飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

宇宙開発は命がけだ!

2005-04-27 23:55:17 | 佐鳥新の教授&社長日記
リーダー会議

今年度から毎週月曜日に「リーダー会議」と称する大学院生と私とのミーティングを始めた。教員と学生との面談なので彼らの研究の相談をするのは勿論だが、大学院生とはいえ彼らは北海道衛星プロジェクトの立派な実働メンバーでもある。従って、リーダー会議では学外との交渉の進め方や中間管理職としてのマネージメントを教えることにしている。今は未だホウレンソウ(報告・連絡・相談)程度だが、徐々にドラッカーの「非営利組織の経営」と「ネクスト・ソサエティ」や、経営書からは「小さな会社の社長へのメッセージ」、トヨタの経営書、「経営マインドの磨き方」、品質管理(ISO9000等)、衛星開発のプロジェクトマネージメントなどのエッセンスも教えたい(一緒に勉強したい)と思っている。25日のリーダー会議で佐鳥研究室としてのブログを立ち上げることが決まり、本日からスタートすることになった。


超小型衛星HITSATの設計会議

18時からはキューブサットの設計会議があった。キューブサットというのは重量1kg、大きさは10cmのサイコロ状の超小型人工衛星だ。これまでに東大の中須賀研究室と東工大の松永研究室が打ち上げに成功している。北海道衛星プロジェクトでも両研究室に追いつけるよう、まずは大学主導でHITSAT(道工大の略称HITとSatelliteのSATが由来)を打ち上げてやろうという話になり、今日は要素レベルで試作したものを持ち寄って技術的な打ち合わせをすることになっていた。
ところが、2日前に 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学技術研究本部(ISAS)からM-V型ロケット7号機にHITSATがサブペイロードとして搭載が決まったという1通のメールが届いた時から事態は急変した。この日の会議は北海道衛星設計会議の緊急集会となった。私は大学院時代を含めISASには10年ほどいたので宇宙開発の厳しい現実をそれなりに知っており、ISASの審査員の顔ぶれとパッと目に浮かびあがるようだった。私の中ではプロ意識と、若い学生たちに世界第一線の素晴らしい世界を見せてあげたいという教育者としての親心の間で感情が揺れた。
かなり迷ったが、会議では、ライオンの親がかわいい子供を崖から突き落とすような気持ちで、「今回のHITSAT開発には本気でチャレンジする者だけが参加できる。自分が学生であることを言い訳にするような人はこのプロジェクトへの参加を辞退して頂きたい」と伝えた。学生たちを絶対に見捨てず、彼らの精神面と技術面での相談には最大限のフォローをするつもりではあるが、しかし、基準を上げることはあっても下げるつもりはない。宇宙開発というのは命がけのプロ中のプロの仕事だからだ。会議の場では脱落者はいなかったが、最後まで全員ついてきてくれることを私は祈るような気持ちで学生一人ひとりを見守っている。


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