昭和47年6月、花村先生との第20回王座戦です。
花村先生の玉頭位取りを拒否。
引き角棒銀になりました。でも46銀はあまり見ませんね。57銀からなのでここでは仕方ないのですが、37銀から35歩や26銀としていくほうが普通です。
銀を追い返されて2手損です。でも花村先生だから気にしないのでしょう。現場主義というか、過ぎたことは気にしない方です。終盤に自信を持っていたということもあるでしょう。
手損したのに35歩から仕掛けていったのが作戦負けの元です。(51角の後なので)88玉~78金までは指しておきたかったです。現代風なら穴熊まで組みなおすのですが。
軽い手筋がありました。
大山先生は銀を使い、角銀の連携を切ろうとします。
結局銀を押し返しました。
花村先生は と金つくり。これがどれだけ効果があるかということですが
と金を作る間に桂馬がさばけては振り飛車ペースです。居飛車が歩切れで無ければ互角なのですが。
この歩突きがなるほどという手。角を62に使おうということです。王手のラインが開くので嫌な感じがしてしまうのですが
角交換を挑めばよいということですね。大山先生の感覚の良さが光ります。
少し良くなったところでどう指すのかと思ったら、銀を置いて38歩成を狙います。
と金は作れなくてもじっと成銀を作ってもたれます。
でもやはり持ち駒の銀を打ってしまうのはやや損だということでしょうか、花村先生の腕力の見せ所、ここがハイライトです。
それなのに38歩成に同飛が欲張りでした。無視して97角とか、64歩同金97角とか、65金とか、あるいは取るにしても38同歩か。
47成銀に18飛では明らかに変調です。
馬を作れば飛車は取れそうですが
大山先生の飛車の取り方、つい37桂成から28と とやってしまいそうですが、桂香を取って馬で飛車を取れるならかなり得です。ここは一回29飛ではなかったか。
花村先生は端をついて勝負の形を目指します。
端は取り込ませて香を打つのが一番いい対応ですね。端を取り込まれる間に歩を入手して馬筋を通したのが大山先生のそつのない指し方です。
大山先生の馬が攻防に働いています。
その馬を取るよ、というのが花村先生の最後の抵抗ですが
これで投了図。後手玉が堅く、攻め駒も4枚はありますから受る形がありません。
花村先生の68飛は才能を見せた手順でした。でも直後に38同飛ではだめです。
大山先生のほうから並べて、さばきの手順と終盤のきれいな手順を堪能してくださいませ。
引き角棒銀全般はあまりうまくいきません。攻め駒が飛角銀しかないというのが原因で、右辺で有利な形にできないというのが理由です。
矢倉の形が33角の利きに入るので一番まずく、玉が堅くなりません。
穴熊まで組めればまずくはないですが、棒銀で攻める必要はありません。
左美濃で引き角棒銀、千日手含み、というのが羽生の頭脳にもあった対応策ですが、自分から動かないならどうにか互角です。
平美濃(いわゆる飯島流引き角)は矢倉の形よりは良くても有利にはなりません。角を移動しないと玉を囲えないというのが難点です。中央も薄いですし。
鳥刺しは可能性があると思っています。左銀で攻めるのでさらに右銀も攻め駒に使えるから、という理由です。
嬉野流も鳥刺しの派生形ですね。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:花村8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 4二銀(31)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 5六歩(57)
18 7一玉(62)
19 7七銀(68)
20 7四歩(73)
21 7九角(88)
22 2二飛(32)
23 3六歩(37)
24 6四歩(63)
25 6六歩(67)
26 5二金(41)
27 5七銀(48)
28 4三銀(42)
29 5八金(49)
30 6三金(52)
31 4六銀(57)
32 5一角(33)
33 6七金(58)
34 4五歩(44)
35 3七銀(46)
36 5四銀(43)
37 3五歩(36)
38 3二飛(22)
39 2四歩(25)
40 同 歩(23)
41 3六銀(37)
42 3五歩(34)
43 同 銀(36)
44 4六歩(45)
45 同 角(79)
46 4五銀(54)
47 6八角(46)
48 4六歩打
49 3三歩打
50 同 飛(32)
51 3四歩打
52 同 銀(45)
53 4六銀(35)
54 4五歩打
55 3七銀(46)
56 2三飛(33)
57 3二歩打
58 3三桂(21)
59 3一歩成(32)
60 2五桂(33)
61 2六銀(37)
62 3七歩打
63 3二と(31)
64 5四歩(53)
65 3五銀(26)
66 同 銀(34)
67 同 角(68)
68 6二角(51)
69 7九角(35)
70 5五歩(54)
71 同 歩(56)
72 4六歩(45)
73 同 歩(47)
74 4七銀打
75 3九歩打
76 8二玉(71)
77 5七金(67)
78 3六銀成(47)
79 5六金(57)
80 2六角(62)
81 6五歩(66)
82 同 歩(64)
83 6八飛(28)
84 3八歩成(37)
85 同 飛(68)
86 4七成銀(36)
87 1八飛(38)
88 3八歩打
89 9七角(79)
90 5七歩打
91 4二角成(97)
92 5八歩成(57)
93 7九金(69)
94 3九歩成(38)
95 3三と(32)
96 2九と(39)
97 2三と(33)
98 1九と(29)
99 同 飛(18)
100 3七角成(26)
101 5四歩(55)
102 5二歩打
103 8八玉(78)
104 1九馬(37)
105 9五歩(96)
106 4六成銀(47)
107 6二歩打
108 7一金(61)
109 6五金(56)
110 5六成銀(46)
111 9四歩(95)
112 9二香打
113 6一歩成(62)
114 同 金(71)
115 8六馬(42)
116 4六馬(19)
117 6八歩打
118 6七歩打
119 4三飛打
120 6八歩成(67)
121 同 銀(77)
122 同 と(58)
123 同 金(79)
124 6七歩打
125 4六飛成(43)
126 6八歩成(67)
127 同 馬(86)
128 6七歩打
129 7八馬(68)
130 4六成銀(56)
131 5五角打
132 7三桂打
133 4六角(55)
134 4八飛打
135 投了
まで134手で後手の勝ち
花村先生の玉頭位取りを拒否。
引き角棒銀になりました。でも46銀はあまり見ませんね。57銀からなのでここでは仕方ないのですが、37銀から35歩や26銀としていくほうが普通です。
銀を追い返されて2手損です。でも花村先生だから気にしないのでしょう。現場主義というか、過ぎたことは気にしない方です。終盤に自信を持っていたということもあるでしょう。
手損したのに35歩から仕掛けていったのが作戦負けの元です。(51角の後なので)88玉~78金までは指しておきたかったです。現代風なら穴熊まで組みなおすのですが。
軽い手筋がありました。
大山先生は銀を使い、角銀の連携を切ろうとします。
結局銀を押し返しました。
花村先生は と金つくり。これがどれだけ効果があるかということですが
と金を作る間に桂馬がさばけては振り飛車ペースです。居飛車が歩切れで無ければ互角なのですが。
この歩突きがなるほどという手。角を62に使おうということです。王手のラインが開くので嫌な感じがしてしまうのですが
角交換を挑めばよいということですね。大山先生の感覚の良さが光ります。
少し良くなったところでどう指すのかと思ったら、銀を置いて38歩成を狙います。
と金は作れなくてもじっと成銀を作ってもたれます。
でもやはり持ち駒の銀を打ってしまうのはやや損だということでしょうか、花村先生の腕力の見せ所、ここがハイライトです。
それなのに38歩成に同飛が欲張りでした。無視して97角とか、64歩同金97角とか、65金とか、あるいは取るにしても38同歩か。
47成銀に18飛では明らかに変調です。
馬を作れば飛車は取れそうですが
大山先生の飛車の取り方、つい37桂成から28と とやってしまいそうですが、桂香を取って馬で飛車を取れるならかなり得です。ここは一回29飛ではなかったか。
花村先生は端をついて勝負の形を目指します。
端は取り込ませて香を打つのが一番いい対応ですね。端を取り込まれる間に歩を入手して馬筋を通したのが大山先生のそつのない指し方です。
大山先生の馬が攻防に働いています。
その馬を取るよ、というのが花村先生の最後の抵抗ですが
これで投了図。後手玉が堅く、攻め駒も4枚はありますから受る形がありません。
花村先生の68飛は才能を見せた手順でした。でも直後に38同飛ではだめです。
大山先生のほうから並べて、さばきの手順と終盤のきれいな手順を堪能してくださいませ。
引き角棒銀全般はあまりうまくいきません。攻め駒が飛角銀しかないというのが原因で、右辺で有利な形にできないというのが理由です。
矢倉の形が33角の利きに入るので一番まずく、玉が堅くなりません。
穴熊まで組めればまずくはないですが、棒銀で攻める必要はありません。
左美濃で引き角棒銀、千日手含み、というのが羽生の頭脳にもあった対応策ですが、自分から動かないならどうにか互角です。
平美濃(いわゆる飯島流引き角)は矢倉の形よりは良くても有利にはなりません。角を移動しないと玉を囲えないというのが難点です。中央も薄いですし。
鳥刺しは可能性があると思っています。左銀で攻めるのでさらに右銀も攻め駒に使えるから、という理由です。
嬉野流も鳥刺しの派生形ですね。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:花村8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 4二銀(31)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 5六歩(57)
18 7一玉(62)
19 7七銀(68)
20 7四歩(73)
21 7九角(88)
22 2二飛(32)
23 3六歩(37)
24 6四歩(63)
25 6六歩(67)
26 5二金(41)
27 5七銀(48)
28 4三銀(42)
29 5八金(49)
30 6三金(52)
31 4六銀(57)
32 5一角(33)
33 6七金(58)
34 4五歩(44)
35 3七銀(46)
36 5四銀(43)
37 3五歩(36)
38 3二飛(22)
39 2四歩(25)
40 同 歩(23)
41 3六銀(37)
42 3五歩(34)
43 同 銀(36)
44 4六歩(45)
45 同 角(79)
46 4五銀(54)
47 6八角(46)
48 4六歩打
49 3三歩打
50 同 飛(32)
51 3四歩打
52 同 銀(45)
53 4六銀(35)
54 4五歩打
55 3七銀(46)
56 2三飛(33)
57 3二歩打
58 3三桂(21)
59 3一歩成(32)
60 2五桂(33)
61 2六銀(37)
62 3七歩打
63 3二と(31)
64 5四歩(53)
65 3五銀(26)
66 同 銀(34)
67 同 角(68)
68 6二角(51)
69 7九角(35)
70 5五歩(54)
71 同 歩(56)
72 4六歩(45)
73 同 歩(47)
74 4七銀打
75 3九歩打
76 8二玉(71)
77 5七金(67)
78 3六銀成(47)
79 5六金(57)
80 2六角(62)
81 6五歩(66)
82 同 歩(64)
83 6八飛(28)
84 3八歩成(37)
85 同 飛(68)
86 4七成銀(36)
87 1八飛(38)
88 3八歩打
89 9七角(79)
90 5七歩打
91 4二角成(97)
92 5八歩成(57)
93 7九金(69)
94 3九歩成(38)
95 3三と(32)
96 2九と(39)
97 2三と(33)
98 1九と(29)
99 同 飛(18)
100 3七角成(26)
101 5四歩(55)
102 5二歩打
103 8八玉(78)
104 1九馬(37)
105 9五歩(96)
106 4六成銀(47)
107 6二歩打
108 7一金(61)
109 6五金(56)
110 5六成銀(46)
111 9四歩(95)
112 9二香打
113 6一歩成(62)
114 同 金(71)
115 8六馬(42)
116 4六馬(19)
117 6八歩打
118 6七歩打
119 4三飛打
120 6八歩成(67)
121 同 銀(77)
122 同 と(58)
123 同 金(79)
124 6七歩打
125 4六飛成(43)
126 6八歩成(67)
127 同 馬(86)
128 6七歩打
129 7八馬(68)
130 4六成銀(56)
131 5五角打
132 7三桂打
133 4六角(55)
134 4八飛打
135 投了
まで134手で後手の勝ち