Hardyの竹竿は2本継でも3本継でも、大体二等分、三等分になるように設計されております。ところが、推測ですが、多分Pezon et MichelのSuper Parabolic PPPシリーズが英国でもFarlow'sやSharpe'sでの生産分も含めて人気を博した事も影響した為か、1969年〜72年にかけContinental SpecialというStaggerred Ferrule竿が市場に投入・製造されました。
大分以前に8'4''のContinental Specialを紹介しましたが、Continental Specialには他に7'7 1/2''、6'8''の二モデルがあり、計三モデルのContinental Specialが存在します。今回は7' 7 1/2''のモデルの紹介です。
以前紹介の8'4''モデルは緑の縁取りに黒の、Phantomと同じラッピングでしたが、7'7 1/2''モデルは黒の縁取りに赤のラッピング。Perfection、Gold Medalと同様なHardyの王道と言えるラッピングとなっております。これまた以前の話で、HardyのPalakona竿のラッピングは60年代末以降についてはアクションによって色分けされていたのではないか?という話があったと思いますが、それによると、赤ラッピングはどんな状況でも対応出来るアクション。ざっくり、目の高さで毛針をコントロール出来る竿、黒ラッピングは水面ギリギリまで毛針をコントロール出来る竿、緑のラッピングは目線よりも上から毛針を水面に落とす様な感じの竿だったように思います。確かに、Marvelの様な短竿はウェーディングしながらの釣りになるので、より水面に近い目線よりも高い所から毛針を水面に落とすという話は辻褄が合います。更に緑のラッピングの竿は竿先が細く、黒ラッピングのPhantomの様に水面に毛針を打ち付けるような投げ方をしても太い竿先のおかげで毛針がフワリと水面に落ちるという訳には行かないでしょう。
尚、Marvel 7'6''よりもちょっとだけ長いこの竿ですが、硬さは全く異なり、さすがPezon et Michelの様な設計の竿と思わせるアクション。Marvelの繊細さはありませんが、ラインを投げる能力はMarvelなんぞてんで問題にしません。テンポよく釣るにはこちらの竿の方が向いているでしょう。冒頭の写真は30cmくらいのグレイリング(ドイツ語でエーシェ)ですが、Marvelとは違いさっさと魚を揚げられました。
Pezon et Michel竿の様なバット部が短くティップが長いOne and Halfの設計。
実際に測ったところ、バット部が100.8cm、ティップ部が136cm。雄フェルールの部分を引くにしても32cmくらい長さに差があります。
竿尻にはゴム製のボタンがつき、アップロックでリールを装着。フェルールはシンプルなサクション。リングはオーブンブリッジではなく、スネーク。
60年代に再導入されたフックキーパーが付き、60年代の特徴である大振りで踊った様な字体のインスクリプションが施されております。
AFTMの番手は5番。これもHardyのこれくらいの長さの竿では中庸を行くもの。
ストリッピングは65年以降くらいの、簡素化されて製造コストも下がったであろうタイプ。
リングはスネーク。
トップは瑪瑙が入らないタイプ。完全にプラスチックラインの使用を前提に設計されております。
全景が撮影不能なのでとりあえず、ここで一枚。
更に一枚。
これは竿についてきたタグですが、1971年4月27日に27.70ポンドで売られたのかなと思わせる内容。リバプールのリチャーズというのは釣具店の名前でしょうか?面白いのは、1970年2月21日Hardy's Manchesterと読める消された記述に22ポンド17シリング6ペンスとの表記。1971年2月15日にポンドがそれまでの1ポンド=20シリング=240ペンスのシステムから10進法に変更された事情をうかがわせます。10進法では22ポンド87.5ペンスとなりますが、僅か1年ちょっとで21%超の値上げ。当時英国経済が振るわずインフレで大変だったとしても凄いものです。因みに、英国の1970年のインフレ率は6.4%、1971年は9.4%の様です。
コメントを頂き大変ありがとうございます。
Continental Specialの6'8''をお持ちとの事。トップに瑪瑙が入ったタイプがあるとは存じませんでしたが、設計の時期からして1950年台には登場済みのプラスチックラインの使用を前提にされた竿ではと想像致します。虹鱒相手には役者不足というコメントに繊細さを感じました。黒ラッピングのPhantomで本当に驚いた事は、ドライフライを叩きつけるように投げても、必ず水面にはフワリと落ちる事で、どのような設計をすればそのような竿になるのか私には判りませんが、トップが太い事は理由の一つであるように感じております。おっしゃられる通り、竿が何本有っても使えるのは一本だけ。昔古いパラコナ竿を入手し始めた頃は今の惨状を想像すらしなかったのですが、パラコナを知れば知る程、各モデル独自の味わいが感じられ、それがいつしか幻想の理想の竿を求める迷路へと誘うという悪循環にすっかり嵌ってしまい、こんな極道をしていると反省しております。つい先日、90年代に英国の釣具店からファックス経由の交信で入手した1958年製Perfection 9'を久しぶりに使ったところ、この竿一本で鱒釣りは完結出来るなと改めて実感した事も上の反省の背景です。ともあれ、今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
私は現時点で6'10''、9' x 2本、10'のPhantomを持っておりますが、CC de Franceの後継として誕生したPhantomは、ドライフライ竿としてはオールマイティに使える竿だと思います。また、カーボンと違い竹竿ですので、ニンフ、ウェットフライでも十分使えます。以前ジム・ハーディーがPhantom 8'を確か非常に高く評価していたと記憶しておりますので、8'にも、8'6''にも興味はあるものの、それにはとりあえず蓋をして、それ以上の病にならないように気を付けております。Continental Specialのトップとストリッピングはカタログに記載された時期のものでは私の竿と同じタイプのものがスタンダードな筈ですので、所有されている6'8''のものはいずれにせよ特注品と思います。良い竿をお持ちで羨ましい限りです。
パラコナを楽しまれているようで何よりです。
パラコナのスネークガイドは、アメリカのものと比べて立ち上がりが急ですよね。
私もしばらく休止していたブログを再開しました。またよろしくお願いします。
http://yugawasuki.jugem.jp/
大変ご無沙汰致しております。
ブログを拝見致しました。レオナルド(レナード)に手を伸ばされた由、竹竿ライフを満喫されている事と拝察致しました。アメリカの川の名前でオウサブル(Au sable)とかは仏語のsableから、「砂川」という意味かなと昔から思っておりました。。。余談ですが。。。スネークの話ですと、Hardy H.E.Accuracyのスネークがトーナメント竿だからか、他のものより一回り大きく、また、材質が違うような感じを受けており、同じパラコナのスネークにも幾つか種類があるのだなあと、パラコナの奥深さを感じております。私は欧州竿で精一杯で米国竿には手を出さずに終わりそうです。
家族の事情で、ここ二年余り釣りに行けていない反動で、小僧の頃に雲の上の存在だったレオナルドといふものを一度ナニしてみようと…
ということで、私もパラコナで十分お腹一杯です(笑)
ドライフライのタイイング、素敵なスタイルを確立されていますね。触発されて、何年かぶりにバイスに向かってみようかと…
スネークガイド、材質の違いというのは知りませんでした。アキュラシーを銘打った竿だけに、何か意図があるんですかねぇ。
レオナルド、ハーディーと、老舗の竿は何故100年以上経ってもこれだけ残っているのか?製造本数が多いという点はあるものの、それ以上に耐久性のある竿作りをしてきたからなのではと思っております。今から20年以上前にアーニックのハーディーを訪問して竹竿製造のビデオを購入しましたが、竹は電動ノコで切り、三角の竹辺にするのは切削機、仕上げはグラインダーと竹の繊維に不要なストレスを与えないように機械を活用している様が記録されておりました。ホーギー・カーマイケルの竹竿製作本で、鉈で竹を割る方法が最高というイメージが日本では30年以上もありますが、果たしてそのような竿がレオナルド、ハーディーといった老舗の竿のような耐久性を持っているのか、私はマスプロ竹竿メーカーの竿を折ったりした経験が一切ないので、米・英・仏の老舗はやはり凄いのだなあ、と、個人的に思っております。
それにしても、1980年のオービスは本当に高値の花でしたね。。。懐かしいです。私の最初のフライ竿はシェークスピアのグラス竿でした。
中流域では、ヒゲナガが乱舞しています。
ハーディのコンチネンタル7.76とペゾンのコロラドは双子ですね。並べると、ガイドの位置もほぼ同じでした。
グリップの形状と、ブランクの色がコンチネンタルは薄く、コロラドが濃いぐらいです。
アクションはどちらもすばらしいですね。ただこのアクションのために、トップを保護する長~いフェルールキャップが付属していますが、ある時これを付けたまま河原に降りてしまい、軽装だったのと、クルマまで距離もあり、このフェルールキャップをどうしたものかと、ひとり悩んだことがありました。
コメントを頂き大変ありがとうございました。
今週末から漸く解除になりましたが、特に週末は混むだろうと思い未だ自粛モードであります。昨日は養沢もとんでもない人混みだったようで皆さん溜まりに溜まったストレスを発散されているのだと同感を込めて思っております。
コロラドと双子とは全く存じませんでした。貴重な情報大変ありがとうございました。
ぺゾン(プゾン)のブランクはハーディーのものに比べ焼き入れが強い様に感じてます。それが竹肌の色の違い、ぺゾンの硬質感に出ていると考えますが、そのブランクの違いが同じようなデザインでありながらアクションに何らかの違いを生み出しているのかどうか興味があるところです。
因みに、私はハーディーの寿命の長さは竹にかけるストレスを抑えた竿作りにあると思っておりまして、ハーディーとぺゾンの竹の硬質感の違いも研究したら面白いかも知れません。ちょっと脱線です。
コンチネンタルスペシャル7'7''1/2はティップが二本継の9'竿と同じくらいの長さで持ち運びはちょっと面倒ですね。チュニジア時代は飛行機釣行でしたので、機内持ち込みに出来ない長さで、余り出番はありませんでした。ドライフライの季節になってきましたので、日本の渓流で使ってやろうと思います。