昭和52年4月、田中寅彦先生と第10回早指し選手権です。
田中先生はまだプロ2年目で大山先生と対局できて張り切っていたのでしょうね。

大山先生の四間飛車に田中先生は居飛車穴熊。居飛穴はデビュー当初からだったのですね。

大山先生は石田流にして

4枚穴熊とダイヤモンド美濃になりました。シンプルな仕掛けで始まります。今なら9筋や8筋を突き捨ててから攻めるところ。

角交換から打ちあって

大山先生としては飛車交換はやりたくないので、香損ですが と金を作っています。

居飛穴で と金攻めは嫌なので、と金は桂馬と交換です。駒の損得はほぼなくなりました。

これで大山先生の攻め駒は4まいになりそう。田中先生は91香92飛が攻めに使えていないわけで、と金を作りましたが攻め駒は3枚。玉の堅さが違うのですが、振り飛車としてはまあまあ指せるわかれです。

田中先生は馬も守りに使おうとしています。大山先生は桂馬を使って攻めます。

大山先生は香損ですが攻めの体制としては十分。田中先生も持ち駒が増えたので、ここからは寄せ合いになります。

大山先生は36を狙われて、受けていてもきりがない(後手の攻め駒が多い)ので寄せ合いです。

どちらも怖そうですが受けていても仕方なく

後手玉は2手すき(次に詰めろがかかる)、先手玉に1手すき以上が必要です。

31歩には42銀、92飛には62歩、というやりとりがあり、速度は変わりません。

でも31歩の効果で、大山先生は竜から行くしかないのでは先手を取られそうですが

金を打たせて47金が好手です。

この飛車は痛そうに見えますが

37の銀を取れば先手玉は3手すき以上。寄らなくなりました。

あとはゆっくり確実に迫ります。

取りになっていないのですが詰めろの金打

あわてて31銀成では53角を食らいます。

投了図。
かなりの好局です。振り飛車党にはとても参考になるでしょう。並べてみてください。
やや振り飛車ペースながら互角の終盤になり、大山先生に受けの好手が出て勝ちになりました。こういう手はどの時点で見えているのでしょうね。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山棋聖
後手:田中寅彦4段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 5三銀(62)
15 6七銀(78)
16 3三角(22)
17 3八銀(39)
18 2二玉(32)
19 9六歩(97)
20 1二香(11)
21 7五歩(76)
22 1一玉(22)
23 7八飛(68)
24 2二銀(31)
25 9七角(88)
26 4二角(33)
27 5八金(69)
28 3一金(41)
29 1六歩(17)
30 8五歩(84)
31 1五歩(16)
32 4四銀(53)
33 7六飛(78)
34 8四飛(82)
35 4六歩(47)
36 5一金(61)
37 5六銀(67)
38 4一金(51)
39 4七銀(56)
40 3二金(41)
41 3六歩(37)
42 9四歩(93)
43 7七桂(89)
44 3三銀(44)
45 3七桂(29)
46 7四歩(73)
47 同 歩(75)
48 9七角成(42)
49 同 香(99)
50 9八角打
51 5一角打
52 8七角成(98)
53 7五飛(76)
54 8二飛(84)
55 7三歩成(74)
56 9七馬(87)
57 7四飛(75)
58 7三桂(81)
59 同 角成(51)
60 9二飛(82)
61 6三馬(73)
62 9三飛(92)
63 6二馬(63)
64 6八歩打
65 同 金(58)
66 8六歩(85)
67 7一飛成(74)
68 8七歩成(86)
69 6五桂(77)
70 8六馬(97)
71 5八金(68)
72 7七と(87)
73 8七歩打
74 7六馬(86)
75 5三桂成(65)
76 6六馬(76)
77 4五桂(37)
78 2四銀(33)
79 2六桂打
80 6七と(77)
81 3四桂(26)
82 5八と(67)
83 同 金(49)
84 2五銀(24)
85 2二桂成(34)
86 同 馬(66)
87 5二馬(62)
88 2四桂打
89 4二銀打
90 3六桂(24)
91 同 銀(47)
92 同 銀(25)
93 3七歩打
94 4五銀(36)
95 3一銀(42)
96 同 金(32)
97 4二金打
98 3二金打
99 3一金(42)
100 同 金(32)
101 4五歩(46)
102 3六歩打
103 3四桂打
104 3七歩成(36)
105 同 銀(38)
106 3六歩打
107 2二桂成(34)
108 同 金(31)
109 3六銀(37)
110 2四桂打
111 2五銀(36)
112 3六桂打
113 3七玉(28)
114 3一歩打
115 4二銀打
116 9二飛(93)
117 6二歩打
118 2八銀打
119 4六玉(37)
120 5五銀打
121 3五玉(46)
122 3七銀(28)
123 3一龍(71)
124 3二金打
125 4七金(58)
126 3一金(32)
127 同 銀(42)
128 3二飛打
129 3四歩打
130 5二飛(32)
131 3七金(47)
132 3二飛(52)
133 4二銀打
134 7五角打
135 2二銀(31)
136 同 飛(32)
137 3三歩成(34)
138 同 桂(21)
139 3一金打
140 2一銀打
141 同 金(31)
142 同 飛(22)
143 3二銀打
144 2二金打
145 2一銀成(32)
146 同 金(22)
147 5一飛打
148 3一香打
149 3二歩打
150 5三角(75)
151 同 銀(42)
152 3二金(21)
153 4二金打
154 投了
まで153手で先手の勝ち
田中先生はまだプロ2年目で大山先生と対局できて張り切っていたのでしょうね。

大山先生の四間飛車に田中先生は居飛車穴熊。居飛穴はデビュー当初からだったのですね。

大山先生は石田流にして

4枚穴熊とダイヤモンド美濃になりました。シンプルな仕掛けで始まります。今なら9筋や8筋を突き捨ててから攻めるところ。

角交換から打ちあって

大山先生としては飛車交換はやりたくないので、香損ですが と金を作っています。

居飛穴で と金攻めは嫌なので、と金は桂馬と交換です。駒の損得はほぼなくなりました。

これで大山先生の攻め駒は4まいになりそう。田中先生は91香92飛が攻めに使えていないわけで、と金を作りましたが攻め駒は3枚。玉の堅さが違うのですが、振り飛車としてはまあまあ指せるわかれです。

田中先生は馬も守りに使おうとしています。大山先生は桂馬を使って攻めます。

大山先生は香損ですが攻めの体制としては十分。田中先生も持ち駒が増えたので、ここからは寄せ合いになります。

大山先生は36を狙われて、受けていてもきりがない(後手の攻め駒が多い)ので寄せ合いです。

どちらも怖そうですが受けていても仕方なく

後手玉は2手すき(次に詰めろがかかる)、先手玉に1手すき以上が必要です。

31歩には42銀、92飛には62歩、というやりとりがあり、速度は変わりません。

でも31歩の効果で、大山先生は竜から行くしかないのでは先手を取られそうですが

金を打たせて47金が好手です。

この飛車は痛そうに見えますが

37の銀を取れば先手玉は3手すき以上。寄らなくなりました。

あとはゆっくり確実に迫ります。

取りになっていないのですが詰めろの金打

あわてて31銀成では53角を食らいます。

投了図。
かなりの好局です。振り飛車党にはとても参考になるでしょう。並べてみてください。
やや振り飛車ペースながら互角の終盤になり、大山先生に受けの好手が出て勝ちになりました。こういう手はどの時点で見えているのでしょうね。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山棋聖
後手:田中寅彦4段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 5三銀(62)
15 6七銀(78)
16 3三角(22)
17 3八銀(39)
18 2二玉(32)
19 9六歩(97)
20 1二香(11)
21 7五歩(76)
22 1一玉(22)
23 7八飛(68)
24 2二銀(31)
25 9七角(88)
26 4二角(33)
27 5八金(69)
28 3一金(41)
29 1六歩(17)
30 8五歩(84)
31 1五歩(16)
32 4四銀(53)
33 7六飛(78)
34 8四飛(82)
35 4六歩(47)
36 5一金(61)
37 5六銀(67)
38 4一金(51)
39 4七銀(56)
40 3二金(41)
41 3六歩(37)
42 9四歩(93)
43 7七桂(89)
44 3三銀(44)
45 3七桂(29)
46 7四歩(73)
47 同 歩(75)
48 9七角成(42)
49 同 香(99)
50 9八角打
51 5一角打
52 8七角成(98)
53 7五飛(76)
54 8二飛(84)
55 7三歩成(74)
56 9七馬(87)
57 7四飛(75)
58 7三桂(81)
59 同 角成(51)
60 9二飛(82)
61 6三馬(73)
62 9三飛(92)
63 6二馬(63)
64 6八歩打
65 同 金(58)
66 8六歩(85)
67 7一飛成(74)
68 8七歩成(86)
69 6五桂(77)
70 8六馬(97)
71 5八金(68)
72 7七と(87)
73 8七歩打
74 7六馬(86)
75 5三桂成(65)
76 6六馬(76)
77 4五桂(37)
78 2四銀(33)
79 2六桂打
80 6七と(77)
81 3四桂(26)
82 5八と(67)
83 同 金(49)
84 2五銀(24)
85 2二桂成(34)
86 同 馬(66)
87 5二馬(62)
88 2四桂打
89 4二銀打
90 3六桂(24)
91 同 銀(47)
92 同 銀(25)
93 3七歩打
94 4五銀(36)
95 3一銀(42)
96 同 金(32)
97 4二金打
98 3二金打
99 3一金(42)
100 同 金(32)
101 4五歩(46)
102 3六歩打
103 3四桂打
104 3七歩成(36)
105 同 銀(38)
106 3六歩打
107 2二桂成(34)
108 同 金(31)
109 3六銀(37)
110 2四桂打
111 2五銀(36)
112 3六桂打
113 3七玉(28)
114 3一歩打
115 4二銀打
116 9二飛(93)
117 6二歩打
118 2八銀打
119 4六玉(37)
120 5五銀打
121 3五玉(46)
122 3七銀(28)
123 3一龍(71)
124 3二金打
125 4七金(58)
126 3一金(32)
127 同 銀(42)
128 3二飛打
129 3四歩打
130 5二飛(32)
131 3七金(47)
132 3二飛(52)
133 4二銀打
134 7五角打
135 2二銀(31)
136 同 飛(32)
137 3三歩成(34)
138 同 桂(21)
139 3一金打
140 2一銀打
141 同 金(31)
142 同 飛(22)
143 3二銀打
144 2二金打
145 2一銀成(32)
146 同 金(22)
147 5一飛打
148 3一香打
149 3二歩打
150 5三角(75)
151 同 銀(42)
152 3二金(21)
153 4二金打
154 投了
まで153手で先手の勝ち