昭和47年6月、米長先生との第11期十段戦です。十段リーグは6人で先手後手2局ずつですから10局指します。

大山先生は四間飛車穴熊。その前の米長先生の36歩は急戦を見せたものですが、66歩はなにか思いついたのでしょう。

左側は位取りのように見えたのですが、棒銀に。引き角棒銀がまた出現しました。

46角で63金を誘って棒銀で華々しく攻める意味でしょう。これに45歩の反発。米長先生と大山先生は将棋では仲が悪く、意地を張って激しい戦いが多かったように思います。

米長先生も当然歩を取るのですが、角を引き戻して銀の繰り替えで手損です。大山先生のほうが形がよくなりました。

もう1歩損して、この飛車浮きも形がいいです。

74歩で73角を見せたので、また48銀と手損が続きます。

これは大山流の金を囲いに戻す(63から)繰り替え。54歩の準備です。

歩のぶつけあいです。互いに素直には進みません。

もう一回金を寄せます。

とうとう73角が実現してやや後手が指しやすいか。

仕方ないとはいえ角は死にます。まあ穴熊相手なので71角成なら構いません。

24飛を狙います。

24飛は実現しても33桂と使われては大山先生のペースです。

角取りに対して56歩も激しいやり取りです。意地の張り合い。

大山先生は角銀とはがされましたが、金を取って飛車が成ればバランスが取れています。

桂馬を取らせて55角に46角。このあたりのやり取りで形勢が決まったはず。46同角ではなく82角成同角72金ではなかったかと思います。

角を取ってもう一回64角に73角。これで後手玉が安定してきました。

米長先生も飛車を成りこみましたが、攻め駒が足りません。53角から71金のねらいですが

大山先生の36角が攻防の手。56桂で寄せに入ります。

71金には72銀で寄りません。

竜を回るのが両取りで決め手です。

投了図。
意地の張り合いが面白い将棋でした。2歩得でも米長先生の手損が大きく、中盤まで大山先生がリードしていたと思います。そこから穴熊の金銀をはがして互角の終盤になったかと思いましたが、55角46角同角というのが敗着でしょうか。穴熊の再構築に成功してしまえば桂得が出てきて大山先生の攻め合い勝ちです。36角が攻防に働きました。
互いに良いところが出た好局です。大山先生の序中盤感覚の良さ、米長先生の終盤の食いつきの強さ、大山先生の粘り腰と見るところが多い将棋でした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:米長8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 6八銀(79)
14 8二玉(72)
15 5八金(49)
16 9二香(91)
17 3六歩(37)
18 4三銀(32)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 6六歩(67)
22 5二金(41)
23 6七銀(68)
24 6四歩(63)
25 3七銀(48)
26 9一玉(82)
27 1六歩(17)
28 1四歩(13)
29 7九角(88)
30 8二銀(71)
31 4六角(79)
32 4五歩(44)
33 6四角(46)
34 7一金(61)
35 4八銀(37)
36 5四銀(43)
37 5七銀(48)
38 3二飛(42)
39 3七角(64)
40 5一角(33)
41 2六角(37)
42 3五歩(34)
43 同 角(26)
44 3四飛(32)
45 2六飛(28)
46 7四歩(73)
47 4八銀(57)
48 6三金(52)
49 3七桂(29)
50 4三銀(54)
51 5五歩(56)
52 6二金(63)
53 5七角(35)
54 5四歩(53)
55 4六歩(47)
56 5五歩(54)
57 4五歩(46)
58 7二金(62)
59 3五角(57)
60 5四飛(34)
61 2四歩(25)
62 同 歩(23)
63 4七銀(48)
64 7三角(51)
65 4六銀(47)
66 3四銀(43)
67 7一角成(35)
68 同 金(72)
69 3五歩(36)
70 4三銀(34)
71 4四歩(45)
72 同 飛(54)
73 4五銀(46)
74 6四飛(44)
75 4四歩打
76 5四銀(43)
77 2四飛(26)
78 3三桂(21)
79 5四銀(45)
80 同 飛(64)
81 6五銀打
82 5一飛(54)
83 7四銀(65)
84 5六歩(55)
85 7三銀成(74)
86 5七歩成(56)
87 8二成銀(73)
88 同 金(71)
89 5七金(58)
90 同 飛成(51)
91 6八金打
92 3七龍(57)
93 5五角打
94 4六角打
95 同 角(55)
96 同 龍(37)
97 6四角打
98 7三角打
99 同 角成(64)
100 同 金(82)
101 6二銀打
102 7二金打
103 7三銀成(62)
104 同 金(72)
105 2一飛成(24)
106 8二銀打
107 5三角打
108 3六角打
109 8八玉(78)
110 5六桂打
111 5八金(68)
112 5七歩打
113 5九金(58)
114 4八桂成(56)
115 7一金打
116 7二銀打
117 6八金(59)
118 5八歩成(57)
119 同 銀(67)
120 同 成桂(48)
121 同 金(69)
122 5六龍(46)
123 6五桂打
124 5八角成(36)
125 7三桂成(65)
126 7九銀打
127 投了
まで126手で後手の勝ち

大山先生は四間飛車穴熊。その前の米長先生の36歩は急戦を見せたものですが、66歩はなにか思いついたのでしょう。

左側は位取りのように見えたのですが、棒銀に。引き角棒銀がまた出現しました。

46角で63金を誘って棒銀で華々しく攻める意味でしょう。これに45歩の反発。米長先生と大山先生は将棋では仲が悪く、意地を張って激しい戦いが多かったように思います。

米長先生も当然歩を取るのですが、角を引き戻して銀の繰り替えで手損です。大山先生のほうが形がよくなりました。

もう1歩損して、この飛車浮きも形がいいです。

74歩で73角を見せたので、また48銀と手損が続きます。

これは大山流の金を囲いに戻す(63から)繰り替え。54歩の準備です。

歩のぶつけあいです。互いに素直には進みません。

もう一回金を寄せます。

とうとう73角が実現してやや後手が指しやすいか。

仕方ないとはいえ角は死にます。まあ穴熊相手なので71角成なら構いません。

24飛を狙います。

24飛は実現しても33桂と使われては大山先生のペースです。

角取りに対して56歩も激しいやり取りです。意地の張り合い。

大山先生は角銀とはがされましたが、金を取って飛車が成ればバランスが取れています。

桂馬を取らせて55角に46角。このあたりのやり取りで形勢が決まったはず。46同角ではなく82角成同角72金ではなかったかと思います。

角を取ってもう一回64角に73角。これで後手玉が安定してきました。

米長先生も飛車を成りこみましたが、攻め駒が足りません。53角から71金のねらいですが

大山先生の36角が攻防の手。56桂で寄せに入ります。

71金には72銀で寄りません。

竜を回るのが両取りで決め手です。

投了図。
意地の張り合いが面白い将棋でした。2歩得でも米長先生の手損が大きく、中盤まで大山先生がリードしていたと思います。そこから穴熊の金銀をはがして互角の終盤になったかと思いましたが、55角46角同角というのが敗着でしょうか。穴熊の再構築に成功してしまえば桂得が出てきて大山先生の攻め合い勝ちです。36角が攻防に働きました。
互いに良いところが出た好局です。大山先生の序中盤感覚の良さ、米長先生の終盤の食いつきの強さ、大山先生の粘り腰と見るところが多い将棋でした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:米長8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 6八銀(79)
14 8二玉(72)
15 5八金(49)
16 9二香(91)
17 3六歩(37)
18 4三銀(32)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 6六歩(67)
22 5二金(41)
23 6七銀(68)
24 6四歩(63)
25 3七銀(48)
26 9一玉(82)
27 1六歩(17)
28 1四歩(13)
29 7九角(88)
30 8二銀(71)
31 4六角(79)
32 4五歩(44)
33 6四角(46)
34 7一金(61)
35 4八銀(37)
36 5四銀(43)
37 5七銀(48)
38 3二飛(42)
39 3七角(64)
40 5一角(33)
41 2六角(37)
42 3五歩(34)
43 同 角(26)
44 3四飛(32)
45 2六飛(28)
46 7四歩(73)
47 4八銀(57)
48 6三金(52)
49 3七桂(29)
50 4三銀(54)
51 5五歩(56)
52 6二金(63)
53 5七角(35)
54 5四歩(53)
55 4六歩(47)
56 5五歩(54)
57 4五歩(46)
58 7二金(62)
59 3五角(57)
60 5四飛(34)
61 2四歩(25)
62 同 歩(23)
63 4七銀(48)
64 7三角(51)
65 4六銀(47)
66 3四銀(43)
67 7一角成(35)
68 同 金(72)
69 3五歩(36)
70 4三銀(34)
71 4四歩(45)
72 同 飛(54)
73 4五銀(46)
74 6四飛(44)
75 4四歩打
76 5四銀(43)
77 2四飛(26)
78 3三桂(21)
79 5四銀(45)
80 同 飛(64)
81 6五銀打
82 5一飛(54)
83 7四銀(65)
84 5六歩(55)
85 7三銀成(74)
86 5七歩成(56)
87 8二成銀(73)
88 同 金(71)
89 5七金(58)
90 同 飛成(51)
91 6八金打
92 3七龍(57)
93 5五角打
94 4六角打
95 同 角(55)
96 同 龍(37)
97 6四角打
98 7三角打
99 同 角成(64)
100 同 金(82)
101 6二銀打
102 7二金打
103 7三銀成(62)
104 同 金(72)
105 2一飛成(24)
106 8二銀打
107 5三角打
108 3六角打
109 8八玉(78)
110 5六桂打
111 5八金(68)
112 5七歩打
113 5九金(58)
114 4八桂成(56)
115 7一金打
116 7二銀打
117 6八金(59)
118 5八歩成(57)
119 同 銀(67)
120 同 成桂(48)
121 同 金(69)
122 5六龍(46)
123 6五桂打
124 5八角成(36)
125 7三桂成(65)
126 7九銀打
127 投了
まで126手で後手の勝ち