A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 078 注意と意志

2012-06-20 06:13:20 | ことば
 新奇な事柄を理解しなくてもよい。だが、忍耐と努力と順序をつくし、自分のすべてを注ぎこんで、明白な真理の理解に達しようとつとめること。
シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄 (ちくま学芸文庫)』田辺保訳、筑摩書房、1995年、pp.192.

新しいことはわかりません。

memorandum 077 無

2012-06-18 23:51:30 | ことば
 わたしは自分がつまらぬ存在にすぎぬことをよしとしなければならぬ。もしわたしが重要な存在であるならば、それはどんなにかおそろしいことだろう。自分の無を愛すること、無であることを愛すること。目に見えるとばりの向こう側に位置しているたましいの部分によって愛すること。というのは、意識にそれと感知できるたましいの部分は、無を愛することができないばかりか、それをおそれるからである。もしこの部分が無を愛していると思いこんでいても、それが愛しているものは、無とは別のものである。
シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄 (ちくま学芸文庫)』田辺保訳、筑摩書房、1995年、pp.185-186.

 いつまでもつまらぬ存在でいたい。

memorandum 076 傷

2012-06-16 23:20:27 | ことば
 貴重なものが傷つきやすいのは、ほんとうにいいことなのだ。傷つきやすいということこそ、生存していることのしるしなのだから。
シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄 (ちくま学芸文庫)』田辺保訳、筑摩書房、1995年、p.180.

いつから人のことを「人材」などと呼ぶようになったのだろうか。「材」は傷ついても、交換可能だからだろう。だが、人はものとしてではなく、貴重で傷つきやすい存在として、向き合いたい。

未読日記618 『2011年度アート・コミュニケーションプロジェクト報告書』

2012-06-14 23:25:10 | 書物
タイトル:2011年度アート・コミュニケーションプロジェクト報告書
責任編集:福のり子
編集:板井由紀、北野諒、北村英之、伊達隆洋、渡川智子(京都造形芸術大学アート・コミュニケーション研究センター)
発行:京都 : 京都造形芸術大学アート・コミュニケーション研究センター
協力:京都造形芸術大学芸術表現・アートプロデュース学科
校正協力:中井美穂、三浦由希子(芸術表現・アートプロデュース学科4回生)
発行日:2012.5
表紙デザイン:加藤彩世(芸術表現・アートプロデュース学科4回生)
形態:224p : 30cm
目次・内容:
巻頭文 福のり子
Ⅰ.基礎プロジェクト
鑑賞者ボランティアの構成
各グループの鑑賞作品紹介
参与観察者によるレポート
研究員によるレポート
リサーチ・アシスタントによるレポート
学生アンケート集計・分析
学生最終レポート全回答
上回生メンターによるレポート
鑑賞者ボランティアによるレポート
Ⅱ.実践プロジェクト
学生活動編
 [1]ASP 特別講義「盲人である幸せ -手持ちのカードを最大限に活かす-」
 [2]京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)との共同プロジェクト
 [3]京都大学医学部附属病院 絵画展示プロジェクト「project niwa」
 [4]高校生ワークショップ
 [5]「AMA 展 -Art Meets Amagasaki」ギャラリートーク
 [6]東京大学「人ロボット共生学研究」との共同プロジェクト
アート・コミュニケーション研究センター(ACC)活動編
 [1]大塚国際美術館講演
 [2]札幌芸術の森美術館ボランティア研修
 [3]ACC 主催セミナー 佐藤宏道「見ることの諸相」
 [4]京の教員特別セミナー
 [5]ヨコハマトリエンナーレ2011「キッズ・アートガイド2011」
 [6]平成23 年度兵庫県博物館協会第2 回研修
 [7]サイエンスアゴラ2011「社会をカンショウする科学と芸術」
 [8]岡山県中学校美術教育研究大会講演
 [9]日本バプテスト看護専門学校連携授業
 [10]豊田市美術館作品ガイドボランティア研修
 [11]さぬき生活文化振興財団まなびあい勉強会
 [12]こども芸術大学瓜生山セミナー
 [13]大阪府立港南造形高校連携授業
 [14]児童養護施設におけるACOP 実践
Ⅲ.連続セミナー ヴィジュアル・シンキング・ストラテジー
Ⅳ.ACOP 関連取材記事
Ⅴ.2012 年度活動予定紹介

頂いた日:2012年6月14日
 発行元より郵送にて頂いた1冊。どうもありがとうございます。昨年のACOP観賞会に参加したことが遠い昔に感じられる。
 ところで、斜め読みして興味を魅かれたのは、「学生アンケート集計・分析」である。この中に、「美術館/ギャラリー・画廊にはどのくらいの頻度で足を運びますか?」という質問がある。回答の結果によると、美術館訪問数は年平均3.6回、ギャラリー・画廊訪問数は年平均2.9回であるという。さらに驚くのは、月1回以上のペースで美術館に足を運ぶ人は22人中3人だというのである(年に3.6回しか行かないわけだから当然である)。美術大学でこの現状である。一般大学では年平均0.6回か(また、学生でこの結果ということは、教員側も似たようなものだろうか)。
 私には美術館やギャラリーはなくてはならない存在だが、多くの人には不要な場所らしい。それにしても、美術館やギャラリーに足を運ばず、実際の作品をほとんど見ない人々が研究や作品解説をするって、どうなんだろう。昔から「アートプロジェクト」と名のつくものに違和感があるのは、このアンケート結果のように美術館・ギャラリーで作品を見ない人々による仕事という印象が拭えないためだ。
 美術館、ギャラリーに行くことに興味・関心のない人に何かを言う気はないが、もっと鑑賞者が増えることを期待したい。

memorandum 075 偶然

2012-06-13 21:45:50 | ことば
 わたしが愛する存在は、造られたものたちである。かれらは、偶然から生まれた。わたしとかれらとの出会いもまた、偶然である。かれらはいつか死ぬであろう。かれらが考え、感じ、行うことは、限界づけられていて、善と悪とが入りまじっている。
 このことを、たましいのすべてを尽くして、知った上で、なおかつ、かれらを愛すること。
 限りあるものを、限りあるものとして、限りなく愛する神にならうこと。

シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄 (ちくま学芸文庫)』田辺保訳、筑摩書房、1995年、p.179.

偶然ここにいる。

未読日記617 『石元泰博写真展 : 桂離宮1953, 1954』

2012-06-12 23:41:47 | 書物
タイトル:石元泰博写真展 : 桂離宮1953, 1954
別書名:Yasuhiro Ishimoto: Katsura--1953, 1954 : Katsura Imperial Villa
編集:神奈川県立近代美術館
装丁・デザイン:太田徹也
発行:[鎌倉] : 神奈川県立近代美術館
発行日:[2012.4]
形態:51p ; 30×30cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2012年4月7日-6月10日:神奈川県立近代美術館鎌倉
   主催: 神奈川県立近代美術館
   おもに図版
   石元泰博略年譜: p46-47
   石元泰博写真展作品目録: p48-51
内容:
ごあいさつ
「「桂」誕生のとき」水沢勉
「石元泰博《桂離宮》1953-1954――自立する写真の力」是枝開
図版 桂離宮 1953, 1954
略年譜・作品目録

頂いた日:2012年6月10日
場所:鎌倉市某所
 友人より頂いた1冊。どうもありがとう。
 見れないかと思ったが、なんとか最終日に滑り込みで見れた。半世紀前の作品ながら、まったく古くなっていないことに感嘆。桂離宮に行ったならば、この写真のように撮影したくなるだろうな。

未読日記616 『短詩集 第21集』

2012-06-11 23:22:31 | 書物
タイトル:短詩集 第21集 2012
著者・編集:さとう陽子
発行:神奈川:さとう陽子
形態:1冊;26cm
内容:
無題
行方

世紀マニュアル
みかんを買いに行く
世界
音水

頂いた日:2012年6月10日
場所:Gallery ジ・アース
 「さとう陽子展 Drawings & Poems」(2012年6月8日[金]~6月17日[日])を拝見した際、作家の方より頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 本書は、絵画、身体、詩、写真などの作品を発表している作家が定期的に刊行している短詩集。2~4行で構成されるこれらの短詩は、アフォリズムように、俳句や短歌のように日本語のリズムや音感が際立ち、些細でいて奥深い世界の深層を表している。個展では、絵画/ドローイングと詩が共存し、相互の作品の世界を広げていた。