最適化問題に対する超高速&安定計算

大規模最適化問題、グラフ探索、機械学習やデジタルツインなどの研究のお話が中心

ワークショップ "Intersection of Pure Mathematics and Applied Mathematics V"

2014年05月12日 16時24分52秒 | Weblog
少しローカルなネタではございますが、以下のワークショップに参加する予定です。

ワークショップ "Intersection of Pure Mathematics and Applied Mathematics V"

開催日時: 2014年5月16日(金) 12:50-17:00  ※開始時刻にご注意下さい
開催場所: 九州大学伊都キャンパス 数理学教育研究棟 中セミナー室7

プログラムと講演概要

12:45-12:50 開催挨拶 横山 俊一(九州大学大学院数理学研究院・助教)

一般講演枠
12:50-13:20 高尾 和人(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・日本学術振興会特別研究員PD)

Incompressible surfaces and Heegaard surfaces in 3-manifolds
In this talk, I will survey some basic notions and facts in 3-dimensional topology. A 3-manifold is a topological space which is locally the 3-dimensional Euclidean space. For understanding the global structures of 3-manifolds, it is important to study surfaces embedded there. In particular, the notions of incompressible surface and Heegaard surface are fundamental.

13:20-13:50 新川 恵理子(九州大学大学院数理学府・D3)

Double crystals problem
囲む体積が一定という条件のもとでその表面積が最小のものを考える. この解は平均曲率一定曲面と呼ばれ, シャボン玉の数学モデルである. さらに, 一つではなく二つの体積を囲む曲面でその表面積が最小のものを考える. この形については長らく証明がなされなかったため "double bubble conjecture" と呼ばれていたが,2002年に Morgan らにより R3 内で, また2008年には一般次元内の超曲面に至るまでその証明がなされた.
次に, 囲む体積が一定という条件のもとで異方性をもつエネルギーの臨界点について考える. この解は非等方的平均曲率一定曲面とよばれ, 平均曲率一定曲面の一般化として, また単結晶の数学モデルとしても知られている. 本講演では, これらの詳しい説明に加え, 二つの体積を囲むという条件のもとでその表面エネルギーを最小にする曲面の形状について紹介する.

14:00-14:30 山口 達也(九州大学大学院数理学府・M2)

テトラヒメナの空間適応についての数理モデル
単細胞生物は何もできないと思われるかもしれないが, そうではない. これまでの実験から, いくつかの単細胞生物では学習・記憶といった知性を持つことが明らかとなった. 例えばゾウリムシは泳いだ容器の形状を記憶することができたり, モジホコリは迷路の最短経路を探索することができたのである. このような単細胞生物が持つ知性のメカニズムは, 現存する生物の知性の土台となっているのではないだろうか. 本講演では単細胞の繊毛虫であるテトラヒメナの空間適応能を明らかにした実験を紹介し, その実験結果を再現する数理モデルを構築することで空間適応能のメカニズムを提案する.

14:30-15:00 安井 雄一郎(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・CRESTテクニカルスタッフ)

計算機のメモリ階層構造を考慮した高速な計算手法
近年, 情報技術分野における計算機性能の向上と, 数理分野における効率的なアルゴリズム開発により, 以前に比べて大規模な数値計算が高速に扱えるようになってきた. しかしながらグラフ・アルゴリズムなど要求される演算量に対して扱うデータ量が大きい場合, 理論的な計算量解析では効率的とされるアルゴリズムが, 計算機実験では期待される性能を示さないという状況は珍しくない. そこで本研究ではこのような注意点を踏まえつつ高速計算を実現するために, 計算機のメモリ階層構造を考慮した高速化手法を提案している. 本発表では, 高速な数値計算のためにどのような点を考慮すれば良いのか, 適用例を用いながら説明を行う予定である.

特別講演枠(招待)
15:10-16:00 秋山 正和(北海道大学電子科学研究所・助教)

平面内細胞極性の数理モデル
ショウジョウバエの翅(ハネ)を顕微鏡にて詳細に観察すると, その表面には翅毛(しもう)と呼ばれる細かい毛が翅の根本から先端にむけて整然と並んでいることが知られている. これは, 翅を構成する各細胞が細胞内に極性を作り, その非対称性により毛を構成する蛋白が特異的に局在するために起こる現象であるとされている. この様な現象は翅だけでなく, 上皮細胞のようなシート構造をつくるような系では普遍的に見られる現象であり, 平面内細胞極性(Planar Cell Polarity)と呼ばれている.
近年, PCPは分子生物学的な研究が進み, 詳細な分子機構がわかりつつある一方, そのようなミクロな情報をいかに統合しマクロな現象であるPCPを理解するかという大きな問題が残されている. 本講演では, PCPに関する諸事実や, 再現されたシミュレーション結果をわかりやすく解説したい.

16:10-17:00 木村 欣司(京都大学大学院情報学研究科・特定准教授)

ハードウェアを意識した数式処理ソフトの開発について
数式処理ソフトに欠かせない技術として, Hensel構成による高速化と中国剰余定理に基づく高速化がある. Hensel構成による高速化は, 整数の多倍長数演算の高速化とほぼ等しい意味を持ち, GMPライブラリを超えるものを開発するに等しい. 一方で, 中国剰余定理に基づく高速化は, 有限体 Z/pZ をどのように実現するかという問題に帰着し, CPUのハードウェアを意識すると, さまざまな方法が考えられる. 上記の内容の他に, Intel CPU の持つ Hyper-Threading Technology を有効活用することも議論する.
コメント
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