名南将棋大会ブログ 名古屋

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20160514今日の一手<その325>; 寄せのセオリーから少しずれるけれど

2016-05-14 | 今日の一手

20160514今日の一手

4月3日の名南将棋大会から、IさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と桂歩歩の交換です。後手は持ち歩がないのでやや先手の駒得です。終盤なので損得なしと見てもよいです。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は44桂と持ち駒角桂で3枚。
後手の攻め駒は75銀と持ち駒角銀で3枚。

総合すれば互角です。

大局観として
後手は歩切れなので攻めにくく、その分だけ先手がややリードしているのだろうと思います。44桂のくさびがが先手で入ったのも大きいです。形勢は微差ですが悪くはないので、自然な手ならば大体は良い手になります。
守って勝てるかといえば、76歩は2歩で打てず、46角や69角が嫌味、歩を渡せば76歩がありますし、受けきりができるかどうかは怪しいです。
まずは有力な攻め筋を考えるほうが良いでしょう。その時は寄せのセオリーで考えます。
後手玉を直接攻める手が一番厳しく、次は玉に近い守りの駒を攻めることです。離れた駒を攻めるのは後回し。
攻める駒は歩から始めて大きな駒を使うのは後回しです。
ただしこの局面、安易に歩を渡すと76歩の反動があります。桂馬なら85桂ですし、何を渡しても反動がありそうです。ですから攻め方は少し難しいのですが、駒を渡したらそれ以上の成果がなければいけません。


△ 実戦は32歩でした。

これは小さな駒からというのにはあっているのですが、31歩成では取られて意味がなく、31角で王手するのは角を渡すのでややセオリーから外れます(後で考える手)。
65歩に24歩同歩31角

31同飛(逃げるのもありそう)同歩成同玉61飛41歩

ここから32歩以下玉を攻めていったのですが、少し足りません。後手の反撃のほうが厳しく負けになりました。でも65飛成から銀の入手を図れば23銀から32歩があるのでまだ先手のほうがよかったはずです。
また、32歩の後で24歩や31角とはしないで、72歩成とすれば同飛とは取りにくいです。41飛に31角なら同じようなものですが。



× 一番自然に見えるのは24歩なのですが

24同銀25銀だとして、76歩

逃げれば77銀と打ちこまれます。(そのほうがまだいいのかもしれません。)76同金右同銀同金67角

歩を渡すと厳しいということがわかります。24同銀のあとがそれほど厳しくないので負けそうなのです。24歩以外に14歩とか35歩とか55歩とか、歩を渡すのは同じようなことになります。


○ 歩を渡しにくいので24桂です。

桂馬の利きがダブっているので筋が悪いようですが、32金や飛で詰みます。どうやって手に入れるかといえば46角なら72歩成同飛61角

という筋です。41銀と受けるしかなく、飛車が取れますから優勢でしょう。

あるいは72歩成同飛32歩

これも詰めろになります。71飛くらいですが、31角同飛同歩成同玉71飛

75の銀を取ってしまえばまた攻められます。

戻って、24桂は同歩と取るしかなさそうです。

24同歩同銀23歩同玉25銀35銀打

これはやりすぎで千日手です。

少し落ち着いて銀桂交換だけにして

これでまた後手は歩切れです。23歩29飛65歩に24歩

24同歩23歩同玉25歩

今度は千日手にはなりません。先手優勢でしょう。

後手は65歩と攻めても間に合わないので24銀とか受ければ32歩

72歩成から31銀で攻められます。

なお、72歩成が先でもよさそうですが、余計な変化が出てきそうなのでこの場合は24桂が先なのでしょう。


△ 72歩成がよくある筋です。

72同飛に61角62飛43角成

飛車を攻めようというのではなく、43の金を取って攻めようということです。ただし角を渡すし、狙いが少し離れた金なので、セオリーでは後回しで考える手です。
43同金32金同飛同桂成同玉72飛

駒損で飛車を取るのはつまらないのですが、直後に銀を取れます。42歩75飛成46角78飛37角成44桂

これで71竜と潜るのが厳しい手になります。後手も工夫できないことはなさそうなのですが、少し先手がよいのでしょう。

戻って、61角に73飛なら角は切れないので76歩と受けます。

後手は強攻します。59角29桂77角成

77同玉76銀同金75歩86金85歩74歩

74同飛とはできず、86歩73歩成

これで後手玉はまだ詰まないようですが、先手玉は飛の横利きがあるので金銀だけでは詰めろが続かないから先手優勢です。


× 62角もやりたくはなります。

61飛72歩成62飛同と

これは52とが厳しいので先手の勝ち筋。

62角には31飛32歩41飛

我慢されてみると決め手がみえません。玉から遠い飛車を攻め、しかも角を使うのでは効率が悪いのです。


× 受けるなら47銀ですが

65歩同歩73飛76歩66歩

強引なようでも攻めている方が勝ちやすいでしょう。


☆ まとめ


寄せのセオリーにそって考えるのは基本なのですが、問題図では歩を渡しにくいのでややずれがあります。歩だったらいくら渡しても反動が少ないことも多いのですが、76歩から攻められてしまいます。ですから歩を渡す攻めはよく考えねばなりません。

利きがダブって重いようですが24桂が一番有力で、32に金がないので(42に寄らせたばかりです)24同歩と取りにくいからいいのですね。飛や金をもらえばすぐに詰むというのも心強いです。

矢倉に対して41銀とかけて61角というのはよく出てくる筋ですね。44桂と打ちこんであるので、41銀と同じです。ただしそのあと二枚換えで飛車を取るくらいでは少し攻めが足らないということに気をつけましょう。この場合は75の銀を抜けるので有力です。そこまで読まないとわかりませんね。

実戦の32歩はそのあとの手が角を渡し、この時は角で飛車を攻めているようなものなので効率が悪いです。でも悪い手ではありません。

後の解説は蛇足なのですが、寄せのセオリーに当てはまるほうを先に考えましょう。ただし歩を突き捨てる手はこの場合はやめておきます。

受けるのはあまりぴったりした手がないので、後回しでよいでしょう。うまく攻められるのなら考えなくてもよいです。
相居飛車では攻めて勝てるように組み立てていくほうがよいです。攻めがうまくいかないとき(不利になっているということになるのですが)は受けるしかないかもしれません。まだ相手の攻め駒が3枚なので受けが利くかもしれません。





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