飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

リーダー会議

2005-05-23 22:29:42 | Weblog
今日のリーダー会議では、CubeSatの設計、ハイパースペクトルカメラによる顕微鏡撮影、ハイパー画像処理ソフト、レーザー通信の準備等について、現在の進捗状況と今週1週間の作業内容について確認した。

また夕方に業者の方と3000×4000×2300Hのクリーンブース製作の打ち合わせを行った。10日ほど前に発注した基板加工機も今日納品することができた。CubeSat製作にはもう少し設備投資が必要だが、6月中には揃えられるだろう。

土曜日の実験室

2005-05-21 22:42:07 | 佐鳥新の教授&社長日記
昼ごろに実験室を覗いてみると磁気センサーと磁気トルカの担当しているY君(M1)とA君(B3)が作業していた。磁気トルカというのはひとことで言えば電磁石で、地球磁場との相互作用を利用して人工衛星を姿勢制御する部品である。
夕方に立ち寄ると電子回路設計のエンジニアのHさんが来ていた。水曜日の設計会議で問題となっていた電力効率の改善の件で2人が技術指導していただいているのだろう。

夜には研究室のメーリングリストにU君からハイパースペクトルカメラによる顕微鏡撮影の進捗状況の日報が入っていた。(私の研究室では全員が毎日メーリングリストで日報を書き、誰が今何をやっているのかを全員が把握できるようにしている。)

また今日は朝から北海道工業大学内でオフィス・オートメーション学会第50回全国大会が開催され、16時から当学会からの招待講演として「北海道衛星『大樹』」というタイトルで1時間ほど講演させていただいた。従来の宇宙開発の先入観を打破し、新しい宇宙産業を創出することが21世紀の本格的な宇宙時代に繋がるのだと力説した。

いろいろな人から「宇宙は夢がありますね」と言われることが多いが、この言葉の真意は「私には縁が無い世界だが、久しぶりに希望を感じる話を聞かせてくれてありがとう」という意味だと思う。私は宇宙開発の啓蒙を考える際に重要なのは、講義型ではなく参加型、つまり「自分も中に入ってやってみよう」と思う人を増やすことだと思っている。その意味では大学生を対象としたUNISECのアプローチは的を得ていると思う。
 注: http://www.unisec.jp/
北海道衛星(NPO宇宙空間産業研究会)では企業の経営者を対象とした啓蒙活動を行っているが、これは国民の生活レベルまで目に見える形で宇宙開発の技術を浸透させるためである。当面は宇宙に対する新しい教育と宇宙産業化の2つのベクトルのバランスが重要だと感じる。

ハイパースペクトル技術の農業・食品分野への利用可能性

2005-05-20 23:56:36 | 佐鳥新の教授&社長日記
今日の1講目は電磁気学Ibの授業があり、電界と電位の関係について講義した。

13時からA社(バイオ分野)でハイパースペクトル技術に関する講義を行った。夕方にU君(M1)にヨドバシカメラで顕微鏡を買ってもらったので、来週からはプレパラートに紫外線やハロゲン光源を当ててみて、細胞や核の見え方を調べてみようと思う。

15時30分から北海道高度情報化農業研究会で「ハイパースペクトル技術の農業分野への応用」のセミナーがあった。会場には40名程度の方が集まった。東京からも3名参加していた。前半の1時間は富士通北海道システムズの方に「衛星リモートセンシングの農業への応用事例」を講演していただいた。後半の30分で、今回は北海道衛星株式会社の社長という立場で私が「ハイパースペクトル技術の農業・食品分野への利用可能性」の講演と行った。ハイパーを使うと生鮮野菜の鮮度が分かることや、蛍光スペクトルをハイパーで見ることで異物検査や癌細胞の可視化を行った事例を紹介した。また講演の中で、スーパーで購入した野菜を使ってハイパースペクトルカメラ「Cosmos Eye」の実演も行った。

植物工場

2005-05-19 22:04:26 | 佐鳥新の教授&社長日記
ビルの中で人工的に農作物を育成する技術を植物工場というが、研究室のテーマとして最近調査を始めた。LEDの発光スペクトルがたまたまクロロフィル(葉緑素)の吸収特性に一致していることから、非常に効率よく成長させることができるようだ。
20年後には日本人も月面基地に居住する時代が来るだろうから、今から基礎研究を始めるのも面白いと思っている。
また植物工場内での生育モニターとしてハイパースペクトルカメラが使える可能性が高く、当面は研究室の中のハイパースペクトル応用・利用班に担当してもらう。

CubeSat設計会議

2005-05-18 23:49:24 | 北海道衛星
1講目は特定調査研究Iという授業があった。電気電子工学科のCubeSat開発スタッフも2名いたことから、ここ数日泊りがけで実験をやっていたので大丈夫だろうかと心配したのだが、きっちり仕上げていたので正直驚いた。

11時~12時: T社とのハイパースペクトルカメラ応用に関する打ち合わせ。

13時~16時: 報告書の直し。

16時半~17時半:クリーンルーム設計のための業者との打ち合わせ。

18時~22時: CubeSat設計会議 

17日も夜遅く

2005-05-17 23:08:43 | 北海道宇宙連合
 おばんです、岩本です。

 今日は磁気トルカ本体の抵抗について調べていました。トルカの抵抗値が、計算より求めた値と計測値で違うという点を調べていました。このままでは誤差が大きすぎて使い物にならないからです。

 まず、巻き線の抵抗率。始めは銅の抵抗率で巻き線の抵抗を求めていたのですが、計算が合わないので実際の抵抗率を求めました。トルカに電圧・電流を加えて抵抗を求めて、それを式に当てはめてトルカの抵抗率を算出しました。それと巻き線は外側がコーティングされているので、紙やすりで念入りにを接続部のコーティングをはがしました。

 調整の結果、抵抗の計測値と計算値が合うようになりました。この式をもとに今後もトルカの改良を進めていきます。

北海道工業大学同窓会からの特別助成の交付

2005-05-17 22:36:55 | 佐鳥新の教授&社長日記
北海道工業大学同窓会から、北海道衛星の予備実験のための試験衛星『HITSAT』の開発に対して特別助成が決定し、本日その交付式があった。
HITSATはJAXAの宇宙科学研究本部のM-Vロケット7号機(SOLAR-Bがメインペイロード)のサブペイロードとして来年夏期に打ち上げられる予定だ。
道工大からは学長の英断により例外的に特別予算が組まれ、来月中には衛星組み立て用のクリーンルームが完成する見込だ。

フレッシュマンセミナー

2005-05-16 23:50:08 | 佐鳥新の教授&社長日記
道工大では月曜日の1講目と2講目に新入生に対してフレッシュマンセミナーといって大学のカリキュラムの説明やパソコン講習会などをサポートする時間を設けている。
本日は1年生全員のノートパソコンにOfficeをインストールした。(道工大ではモバイルキャンパス構想として学生全員にノートパソコンを持っていただき、授業でも積極的に使っている。)既に自分用に設定している学生から、Wordもインストールされていない学生まで多種様々だった。

夕方には輪講があり、今日は上野君がハイパースペクトルカメラの撮影方法と今の問題点について1時間ほど説明した。
輪講の後は19時半まで研究室の品質管理のための時間(要するに掃除)となった。
19時半から22時半ごろまで大学院生とのリーダー会議とCubeSat設計会議のための事前打ち合わせ、ハイパースペクトルカメラを使った新しい研究テーマについての話し合いがあった。

匿名希望!?

2005-05-15 01:48:57 | 北海道衛星
ここ数日は大学に泊り込みの毎日・・・・。
なんか最近、体の調子が悪い。てか、睡眠時間が圧倒的に少ない。
問題山積み、作業難航。。

正直、しんどいっす

でも、CubeSatを作る者としてはこれくらいは当たり前らしい。。
知識や教養もさることながら、精神的な強さが必要になるのでは?
と思う今日この頃。
おじちゃん泣いちゃそー・・・(´д`;

泣いちゃえ、泣いちゃえ(どこからともなく声が・・・。)

エ、エグぅ、、
でも、負けない。僕、負けないもん。。

ハイパースペクトルカメラによる蛍光計測実験

2005-05-13 23:19:33 | ハイパースペクトルカメラ
佐鳥です。

今日は午後からハイパーの実験をやった。試料に紫外線を照射して蛍光が見えるかどうかを調べる実験だった。物質の組成によって蛍光を発する波長が異なるという性質を利用すると、異物検査や特定物質の判別に応用できる。実際にやってみると結構きれいに見えた。予想以上にうまくいったので、目的を定めてセンサーをチューニングすれば面白い技術が生まれる期待があると感じた。

この技術はおそらくプラズマ計測にも利用できるだろう。たとえば、半導体を作るときのプラズマCVD装置の均一性をモニターするとか、惑星探査用エンジンでもあるイオンエンジンのプラズマ計測、燃焼場の可視化などに応用できるだろう。単一波長だけならば干渉フィルターというものを使えば可視化できるが、全波長をカバーして物性を調べるのであればハイパーが有力なツールになる。