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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(34); 玉頭位取り

2016-01-14 | 大山将棋研究
昭和47年4月、内藤先生との第11期十段戦です。


内藤先生の三間飛車に大山先生の位取り。これも大山先生の得意戦法です。

この55歩が悪手です。敗着かも。78金57銀まで指してからならわかりますが、危険に見えます。

55歩は取らなくても後手が指しやすいのですが、角をさばきに行ったのが秀逸です。

飛車の小びんを狙い、銀も繰り出して内藤先生が好調です。

大山先生の苦心の受けですが間に合わず、38歩で技をかけに行きます。

飛車を切り角をぶつけて大さばき。

39歩成から馬を作ります。大さばきもそうですが、この軽い動きが内藤先生らしい。

飛車打ちも馬引きの味がよいのであまり効果がなく

角が死んで駒得が消えました。

飛車で金を取り返すのが大山先生の勝負手。角は打たれるのですが、ここから盛り返します。

銀を取り合って竜を作りここでは互角に戻ったかと思ったのですが。

58飛はなかなか死にません。47竜は54馬で寄ってしまいます。55竜しかなく、そこで先手玉が寄るかどうかですが

一見は千日手か?と思うのですが、よく見ると少しずつ受けが少なくなっています。

ここで89金は66銀ですね。66金と打ったのですが

これが投了図。しっかり寄せるものです。


内藤先生の快勝譜です。先後逆にして並べてみてください。大山先生の55歩が不用意なのですが、先手番だし、少し無理な動きを見せて、内藤先生に動いてもらおうという意味だとは思います。55歩は指してはいけないという確認と、内藤先生の指し回しの素晴らしさを見るべきだと思います。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:内藤8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 5六歩(57)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 6五歩(66)
14 4四歩(43)
15 6八銀(79)
16 7一玉(62)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 6七銀(68)
20 4三銀(42)
21 5八金(49)
22 1四歩(13)
23 7五歩(76)
24 5二金(41)
25 8六歩(87)
26 5四歩(53)
27 7六銀(67)
28 8二玉(71)
29 6七金(58)
30 3六歩(35)
31 同 歩(37)
32 同 飛(32)
33 3七歩打
34 3四飛(36)
35 7七角(88)
36 3三桂(21)
37 8八玉(78)
38 4五歩(44)
39 5五歩(56)
40 同 歩(54)
41 同 角(77)
42 6四歩(63)
43 同 歩(65)
44 3一角(22)
45 7七角(55)
46 3六歩打
47 同 歩(37)
48 6四角(31)
49 5五歩打
50 4四銀(43)
51 6六金(67)
52 3六飛(34)
53 8七玉(88)
54 3八歩打
55 3七歩打
56 6六飛(36)
57 同 角(77)
58 6五歩打
59 同 銀(76)
60 5五角(64)
61 6七歩打
62 6六角(55)
63 同 歩(67)
64 3九歩成(38)
65 同 銀(48)
66 5七角打
67 4八角打
68 3五角成(57)
69 4一飛打
70 4六歩(45)
71 同 歩(47)
72 3四馬(35)
73 7八金(69)
74 5八金打
75 3六歩(37)
76 4八金(58)
77 同 飛(28)
78 5七角打
79 4五歩(46)
80 4八角成(57)
81 同 銀(39)
82 4五馬(34)
83 5六歩打
84 6四歩打
85 3七桂(29)
86 6三馬(45)
87 4四飛成(41)
88 6五歩(64)
89 3三龍(44)
90 6六歩(65)
91 6八歩打
92 6七歩成(66)
93 同 歩(68)
94 5八飛打
95 4四龍(33)
96 4三歩打
97 5五龍(44)
98 7六銀打
99 8八玉(87)
100 6七銀成(76)
101 7九金打
102 4八飛成(58)
103 8七銀打
104 7八成銀(67)
105 同 金(79)
106 6七銀打
107 7七銀打
108 7八銀成(67)
109 同 銀(87)
110 6七金打
111 8七銀打
112 7七金(67)
113 同 桂(89)
114 6七金打
115 6六金打
116 7八金(67)
117 同 銀(87)
118 6九銀打
119 6八歩打
120 同 龍(48)
121 7九金打
122 8七銀打
123 投了
まで122手で後手の勝ち


20160114今日の一手<その243>; 自玉の安定を優先する

2016-01-14 | 今日の一手
20160114今日の一手

11月29日の名南将棋大会からMさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角香と金歩3の交換で、馬を作っていることもありやや先手が駒得です。歩切れなので大きな差ではありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛66馬と持ち駒角桂で4枚。89香は攻め駒というよりは受け駒に近いでしょうか。
後手の攻め駒は持ち駒金桂で2枚。82飛もすぐに使えそうですから3枚に近いです。
総合すればやや先手が有利です。

大局観として
先手玉が堅くなれば、また歩切れが解消されれば優勢になります。86歩と82飛の脅威をどう解消するかが課題です。
後手としては83の銀を72に引いたのですが、74に出れば攻め駒に使える可能性が高くなり、互角に近いと思います。


× 実戦は84桂と打ちました。犠打です。

持ち歩がないので代わりに桂馬を打ったという手です。取られて攻め駒が減りそう、駒得が消えそうなので打ちたくはないです。
83銀86香に74桂が痛い。

76馬86桂同馬85歩

85同馬84銀に75桂と激しい打ちあいですが

75同銀同馬74香で後手よしがはっきりしてきました。

84歩82飛66馬54桂65馬84飛

なかなか飛車先が止まりません。歩切れで困りました。非常手段で74馬同飛83角に86桂

これで先手玉が寄っています。


○ 44歩が攻防の手段で、歩を手に入れる意味です。

44同歩にもちろん同馬ではなく、56桂の手筋。

62玉44桂42金に84歩

最初に84桂より働いていますね。74桂76馬84飛に31角

これで22角成から銀をいじめます。8筋はやや不安ですが、桂馬を使わせたので少し緩和していて、後はかわしていく感じです。

後手の変化は84飛で43歩

31角に32金打

32同桂成同金13角成21桂

これで馬は死にますが、24馬同銀同飛23歩34飛33桂35飛

こうなればやはり先手優勢。


○ 76馬と寄っておくのは86香あるいは馬を狙いとした手。75馬でもほぼ同じです。

74桂に44歩同歩56桂と打てば前と似たような変化ですが

62玉44桂42金85歩43歩

これは前より少し損かもしれませんが、まあまあ。

それよりは74桂に98桂で86歩を取りに行くほうがいいです。

後手は86歩を支える手段がないので、95歩86桂同桂同馬

86同飛同香76桂79銀96歩

この局面に自信があればいいのですが、私は少しいやな気がします。悪くはありません。

86の歩は香車で払うほうが安全だと思います。

85歩同香84歩同香同飛85歩82飛95歩

この図のほうがすっきりしていていいような気がします。最後の95歩は44歩同歩56桂かもしれません。
どの図がいいかは好みだとは思います。


△ 最初に98桂だと

87桂が嫌味。この筋は最初からあるのですが、29飛99桂成86香84歩

下段飛車で対応できているのではありますが、99飛95歩

これが嫌で、74桂を打たせてから98桂が手順です。


問題図で84桂はやりたくない、というのはみなさんお分かりかと思います。控えの桂で歩を手に入れるという筋が落ちていました。歩を手に入れて84歩と止めることになれば、かなり得です。後手はこの歩を取りに行くしかないので、桂馬で銀取りにする必要はありません。

歩を手に入れる筋に気が付かなかったとき、馬で86の歩を取ろうというのは自然な考えです。この時87桂が気になるのでしょうが、29飛で対応できています。
74桂に98桂が本筋で、とにかくこの歩を消去して玉を安定させます。

玉が安定すれば、駒得で、攻め駒も十分となるのですから優勢です。形勢判断ができていれば、この大局観が理解できるでしょう。