飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

「宇宙環境利用」という授業を通して感じたこと

2010-02-17 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記
北海道工業大学電気電子工学科の授業として「宇宙環境利用」という科目が今年で終了することとなった。過去には宇宙工学の理論を講義(=数式だらけの難解な講義を)したこともあったが、昨年からは専門性を持った教養としての宇宙開発を啓蒙的に教えることにより、電気電子工学の応用・発展分野としての意識を与えるような講義に切り替えた。

平成21年度の講義
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9月28日 ガイダンス、反物質推進
10月16日 世界の小型衛星
10月19日 第1回レポート課題 (JAXAの歴史)
10月26日 UNISECについて
11月9日 The Dream Is Alive
11月16日 第2回レポート課題 (月の水の発見)
11月25日 PLANET-C
11月30日 UNITEC-1
12月7日 MUSEC-C
12月14日 即応型宇宙システム 
12月21日 「かぐや」のビデオ
1月18日 宇宙探査+
1月25日 ハイパースペクトル技術とは (第1回ハイパースペクトル応用学会講演会の抜粋)
2月8日 第3回レポート課題(最終)


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第3回レポート課題: 
次の4項目を留意しながら宇宙産業の必要性についてあなたの考えを述べなさい。
 (1)航空産業の次に到来する新産業という観点、 (2)人口爆発と環境問題の観点
 (3)国際競争の観点、 (4)国防という観点
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※今日、レポートの採点が全て終了した。誰かのレポートをコピーしたような殆ど無く、自分で調べて自分で手書きで書いたレポートが多く、内容的にも、とてもユニークな答案が多かったという印象を受けた。
国防に関しては予想外に宇宙技術との連携を図るべきでるという反応が多かったことには出題者としても驚いた。正論である。俗世に塗れた社会人(※マスコミを含む)よりも、社会から毒されていない学生の方が実は真実をキャッチしているのかもしれない。

※宇宙開発と国防との関連に関し、「地球は近未来には宇宙人からの侵略を受ける可能性が高い。従って、現時点で宇宙開発を国家プロジェクトとして推し進めることが国防につながるのである・・・」と書いた学生が1名いた。一見すると、突拍子もない話のようにも聞こえるが、実は政治的な深い部分を彼は直感的に感じ取っているのだ。だから、私はこのレポートに対して通常評価点(30点満点)に加えて「+10点」を与えた。かつてケネディー大統領がアポロ計画を打ち立てたように、10年後の国家のビジョンを実現するための国家ビジョンには、せめて、これ位の発想は欲しいものだ。

尚、今回のレポートの平均点は配点の60%前後だと思われるが、宇宙産業の高付加価値性と、宇宙開発のポテンシャル的優位性等・・・」には、それなりの隔たりがあったようだ。




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1 コメント

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すごい学生! (kazubun)
2010-03-07 18:59:09
すごい学生さんがいらっしゃいましたね。わたしも、いまでこそ理解しますが、20年前は竹内均さんの雑誌ニュートンに宇宙建築を夢見ているとミニ投稿の記事を載せていただいたのが精いっぱいの学生でしたから。

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