名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(51);穴熊に持久戦からの仕掛け

2016-01-31 | 大山将棋研究
昭和47年8月、二上先生との第11期十段戦です。


大山先生は四間飛車穴熊。

二上先生は持久戦で、位が取れませんでした。これはやや作戦負けです。33角から22玉の前に35歩でしょう。あるいは74歩から攻める指し方もあります。

二上先生は持久戦のつもりが、位を取れなくて右桂を使います。

大山先生は48飛で歩を交換するよ、とみせたので二上先生から開戦です。攻めの棋風ですから当然ですが、この形で仕掛けるのは予定ではないはず。

歩を突き捨てて桂馬を使います。54銀左とぶつける含みもあります。55歩に67銀65銀左というのもあったのでしょうが。

飛車で65桂を防がれたので銀交換から飛車を追う銀打。ちょっとやりにくい手ですが、これくらいしかないです。

飛車も角も銀からかわすのが好手順。次は74歩同飛75銀があるので、飛角交換になりそうです。

歩の手筋。86角の利きに駒を戻させようということです。42同金では利かされなので、42同角のほうが手堅く見えます。

74同飛は65銀があるので、飛角交換になります。

ここでは大山先生が有利。

と金を使って勝つのかと思ったら渋い受けの歩です。こういうところは大山先生らしいですね。

さらに47香。とことん二上先生の攻めの相手をします。

攻防のさなかに飛車浮き。

歩の打ち捨てが手筋で、55同金は53歩でしょう。55同角に66銀と使えて大山先生が好調。

二上先生の猛追です。

端を工作して先手玉が弱体化。

角取りで催促して先手玉をうまく寄せられるかという勝負です。

37香38歩の交換を入れて金をはがしに行きます。香は捨てますが肉薄です。大山先生が受けそこなったのではないかという気がします。

ここでは逆転模様だと思うのですが、28角成ではないでしょうか。28同玉に49銀でどうか。後手玉も駒を渡すと危険なので難しいところです。

49角から迫りましたが、64角を外して大山先生はほっとしたでしょう。取られる前に切りたかったです。

詰みがあるのですね。きれいな投了図です。


まだ振り飛車穴熊の対策もよくわからなかった時代です。でも位取りを拒否されては二上先生がしくじった序盤だと思います。今なら後手番ですし、千日手を考えるところですが、二上先生の棋風ですから攻めます。大山先生もそれを解っているから穴熊にしやすいのでしょう。
中盤での86角から飛車に交換できるとわかるのが大山先生の感覚の良さです。42歩の工作に同金なら得をした感じです。
終盤は二上先生が力を発揮しました。どこかで逆転していてもおかしくはないと思います。
大山先生の終盤に少し衰えが来たのではないでしょうか。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:二上8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 2八玉(38)
14 5四歩(53)
15 1八香(19)
16 4二銀(31)
17 1九玉(28)
18 4四歩(43)
19 6七銀(78)
20 4三銀(42)
21 5六銀(67)
22 5三銀(62)
23 5八金(69)
24 3三角(22)
25 2八銀(39)
26 2二玉(32)
27 3六歩(37)
28 3二金(41)
29 3九金(49)
30 1五歩(14)
31 4六歩(47)
32 5二金(61)
33 9六歩(97)
34 9四歩(93)
35 7八飛(68)
36 8五歩(84)
37 7七角(88)
38 6四歩(63)
39 9七香(99)
40 7四歩(73)
41 4八金(58)
42 6三金(52)
43 6八飛(78)
44 7三桂(81)
45 6九飛(68)
46 5二飛(82)
47 6八飛(69)
48 8二飛(52)
49 3八金(48)
50 8四飛(82)
51 4八飛(68)
52 8六歩(85)
53 同 歩(87)
54 7五歩(74)
55 同 歩(76)
56 5五歩(54)
57 同 銀(56)
58 6五歩(64)
59 5六歩(57)
60 5四銀(53)
61 6八飛(48)
62 5五銀(54)
63 同 歩(56)
64 5七銀打
65 8八飛(68)
66 6六歩(65)
67 8五歩(86)
68 6四飛(84)
69 8六角(77)
70 6五桂(73)
71 8七飛(88)
72 4六銀成(57)
73 4二歩打
74 同 金(32)
75 7六銀打
76 4五歩(44)
77 7四歩(75)
78 5七桂成(65)
79 6四角(86)
80 同 金(63)
81 6二飛打
82 5五金(64)
83 7三歩成(74)
84 6七歩成(66)
85 同 銀(76)
86 3二金(42)
87 4八歩打
88 4四角(33)
89 8二飛成(62)
90 5四金(55)
91 9一龍(82)
92 6六歩打
93 7六銀(67)
94 5八歩打
95 4七香打
96 6七歩成(66)
97 同 銀(76)
98 5九歩成(58)
99 4一龍(91)
100 3六成銀(46)
101 8六飛(87)
102 4六歩(45)
103 同 香(47)
104 4五歩打
105 5五歩打
106 同 角(44)
107 6六銀(67)
108 6四角(55)
109 7六飛(86)
110 4九と(59)
111 5七銀(66)
112 3九と(49)
113 同 金(38)
114 1六歩(15)
115 同 歩(17)
116 1七歩打
117 同 桂(29)
118 4六歩(45)
119 6三と(73)
120 3七香打
121 3八歩打
122 4七歩成(46)
123 3六飛(76)
124 3八と(47)
125 同 金(39)
126 同 香成(37)
127 同 飛(36)
128 4九角打
129 3九飛(38)
130 3八金打
131 6四と(63)
132 3七金打
133 同 銀(28)
134 3九金(38)
135 3三角打
136 投了
まで135手で先手の勝ち


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20160131今日の一手<その260>; 位で押さえる

2016-01-31 | 今日の一手
20160131今日の一手

12月13日の名南将棋大会からAさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。





昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は86飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は32飛と持ち駒角で2枚。

総合すれば互角です。

問題図の少し前、

角交換から74歩で先手がポイントをあげました。問題図でもややリードしているのですが、それは後手だけ玉頭に傷が残っているためです。問題図では後手玉だけ囲いに入っているので堅く見えるのですが、傷を残したままで駒組みをすれば先手玉のほうが堅くなるわけです。


× 実戦は74歩でした。厳しい手ですが

後手は84銀とかわして、89飛44銀85歩93銀67銀

ベテランのAさんの渋い指し方です。ポイントを少し稼いだら攻めてきなさいと引いて待ちます。
33桂26歩24歩23角

26歩は損な手なのですが、24歩なら馬を作ろうとしました。しかしこの馬作りが疑問で、後手は馬を追いつつ攻勢を取り、どうにか攻め切りました。馬を作るのは得でも、後手陣は割打ちの傷もあるし、角を手持ちにしていたほうが攻めをけん制できたのだと思います。

わかりやすいのは最初の84銀に85歩93銀39玉と囲う手です。

76の銀が浮き駒で無いので、33桂から25桂を許しても受けきれそうですし、75銀と出れば大きな圧力になります。ただし55角や53角や66角の筋に気を付けなければいけません。

実は最初の74歩は同銀と取ることができます。75歩には66角。

67金に75銀89飛76銀

76金は57角成ですし、66金77銀不成56金には55歩と突いてから

55同金78銀打85飛74歩

どう応じても飛車を捕獲されそうです。


○ 74歩では取られるので、75歩とおさえておくのが正しい指し方です。

そのあとは玉を囲ってこういう図を目指します。

74歩~85歩~75銀のあと、64歩の交換か、84歩から銀交換かを狙います。相手から動いてもらって73に打ち込めれれば理想です。


△ 85銀と出たくなりますが

53角89飛74歩と受けられてみると

76銀と立て直すのは84銀ですし、攻めるなら84歩同歩同銀といくのですが、87歩

73銀成同桂84歩78銀59飛62金左

割打ちの傷を消せば飛車が隠居した先手の攻めは続きません。84歩の前に41銀から行くのでしょうが、それでも2枚でしか攻めていないので戦果は上がりません。
84歩と行かないで玉を囲うのでしょう、悪いわけでもないのですが、どうやって勝てるかという先が見えません。


△ 39玉と囲うのが常識的な手です。

しばらく進めばこれくらい。

85銀から75歩と攻めるのですがやはり角打ちがあって

うまく攻められません。


× 後は95歩と端から攻める手ですが

95同歩93歩は84銀

この形は後続の手段が難しいです。

95同歩には92歩同香93歩同香と連打してからの85桂ですが

84銀93桂成同銀98香打

77角89飛84銀

それなりに手は続くようでも角を打たれたり、歩をたくさん渡したりであまりうまくはないです。玉を囲えていないので反動を食らいやすいでしょう。


実戦の74歩は欲張った手で、取られたら困ったのではないかと思います。84銀だったので先手は技ありになったのですが、そのあとは85歩から75銀という構想が普通でしょう。さらには玉を囲い、攻めさせて反撃するのが理想です。

74歩がまずいなら75歩と押えておくべきで、玉頭の位は大きいです。相居飛車や相振り飛車では基本が縦の攻めですからかなり効果が高くなります。後手は桂馬を渡すと85桂84銀74桂71玉82歩と攻められるので、どうにか玉頭を固めたいのですが、うまい手段は見えません。

後手から74歩と打てれば形勢は互角、先手から攻めるのが難しく、後手が勝ちやすいように見えます。矢倉に対して浮き飛車というのが相性が悪いのですね。




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