名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(31); 位取り三間飛車

2016-01-11 | 大山将棋研究
昭和47年4月、中原先生と第47期名人戦第1局です。

大山先生の先手で、石田流かと思ったら角を上がります。石田崩しを嫌ったのでしょうか。

65歩の急戦を警戒して位取り三間飛車になりました。

さらに左金も使うのは大山先生らしいです。中原先生が腰掛銀で急戦を狙うのは、当時は最先端だったのではないかと思います。

さらに左美濃にしてからの仕掛け。

大山先生はすぐに65歩は取らず、互いに形を整えてから取りました。

桂馬で取るのは変化球。銀で取るのが常識的ですが、66歩76銀同金というのを嫌がったのでしょうか。

桂馬で65の歩を取ったのは角を44で交換して王手飛車の筋を消すことはわかりますが、この歩を狙っていたのですね。

大山先生が飛車のほうを取るわけはなく、成桂を作らせて一段落。少し中原先生がリードしていますが、差はわずか。ここで25歩が悪かったのですが、代案はよくわかりません。73角くらいでしょうか。

この局面に見覚えがあります。さすがにリアルタイムではなく、手筋集のようなもので見たのでしょう。対振り飛車で玉の反対側の端攻めは珍しいです。大山先生がうっかりするのも納得です。かなり後ですが中原先生は相掛かり37銀でこの筋をやっていました。
98歩に同香は99角で66金を取られます。98同飛は96飛で飛車交換になり、玉の堅さの違いや浮き駒の金銀が困ります。

飛車は抑えたのですが、桂香を拾われました。

一段落して33金が落ち着いた手です。飛と銀桂香3枚換えですが、歩切れなので補充する意味もあるようです。

1手かけて歩を取りました。49金同成桂同角は48金でよいと。これは真似しにくいですね。88と同飛57角の筋に目が行きます。

さらに35歩ですか。切れないように攻めます。これも感心する手。

合駒がなくて痛い香です。やっとわかりやすい寄せになりました。

端を攻めるのが決め手。23金も生きています。

香車を釣り上げて金で寄りです。


大山先生の趣向を中原先生がスマートに対応した快勝譜です。ここは先後逆にして並べてみてください。両方の端攻めを中心に、落ち着いた指し回しが光ります。並みの相手なら逆転しているのでしょうが、慌ててくれないのでは大山先生も勝ちにくいです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:中原十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 6二銀(71)
5 6八銀(79)
6 4二玉(51)
7 7五歩(76)
8 6四歩(63)
9 6六歩(67)
10 8五歩(84)
11 7七角(88)
12 3二玉(42)
13 6七銀(68)
14 3四歩(33)
15 4八玉(59)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5二金(61)
19 7六銀(67)
20 6三銀(62)
21 3八玉(48)
22 7四歩(73)
23 同 歩(75)
24 同 銀(63)
25 7五歩打
26 6三銀(74)
27 5八金(69)
28 8四飛(82)
29 2八玉(38)
30 9四歩(93)
31 3八銀(39)
32 5四銀(63)
33 5六歩(57)
34 7三桂(81)
35 6七金(58)
36 9五歩(94)
37 5八飛(78)
38 4二金(52)
39 2六歩(27)
40 3三角(22)
41 3六歩(37)
42 2二玉(32)
43 2七銀(38)
44 3二銀(31)
45 3八金(49)
46 6五歩(64)
47 6八飛(58)
48 4四角(33)
49 3七桂(29)
50 2四歩(23)
51 6五歩(66)
52 8六歩(85)
53 同 歩(87)
54 6五桂(73)
55 4四角(77)
56 同 歩(43)
57 8五歩(86)
58 6六歩打
59 同 金(67)
60 5七桂成(65)
61 8八飛(68)
62 9四飛(84)
63 2五歩(26)
64 9六歩(95)
65 同 歩(97)
66 9八歩打
67 5五歩(56)
68 4三銀(54)
69 8四歩(85)
70 9九歩成(98)
71 8五銀(76)
72 8九と(99)
73 8七飛(88)
74 5八成桂(57)
75 9四銀(85)
76 同 香(91)
77 2四歩(25)
78 3三金(42)
79 8五角打
80 4九銀打
81 3九金(38)
82 2四金(33)
83 2五歩打
84 2三金(24)
85 8九飛(87)
86 3五歩(34)
87 9一飛打
88 3六歩(35)
89 同 銀(27)
90 2六香打
91 1七玉(28)
92 5七角打
93 3五歩打
94 3九角成(57)
95 2六玉(17)
96 1五歩(14)
97 同 歩(16)
98 1八歩打
99 同 香(19)
100 1七歩打
101 同 香(18)
102 1八金打
103 2七銀(36)
104 1七金(18)
105 2四香打
106 2八馬(39)
107 2三香成(24)
108 同 銀(32)
109 1八金打
110 同 金(17)
111 4一角成(85)
112 3四桂打
113 投了
まで112手で後手の勝ち

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20160111今日の一手<その240>; 飛車の打ち場所

2016-01-11 | 今日の一手
20160111今日の一手

これも12月の東海リーグから。形勢判断と次の一手を考えてください。










昨日の一手の回答

☆形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は66角と持ち駒飛で2枚。
後手の攻め駒は39飛1枚。
総合すれば互角です。

この将棋、実際は私が後手番で、陽動振り飛車にされたので、対振り飛車の右四間飛車で78金の珍しい形です。玉の位置が79ですが、88ではないのが幸いする変化があります。でも39飛の利きに入っているので玉が薄く、一長一短です。

大局観として
先手としては56銀が働いていないのが痛いのですが、後手の32金も目標になるので相殺です。角の働きは先手のほうがよく、馬を作って引き付けられれば指しやすくなるでしょう。どちらも攻め駒が少ないので、桂香をどちらがどうとれるかということで差がつくことが多く、先手は11香は取れるとして、21桂も取りたいです。


○ 実戦では44歩と指しました。角を働かせる自然な手です。

(48歩には47飛なので)37飛成43歩成同金11角成33角21馬

角交換ではなく、桂馬も取れるのがこの変化にする理由です。玉の位置が関係します。99角成43馬は先手有利。42金66香39竜に45桂

ここまでは好調なのですが、24角に49歩と受けてしまいました。

以下は62銀54馬という展開で、難しくなりました。後手のミスがあり、どうにか勝てましたが。
49歩と受けずに53桂成でよければ話は早く

57角成同銀59竜88玉

これで53金には37角がありますね。見えませんでした。(こういうところも両取り見えない病です。)57竜に63成桂は攻め合い勝ちです。66香が光ります。

私は、かなり前に谷川先生の自戦記で、両取りをかけて両方取り逃がすのが好手、という解説があって、(今でも)理解できなかったのでよく思い出します。こういうところで、両取りの桂馬をどちらもとらなくても馬が使えるからいいか、と判断してしまいます。大体の場合はそんなことはなくて、両取りをかけたら取ったほうがいいのです。


× 61飛と指す人は多いのかもしれません。

31歩44歩37飛成43歩成

43同金11角成32竜

この局面が悪いというわけではありませんが、61飛は取られてしまうかもしれません。31歩に41飛成なら取られにくいのですが、香車を取るのが遅れますし。飛車交換したらすぐに敵陣に打ち込んで、と考えるのはやめたほうがいいです。例外もよくあるのです。


△ 25桂も考えたのですが

24歩44歩25歩

43歩成同金11角成48歩

実戦の44歩の変化では37竜の形なのでこれがなかったのですが、これで少し困ります。88玉には33角で交換することになるので不満なのです。
21馬49歩成69金48と

これで59に桂馬か香車を打つことになりますから、やや不満です。形の違いを確認してください。
なお、48歩ではなく32竜は22飛とすればよいので問題なし。前の変化の61飛打は保留したほうがいいというのは、こういう時にも飛車は使えるからです。


△ 飛車を打つなら36飛がよい手です。

33歩44歩64銀に34歩と合わせます。

34同歩には43歩成同金11角成33角21馬42金66香

これなら十分でしょう。

34歩には55歩ですが

45銀34歩54銀

47歩88玉19飛成43歩成

24角32と35香

46飛37香成43飛成51桂52竜48成香42と

こういう変化が一例で、先手が有利。

後手からの変化もいろいろあるのですが、36飛に33歩なら少し先手が指せるのだと思います。

33歩ではなく33角が難しく

44歩48歩69金49歩成47銀48と45桂

これは互角です。


× 47飛と打つ方が36飛より働いているようですが

64銀44歩に46歩

これでうまくいきません。

☆ まとめ

問題図で自然な手は44歩か25桂です。39の飛で37の桂馬を取らせる方が先手玉への脅威が減りますから44歩が本筋です。

飛車を交換してもすぐに敵陣に打たないで、32竜と引き上げられた時に22飛と打てるようにしておくほうがいいです。あるいは自陣飛車といっても中段ですが、36飛というのも考慮に値します。ちょっとかっこいい飛車だと思いませんか?33角なら難解ですが。






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