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思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

懐かしのオーストリアへ

2022-07-16 20:04:22 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

イスラム教の宗教祭日「犠牲祭」で連休となった7月9〜11日の週末に合わせ7月8日にお休みを頂き3泊4日でオーストリアはムーラウへ釣り旅行に行って参りました。

カサブランカ空港を7月8日の未明01:30出発、フランクフルト経由ウィーン空港に09:30頃到着。更にそこでレンタカーを借り、走ること3時間強で13:30過ぎに漸く標高1,400mのEtrachsee湖畔の宿、Landhaus Etrachseeに辿り着きました。
ここに来るのはほぼ4年振り。前回チュニジア駐在時以来です。20年来のお付き合いの宿の女将、Christineさんにご挨拶し、日本からモロッコに赴任してまたオーストリアに来れるようになったこと等、暫し歓談。3階の一番奥の9号室の鍵を貰いました。
流石に睡眠不足と長距離運転でオジサンは疲れ切ってしまい初日は釣りはせず、下界のMurauで3ヶ月ぶりの散髪、モロッコでは入手出来ないものの買い出しで過ごしました。荷物をスーツケースから出して散らかった部屋の中の様子。

初日の夕刻。天気は良く砂漠の国から来た目にオーストリア山中の緑が優しく映ります。

翌7月9日(土)、久しぶりに豚肉のハムを楽しんだ朝食後、午前中は湖のEtrachseeに流れ込む川、Etrachbachで釣りをすることに致しました。

この川は流域の殆どが急勾配で水量が少なければ所々にあるポケットにドライフライを打ち込む釣りが出来るのですが、生憎その前に雨が降り続いたようで水量が多く今回釣りになったのはほぼ写真のポイントのみ。

今回の釣行前にカサブランカで毛鉤を幾つか用意しました。その中に昨年ある方から頂いた日本で飼育されている鶏のハックルを使ったドライフライもありました。

ハックルはRusty Dun。

それを使い、ボディはPheasant TailにGold Wire、テイルはOlly's HackleのBlue Dunで巻いたドライフライ。冒頭の写真でイワナが食っているのはこの毛鉤。

水温は9度。気温は17〜18度程度。6月には欧州も熱波に襲われましたが、7月の初めは結構涼しくなり、且つ、標高1,400m以上の山中では下界より更に気温が下がります。

使った道具は、Payneの9フィート竿の206、リールはHardy Perfect 2 7/8 Spitfire。それに巻き込んであるのはKaizerの緑色のシルクラインの2番(AFTM 4〜5番程度)。Payne竿はHardyに比べると極めて軽いのが特徴。この206は更に繊細に作られたバージョンの様でティップは細く、HardyのLRH Wetの様なウェットフライ用竿というのが私の印象。近距離ならドライフライでの釣りに使えますが、下のMur川や強風下ではドライフライには使えそうにありません。
釣りに飢えた北アフリカ在住者を決して裏切らないEtrachsee周辺のイワナ。投げ込んだドライフライの一投目でPayneを曲げてくれました。

釣り上げる度に毛鉤を交換し、その後もイワナを何匹も釣り上げます。

尺を超える魚は釣れませんが、竿を適度に曲げてくれたイワナは全てブルックトラウト。アルプスイワナは午前中の川での釣りでは出てきませんでした。

Landhaus Etrachseeの隣にはForellenstation am Etrachsee (「エトラッハゼー湖畔の鱒守り」とでも訳しましょうか)という料理店があり、昼と夜はそこで食べます。地元で醸造されるMurauer Bierはいつ飲んでも新鮮で非常に美味。モロッコで飲めるビールとは比べられません。

メニューには地元オーストリアの素朴な料理が並びます。北アフリカのイスラム圏から来ると本当に息抜きになります。
(続く)

晩秋のドライフライ釣り

2018-10-20 13:45:28 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

10月15日がチュニジアの祝日となった3連休の週末、今年最後の釣行に行く事に致しました。Mur川は昨年10月初めに稚魚放流をしたため、本来は10月末まで釣りが出来るところ、放流後即釣りは禁止されたという経緯があったため、ドイツのWenne川に行こうかとも思いましたが、Mur川と言えば大型のグレイリング(独語エーシェ)が釣れる釣り場。それを考えるとやっぱりMurと思い定め、現地の観光案内所とメイルでやり取り。今年は10月15日まで釣りが出来ると確認の上、飛行機、宿、レンタカーの手配を致しました。

今年最後の釣りはドライフライでと思い、以前巻いたドライフライを持参します。この写真の毛針は実際に使ったもの。

今回はハックルドライフライばかりを使う事になりました。

同じ様な毛針ですが、ハックルは其々違うものを使っております。

上の3つはFrank Elder氏のOld English Game Cockのハニーダン、ラスティーダンですが、これはWhitingのハックルで巻いたもの。以前の話で、Whitingのハックルは、鶏のご先祖様のジャングル・フォウルの遺伝を強く残しておりハックルの裏が白になってしまい、毛針に巻くと透明感がなくなってしまう、と書きましたが、この透明感の有無の問題なのか、特に暗い場所ではWhitingハックルの毛針への反応は悪く、反応するのはチビばかりという現象に遭遇しました。

10月13日午後、12時間以上かけて釣り場に到着後、HardyのH.E. Accuracy 8'にシルクラインをセット。ウェットフライを使う事を想定しないアウトフィットで川に降ります。

下流のダムの水位を落としているからなのか、今年秋のMur川Bodendorf釣区の水位は過去経験した事がない浅さです。これまでは岸から川の真ん中に毛針を投げておりましたが、川の真ん中まで歩いて行ける水位のため、深くなっている川の右岸ギリギリに毛針を流すために川の真ん中に立ち込み釣りを開始。当日は普段殆ど出会わない他の釣り人が3人もいて、釣りが出来る場所は限定的。フィッシングプレッシャーも影響してか、結構渋い状況の中、それでも右岸のへちをドライフライでしつこく攻め、良型のエーシェに会う事が出来ました。
H.E.Accuracy竿は毛針を正確に落とすトーナメント競技用に開発された竿で、それをライトウェイトドライフライ竿としてラインアップしたもの。降って軽く、パワーはあるものの竿先は結構曲がり、毛針を思ったところに置きやすい竿。但し、前回のContinental Specialの様に強い竿なので小型毛針を使ったエーシェの釣りに際しては慎重にやり取りしないとバレ易いのが玉にキズ。

翌日14日は、気温7度、水温10度のコンディション。竿をHardy LRH Dry Wet 9'3''に変え、ウェットフライでの釣りにも対応出来るようにします。この日は他の釣り人が居なかったため、朝10時過ぎから17時までの7時間、Bodendorf釣区を上流から下流まで釣ったのですが、どうしてもウェットフライへの反応も渋く、午前中Snipe and Purpleに出ただけで、午後もちびっ子エーシェが出ただけで終わり、非常にがっかりの日となってしまいました。下流の水流が渦巻く大淵には大物エーシェの姿が見えるのですが、複雑な水の動きに水底へ毛針を届けるすべも無く完敗。

最終日の15日は16時までにはウィーン空港に到着しなければならないため、何時も通り13時には出発必要。ところが、定宿のHotel zum Brauhausで朝食を摂っていたら宿の顔なじみの受付の年配の女性と長話が始まりたっぷり1時間。宿を出て釣りを開始出来たのは10時を回ったところでした。その日も気温は7度とウェットフライでないとだめそうな雰囲気で、魚の跳ねも全くなかったのですが、冒頭に掲載の16番程度の赤いボディにハニーダンのハックルフライを結び右岸を下流から丁寧に狙って行きます。上の写真では極めて浅そうに見えますが、右岸のへちはある程度水深があり魚がいそうなところです。
釣り始めて直に30cm以下のエーシェが食いつき、LRH Dry Wetの竿先を曲げます。そのサイズの魚が次々3匹揚がり、実釣時間2時間のところ幸先良いスタート。

チビッ子エーシェを釣った場所から多少上流へ移り、右岸のへちに根気よく小さな毛針を流して行きます。15ヤード程度投げてドラッグを回避しながら出来るだけ長く流す釣りには、9'3''の長さはありがたい。この竿は今年良く使ったLRH Wetよりも張りのあるアクションでドライフライ向き。
根気よく流しているとアタリがあり、クィッと合わせるとグイッと引きます。水底へ持って行こうとする引きで、最初はエーシェかと思ったのですが、Mur川のエーシェの特徴であるジャンプもせず我慢強い抵抗を見せます。漸く近く迄寄って来たところで、見るとブラウントラウトで、この寒い中ドライフライに出るとは思っていなかった事もあり、嬉しい魚となりました。釣りバックにぶら下げたテレスコピックタモに入れ、早々に毛針を外し、流れに戻すと元気に帰って行きました。

ブラウントラウトを釣り上げた後、更に上流へ向かい毛針を流していると、「バシャ」という大きな音があり、ちょっと下流の樹が右岸からせり出している所で良型の魚が空高く飛び上がりました。その魚を狙うべく下流に戻り、その樹の張り出したポイントに赤いボディの毛針を何度か流すと、待望のアタリ。リールの逆回転の音を何度もさせるやり取りの後、タモに収まったのは38cmのエーシェでした。

その後上流で小型の毛針を流していくと、更に一匹。

また一匹。

最後の一匹を釣ったところでほぼ12時。前日が余り良く無かった事もあり、最終日は余り期待していなかったのですが、寒いコンディションの中、跳ねが無くとも小型のドライフライを流し、良型の魚を釣る事が出来て、今年最後の釣りとしては満足いく結果となりました。

雪解け等考えると、来年の5月末くらいに漸く始まる来シーズンまで暫しのお別れ。私の駐在も長くなりましたので、或は最後のMur川かも知れませんが、期待以上の2018年シーズンフィナーレとなりました。

オーストリアのイワナ

2018-09-22 13:56:03 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

8月末、Etrachseeに泊まって釣りをした際は、湖だけでなく、そこに流れ込む小渓、Etrachbach(エトラッハバッハ)で渓流釣りも行いました。Bachというのは、有名な音楽家バッハと同じ単語。小川という意味のドイツ語です。
上の写真は釣りとは無関係なMurau(ムーラウ)市内の中心広場ですが、釣行記に頻繁に登場するムーラウの町は決してど田舎の小邑ではなく、結構おしゃれなお店もあるところ。釣り人だけですと斯様な写真は撮らないのですが、前回は家族連れだったので、一枚写真を撮ってみました。冬はスキーW杯会場もありますので、スキーがお好きでしたらお薦めな訪問先です。

エトラッハバッハを目指し湖沿いの小道を行きます。周りには牛どもが寝そべり草を食んでおります。

8月20日に使ったのは今年使いまくっているHardy LRH Wet 9'3''。強風でなければドライフライ釣りにも使えるペナペナ竿。釣り味は格別。
流れが幾分フラットな所を狙いドライフライを投げ込むと。

イワナ(Arctic Charr)が毛針を襲います。湖のものよりこの小渓の魚の方が大きく、釣りの楽しみも今回は上。昔は湖でも大物が上がったのですが、今年は期待外れでした。

上でイワナを釣った場所の一つ上流にある淵。

そこをHardy Marvel 7'6''にドライフライの道具立て狙うと、またイワナが毛針に出ます。LRH Wetも良く曲がる竿ですが、Marvelは更に華奢な竿。こんな魚でも根元から曲がり、釣り味満点。

淵で何匹かのイワナに遊んでもらった後、殆どの水深の無い瀬を上流に進むと倒木の下が多少深くなっている場所があり、そこを狙う事にします。

使った毛針は長くて硬めのファーナス・コックのハックルをまとったBaigent Brown鉤。魚にアピールするための鉤なので、サイズは12番。

倒木の直ぐ下を毛針が流れるとバッシャとアタリ。合わせれば、イワナが掛かり、Marvelをまたも曲げてくれます。イワナ釣りの楽しさはこの大雑把さ。繊細にあれこれ悩まなくても毛針をキチンと魚のいる場所に置ければ、魚に出会う確率は高いのです。

この小渓の限定されたポイントでドライフライを満喫していると、何やら寄ってくるものの影。野良ではないですが、放し飼いの馬が私の所に寄ってくるではありませんか。自慢ではありませんが、昔家内が乗馬をしていた際、馬の毛を沢山吸い込んだせいか、私は馬アレルギーになってしまい、以来、馬に乗っても馬車に乗ってもクシャミ・鼻水が止まらない体質。馬が寄ってきたので釣りはもうお仕舞いにします。イワナに沢山遊んでもらったのでもうイイや。

上はGreenwell's Glory。Sprite鉤に巻いたものですが、イワナを沢山釣ったせいで、鉤が曲がってしまいました。

これはクイルボディにスターリングのウィング、ハニーダンのハックルの鉤。上のGreenwell's Gloryもそうですが、繊細なスターリングクイルのウィングでも二重にしてあるので、魚をかけてもウィングはバラバラに壊れません。多少ばらけますが、使う時にオイルをウィングに付けて形を整えてやるとスッキリしたウィングに戻ります。ですので、スターリングクイルのウィング付きドライフライでも何匹魚を掛けても使えます。羽化したてのダンをもっともよく模している古典的な毛針。もっと多くの人に使ってもらいたいです。

最後はKite's Imperial。これは魚を何匹か釣る間にテイルが取れてしまいました。でも、テイル無しでもまだまだ使えるでしょう。

Etrachsee滞在(8月19日〜22日)

2018-08-25 14:47:08 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

イスラム教の祭日「犠牲祭(Eid al Adha)」の休みを利用してまたまたオーストリアはムーラウへ行ってきました。ルフトハンザ便でチュニスからフランクフルト乗り換えでウィーンに飛んだのですが、チュニス出発が遅れ、乗り換え便に間に合わず、ウィーン到着が4時間遅れたのに追い打ちをかけ、チェックインした竿ケースがウィーンに到着せず、何故かミュンヘンにあるとの事。翌日朝ようやく竿ケースを受け取れてホッとしましたが、暗雲を感じさせる出だし。
いつもはムーラウ市内のHotel zum Brauhaus宿泊でMur川やEtrachsee(エトラッハゼー)を釣るのですが、今回は家族連れ、且つ、家内に釣りをさせるという旅。そのため、誰でも確実に釣れるEtrachseeでの釣りを中心にする事、また、車での移動の面倒さを考えて、10年振りにEtrachseeの畔にあるLandhaus Etrachsee (http://www.etrachsee.at) 3泊する事にしました。

宿は上の写真の宿泊棟の他、朝食や日中コーヒーを飲んで過ごせるJagdhaus(昔の狩猟小屋)よりなっております。想像していなかったのですが、宿は満室。我々の部屋は宿泊棟の日本式で3階の屋根裏部屋。それでも別段狭く感じる事も無く快適でした。

Etrachseeに来られた方ならご存知のこの建物がJagdhaus。

Jagdhausでの朝食時に窓の外を見ると茶色と白の牛達が斜面で草を食んでいるのが見えます。

Jagdhausの近くには宿の女将の飼い犬クロスビーが徘徊しております。
さて、今回Etrachseeに行く前にチュニスの拙宅で久しぶりに古い英国のハックルで毛針を巻いて見ました。

Med. Rusty Dun Cock, Dr. G.S. Lafferty Bradwell 1945と記載された、多分1945年に入手したラスティー・ダンのハックルと、Blue Dun Pale Cock, Messeena 1942と記載された1942年に入手したブルー・ダンのハックル。

上がラスティー・ダンの中身。

ラスティー(錆色)というよりは薄いダン色のリスト(中心部)に金色が乗っているという感じのハックル。

ブルー・ダンの中身は上。

現在はほぼ入手不能な透明度の高いブルーに所々金色が乗ったハックル。

それらのハックルを使い、スネック鉤の1番(14番)でハックルドライフライを作ってみました。ウィングが無いのでダウンアイの鉤を使います。
Etrachseeは今年の酷暑で30度を超える下界より涼しく25度程度でしたが、それでも例年この時期に比べると気温が高く、日差しがキツイ。その中、家内をボートの後ろに乗せ、漕ぎ手に徹しトローリングの釣りをさせます。

ゆっくりと漕げば、岩魚がアタック。鉤にかかります。竿は30年くらい前に買って、昔ソ連崩壊直後のシベリアでも使った9フィートのカーボン。折られても全然気にならない竿。

魚を触るのが嫌なお客さんに代わって魚を鉤から外すのはギリー(ガイド)の私の仕事。こんな様子で岩魚を数えきれない程釣ったのですが、あろう事か、竿が重くて手首が疲れるからもう休む、と、お客さんは宣言。私が常用する竹竿に比べたら重さがゼロ以下にしか感じられない竿ですが、変な所に力を入れる超初心者には重く感じられる様で、仰せの通り、釣りを中止し、岸へ戻ります。

釣りの後は、湖を一周。確かに釣り人同士で来ると、釣りしかしないためこういう事はしませんが、湖を一周して見ると色々な発見があり、2002年から知った積もりになっていたEtrachseeもまだ知らない所があったのね、と、啓蒙されました。毎回では困りますが、偶には釣りに家族を同行するのも良いかも知れません。
ギリーのお仕事を離れた自分の釣りは、また、後刻続けさせて頂きます。

オーストリアMur川釣行(2018年6月16日・17日)

2018-06-19 18:44:14 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

今年の6月15日から17日はラマダン明けのお祭り(Aid al Fitr)で三連休。そこで、またまたムーラウへ釣りに出かけました。フランクフルト経由のルフトハンザ便でウィーンまで飛び、そこからレンタカーで片道2時間半の行程です。フランクフルト空港でのパスポートコントロールとセキュリティチェックに時間がかかり、ウィーン便のゲートに付いたのが出発時間丁度の6時50分。無情にもゲートは締まっておりました。ルフトハンザのサービスカウンターで交渉し、2時間後の便でウィーンへ。このアクシデントのため、ムーラウ到着は午後2時になってしまいました。

翌6月16日は、ブダペストのTさんと川で待ち合わせ。水温は10度と冷たく、ウェットフライで狙う事にしました。
リードフライとドロッパー1本の2本鈎で狙います。最初はZuluをドロッパーにし、Greenwell's Gloryをリードフライに運試し。中々渋い状況でしたが、何度も流すと漸くアタリ。合わせると、虹鱒がZuluを飲み込んでおりました。残念ながら鉗子でも毛針を外せないため糸を切り鱒をリリース。

その後、Zuluを同じ黒色系統のConnemara Blackに変え、大岩の回りを中心に探ります。すると、Mur川の白っぽいブラウントラウト、グレイリングがConnemara Blackを咥えました。

このConnemara Blackは年期の入ったもの。多分以前ブダペストにいた10年以上前に巻いたものです。何匹の魚を釣り上げたか判りませんが、今回も活躍しました。

下流で釣りをしていたTさんと情報交換すると、ドライフライにグレイリングが良く出るということではありませんか。10度という水温からドライフライは無理と思っていましたが、それならと、下流の浅瀬の方に移りドライフライを結びます。

数投で水底からグレイリングが水面に浮き上がり毛針を咥えます。この一部始終を見て釣るのがグレイリングのドライフライ釣りの醍醐味。これをやりたいが為にわざわざムーラウまで来たのです!!尚、竿は前回同様にHardy LRH Wet 9'3''。ペナペナ竿ですが、ドライフライでも強風でなければ、多少慣れは必要なものの、十分使えます。

グレイリングは水中では不思議な7色という感じです。水から出して写真を撮るとコイ科の魚のように見えるのが信じられません。この魚は38cmの良型。

グレイリングを数匹釣った後、竿をHardy Marvelに変えて釣りを続けます。毛針をドラグがかかるギリギリの下流まで流すと、そこでライズ。合わせると華奢なMarvel 7'6''は満月に曲がります。Mur川のグレイリングは必ずジャンプするので、スリリングな釣りになるのですが、ジャンプしたのは結構な大型。慎重にやり取りしテレスコピックタモに漸く誘導出来、測ると40cmのグレイリングでした。

私は写真を撮るのが下手なので、中々良い写真が無いのですが、これが40cmのグレイリング。その後もドライフライで数匹グレイリングを釣り、5時にはTさんと一緒に上がります。それから6時にはホテルのレストランで地元のMurauer Bier (ムーラウアー・ビア)で乾杯。何時ものように私は豚肉に舌鼓。

最終日の6月17日は午前中だけしか釣りが出来ません。そこで9時過ぎからドライフライで釣り始めましたが昨日とは全く違い極めて渋く、また、毛針にグレイリングは反応して浮き上げるのですが、最後のところで見切られるという状況。何とかチンピラグレイリングを数匹ドライフライで釣り上げましたが、その後が続きません。そこでウェットフライに切り替え、Silver Saltounを結び流すと、毛針が流れていると思われるところでライズ!!それを合わせるとLRH Wet竿がぐっと引き込まれます。漸くいなして釣り上げたグレイリングは口のところが多少欠けていて、どうも昨日釣り上げた魚。昨日、ドライフライで釣りすぎてグレイリングを教育してしまったのか、と思い当たりました。

今回、グレイリングを釣ったドライフライ達。まずは、Mur川のグレイリングに効果絶大なこの毛針。スターリングのウィングにハニー・ダンのハックル。ボディはオレンジのタイイングシルクにゴールドワイヤー。テイルはハニー・ダン。

これはTup's Indispensable。

これは、Greenwell's Gloryのハックルとテイルをハニー・ダンに換えたもの。Lock's Fancyと一緒です。

これはGreenwell's Glory。ハックルはファーネス。固めで長いものを使っております。

これはSilver Saltoun。シルバー・サルタンと日本では呼ばれますが、Saltounはスコットランドの地名でサルトーンと日本語で記述されることもあります。この毛針は14番等小さな鈎に巻き、非常に効果的な毛針です。

今年からMur川のパンフレットが新調されました。

私がいつも釣りをするのはこの図のStau Bodendorfという最上流の区間。

Fischen in der grünen Mur「緑のMur川での釣り」という紹介文。Bodendorf区間の紹介部分。
今回はドライフライでグレイリングを釣るという一番やりたかった釣りが出来て大満足。これから黄金の7月を迎えますが、出来るだけ多くムーラウに釣りに来れれば良いですね。

Murau釣行(2018年5月25日〜27日)

2018-05-30 19:12:12 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

5月17日からイスラム教国ではラマダンに入りました。日中は食事のみならず水を飲む事も許されない一ヶ月。皆は日没後に夜通し飲食するため、この期間は昼夜逆転で、日中は殆ど仕事になりません。そこで金曜日をオフにし、長い週末を作りオーストリアはムーラウ(Murau)での今年最初の釣行に行って参りました。今年のチュニジアは昨年より涼しく、5月の最高気温は30度を越える程度ですが、流石にムーラウは20度台の前半。更に標高1400m程の爆釣の湖エトラッハゼー(Etrachsee)は20度弱。風が吹くと寒く、油引きスモックが必要な天候です。写真はEtrachseeの正面の山。

5月25日朝、ウィーン空港の馴染みのレンタカーSixtで予約した一番小さな車のクラスでどんな車があるかを聞いた所、フィアット500のカブリオレがあるとの事。チュニスで運転しているのはフィアット500の普通のものなので、カブリオレを試してみる事にし、その車で片道260kmを走ります。3時間弱でムーラウに到着。非力なフィアット500Cでも140km/時は出せますので全く問題はありません。

残念な事に、ムーラウでは連日雨だったそうで、宿の人も「いつも通り運が悪いわねぇ。。。」と慰めのモードでしたが、想定内の悪条件ですので、川に向かいます。今回継いだのは前回ドイツで使ったHardyのLRH Wet 9'3''。その胴に乗るペナペナアクションの長竿で魚の引きを愉しむ魂胆。

Mur川の水量はドライフライ本番の夏場に比べ最低50cmは多く水温は11度。川岸には前回ドイツと同じ様な黄色の花が咲いておりました。

この条件下で魚を釣れるのは、ウェイト入りのニンフしかありません。一番やりたくなかった釣りですが、チュニジアから遥々やって来た身にとってこの際、四の五の言っている余裕はありません。こういう場合に備えチュニスで巻いたGold Ribbed Hare's Ear (GRHE)を9' 4Xのリーダーに更に1m程1号ハリスを継ぎ足した先に結びリーダーの先にオイルを塗って良く浮くようにし、上流から大石が散在する岸沿いに流します。数投するとリーダーが引き込まれる感じがあり、合わせると手元に魚の引き。「ヤッタ」と魚の抵抗をいなし、ペナペナ竿の弾力で手元に寄せると虹鱒です。大きくはありませんが、増水の流れもあり、中々愉しませてもらいました。

生憎の状況で釣りが出来るポイントが極限されるため、場を休ませた後、同じ場所の多少違う流れを試します。そうして流していると手元に当たりを感じ合わせると、今度は竿先をギュッと絞り込まれます。ファイトの仕方は頭を振る感じで派手なジャンプはありません。直にブラウントラウトと判る引き。それでも重いので竿を曲げながら慎重に取り込みます。愛用のSharpe'sのテレスコピックタモはこういう時に最適。このブラウントラウトはドイツのそれよりは白っぽい色の32cmの痩せ気味の魚でした。

翌5月26日は午前中Mur川に行きましたが、水量が多い状況は変わらず、ニンフの釣りでも小型しか揚がらなかったので、見切りをつけ、山を登ってEtrachseeへ向かいます。この湖は下界が増水でも多少水が濁る事はあっても何時も釣りになる、ムーラウ釣行の保険のような釣り場。女将さんに「お久しぶり」と挨拶されて、暫し歓談。釣り券を購入し、ボートを使っていいか尋ねると「いつも通りタダで使っていいわよ」。通常は一時間4ユーロですが、もう15年程お金を払っておりません。竿は引き続きLRH Wet。それに今年自分でコーティングを施したKaizerの2番のシルクラインを使います。これはPhoenix AFTM6番を再コーティングしたシルクライン、Phoenixの厚化粧が無い分細く軽く、AFTMで5番弱くらいの感覚のもの、より重く仕上がりAFTMで6番弱くらいの感覚のシルクラインですが、LRH Wetは軽々と投げてくれます。最初に結んだのはRamsbottom's Favourite。それに直ぐアルプスイワナ(Arctic Charr)が襲いかかります。

いつも通りのイワナの乱舞ですが、湖の上をカワゲラの仲間の羽虫が多く飛び、ライズも見られるため、Greenwell's Gloryのウェットフライに変え多少ハッチに配慮した釣りにします。そうすると前よりも反応が上がり、毛針の鈎先が折れる程イワナが揚がり、毛針を交換すればまた直に食らいつきます。そうこうして揚げたのが上の魚。グリーンランドの巨大イワナと同じ配色のそれより小さな従兄弟。これがアルプス陸封のイワナです。

最終日の5月27日。釣りは1時まで。悩みましたが、大物が揚がらない爆釣の湖よりも、僅かでも大物が期待出来る増水のMur川に行くことにしました。釣りが出来るポイントは一昨日、昨日と同じところ。岸沿いの大石が沈む辺りです。

そこをGHREで探るとリーダーがススッと引き込まれ、すかさず合わせれば竿先がググッと引き込まれ竿が満月になります。漸くの大物に何時もより慎重にやり取りします。魚の引きは派手なものはなく、ブラウントラウトかグレイリング。ただ、どちらかと言うと、体の重さにモノを言わせる感がより強く、グレイリングかなと思っていたところ、漸く水面に顔を見せたのはやはりグレイリング。Mur川のグレイリングの魅力はその大きさ。ドイツのWenne川の魚とはやっぱり格が違います。グレイリングとペナペナ竿。ああ、これがドライフライだったら、グレイリングが底から毛針に泳ぎ上がって行くところもバッチリ見えるエキサイティングな釣りになるのに。。。と、思いますが、それは夏まで取っておきましょう。と、何度かの試行の後、グレイリングはテレスコピックタモへ無事収まったのでした。ファイト振りよりは小さめな34cmの魚でしたが、今回の釣行を締めくくる魚に満足です。

グレイリングを釣ったのが、10時30分頃。その後、チンピラ鱒を釣ったりしましたが、12時には雨雲が広がり大粒の雨。残念ですが、今回はここ迄。釣り具を仕舞い、スーツケースと竿ケースに入れ、収納スペースが少ないフィアット500Cへ荷物を全部納めウィーン空港まで帰ります。

時間がたっぷりあったので、120km/時程度でチンタラ帰りましたが、フィアット500は3日間で670km以上のマイレージを良く走ってくれました。屋根を全開にして走るのは面白いのですが、せいぜい80km/時くらいの低速走行まで。それ以上は風も巻き込み逆に不快です。それと、荷物の出し入れの観点より、次回はカブリオレでなく、普通のフィアット500にするかも知れません。

ドイツWenne釣行(2018年4月29日)

2018-04-29 19:21:43 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

昨日チュニスよりフランクフルト経由デュッセルドルフへ飛びそこからレンタカーで東へ1時間30分。Sauerland(ザウアーラント)と呼ばれる地方のEsloheというど田舎に来ております。目的は勿論釣り。今年初釣行です。

昨晩は宿のLandgasthof Seemerで豚肉とビール、更にはアクアヴィット(北欧の蒸留酒)を飲んで早寝。今朝は8時に朝食、その後出陣です。
Wenne(ヴェンネ)川は地元のクラブが入漁権を持つ川で、地元に2泊以上止まる条件でGaststrecke(ゲスト区間)4kmでの釣りが可能です。
宿は丁度ゲスト区間の真ん中当たりにあり今日は最下流から釣りをするつもりで、下流へ向かいました。宿の下流の橋の直ぐ下流に川へ降りられる道が付いております。

そこからみる上流。橋がありますが、この橋の上流・下流は禁漁です。

そこで、川を下流へ下り、ゲスト区間最下流のスポーツ広場(Sportplatz)へ向かいます。写真がそれです。

スポーツ広場から川へ降りますが、ライズはゼロ。ハッチも無くちょっと気負いすぎて早く来すぎたようです。
今日は9'3''のLRH Wetを持参。長竿ですがトップは細く所謂ペナペナ竿で、取り扱いには注意が必要。
スポーツ広場から上流へ行き橋を越えて100メートル程度のところに左岸から見て対岸にちょっとした澱みがあり、手前は早い流れの場所が有ります。釣り師の第六感で如何にも魚が居そうな雰囲気の有る場所。ライズはないですが、試しにドライで攻めてみる事にします。
英国の古いハニーダンにスターリングクイルをスプライトの14番鈎に巻いたものを結び投げてみます。手前に早い流れ、向こう側は流れが殆どなく、後ろと両脇は樹が茂るという難易度の高い場所。バックハンドキャストにロールキャストとメンディングを駆使して何とか淀みと流れに境界に毛針を乗せ流すと、「バシャ」といきなり大きなライズ。アワセましたが、長いペナペナ竿でタイミングが合わずすっぽ抜けです。
その後数度繰り返し狙いましたが、もうウンともスンとも言いません。
仕方なく、その場は諦め上流側にウェットフライのSilver Sultan14番を投げます。これが流れて行くといきなり水中でキラリと魚体が反転し、それにすかさずアワセをくれると柔らかい竿先がグッと曲がります。
「ヨッしゃ」と慎重にラインを巻き取ると、それはグレイリング、ドイツ語でエーシェ(Aesche: aeはaの上に点二つのウムラウト)です。
おなじみムーラウのエーシェよりも細長く大きさは27cmと小さいですが、ドイツで20数年振りに釣った最初の魚になりました。

上の写真の場所が対岸に澱み、手前に早い流れの有る場所。
エーシェを釣る前に一匹アワセそこね、また、エーシェを釣った後、一匹をかけたのですがバラしました。

上の写真は上の場所の下流です。橋はスポーツ広場の直ぐ上流にかかるもの。

その後、更に上流へ行きましたが、状況が良く無く、更に大雨が降って来て時は午後3時。もう一度エーシェを釣ったあの場所へ戻ろうと、元の場所に着くと、大きなライズがあります。場所は淀みと早い流れの境界部分で澱みが終わる場所からちょっと下流。一番ドラグフリーで流し難い場所です。
しかしエーシェのチンピラで終わってなるものかと、毛針箱を見ると、昔巻いたGreenwell's Gloryのドライが目に入りました。レッドのハックルは固く水面に高く浮き易いので良いかも知れません。それをロールキャストで対岸へ流し直にメンディングと再度のロールキャストで偶然にも敵がライズする上流へ毛針を持って行く事が出来ました。流れに乗った毛針が1mと流れて、今かと思うと「バシャ」と魚が出ます。これは今日最初にアワセ損ねた奴に違い有りません。竿の穂先がグイーンと曲がり長い竿のバットから曲がりますが張りもあるので魚にダメージを与えられます。魚はブラウントラウト。結構何度も遁走します。バラしたらタマらんと思い慎重にやり取りし、長年の相棒のテレスコピックタモを開き、伸ばし、水中へ入れそこにブラウントラウトを誘います。数度失敗の後、漸くそれをタモに入れる事に成功。それが一番上の魚。赤い水玉模様がチャーミングな32cmの魚でした。時は15時15分。その後、暫くして下流でライズがあったので、下流へ回りアップストリームでGreenwell's Gloryを投げ入れてちょっと流すと、ライズ。すかさずペナペナの長竿でアワセると竿先がグンと曲がって魚を鈎がかり。慎重にやり取りしてまたブラウントラウトと対面です。これは27cmのオチビサンですがそれでも愉しめました。

この写真の上流へ毛針を投げた結果が上のブラウントラウトです。

今日は宿の食事は17時〜19時の間だけというので、今日はアガリ。牧草地には黄色い花が咲いております。

ドイツの片田舎の村の橋を渡ると直ぐ宿です。今日は昼飯抜きで頑張ったので、ビールがグイグイ進みました。

追記
上記は4月29日の記事ですが、その後4月30日も釣りに出かけました。
4月29日は20度を越えた気温は、翌日は最高気温10度台。強風が吹き付ける生憎の天気。

前日とは逆に宿から上流へ向かいます。一寸歩くと牧草地。そこでは農耕馬でしょうか、大きな馬が草を食んでおりました。

写真は漁区最上流の橋。ここでゲスト区間は終わりです。

前日と違ってライズも見られずの状況。釣果を聞くのは武士の情けでご容赦を。4月30日出動したのは1995年9月ハーディーに特注で作ってもらったCC de France 8'。

小さな魚ですが、この奇麗さには思わず見とれました。

Mur川釣行(2017年9月15日〜17日)

2017-10-08 15:46:47 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

会津大川釣行の一つ前の釣行で、オーストリアはシュタイヤーマルク州のMur川へまた出かけて来ました。
今年のMurau(ムーラウ)は天候不順で、9月15日〜17日の釣行期間中も天候に恵まれない悪条件下の釣りを強いられました。

9月15日の午後Mur川に到着、午後の釣りがOKになる15時に川に降ります。最初に向かったのはBodendorf釣区最上流のWandritsch橋より数百メートル下流にある瀬を釣ることの出来る中州。そこでドライフライを使ってグレイリングの釣りをするのが目的。そのため、1953年製のHardy Palakona Marvel (ハーディー・パラコナ・マーベル) 7'6''にKaizerシルクラインの1番(AFTM3〜4番)、それを収納するSt. George Juniorリールを組み合わせます。というか、これは目的と手段が倒錯していて、1953年製のMarvelを使いたかったからグレイリングのドライフライ釣りにしたというのが正確な表現。

道具の準備は終了。これから釣行です。

さて、目的地の中州へ行き、昨年尺以上のグレイリングを数釣りした現場の瀬にオールド・イングリッシュ・ゲームコックのハニー・ダンのハックル、スターリングのウィング、ゴッサマーシルクのオレンジ色のボディを持つ0番(15番)のドライフライを浮かべます。
昨年の釣行以降気がついたのですが、Mur川のグレイリングはこの鈎が大のお気に入りのようで、水深のある川の真ん中にこの鈎を浮かべるとゆっくりと底からグレイリングが泳ぎ上がって食いつくのがよく見えますし、瀬の釣りでは数メートル流れるとバシャと鈎をひったくります。
今回も、第二投目で、瀬に高く乗り流れて行くこの毛針をグレイリングが捉えます。間髪入れずに合わせると、華奢なマーベル 7'6''が胴から曲がって魚にプレッシャーを与え、それを嫌って魚はジャンプ。Mur川のグレイリングはその殆どがジャンプをするので、掛けた後のやり取りはスリリング。それでもこの華奢なマーベルは不思議と大きな魚の引きをいなす竿で、数分の戦いの後で、34cmのグレイリングはタモに導かれます。この日は他にもう一匹のグレイリングをドライフライで掛けた後が続かず、残念ですがそれで終了しました。
1953年製のマーベルは1930年代、1960年代のものと違い、胴調子のみでなく、竿先も曲げることが出来る竿。軽快な山岳渓流のドライフライ釣りにも向きそうな、二段構えの調子です。養沢を開設したブレイクモア氏の愛竿も1950年代のマーベルだったと見受けますが、養沢で軽快な釣りをするのにもピッタリだったことでしょう。

翌9月16日は曇り時々小雨。今回借りたFiat 500でも8フィート二本継用のロッドケースは十分収まります。チュニスでも一つ前のモデルのFiat 500を運転しているので、全く違和感はありません。因に、欧州やアフリカではマニュアルが圧倒的多数ですので、オートマしか運転出来ないと、レンタカーを借りるのに難儀します。レンタカーで欧州での運転を考える方はマニュアル練習が必須と言えるでしょう。

小雨模様の天気ですので、ウェットフライでの釣りにします。そこで、今シーズン連続登板のSawyer Nymph 8'10''に3Xリーダー、そしてSilver March Brownを結び前日と一緒に中州から流します。時間は10時30分頃。数投でコツコツとアタリを感じ合わせればグレイリングの抵抗が竿先を曲げます。大きさは尺上程度ですので然程の苦労なしにタモに納められました。

その後場所を少し下流に移し毛針をダウンクロスに投げればまたコツコツとアタリ。このアタリを合わせるプロセスは既に無意識の物になっているので、説明が難しいのですが、アタリを感じたら反射的に手が動くようになっております。で、上の写真の魚も余り苦労せずタモに収まりました。

中瀬の右岸は水の流れが極めてユックリな細い流れがあり、そこを戯れにアップストリームに流していたらアタリ。合わせるとブラウントラウトのちびっ子がかかりました。ブラウントラウトはグレイリングや虹鱒と違い流れが緩やかな場所に留まっている傾向が高いですが、将にその通りでした。

ブラウントラウトのチビ。

悪条件のせいか、その後が続かず、上流の橋の方に移り釣りを試みますが、漸くグレイリングが出ただけでその日の釣りは終了。

最終日の9月17日は朝から雨。小雨ならまだしも、時折雹まで振ってくる最悪の状況。中州は増水で渡るのが危険なため上流の橋の近くでの釣りに限定です。

こうなると岸の近くの流れが比較的緩いところを狙うしかないのですが、Connemara Blackを岸近くの大岩の近くに流したところ、虹鱒がヒットし、増水した強い流れに泳ぎ込み激しいジャンプを繰り返します。足下が非常に悪いので慎重にやり取りしますが、最後はテレスコピックタモのお陰で鱒を取り込むことに成功。33cmの比較的小型の鱒でした。それでもパワー溢れるファイトに感謝です。

鱒を釣ったらものすごい大雨になってきて、BarbourのLongshoremanジャケットの首筋のフードに水がたまり首を曲げた拍子に首筋に水が入ってしまい、もう潮時と釣りを切り上げ引き上げました。
2017年のシーズンは、特にMurauの天候不順のため、余り良い思いをすることが出来ず、残念でしたが、流石にもうこれで終わりですね。


Etrachsee釣行(2017年7月9日)

2017-07-23 16:00:00 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

前回のMur川釣行の翌7月9日、Tさんと一緒に爆釣の湖ことEtrachseeに行って参りました。下界のMurauを8時30分に出発。山上湖に9時前くらいに到着。Landhaus Etrachseeで釣魚券を購入しましたが、女将さんは不在で別の年配の女性が相手をしてくれました。さらに「コーヒー飲むかしら?」「はい、喜んで」「じゃあ、ちょっと待っててね」、竿の準備等しつつ待つ事暫し、なんと魔法瓶にコーヒとカップ二つを準備してくれたのでした。心遣いに深謝しつつボートに乗り移り、さて、釣りを始めます。

宿のボート桟橋から沖へ離れたところまで漕ぎ竿を出します。

ボートには宿の方のご厚意のコーヒー。
山頂へ向かう登山道に面し、樹がこんもりと茂るかけあがりのある岸でまずは毛針を投げます。今回はボートからの釣りということでウェットフライでの釣り。最初に結んだのはSilver Doctor。幾つかバージョンがありますが、10番の鈎に結んだのは:
ウィング:赤・青・黄のグースをマリーし、その上からブロンズマラードを載せ、更にトッピングを載せる
ハックル:ブルー
ボディ:フラットシルバーティンセル、テイルの前に赤いウール
テイル:トッピング
ヘッド:赤いヘッドセメントで着色
というもの。マリーしたグースなしでも、アイルランド西部ではシートラウト用に良く効く毛針の様です。

と最初の数投で、Sawyer Nymph 8'10''竿の竿先がぐっと持って行かれます。かかったのは虹鱒。イワナよりも良く引く魚ですが、釣り上げてみると痩せた鱒でした。

鱒を釣った後、ウィングがばらけたので、マリーしたグースの青、黄が見えないですが、今回使ったSilver Doctorです。

その後もConnemara Black、Invicta、Silver March Brown等の私の定番毛針を投入しながら主にイワナを釣ります。
Etrachseeの良いところは兎に角魚影が濃く、且つ、毛針に積極果敢にアタックしてくる事。飽きる事なく釣りが出来ます。そこで、川ではなかなか結果を出していなかったButcherを結び投げ込みますと、イワナがアタック。毛針は何でも良いのかな?という感じです。
ただ、このButcher、春先の寒い時期のスコットランドのロッホでの釣りや、川の釣りでは欠かせない毛針と言われ、英国、アイルランドでは極めてスタンダードな毛針です。色の配色から、鱒は小魚と思ってアタックするのではと推測されている様です。

当日使ったButcher。ダークブルーのメタリックな色をしたダッククイルをウィングに使う定番ウェットフライです。

今回もTさんに釣り姿を撮影頂き深謝です。これは虹鱒をかけ最終生産モデルのPerfectから糸がジーっと出されてた冒頭の写真の後、戦い終わって虹鱒を愛用のタモですくったところ。このテレスコピックのタモは本当に重宝です。

35cmの虹鱒ですが、

こうやって写真に撮ると全然小さい魚にしか映らないです。
こんな風に13:00過ぎまで釣りをして、山上湖に別れを告げ、ウィーン空港に向かいます。途中のSpielberg(シュピールベルク:スピルバークと同じ綴りです)で何と、丁度F1のオーストリアGPをやっていて渋滞しないかと心配しましたが、無事通過し17時には空港到着。それから飛行機に乗り、フランクフルト経由でチュニスに到着したのは夜12:40を回っておりました。翌日は週末の強行軍の影響で死んでいたのは言うまでもありません。が、砂色ばかりの北アフリカから一時緑に溢れる環境にトリップし、良い心の洗濯になりました。

Mur川釣行(2017年7月8日)

2017-07-16 14:40:12 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

7月8日から9日にかけ一泊二日の強行釣行に出かけました。
行き先は何時ものオーストリアはMurau。Mur川と爆釣の湖Etrachseeです。
7月8日朝2:20発チュニス発のルフトハンザ便でまずはフランクフルトまで飛び、そこで朝06:50発のウィーン行きに乗り換え、朝08:10にウィーン空港に到着。そこでレンタカーに乗り換え、270km程を約2時間半運転し、Murauへ到着。さすがに、睡眠不足と運転の疲れがこたえ、宿でまずは昼食を食べ一服します。

今回のレンタカーはOpelのAstra。日本ではバブル崩壊後Opelは正規輸入では購入出来ないと思いますが、結構しっかりしたドイツ車です。GMが売却しPeugeotの傘下に入る事になりましたが、今後どのようになるのでしょうか。。。

昼食後、釣り券を購入し、Mur川のBodendorf釣区の最上流のWandritsch橋のたもとでブダペストから来られたTさんと落ち合いました。
Tさんは既に午前中に到着し、大型のブラウントラウトを5匹上げたとの事。今回は大型のブラウントラウトが頭にあったので、久しぶりにウェットフライを準備し一番上の枝鈎、Bob FlyにJock Scott(鱒用)、SecondにSilver March Brown、Lead FlyにはGreenwell's Gloryを結びました。Lead Flyは14番、他は10番です。10番という大きさは手持ちの鈎が10番までしかなかったからというトホホな事情で、それ以外の理由は有りません。
その3本鈎のチームを上流の橋の方に向け投げ、水中の大きな岩のある場所を通過させ下流に流します。何投かしたところで、自分より下流に毛針が流れ始めるあたりでコツンとアタリ。合わせると虹鱒がかかりました。サイズは30cm以下の若者サイズ。Silver March Brownにかかったものでした。若者にさようならをした後で何回かウェットフライを流したのですが、非情な事にそれ以上のアタリはなし。そうこうする内に毛針が根がかりしてしまい、仕方なく引っ張ると、何とシルクラインが切れてしまいました。
この切れたシルクラインは以前再生したPhoenixのもの。テーパーが終わり先端の細いところの中間くらいのところでしょうか、プッツリいかれてしまいました。
しかたなく、シルクラインを引っぱり出し、切れた方の端にコブを作り、バッキングラインの先端のループに8の字結びで結び1912年チェックのPerfectにシルクラインを巻き直し、今度はドライフライ用のリーダーを結び、先端には00番(16番)のSneck鈎に巻いたボディがオレンジシルク糸、ハックルがハニーダン、それにスターリングのクイルウィングというドライフライを結びました。そしてちょっと下流のグレイリングがドライに良く出る場所に移動です。上の写真の場所がそれです。

竿は以前ご紹介のHardy Fairy 9'。バットがしっかりしていてドライフライでもウェットフライにもとても使い易い調子の竿で、Marvelの様なマニアックなアクも無く、万人向けの竿という感じの印象です。それに再生Phoenixシルクラインを乗せて投げると楽に川の真ん中を越えて毛針を運ぶ事が出来ました。但し、後ろには樹があるので、最後はシュートになりますが。
それにしても、自分の釣り姿を見る事は全くないのでシルクラインの動き等参考になります。取りあえず問題なく投げているようでホッとしました。Tさんに感謝です。

毛針が水面を流れて行くと、川底からグレイリングが泳ぎ上がり毛針をくわえる姿を見る事が出来ます。グレイリング釣りの醍醐味はこれ。グレイリングが泳ぎ上がるまで毛針にドラッグをかけずに流し切る事が肝要です。

ドライフライに出たグレイリング。Mur川では、オレンジボディにハニーダンのハックルのフライがグレイリングにはアタリ鈎で、今回はノルマンディーで威力を発揮したGrey Dusterも試しましたが、グレイリングに見切られて帰られてしまいました。
また、オレンジコンドルのボディにレッドコックハックルにスターリングクイルウィングのオリジナルOrange Quillもこの川のグレイリングには気に入ってもらえず、ハニーダンハックルでないとダメでした。どういう理由かは判然としませんが、またせっせとこの毛針を結ばなければならないですね。
このように、ウェットフライで大型ブラウントラウトを狙うという当初の目論みはハズレましたが、尺越えグレイリングが何匹も水底から上がって来て、Fairyを曲げ、Perfetの1912年チェックの逆転音を響かせてくれました。チュニスから弾丸釣行を試みた甲斐があるというものです。