飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

学会の作り方

2005-04-30 23:06:07 | 佐鳥新の教授&社長日記
北海道衛星に搭載する光学センサーとして「ハイパースペクトルカメラ(HSC)」(ハイパースペクトルセンサーを内蔵したカメラ)を北海道のITベンチャーである㈱エイティーエフ(http://www.atf-dlab.co.jp/)との開発を進めている。衛星搭載品ではないが、今年の春に地上での実験用に「Cosmos Eye (型式HSC1700)」を製品化した。

※Cosmos Eye:http://www.asahi-net.or.jp/~xf1m-fksm/framepagedream.html 

HSCとはカラー写真の概念を拡張した次世代のカメラで、これを使うと物体の形状と成分(光で分析できるものに限られる)を同時に撮影することができる。NASAのEO-1(http://eo1.gsfc.nasa.gov/)という人工衛星にはHYPERIONという。ハイパースペクトルセンサー(HSS)が搭載されている。HSSは先端技術のひとつだ。

参考までに言えば、HYPERIONの詳細は以下のWeb Siteから技術レポートをダウンロードできる。
http://eo1.gsfc.nasa.gov/new/validationReport/Technology/Documents/Reports/Hyperion.pdf

 私たちはこれまで約2年間にわたってハイパースペクトルで何ができるかを調査してきたが、どうもこのHSCやHSSは宇宙以外の分野(民生分野)でかなり役に立つ可能性が高いことが明確になってきた。これまではHSSの研究活動は、国内では衛星写真や航空機写真を画像解析する研究分野である日本リモートセンシング学会(http://www.rssj.or.jp/)を中心に行われてきたようだ。ここで言う“宇宙以外の分野“というのは、例えば食品分野、農業分野、土木分野、建築分野、医療分野、バイオ分野などへの応用である。ハイパースペクトルという用語こそ使わないが、バイオ分野や医療分野では最先端の分析装置として同様の原理の装置が使用されているようだ。

 私は“ハイパースペクトル”というキーワードにより、分野横断的なひとつの学問体系を作れるのではないかと考えている。そのための研究会として「日本ハイパースペクトル応用学会」なるもの作りたいものだ。

 では、そもそも学会というのは何処に届出をして設立すれば良いのだろうか。ご存知の方も多いだろうが、昨年の夏に日本学会事務センターが破産したということだが、ここは学会登録の窓口ではなかったのか?

(関連記事:http://hibiki.cocolog-nifty.com/blogger/2004/08/post_5.html )

 そこで、文部科学省に電話で問い合わせたところ、「うちにはそのような窓口はありません。日本学術会議で学会の登録をしているようですよ。」と教えて頂いた。今度は日本学術会議に電話してみると、今度は「皆さんによく誤解されますが、日本学術会議に学会を登録する制度はありません。」と言われた。つまり、日本学術会議の担当者によれば、学会というのは任意団体であれ、NPOや財団法人などの法人であれ、勝手に作って構わないということだった。

その後、知人からの情報で世界鬼学会(http://www.oe-kyoto.jp/i/onigakkai.htm)や桃太郎を研究する学会もあるようなので、やや意外だったが本当のようだ。

 以上の経緯から、4月中旬にハイパースペクトル応用学会をNPO法人宇宙空間産業研究会(http://www.hit.ac.jp/~satori/industry.html)の中に設立することを決め、まずその為の準備室を立ち上げた。
最初のメンバーは私とエイティーエフの江良社長、道工大の三橋先生、北大の石村先生の4名である。
5月中に設立総会を開催し、年末頃に小さなシンポジウムを開催することが当面の目標だ。

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1 コメント

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日本学術会議の「登録学術研究団体」 (佐鳥新)
2005-05-01 19:52:03
過去に日本学術会議の名簿に登録する際に所属学会を書いていたらしいのですが、それを日本学術会議が認定した学会であるかのような誤解をする人が増えた意味なのだそうです。
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