名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(41);引き角棒銀

2016-01-21 | 大山将棋研究
昭和47年6月、花村先生との第20回王座戦です。


花村先生の玉頭位取りを拒否。

引き角棒銀になりました。でも46銀はあまり見ませんね。57銀からなのでここでは仕方ないのですが、37銀から35歩や26銀としていくほうが普通です。

銀を追い返されて2手損です。でも花村先生だから気にしないのでしょう。現場主義というか、過ぎたことは気にしない方です。終盤に自信を持っていたということもあるでしょう。

手損したのに35歩から仕掛けていったのが作戦負けの元です。(51角の後なので)88玉~78金までは指しておきたかったです。現代風なら穴熊まで組みなおすのですが。

軽い手筋がありました。

大山先生は銀を使い、角銀の連携を切ろうとします。

結局銀を押し返しました。

花村先生は と金つくり。これがどれだけ効果があるかということですが

と金を作る間に桂馬がさばけては振り飛車ペースです。居飛車が歩切れで無ければ互角なのですが。

この歩突きがなるほどという手。角を62に使おうということです。王手のラインが開くので嫌な感じがしてしまうのですが

角交換を挑めばよいということですね。大山先生の感覚の良さが光ります。

少し良くなったところでどう指すのかと思ったら、銀を置いて38歩成を狙います。

と金は作れなくてもじっと成銀を作ってもたれます。

でもやはり持ち駒の銀を打ってしまうのはやや損だということでしょうか、花村先生の腕力の見せ所、ここがハイライトです。

それなのに38歩成に同飛が欲張りでした。無視して97角とか、64歩同金97角とか、65金とか、あるいは取るにしても38同歩か。

47成銀に18飛では明らかに変調です。

馬を作れば飛車は取れそうですが

大山先生の飛車の取り方、つい37桂成から28と とやってしまいそうですが、桂香を取って馬で飛車を取れるならかなり得です。ここは一回29飛ではなかったか。

花村先生は端をついて勝負の形を目指します。

端は取り込ませて香を打つのが一番いい対応ですね。端を取り込まれる間に歩を入手して馬筋を通したのが大山先生のそつのない指し方です。

大山先生の馬が攻防に働いています。

その馬を取るよ、というのが花村先生の最後の抵抗ですが

これで投了図。後手玉が堅く、攻め駒も4枚はありますから受る形がありません。

花村先生の68飛は才能を見せた手順でした。でも直後に38同飛ではだめです。
大山先生のほうから並べて、さばきの手順と終盤のきれいな手順を堪能してくださいませ。


引き角棒銀全般はあまりうまくいきません。攻め駒が飛角銀しかないというのが原因で、右辺で有利な形にできないというのが理由です。
矢倉の形が33角の利きに入るので一番まずく、玉が堅くなりません。
穴熊まで組めればまずくはないですが、棒銀で攻める必要はありません。
左美濃で引き角棒銀、千日手含み、というのが羽生の頭脳にもあった対応策ですが、自分から動かないならどうにか互角です。
平美濃(いわゆる飯島流引き角)は矢倉の形よりは良くても有利にはなりません。角を移動しないと玉を囲えないというのが難点です。中央も薄いですし。
鳥刺しは可能性があると思っています。左銀で攻めるのでさらに右銀も攻め駒に使えるから、という理由です。
嬉野流も鳥刺しの派生形ですね。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:花村8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 4二銀(31)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 5六歩(57)
18 7一玉(62)
19 7七銀(68)
20 7四歩(73)
21 7九角(88)
22 2二飛(32)
23 3六歩(37)
24 6四歩(63)
25 6六歩(67)
26 5二金(41)
27 5七銀(48)
28 4三銀(42)
29 5八金(49)
30 6三金(52)
31 4六銀(57)
32 5一角(33)
33 6七金(58)
34 4五歩(44)
35 3七銀(46)
36 5四銀(43)
37 3五歩(36)
38 3二飛(22)
39 2四歩(25)
40 同 歩(23)
41 3六銀(37)
42 3五歩(34)
43 同 銀(36)
44 4六歩(45)
45 同 角(79)
46 4五銀(54)
47 6八角(46)
48 4六歩打
49 3三歩打
50 同 飛(32)
51 3四歩打
52 同 銀(45)
53 4六銀(35)
54 4五歩打
55 3七銀(46)
56 2三飛(33)
57 3二歩打
58 3三桂(21)
59 3一歩成(32)
60 2五桂(33)
61 2六銀(37)
62 3七歩打
63 3二と(31)
64 5四歩(53)
65 3五銀(26)
66 同 銀(34)
67 同 角(68)
68 6二角(51)
69 7九角(35)
70 5五歩(54)
71 同 歩(56)
72 4六歩(45)
73 同 歩(47)
74 4七銀打
75 3九歩打
76 8二玉(71)
77 5七金(67)
78 3六銀成(47)
79 5六金(57)
80 2六角(62)
81 6五歩(66)
82 同 歩(64)
83 6八飛(28)
84 3八歩成(37)
85 同 飛(68)
86 4七成銀(36)
87 1八飛(38)
88 3八歩打
89 9七角(79)
90 5七歩打
91 4二角成(97)
92 5八歩成(57)
93 7九金(69)
94 3九歩成(38)
95 3三と(32)
96 2九と(39)
97 2三と(33)
98 1九と(29)
99 同 飛(18)
100 3七角成(26)
101 5四歩(55)
102 5二歩打
103 8八玉(78)
104 1九馬(37)
105 9五歩(96)
106 4六成銀(47)
107 6二歩打
108 7一金(61)
109 6五金(56)
110 5六成銀(46)
111 9四歩(95)
112 9二香打
113 6一歩成(62)
114 同 金(71)
115 8六馬(42)
116 4六馬(19)
117 6八歩打
118 6七歩打
119 4三飛打
120 6八歩成(67)
121 同 銀(77)
122 同 と(58)
123 同 金(79)
124 6七歩打
125 4六飛成(43)
126 6八歩成(67)
127 同 馬(86)
128 6七歩打
129 7八馬(68)
130 4六成銀(56)
131 5五角打
132 7三桂打
133 4六角(55)
134 4八飛打
135 投了
まで134手で後手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160121今日の一手<その250>; 駒得を欲張らない

2016-01-21 | 今日の一手
20160121今日の一手

11月29日の名南将棋大会からMさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金と銀の交換で、小さな差ですがやや先手が損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77角45桂と持ち駒銀で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒金1枚。
総合すれば先手が有利です。

大局観として
後手から45歩としたところですが、うっかりです。悪手まではいかないのですが疑問手です。32銀がありますね。私も相手の持ち駒は何かというところまで意識がいかなくて、両取りを食らうことがよくあります。45歩と突かなくて32銀はたいしたことはなかったのですが、77角の利きが通ったのですから32銀は痛いです。
後手からは46歩から36歩で桂馬が取れるので、突きたくなるのはよくわかります。でも玉が薄いですし、我慢すべきでした。


○ 実戦は32銀で、もちろんこの手から考えます。

後手は攻め合うしかないです。46歩同銀36歩に21銀成

飛車を取ったのは先手の疑問手です。37歩成同銀84桂87銀76歩

角を逃げれば44角の覗きが厳しくなります。76同銀同桂87玉は非常手段ですが、ここからは後手が有利になり押し切りました。

21銀成では43銀成です。

43同銀33角成44角

44同馬同銀74桂

まだ攻め駒が3枚ですが、後手玉が薄いので桂打ちは厳しい手です。73玉68飛37歩成65歩

飛車を使って4枚目の攻め駒です。47と64歩62歩52角

71桂43角成41飛42歩

これが進行例です。後手玉は中段に逃げて頑張ります。少し遠巻きに角を打って馬を作って攻める感じです。形勢は先手優勢です。


× 45同桂なら

45同桂同歩84桂

87銀76歩59角45銀

32銀44角98玉53金21銀成95歩

飛車を取らせて端に手を付ければ、先手は飛車得とはいえ難局です。受けきる自信はありません。


△ 45同歩は

46歩同銀36歩32銀

37歩成68飛47と43銀成同銀33角成42銀

手順が長いのですがここまでは勢い。45歩があるので44角とぶつけられないので、42銀打です。先手も馬を逃げているわけにはいかず、44歩同角同馬同銀74桂

前の変化との違いは、後手が42銀を打たされているのですが1手余計に指しています。これは互角か、後手が指せるのかもしれません。だったら37歩成は同銀とすべきかも。


△ ひねった手としては55歩があります。

意味は55同歩とさせて、45桂同桂同歩84桂87銀76歩55角

これなら互角です。

55歩には46歩同銀36歩54歩71角

こっちでしょうか、手が広くてよくわかりません。


45歩が後手の疑問手ですが、やってみると案外難しかったです。32銀の両取りを放置して21銀成とすれば、2手かけて先手の持ち駒銀が飛車に替っただけです。後手の損失は21飛がいなくなったことだけ。2手の間に桂馬を取り84桂と打てれば後手がよくなります。
ですから、32銀の後は43銀成から33角成で桂馬を得するのが目標です。37桂は取られても角金桂を入手できます。それで後手玉を寄せに行くのが手順です。
あとは、すぐに32銀がよいか、45同歩や45同桂のあとで32銀がよいのかという比較です。
43銀成から33角成が目標なのですから、33桂をさばかせる45同桂は駄目そうだなとわかりますね。45同歩の価値があるのかどうかは考えてもよいのですが、32銀の後は無条件で飛車を取ってはいけません。金を逃げてもらえば飛車を取ってまあまあです。それでも持ち駒の銀を使って遊び駒になるのですから気が引けるくらいです。

駒得は味が悪いもの。少なくとも1手、多くは2手かけて駒を取るわけですし、取ればだいたいは形が悪くなります。だから駒得は欲張らないほうがよいです。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする