名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(45);石田流に位取り

2016-01-25 | 大山将棋研究
昭和47年7月、内藤先生との第13期王位戦第1局です。12期までは大山先生が連覇していて、ここでタイトルを失うことに。


内藤先生が石田流を目指し、大山先生は位取り。どちらが振るか決めたらまあこうなります。

74歩の交換に72飛の反発。これは手筋ではありますが、4筋の位取りと趣旨が合わず、疑問手です。

56銀と構えられて45歩を守りにくいです。守らずに7筋からの攻めを見せますが、内藤先生から65歩は軽いさばきの手です。

大山先生は角を交換して98飛を強制。8筋突破を目指せば78飛と使います。

8筋は金で守って73桂に46歩が思いつかない手です。46同歩には48飛でしょうか?65桂46飛77桂成に44歩で角筋を止めて77桂と取り返す意味か。あるいは65桂には73角から46角成を含みに46同歩には45歩か45銀のつもりかもしれません。

内藤先生から45歩と取ることになり、これは大分得をしました。桂馬をもらえば打ち込めます。

大山先生は4筋の位を奪還しましたが歩切れ。

内藤先生からの端攻めが厳しいものとなりました。振り飛車から銀で香を取る筋が実現すればかなり勝ちやすくなります。

金を投入して必死の防戦も角打ちが両方に利いています。

この香が決め手です。

63角成を先に(41から)42金直と受けるのは大山先生らしい手ですが

12銀が先手で入れば61飛成も先手です。13金は21銀不成から25桂ですし、これは困った。

41銀のひもを切り21銀成で寄せようとする手です。

もう受けようがありません。

投了図では大差になってしまいました。

72飛が疑問手で、そこから内藤先生が少しリードしています。中盤の46歩の意味がよくわかりません。そのあと端を攻めて香車を取ったころからは内藤先生の寄せ方を学べます。

大山先生は名人を失って不調を感じていたのでしょう、感覚がおかしくなっています。そのまえの十段リーグや王座戦でも内藤先生が快勝ですし、大山先生の最盛期は過ぎました。でもここから何十年も崩れないで活躍できるのが素晴らしく、こういうタイプはほかにいません。
歳を取ると読みが鈍くなってくるのですが、それを感覚で十分カバーできているのだと思います。それを勉強したいと思って大山先生の将棋を並べます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤8段
後手:大山王位
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7五歩(76)
6 6二銀(71)
7 7八飛(28)
8 5四歩(53)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 4二銀(31)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 4五歩(44)
19 6六歩(67)
20 4三銀(42)
21 6七銀(68)
22 5二金(61)
23 3八銀(39)
24 8四歩(83)
25 7四歩(75)
26 7二飛(82)
27 7三歩成(74)
28 同 銀(62)
29 5六銀(67)
30 8五歩(84)
31 6八金(69)
32 7四銀(73)
33 6五歩(66)
34 8八角成(22)
35 同 飛(78)
36 3三角打
37 9八飛(88)
38 8二飛(72)
39 7八飛(98)
40 7五歩打
41 7七金(68)
42 8六歩(85)
43 同 歩(87)
44 7三桂(81)
45 4六歩(47)
46 5五歩(54)
47 4七銀(56)
48 6五桂(73)
49 4五歩(46)
50 4四歩打
51 同 歩(45)
52 同 銀(43)
53 3六銀(47)
54 4五歩打
55 1五歩(16)
56 同 歩(14)
57 1二歩打
58 同 香(11)
59 1三歩打
60 同 香(12)
61 1四歩打
62 同 香(13)
63 2五銀(36)
64 7七桂成(65)
65 同 飛(78)
66 4三金(52)
67 1四銀(25)
68 2四金打
69 4七角打
70 8六飛(82)
71 2六香打
72 4六歩(45)
73 7四角(47)
74 1四金(24)
75 7五飛(77)
76 4二金(41)
77 6五角(74)
78 6四歩(63)
79 1二銀打
80 6五歩(64)
81 2三香成(26)
82 3一玉(32)
83 7一飛成(75)
84 4一銀打
85 5四桂打
86 同 金(43)
87 4三歩打
88 同 金(42)
89 2一銀成(12)
90 4二玉(31)
91 3三成香(23)
92 同 玉(42)
93 4一龍(71)
94 4七歩成(46)
95 3二角打
96 投了
まで95手で先手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160125今日の一手<その254>; 相手の指したい手を阻止する

2016-01-25 | 今日の一手
20160125今日の一手

11月29日の名南将棋大会からMさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀香と桂の交換で、と金と馬を作り合っています。先手が駒損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。しかし99馬まで含めればあまり変わりません。
先手の攻め駒は68飛73と 持ち駒角桂で4枚。(後手玉の囲いに届いていないので68飛を入れなければ3枚で、また73とは微妙です。)
後手の攻め駒は99馬と持ち駒銀香で3枚。(先手玉の囲いに届いていないので99馬を除いて2枚。)

総合すれば後手が有利です。

大局観として
駒損なので駒損を回復させる、後手玉を薄くして堅さで優位に立つ、73と や68飛を使って4枚の攻めにする、というのが形勢をよくするための条件です。それに従っていろいろな手が考えられます。
後手からは55馬から36歩あるいは73馬がやりたい手です。それに対応しなければなりません。
攻めるなら73と や68飛を使う、という方針ならあまり悩まないでしょう。


× 実戦は44桂でした。

これは打ちたくなりますが疑問手です。後手の44同飛が好手で44同歩55馬

36桂18玉28香が案外に早く、63との余裕がありません。39玉73馬で

銀香と飛の2枚換えで馬を作られています。飛車の打ち込みも効果がなく、これは後手が勝ちやすいです。この後は難しい戦いでしたが、うまく玉を固めて後手の1手勝ちになりました。

駒損をある程度回復できるのですが、持ち駒桂が飛になるだけですから効果は薄く、馬を好所に使われて と金を払われるのが不満です。


× と金を使う63歩は

55馬62歩成42金寄63と寄36歩

桂馬を渡さなくても36歩は嫌味です。これは実戦より勝ちにくい展開です。


△ 65飛も指したい手です。

64銀に83と は逆モーションになるのですが

飛車の取り合いなら44桂が残るのでまあまあです。74飛75歩94飛44桂同馬64飛同飛44歩なら

駒損は大分回復しました。と金の位置が不満ですが、これなら互角に指せるでしょう。飛車の横利きが止まれば44桂が有効になります。
後手に選択肢はあるものの、互角に近い形勢だと思います。


○ 馬筋を止める77歩は手筋です。

89馬65飛64銀44桂

42玉52桂成同金66角

94飛64飛同飛11角成

玉の堅さが違い過ぎて、これは先手有利です。73と は挟撃に使えます。

77歩には43歩が渋い応酬です。

69飛88馬63歩

87馬59飛61香74桂

こんな感じで、ややゆっくりと と金を使った攻めを狙います。飛車が隠居したのは残念ですが、互角の形勢です。しばらくは先手が攻めることになるでしょう。


△ 74歩は飛車の横利きを止める手

43歩65飛64銀打69飛

後手に銀を使わせました。33馬と引き付けられるでしょうが63歩が残っているので悪くはありません。


△ 74と と捨てる手もあります。

もったいないのですぐに浮かぶ手ではありませんが、74同飛83角64飛65飛

これは75の銀が取れそうです。後手は74歩か46香かですが、振り飛車らしくさばきました。

83角には73歩のほうがいいのかも。

74角成同歩44桂22玉52桂成同金72飛

68飛が残るのが不満ですが、後手としても受け方は悩みます。やや後手がよいのだと思いますが、実戦ならわかりません。


× 77角と合わせるのも振り飛車らしいのですが

77同馬同桂43歩65桂77角

左桂を跳ねても65桂はあまり厳しくないのが難点で、65桂で63歩でも55角は残るし、まだ形勢は好転していません。


問題図で44桂はやりたくなります。飛か角を取ればうれしいですからね。でも55馬の味がよすぎました。
44桂で無ければ、65飛が自然で、55馬を防いでいる意味もあります。64銀なら飛車の横利きが止まって、44桂が有効になるという寸法です。自玉が横からの攻めには堅いので飛車を切ってもかまわないでしょう。
77歩や74歩は渋い手で、44桂を有効にして受けさせれば と金で攻めます。こういう手も考慮に入れておくと将棋の幅が広がります。
77角と合わせるのはよくある筋で、65桂の後53に目標の駒があれば、77歩より働いているのですがこの場合はうまくいきませんでした。

このあたりの手を一応考えて、先の局面を読むか、手の感触で選択できればいいのだとおもいます。ここは44桂の一手と思って考えずに飛び込むのだけはいけません。44桂よりは65飛がいいのだという感覚は必要でしょう。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする