A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記376 「アンドゥ」

2010-02-26 23:44:41 | 書物
タイトル:アンドゥ UN DEUX
絵&デザイン:渡邉良重(DRAFT co.,ltd.
文:高山なおみ
編集:熊谷新子
協力:D-BROS(DRAFT co.,ltd.)、植原亮輔、井上真由美、岩永和也
印刷・製本:コーハン株式会社
発行:株式会社リトルモア
発行日:2008年4月20日
内容:
[仕様]A4ヨコ/56ページ/上製/天綴じ

ふたりの心が織りなすちいさな永遠。真珠のような名作
(本書添付のシールより)

頂いた日:2010年2月24日
頂いた場所:バンブー
知人あるいは先輩あるいは同志あるいは元同僚の方より頂いた1冊。どうもありがとうございます(余談ですが、最近、たくさんの方から本を頂いてばかりです。皆さまの本のセレクトに時にニヤリとし、そういうことかと膝を叩いたり、1冊1冊に込められた思いや気持ちに触れ、ただただ心に留めて頂いたことに感謝と驚きと喜びを感じます。この場を借りて心より感謝申し上げます)。

さて、本書は料理研究家として有名な高山なおみ氏が物語を書き、DRAFTの渡邉良重氏が絵を描いた絵本。まず、本を開いて驚くのが造本です。表紙を開くとページの真ん中に切れ目があるのです。つまり、読者は左右それぞれのページを交互にめくって物語を読み進めていくのです。うまく記述できているかわかりませんが、通常の本が左(右)から右(左)にページを「めくる」とするならば、本書は上にページを「まくる」ことになるのです。これは、本の見開きという形式を緻密に、そして大胆に造本(デザイン)として結実させた大人のための絵本だと思います。さらに、短いながらも想像力豊かな言葉が散りばめられ、物語がページを「めくる/まくる」行為のあいだから立ち上る味わい深い傑作なのです。
また、「薄べったいすべすべの便箋」のような茶色い紙が紙好きとしてはたまりません。誤解を招くかもしれませんが、紙に「触れる」ことがこんなにフェティッシュな身体性を感じさせるとは思いませんでした。何か新しい扉を開かせられたような気分です。

ちなみに、DRAFTは個人的に学生時代から好きなデザインカンパニーでした。奥付を見て本書にも関わっていることを知りましたが、いい仕事をしています。