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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(40); 石田本組に角交換

2016-01-20 | 大山将棋研究
昭和47年5月、中原先生との第31期名人戦第6局です。
前に第7局をやりましたが、この2局は中原先生が振り飛車。来年もまた挑戦できるから振り飛車を勉強しようという話がありました。順位戦は全勝ですし、タイトルも持っていればそういう自信があるのでしょう。この後は大山先生が名人復位することはありませんでした。大山(一強)時代は終わったのです。


中原先生が三間飛車、大山先生は居飛車です。

これは機敏な動き。浮き飛車にしたので角交換はしないのかと思ったのですが

角交換すると88角の傷があります。すぐにやるのは怖いですが。77桂もはねにくいし、大山先生の序盤感覚がよいというか、中原先生が不慣れな気がします。

中原先生から端角を打ちました。これは形のようですが打ったのですから珍しい手です。

大山先生の64銀が軽い受けで、65歩同銀78飛でどうかと思いましたが、86歩同角74銀でだめですね。あとは74歩同歩同飛73歩64角という筋ですが、この55歩同歩が入れば有力のような気がします。あるいは55同歩は54歩の意味か。
大山先生は43銀と受けて

75歩としますよの74歩に、やって来いと桂馬を跳ねる。どちらかが悪くなりそうですが

75同銀より飛車を回るのが本筋ですね。

これで案外バランスが取れているようです。しかし問題発生。

河口先生が89飛はポカだと解説されていました。
大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

銀を取り返して飛金取りで、飛車に当たるのをうっかりしたとか。

それでもまだまだに見えるのですが、中原先生が駒損を解消できたのが大きいです。

この銀も仕方なく打ったという感じです。

端に手を付けたのが決め手。ですが、取らずに53角なら難しかったのではないでしょうか。端を詰められるのは痛いのですが。

端を工作して馬を切ります。大山先生はこれを軽視したのでしょう。名人戦でやる度胸があるのかと。

飛車を打って桂馬を取ると34桂が先手になります。馬銀交換でも桂香を拾えば3枚換えです。

馬を作って粘ればまだまだに見えますが

取った桂香で端を攻めるのが急所です。

41金が質駒なので端を受けき切れません。

この香車が決め手です。左右挟撃が決まりました。

角交換になれば大山先生のほうがいいはず。金銀はバラバラでもうまくまとめました。89飛が敗因ですが、52金(これが普通)は97馬で長いからと香車を取るのを優先したのでしょう。51香で馬取りと57歩成があります。31銀をうっかりするのは私も同じです。
プロは美濃囲いで端を攻められたらまず取るのですが、私は手抜きから考えてしまいます。端を工作して馬切りが平凡なようでも厳しい手でした。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原十段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7八飛(28)
6 4二銀(31)
7 4八玉(59)
8 4三銀(42)
9 3八玉(48)
10 4二玉(51)
11 6八銀(79)
12 3二玉(42)
13 5六歩(57)
14 6二銀(71)
15 5七銀(68)
16 5四歩(53)
17 4六歩(47)
18 3五歩(34)
19 2八玉(38)
20 5三銀(62)
21 3八銀(39)
22 3四銀(43)
23 7五歩(76)
24 1四歩(13)
25 7四歩(75)
26 同 歩(73)
27 同 飛(78)
28 7三歩打
29 7六飛(74)
30 4五歩(44)
31 2二角成(88)
32 同 玉(32)
33 4五歩(46)
34 同 銀(34)
35 5八金(69)
36 3二金(41)
37 1六歩(17)
38 8四歩(83)
39 9五歩(96)
40 3三桂(21)
41 4六歩打
42 3四銀(45)
43 9七角打
44 6四銀(53)
45 6六歩(67)
46 8五歩(84)
47 5五歩(56)
48 4三銀(34)
49 5四歩(55)
50 同 銀(43)
51 2六歩(27)
52 7四歩(73)
53 7七桂(89)
54 7五歩(74)
55 同 角(97)
56 5六歩打
57 4八銀(57)
58 7二飛(82)
59 6四角(75)
60 7六飛(72)
61 5三角成(64)
62 4三銀(54)
63 7八歩打
64 8九飛打
65 3一銀打
66 同 金(32)
67 4三馬(53)
68 7一飛(76)
69 8二銀打
70 3二銀打
71 7一銀成(82)
72 同 金(61)
73 5三馬(43)
74 6二銀打
75 3五馬(53)
76 9九飛成(89)
77 5九歩打
78 5一香打
79 1五歩(16)
80 同 歩(14)
81 1三歩打
82 同 香(11)
83 6二馬(35)
84 同 金(71)
85 7一飛打
86 4一金(31)
87 8一飛成(71)
88 3四歩打
89 9一龍(81)
90 5七歩成(56)
91 同 銀(48)
92 9七角打
93 7一龍(91)
94 5二金(62)
95 6五桂(77)
96 4三金(52)
97 1八香打
98 5七香成(51)
99 同 金(58)
100 6八角打
101 5八金(57)
102 9五角成(68)
103 9六歩打
104 8四馬(95)
105 5五桂打
106 4四金(43)
107 1五香(18)
108 1四歩打
109 同 香(15)
110 同 香(13)
111 同 香(19)
112 5一香打
113 1九香打
114 3一玉(22)
115 6三桂成(55)
116 5八香成(51)
117 5三桂成(65)
118 投了
まで117手で先手の勝ち





20160120今日の一手<その249>; 穴熊に飛交換でもよい時

2016-01-20 | 今日の一手
20160120今日の一手

11月29日の名南将棋大会からAさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。






昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
歩と桂馬の交換で と金を作られています。歩をカウントしないで、桂馬と と金の交換というべきでしょうか。でも戦力としては桂馬2枚と と金1枚の比較です。39と が働けば(金銀と交換するとかで)先手の駒損になりますが、今は と金の位置が悪いので先手の駒得です。
玉の堅さは後手が堅いようですが、先手も金銀4枚なのであまり違いません。
先手の攻め駒は45桂26飛持ち駒桂で3枚
後手の攻め駒は44銀39と で2枚。
総合すればやや先手が指せる局面です。

大局観として
先手は攻め駒を増やしたいです。と金を作るか、77角を働かせるか。また、25歩で飛車を追われるので、どうするかを考えておきたいです。39と が働き出す前に有利な形を作ってしまいたいので、ゆっくりするのではなく強い攻撃手段がほしいところです。3枚の攻め駒を4枚にすることは難しくないですから、有利にしやすい局面です。


× 実戦は22歩でした。

25歩が気になるからこう打ちたくなるのはよくわかります。でも持ち歩を使うと駒得の意味が薄くなります。使うなら と金を作れるところに打ちたいのです。
41飛46歩38と

歩切れになって と金が動き出して、少し差が詰まりました。
55銀左同銀同角25銀

銀交換で攻め駒は一気に増えたのですが、飛車を追われてと金を使われる展開で次第に難局になりました。終盤でこうすれば難しいというところはいくつかあったのですが、実戦的にはやや振り飛車のほうが勝ちやすいのでしょうか。穴熊は と金や桂香歩で攻めるほうが寄せやすいということがあり、歩切れは痛いです。


△ 33歩はと金を作れそうですが

あっさり33同銀同桂成同角で

32銀61飛43銀成41飛34銀

という感じです。銀得なのですが、歩がないので抑え込み切れるか、少し不安です。


△ 34歩ならもう少し含みがあります。

41飛46歩38と57銀37と33歩成

これは と金を作ったけれど後手のと金が働き出したので難しそうです。

少し工夫しましょう。41飛には46飛です。

この後57銀と引けば53桂成、53桂不成、33歩成と有効な手が多くなりますから、45銀同飛同飛同銀

飛車交換は怖いようでも51角が攻められるだけの駒です。と金も作れそうですし、先手有利です。


○ 前の変化からわかったでしょうか、最初に46飛が一番有力です。

72金寄(金をかわした)にも53桂成が銀取りで、45歩同銀

銀交換で飛車がさばければ十分です。5筋から と金で攻められます。

46飛には41飛しかなく、先ほどの34歩もありますが57銀と角筋を通しておくのが大きな手です。

46飛が桂馬の陰になってはいますが、それ以外の攻め駒が3枚になりました。53桂成あるいは不成が両取りになります。
やはり45銀しかなく、45同飛同飛同銀。

51角が飛車打ちの目標になっています。72金寄41飛62角11角成までは必然でしょう。

11馬は守りに使っても攻め駒は4枚、29飛86香49と75桂

これが代表的な振り飛車穴熊崩しですね。64歩同歩63歩を入れてから83桂不成で寄ります。

49と で74歩と阻止されたら64歩(73角を防ぐ)同歩66桂

73金に85銀

切れないように攻め駒を足せばよいのです。


○ 46飛の前に57銀(あるいは75銀)でも合流します。


△ 75銀でも

この場合は攻め駒は足りるのですから57銀のほうが形がよいのかなと思います。


△ 55銀左も自然です。

55同銀同銀には36銀

56飛の転回を防がれると少し不満です。

55同角と取ったほうがよく、38とには32銀

25歩46飛24飛には41銀成で角が取れます。駒得を拡大するので悪くはないです。先手玉が少し薄くなるので、ほかの手があればそのほうがいいのですが。あまり駒得を重視しないほうがよいことが多いです。



問題図で25歩が気になるのですが、46飛とまわれば問題なし、と気が付けば簡単でした。歩越しの飛車は使えないとひどいのですが、44銀が目標になります。
対抗型での飛車交換でどちらがよいか、というのは悩みますが、交換した後でどちらが手番か、飛車打ちの目標になるものがあるか、を考えるしかないです。さらにどちらの寄せが速いかという比較になります。
玉が堅い方が有利という場合も多いのですが、この問題の場合は51角がさばけないので目標になること、それにより攻め駒の数が違うので居飛車のほうが有利でした。

振り飛車穴熊に位取り、4枚の金銀で手厚くして勝負、というのはあまり流行らないのですが、丁寧に指せば居飛車が指せるものだと思います。