A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1168 『アラヤー・ラートチャムルーンスック展』

2016-04-10 23:10:29 | 書物
タイトル:アラヤー・ラートチャムルーンスック展 : 無名のものたち
タイトル別名:Araya Rasdjarmrearnsook : NIRANAM: The Nameless
デザイン:川路あずさ(HYACCA)
編集:西尾咲子(京都芸術センター)
撮影:守屋友樹、スワンシン・ラッチャタ
翻訳:ウィリアム・アンドリューズ
発行:京都 : 京都芸術センター
発行日:2015.6
形態:13p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年5月18日-6月14日:京都芸術センター ギャラリー北・南、談話室、エントランス
    主催: 京都芸術センター
内容:
「よみがえる捉えがたきものたち」西尾咲子
「モノローグという対話」小山田徹
作家略歴

頂いた日:2016年4月4日
 京都芸術センターよりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 アーティスト・イン・レジデンスは作家にとって多くのものをもたらすが、作品においては消化不良、未熟なものが多い。成果発表展示というのは、どうしても時間の制約もあって、散漫にならざるを得ない。むしろ、アーティストにとって、滞在後の作品にこそ「成果」が現れるのではないか。
 タイのアーティスト、アラヤー・ラートチャムルーンスックによるアーティスト・イン・レジデンス成果発表となる本展もまた同じ感慨を抱くものであった。だが、時間がたっても覚えているのは《誰も招かれない 亡霊だけが集まるオープニング・セレモニー》(2015)である。本作は、建畠晢氏が自作の詩を朗読する映像がシルク布に投影される映像インスタレーションである。記憶に残る一因として、建畠氏の予期せぬ力強い声と相変わらずの滑舌が悪さがあいまって、言葉/声が強く印象に残ったからである。朗読された詩がどんなものだったか、今では憶えていないし、憶える必要もないだろう。建畠晢の震えるような、力のある声が胸に響くならば、作品は成功している。
 なぜタイのアーティストの作品に建畠晢が出演するのか。それは、当時、建畠氏が学長を務める京都市立芸術大学のアーティスト・イン・レジデンス事業でアラヤー・ラートチャムルーンスックが招聘されたからである。おそらくアラヤーは建畠氏と面会し、その「声」が外国語でありながらも特異な声であることに気づいたに違いない。それはアーティストならではの優れた感覚だった。だから日本での滞在制作にあたって、建畠氏を起用したのだろう。惜しむらくは、カタログに建畠氏がテキストを寄稿してほしかった。



未読日記1167 『小谷元彦 : Terminal Moment』

2016-04-09 23:01:51 | 書物
タイトル:Motohiko Odani solo exhibition : terminal moment
別タイトル:小谷元彦『Terminal Moment』
発行:[京都] : [京都芸術センター]
発行日:c2015
形態:1冊(頁付なし,おもに図版) ; カラー図版(8枚 17×25cm),ポストカード(4枚 11×23cm) ; 15×23cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2014年11月11日-12月14日:京都芸術センター
内容:
小谷元彦『Terminal Moment』ブックレット(ライナーノーツ)
「展覧会概要」武本彩子
From Artist
 Terminal Impact(featuring Mari Katayama "tools")2014
 Terminal Documents (ver 2.0)2011
作家略歴
出品作品リスト

頂いた日:2016年4月4日
 京都芸術センターよりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 頂きながらもおこがましいが、このデザインは困った。ポートフォリオ形式で三つ折りリーフレットの中に図版8枚、ポストカード4枚、ブックレットが封入されているのである。バラバラして扱いにくい。何より困ったのは図版の紙が黒くて指紋がつきやすいことである。やはり本は製本してほしいと思う。

未読日記1166 『NEW HOME』

2016-04-08 23:56:28 | 書物
タイトル:てんとうむしプロジェクト05 : NEW HOME
冊子デザイン:毛原大樹、菊野聡子
撮影:大島拓也
発行:京都 : 京都芸術センター
発行日:2015.3
形態:10p, 8p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2014年4月11日-5月11日:京都芸術センター ギャラリー北・南
    出展作家:東明、毛原大樹
    主催:京都芸術センター
    協力:東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
内容:
東明
「不定形に揺れ動く生命(いのち)」武本彩子
「東明 みぶりをひらく」金井直
Artist Statement 未来の娘
「てんとうむしプロジェクト」について
謝辞

毛原大樹
[テキスト]武本彩子
「『テレビの部屋』で考える」毛原大樹

頂いた日:2016年4月4日
 京都芸術センターよりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
「てんとうむしプロジェクト」とは、京都芸術センターのボランティア・スタッフとアーティストがともにつくるアート・プロジェクト。第5回目となる今回は、東明、毛原大樹の2名のアーティストが「NEW HOME」をテーマに展覧会を行なった。2人展ではあるが、実際には個展形式による展示のため、あまり両者の関係性が見えず「NEW HOME」の意に沿うのかよくわからなった。

 会場でアーティストに会うことはなかったが、このカタログを頂いて数週間後に毛原大樹さんにお会いすることになるとは思いもしなかったが、それはまた別の話である。

未読日記1165 『表象の光学』

2016-04-07 23:34:41 | 書物
タイトル:表象の光学
著者:小林康夫
造本装幀:戸田ツトム
組版:TANC図書設計
発行:東京 : 未來社
発行日:2003.7
形態:317p ; 22cm
内容:
デカルトからベラスケス、マネ、マラルメを通過して、デュシャン、ブルトン、リルケ、ツェラン、ブランショ、デュラスへ。〈光学〉をキーワードに、西欧近代における哲学、文学、音楽、美術等の諸領域を横断的に貫こうとする表象文化論的思考装置が凝縮された思考を展開する。ハイデガーやフーコーの哲学をテコに目眩く思考と文体の運動を鮮やかに刻印し、表象文化論の問いの起源と可能性を存分に論じきった著者の知的彷徨の所産。

目次
I 表象装置と主体の光学
 デカルト的透視法──表象装置としてのコギト
 オルフェウス的投影──オペラの光学の誕生
 ヒステリー的投影──近代的プロジェクシオンの構造

II インファンスとしての身体
 無の眼差しと光り輝く身体──フーコーのインファンス
 インファンスの光学――エクリチュールの身体
 盲目の眼差し――フーコーの「マネ論」

III 死の光学
 盲目の光学――デュラスにおける〈見ることができないもの〉
  1 「苦悩」――戦争のエクリチュール
  2 〈緑の眼〉――身体なき眼差し
 墓の光学――デュシャンの〈完全犯罪〉

IV 転回の詩学
 大地論序説――詩・技術・死
  1 大地から/への転回――ハイデガーと大地の喪失
  2 大地の委託と詩の出来事――リルケの樹と大地
  3 ポプラの樹とパンの身――ツェランの〈大地〉
  4 転回、空中にて――子午線と〈石〉としての〈名〉

V 物語の光学
 物語の狂気/狂気の物語
  1 現存在の〈誰〉――ハイデガーにおける物語の抹消
  2 レシの狂気――ブランショ『白日の狂気』を読む
  3 法と良心――誰/何が呼ぶのか?

VI 物語と実存
 墜落と希望――ブルトン『ナジャ』における痙攣的実存
 [補論]堕ちていくルシファー――ブルトンとグノーシス
あとがき
初出一覧

購入日:2016年4月4日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 展覧会「High-Light Scene」のための参考文献として購入。目次を見る限り、美術より文学の比重が大きい。だが、何が参考になるかわからないので、まずは目を通して見たい。


未読日記1164 『未来の途中のリズム』

2016-04-06 23:04:41 | 書物
タイトル:未来の途中のリズム : 美術・工芸・デザインの新鋭10人展
並列タイトル:Rhythm on the way to the future : 10 newcomers of art, craft and design
デザイン:畔柳尭史
写真:市川靖史
翻訳:クリストファー・スティーブンス
発行:[京都] : 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
発行日:2016.3
形態:95p(おもに図版) ; 22×28cm ; 付属資料(1枚):DVD
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2016年1月12日-2月27日:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
    主催: 文化庁、京都工芸繊維大学、京都工芸繊維大学美術工芸資料館
    制作: 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
    共催: 京都造形芸術大学
    文化庁委託事業「平成27年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
内容:
「成長のリズム」平芳幸浩
竹田和代
「光と記憶の器」安河内宏法
勢野五月葉
「循環する時空間」安河内宏法
小笠原周
「彫刻とボディビル」安河内宏法
香川裕樹
「画竜点晴を欠く?」平芳幸浩
清田泰寛
「絵画と自由」平芳幸浩
河股由希
「崩壊する風景」平芳幸浩
吉岡尚美
「なぜ作るか?」平芳幸浩
小宮太郎
「穴と物質」平芳幸浩
むらたちひろ
「水面の奥に漂う」安河内宏法
畔柳尭史
「未来へと続くリズム」安河内宏法
出品作品リスト

頂いた日:2016年4月4日
 京都工芸繊維大学美術工芸資料館よりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 出品作家の方よりご案内を頂きながら結局見に行かれなかったので、図録が見れてよかった。京都工芸繊維大学美術工芸資料館で若手作家を紹介するプロジェクトも3年目となり、年々充実しているように思う。毎回、カタログを作り、テキストが添えられることはとても大事だ。現代美術はもっとレビューや言葉がいると思うのだ。


未読日記1163 『詩誌『カナリス』 Vol.4』

2016-04-05 23:46:54 | 書物
タイトル:詩誌『カナリス』 Vol.4
表紙・ロゴ:北辻良央
デザイン:カナリス編集部
発行:東京 : カナリス編集部
発行日:2015.9
形態:4枚 ; 21×30cm
注記:ed. 175/200
内容:
「囚われ者」北辻良央
「挽歌と鄙歌より」浜田優
「しのひのそこ」藤原安紀子
「ねえ、セギさん」建畠晢

購入日:2016年4月3日
購入店:京都・松ヶ崎「松雲荘」
購入理由:
 「カナリス」とは今号にクリップ留めされたカードによれば、「2007年、北辻良央、建畠晢、藤原安紀子により創刊。2011年より浜田優を迎え、未完の詩誌を不定期に刊行」する雑誌である。前回と同じく京都・松ヶ崎「松雲荘」で開催された「70's展 - 情熱と理知〝Passion & Intelligence〟」内覧会にて購入。
 第4号は、詩が印刷されたA4の紙4枚がクリアファイルに挟み込まれたポートフォリオ形式。とても繊細にデザイン、レイアウトがなされているだけに、仕事や日常でよく使うクリアファイルに入れられると、安易な印象を受けてしまうのがちょっと残念。平出隆のvia wwalnuts 叢書のように紙だけの簡易さの方が好感がもてる。
 浜田優氏の「挽歌と鄙歌より」の「鄙歌」は読めなかったが、「ひなうた」と読むようだ。勉強になった。言葉を知らないこと、読めないことは恥ではなくて、言葉でつまづく、立ちどまる感覚が私は詩的で好きだ。建畠氏の「セギさん」とは、(詩の内容では類推できないが)美術評論家の瀬木慎一のことだろうか。たった4篇だが、言葉の質量がある。

未読日記1162 『詩誌『カナリス』 Vol.3』

2016-04-04 23:21:59 | 書物
タイトル:詩誌『カナリス』 Vol.3
発行:東京 : カナリス編集部
発行日:2011.5
形態:10p ; 19cm
注記:ed. 249/250
内容:
「わたしは千沙」浜田優
「アヴァンギャルド、ミンナ」建畠晢
「仔犬は屋上で流星を数えながら鳥刺しパパゲーノの旋回列車に今夜も乗ると約束するのだ」藤原安紀子
「ウスバカゲロウ」北辻良央

購入日:2016年4月3日
購入店:京都・松ヶ崎「松雲荘」
購入理由:
 「カナリス」とは北辻良央、建畠晢、浜田優、藤原安紀子による詩誌。4月2日に行われた詩誌『カナリス』朗読会+座談会の案内を頂き、初めて知った。調べてみると、4号まで出ているという。あいにく朗読会は予定があわなかったが、翌日に同会場で開催されていた「70's展 - 情熱と理知〝Passion & Intelligence〟」内覧会に伺った際に購入。
Vol.3はCDR付き。フランス装のように切り込み線を切って読むのが楽しい装幀・製本も美しい1冊。


未読日記1161 『捨象考』

2016-04-03 23:44:08 | 書物
タイトル:捨象考
企画:小泉俊己+日高理恵子
デザイン:須山悠里
撮影:加藤健
編集:小野冬黄
発行:[東京] : 多摩美術大学
発行日:c2015
形態:[28]p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年10月24日-11月29日:アキバタマビ21
内容:
小泉俊己(多摩美術大学)…山陽介
中原浩大(京都市立芸術大学)…迎英里子
日高理恵子(多摩美術大学)…齋藤春佳
関口敦仁(愛知県立芸術大学)…田島大介
「ポストメディウムへの抵抗――「捨象考」を考える」森啓輔
出品リスト

頂いた日:2016年4月1日
 Gallery PARCにて開催された「アプローチ2 [石油] :迎英里子展」を拝見した際、ギャラリーよりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 
 本書は、アキバタマビ21で第3回目となる大学間交流企画の展覧会。今展ではゲスト企画者に関口敦仁(愛知県立芸術大学デザイン専攻教授)、中原浩大(京都市立芸術大学彫刻科教授)を迎え、小泉俊己(多摩美術大学絵画学科教授・アキバタマビ21プロデューサー)、日高理恵子(多摩美術大学絵画学科教授)の4人が作家を選出している。
 残念ながら展覧会は見れていないが、具象/抽象とは異なる言葉として「捨象」という造語・テーマを提示したのは興味深い。

未読日記1160 『記憶の焼結―conti/nuit/é―』

2016-04-02 23:37:35 | 書物
タイトル:記憶の焼結―conti/nuit/é―
並列タイトル:The Sintering of Memory: conti/nuit/é
発行:京都 : 京都市教育委員会
発行日:2015.3
形態:[14]p ; 30cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年3月7日-4月12日:五条坂京焼登り窯(旧藤平)
    監修: 山本豊津
    企画: 森裕一
    展示: 黒田アキ/ジャン=リュック・ヴィルムート/近藤弘/松井紫朗/河合政之
    共催: 現代京都藝苑実行委員会/京都市教育委員会
内容:
黒田アキ
ジャン=リュック・ヴィルムート
近藤弘
松井紫朗
河合政之
「旧藤平陶芸登り窯と清水焼/登り窯の経歴と現状」京焼登り窯研究会
作家略歴
「記憶の焼結 The Sintering of Memory-《continuité》-」森裕一

頂いた日:2016年4月1日
 MORI YU GALLERYにて開催された「DARK SCIENCE -《conti/nuit/é》-」(2016年3月26日~4月17日)を拝見した際、ギャラリーよりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 ジャン=リュック・ヴィルムートの音の作品がすばらしかったが、なんと昨年に急逝されたとか。残念。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。


未読日記1159 『93.「未来の途中」の先を夢見る。』

2016-04-01 23:31:55 | 書物
タイトル:93.「未来の途中」の先を夢見る。
撮影:守屋友樹
発行:[京都] : 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
発行日:2016.3
形態:63p ; 26cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年11月28日-12月23日:京都造形芸術大学 ARTZONE
    主催: 文化庁、京都工芸繊維大学、京都工芸繊維大学美術工芸資料館
    制作: 京都工芸繊維大学美術工芸資料館、京都造形芸術大学 ARTZONE
    共催: 京都造形芸術大学
    文化庁委託事業「平成27年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
内容:
ごあいさつ
「これからの「未来の途中」について」前谷開
「近代的な2つの象徴について」堤拓也
「作家と言葉」安河内宏法
口上
インストラクション

吉田奈々
高野友実
谷 穹
来田広大
牧山智恵
門田訓和
嶋 春香
前谷 開
石井聖己
荒井理行

展覧会を振り返って
作家プロフィール
「「93.『未来の途中』の先を夢見る。」を終えて」平芳幸浩

頂いた日:2016年4月1日
 京都工芸繊維大学美術工芸資料館ご担当者様よりご恵贈頂きました。どうもありがとうございます。
 本展は、京都工芸繊維大学美術工芸資料館の「未来の途中」プロジェクト2期生の作家たちが、企画者側が提示する93のインストラクションのどれかを選んで作品を制作・出品した展覧会の図録である。
 残念ながら年末のバタバタで展覧会は見逃してしまったのだが、インストラクションにしたがって作品をつくるというアイデアは田中功起っぽいと当初は思ってしまったが、図録を見ると案外おもしろい作品が多々出ており、見逃したことが悔やまれる。
 だが、このカタログデザインはちょっとない。見開き図版の真ん中にキャプションと作家コメントが掲載された薄紙を挟み込むなんて信じられない。おまけに文字組みがノド近くまで印刷されており、読みにくいことこの上ない。デザイナーの名前が奥付に表記されていないのでデザイナーはわからないが、作家は困るだろうと思う。