this blog, is a kind of traditional Hardy action like that of ''Perfection'' bending progressively but, due to a strong butt section, only down to middle section.
I feel, thus, ''Wye'' much lighter than A.H.E. Wood in hand and not so tired when I use it as single-handed.
My ''Wye'' is 11' one in 3 pcs, a rare light model in 3 pcs among so many ''Wye's produced.



元々、11'はシングルハンドの扱いですので、竿尻の部分は通常のダブルハンドの竿より多少短めの軽快な作りとなっております。60年代の竿ですので、適合ラインがAFTM表示で書いてあり、#7となっております。
11' version is regarded as single-hand rod, that is why the rod end is much shorter and easy to handle than those of normal double-hand rods. Since it is made in 1960s, the appropriate line weight is indicated as AFTM #7 on the rod.



ジョイントはロックファスト。鮭釣りには竿の弛みは大敵ですが、ロックファストですので全く安心です。
Joints are lock fast joints, special advantage for salmon anglers not to be bothered by joint problems during fishing.



リングはフルオープンブリッジ。バットとトップには瑪瑙が使われております。
Rings are full open bridge ones. Butt and Top rings are furnished with agate.



リールホルダーはハーディーが特許を取得したUniversal Reel Holderで多くのサイズのリールフットに対応出来ます。
Reel holder is Universal Reel Holder patented by Hardy Bros. and that fits wide verity of reels with different foots.





インスクリプトは60年代の特徴である大振りで踊った様な書体です。
Inscription is typical one in 1960'; bigger and dancing letters.











60年代の竿ですので、フックキーパーが付いております。戦後の竿で、50年代までのものには付いておりません。
Fitted with a hook keeper. Hook keepers were not standard fitting for the rods manufactured after the Second World War until 1960s.



ロックファストジョイントは外付けのねじ込みとカギの取り付けが大変だったと思います。ハーディーの多くの竿に使われており、私も大好きなジョイントです。
It must be very costly work to fit outer glides and hooks for lock fast joints. It is quite popular joints used for many Hardy Palakona rods what I am very fond of.





日本ではこうした11'を以上の竿を使える釣り場は、特に東京近辺では無さそうです。公共交通機関を使わざるを得ない釣り師には宝の持ち腐れ的な竿ですね。。。
In Japan, especially fishing grounds near from Tokyo, it is hard to find out places where I can use this 11' rod. It is a treasure having no chance to show its real value to the owner who are bound with public transportation only...

Hardy Hollokona Salmon Deluxe 9'6'' (H62102, 1964年製)

2012-01-14 01:50:08 | Hardy Palakona
新年明けましておめでとうございます。今年も本ブログにアップ出来るような釣りが出来ればと期待しておりますので、宜しくお願い致します。

昨年後半は東欧、東アフリカ、中東、インド、スリランカ、南アフリカ、英国、東欧、トルコと立て続けに出張があり、釣りも中途半端で終わってしまい、ブログも暫くお休みしてしまいました。

心機一転、今年はHollokona Salmon Deluxeで始めようと思います。



Hollokona Salmon Deluxeは、1961年から1966年の6年間に製造された竿で8'6''-9'6''のタイプがあります。適合ラインはAFTM #7と、鮭釣りの竿としては華奢。基本的にもっと重いラインが必要なウェットフライではなく、カナダあたりで好まれるドライフライでの鮭釣り、他大物鱒釣りに設計された竿のようです。
Hollokona Salmon Deluxe was introduced in 1961 and its production was ended in 1966, manufactured for 6 years only, with models ranging from 8'6'' to 9'6''. Designed for AFTM #7 lines, it is a light rod appropriate for dry fly fishing practiced in Canada etc than normal wet fly fishing requiring heavy lines, aiming most probably for salmon and big trout.



私の竿は9'6''。黒で縁取りされた濃赤色のスレッドでラッピングされており、竿のアクションはPerfection、WF Hardyの様に伝統的な英国竿のアクション、ラインの高さを目線の先でコントロールするアクションです。
一見して、WF Hardyに似ておりますが、リングがスネークであるところ、Hollokonaであるところが違います。
My rod is 9'6'' one. Wrapped in ruby crested in black thread. The action of it is a traditional English action, as the ruby wrapping suggests, like action of Palakona ''W. F. Hardy'', so that the angler can control the line at the eye level height.



60年代を特徴付ける大振りで踊ったようなInscription。
Typical inscription of 1960s. Bigger and dancing letters.



トップリングはメノウの入らない現在使われているものと同じもの、他はスネークと、Phantomと同じ仕様です。
Top ring is not equipped with agate, just current one. other rings are snake. Just like ''Phantom''.



バットリングはメノウ入り。
Butt ring is furnished with agate.



この竿を振った感触ですが、まず9'6'' AFTM #7というゴツさから想像されるよりも、かなり軽く感じます。また、同じHollokonaのPhantomが先調子に感じられるのとは異なり、バットは多少固く感じるものの、ハーディーのミディアムな調子を手に感じる事が出来ます。
Not corresponding the image given from that length 9'6'' and line weight AFTM #7, it is quite light in hand. Phantom is felt rather tip action in hand, but, thought its butt section is perhaps stiffer than other Palakonas, you can feel Hardy's traditional medium action in hand.



良く見えませんが、竿尻に製造番号H62102が刻印されております。
Production Number pressed is H62102, not clear in picture though.



Perfect 3 5/8にDT7Fを合わせてますが、DT6Fでもバランス良く使えます。
I use this rod with Perfect 3 5/8 with DT7F, but DT6F performs good in balance as well.

この竿は今から15~16年前、英Trout & Salmon誌に広告を載せていたJohn Norrisから購入した様に記憶しております。インターネットの無い昔、Trout & Salmonに載った竿のコンディション(A, B, C, D)のみを信じて、ファックスでやり取りしながら中古竿を購入する。今から考えると恐ろしく思いますが、お店を信用してやり取り出来た牧歌的な時代だったのかも知れません。当時買った竿で、明らかにコンディションが記述と違っていた例は、私の場合、ありませんでした。
I recall that I bought this rod 15-16 years ago from John Norris who inserted his advertisement regularly in ''Trout & Salmon'' magazine. Believing the description on conditions A, B, C, D in the magazine only, without seeing any pictures, I placed orders with secondhand rods via facsimile. It sounds quite challenging from today's standard, but it was good old days when you could believe in dealers at trading. I did not experience a single case I received rod quite different in its condition from the description in the magazine. Now in 21st century of internet era, I already experienced some of such cases unfortunately....

Hardy L.R.H. Dry Fly 8'9'' H50325A (1962年製)

2011-09-11 06:35:51 | Hardy Palakona
一時期、夏はもう終わったかのような季候になりましたが、また、暑い日が戻ってきました。9月11日。10年前のあの時、ハンガリーで見たCNNの映像には本当に衝撃を受けました。
今回はL.R.H. Dry Flyです。
I would like to introduce Palakona L.R.H. Dry Fly this time.



最初にカタログに記載されたのは、1928年。それから名前は同じでも竿の長さ、スペックを変更し、1971年まで製造されたロングセラーの一つです。
The L.R.H. Dry Fly made its first debut in the Hardy's Angler's Guide in 1928. The name of the rod remained unchanged since then but it had been manufactured with substantially different specification until 1971.


最初のモデルは9'4''でリングは全てメノウ入りという豪華版でしたが、1948年以降は8'9''と大分短くなり、スネーク或いはフルオープンブリッジと普通のモデルと同様のスペックになっております。
The first model was 9'4'' in length with all rings furnished with agate, quite deluxe rod, indeed. Since 1948, however, the length was shortened down to 8'9'', rings were either snake or full open bridge, with very common specification like many other rods.


私の竿は1962年製の後期モデル。スレッドの色は緑。そこにスカーレットの縁取りがされております。
My L.R.H. Dry Fly was made in 1962, as post-war model. Wrapping is green with scarlet crest.




バットリングには赤メノウが使われております。
Butt ring is furnished with red agate.


60年代を特徴付ける大振りで踊ったようなインスクリプト。
Big and dancing inscription of the 1960s.


リバーシブルスピアが装備されておりますが、スピアの真ん中は空になっております。
Reversible speer inside the reel seat. The middle of the speer is hollow.




グリップは私の手で余り前後に遊びが出ない程度の短さ。
Quite short grip just fits my hand.


L.R.H. Dry Flyを持って養沢に行ってきました。
I went fishing to ''Yozawa'' river with my L.R.H. Dry Fly.

以前述べましたが、60年代以降のパラコナ・ホロコナ竿には、緑、赤、黒のスレッドが使われたモデルがあります。赤はPerfection、W.F.Hardyの様な目線の高さでフライをコントロール出来る英国伝統のアクション、黒はPhantom、Continental Special 8'4''の様に目線より低くドライフライをコントロール出来るアクション、そして、L.R.H. Dry Flyの様な緑のスレッドのモデルは目線より上からWFのラインをシュートする様なアクションと言えると思います。
そう、1930年代、9'4''のL.R.H.Dry Flyに適合するラインとしてアングラーズガイドに載っていたのは、Filip No.1、No.2で、これは所謂WFラインでした。当初よりWFでのシューティングが念頭にあったのではないでしょうか。
As I mentioned before, many of Palakona rods made after mid-1960s were wrapped in Green, Red and Black. Perfection and W.F. Hardy were wrapped in red, the rods with traditional English or Hardy action which controls lines at the height of eye level. Phantom and Continental Special 8'4'' are with action able to control the lines at height under eye level, able to control dry flies just over the water. Rods like L.R.H. Dry Fly wrapped in green have action to control lines over the eye level, appropriate to shoot out WF lines further.
Yes, the first L.R.H. Dry Fly rods of 1930s in length of 9'4'' were recommended to tackle up with Filip No.1 or No.2 lines in the Angler's Guide; the Filip lines were todays WF lines. Maybe from the very beginning, L.R.H. Dry Fly rods were designed to shoot out WF lines.


養沢はいつもより水が多く、多分ブッシーなドライフライの釣りが良さそうな条件でしたが、生憎その様な毛鉤は持ち合わせがありません。仕方がないのでアップストリーム・ウェットの釣りをやります。正直に申し上げれば、この釣り方は苦手でどうしてもアタリが取れません。私はやはり、Chuck and chance itのダウン・クロスのウェット釣り師の様です。
There was too much water at Yozawa to practice my usual fishing style, maybe better for bushy dry flies to fish with, I, however, did not have such flies. No other choice than to try out upstream wet fly fishing. I do not like this type of fishing, honestly speaking, for I cannot feel the take of the fish in this very sensible type of fishing. I am a down-cross wet fly fisherman doing ''chuck-and-chance-it fly fishing.



さて、L.R.H. Dry Flyを使って判るのは、長いDTをコントロールしての釣ではなく、アメリカン、或いは、Pezon et MichelのPPPシリーズのようなWF志向の竿という事です。ブッシーなドライフライの釣りでは楽しそうです。
You may find out, when you use L.R.H. Dry Fly rod, that this rod is not designed to control long DT lines but to shoot WF lines like American rods or PPP series of Pezon et Michel rods. Enjoyable rod when you use bushy dry flies.




水が多くていつもの好ポイントも水没。
Too much water made one of the good spot completely under water.


その後、大増水の立岩でアップストリーム・ウェットをやります。水中に引き込まれたラインを出来るだけ張るとコツコツというアタリがあり、何匹か上げる事が出来ました。
I did upstream wet fly fishing thereafter at ''Tateiwa'' point with too much water. I felt takes of the fish when I kept the line tight which was drawn deep into water. I caught several fish there this way.




養沢の道端の光景。
Road side landscape of Yozawa.

Hardy A.H.E. Wood No.1 12' E64436 (1948年製)

2011-07-31 11:35:27 | Hardy Palakona
19世紀から20世紀初めまでの鮭釣りの主流は、Jock Scottの様なこの世のありとあらゆる場所から取り寄せられた羽とシルクでドレッシングされた極彩色の大振りな毛鉤を15フィート以上の強竿でカーストするものでありました。シルクラインは当然グリースを塗らずにシンクラインとして用いられ、滔滔と流れる大川に向かい釣り人はたゆまずラインを投げ続けました。
ところが、夏、水温が高くなるにつれ、鮭が普通の鱒用の毛鉤に食いつく事に気付く人達が出てきました。
このSummer Salmonを釣るために、シルクラインにグリースを塗りフローティングラインとし、短い手返しの良いシングルハンド竿を使った釣法を編み出したのが、A.H.E.Wood氏です。
今回はそのWood氏の名前を冠した竿を取り上げてみます。



A.H.E. Woodは1926年~1969年まで製造された竿で、全て3pcsです。製造に当たってはA.H.E. Wood氏とほぼ2シーズンに亘りバランスを整える為実釣を繰り返したそうです。そのバランスとは、大物鮭をコントロール出来、長いラインをカースト出来る強さを保持しつつも、持ってみて軽く感じ、手首に負担があまりかからないというもの。ハーディーはそのバランスを実現したと自画自賛しております。
A.H.E Wood was produced from 1926 to 1969, all models of it were in 3pcs. It is told that Mr. A.H.E. Wood did field tests with the prototype for two seasons to achieve best balance of the rod. The balance is to be the one which can play a big salmon, hold a long line in the air at casting, be light in hand and does not last the wrist so much. Hardy Bros. proudly declared by themselves that they could achieve very that balance.

私の所有するのは、A.H.E. Wood No.1。このシリーズには華奢なNo.1、中くらいのNo.2、強竿のNo.3とあります。全ての竿はSteel Centre仕様です。華奢とされるNo.1では適合ラインがI.B.I Corona Superba、今で言えばAFTM 7程度、リールがContracted Perfectの3 7/8ですから、夏の鮭釣りには十分でしょう。尚、この竿は「シングルハンド」として設計されております。勿論ダブルハンドで使えるのですが昔の人の腕力には脱帽です。
My rod is A.H.E. Wood No.1. No.1 is a light model, No.2 middle, and No.3 strong one. All rods were equipped with steel centres. The appropriate line for the No.1 was given as I.B.I. Corona Superba, in today's measure, it should be around AFTM 7 weight. The recommended reel was Contracted Perfect 3 7/8, quite enough for summer salmon fishing. Besides, this rod is designed as ''single-handed'' rod. You can use it of course as double-handed one, but the strength of men at that time was really amazing.



トップとバットにはメノウが入り、他はフルオープンブリッジのリング仕立て。
Agate is used for top and butt rings. Other rings are full open bridge ones.



この竿は、別の機会に紹介する先調子のWye 11' 3pcsと比べると、Steel Centreの反発力を感じつつも、胴調子で、これをシングルハンドで一日釣るとすれば、カースティングと言うより、下流に流したフローティングラインを打ち返しで上流に投げるという様な釣りになるのかなと想像致します。
The action of this rod is rather medium, with middle section bending, it is equipped with steel centre though, comparing with tip action ''Wye'' 11' 3pcs I own. I wonder casting with this rod single-handed would be not normal overhead casting but casting the floating line from downstream to upstream using roll cast or else when you fish whole day with it.







以前登場したPhantom 10'、Viscount Grey 10'6、Houghton 11'等、AFTM 7以上の大物竿は何本か持っておりますが、何れも実戦にあまり投入されていないという悲しい現実。この竿は1948年製ですが、手元に来た時ほぼミントの状態でした。何年経ったか忘れましたが、日本の酷暑を何回か乗り越えてまだミントの状態を守っております。
嗚呼、日本のどこかに、この竿を使って釣りが出来るところはないのでしょうか。あるのでしょうが、私の様な無精者には手の届かない場所なのでしょう。
I have Phantom 10', Viscount Grey 10'6'', Houghton 11 etc several rods designed for heavier lines more than AFTM 7, but have used them so far unfortunately not so often. This A.H.E. Wood was made in 1948 but it was almost in mint condition when I got it. It is still mint condition after experiencseveral severe Japanese summers









Lockfast Joint。特に繋ぎの緩みが命取りになる鮭釣りでは大切な装備です。
Lockfast Joint. Essential equipment for salmon fishing requiring strong joints.