A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

音楽論006 「daqui pro futuro」

2007-09-07 23:28:52 | music
タイトル:daqui pro futuro
アーティスト:pato fu
レーベル:大洋レコード
発売日:2007年
内容:
ブラジル・ミナス出身、ポップ・マイスターの粋、5人組。07年東京ファッション・ウィークのモデルも努めるフェルナンダ・タカイのコケティッシュな魅力に溢れた唄声と、ビンテージ楽器のパワー・ポップにNWのカヴァーとフォークトロニカ、そしてメランコリー。“メカニカル”はいかに“オーガニック”を産み出すか?

 オルタネイティヴな発想を折り込み、インディペンデント精神に意気づいた、独創的且つ良質なポップを奏でるパト・フ。フロントを努める女性vo-フェルナンダ・タカイは日系三世で“メイド・イン・ジャパン”という日本語詞の曲を披露したこともあります。
 今9作目もギター/コンポーザーのジョン・ウリョアによるプロデュース。ジョンとフェルナンダのホーム・スタジオにて録音された今作はある意味実験でもあります。コンピューターやスタジオ・テクノロジーというものが、オーガニックで非機械的な音をどこまで表現できるのか。すべては5人のメンバーの手によって録音され、モダンな楽器からいにしえの楽器まで・・・サンプラーや小物類の助けを借りつつも全てはパト・フのよるもの。手回しオルガンとゼンマイ仕掛けの器械による原始的メカニカル音楽。古いヴィンテージ・シーケンサー、ドラム・マシーン、アナログ・シンセからの音色。アルバム・ジャケットが私たちにサウンドの指向を暗示しています。電気的、機械的で有機的な怪獣がアナログ・レコード盤をプレイしていますね。綺麗な蝶々を産み出しながら。パト・フのスタジオ風景は何故かこのようになるのです。ハイエンドな技術は結果的にシンプルでノスタルジックなサウンドを産み出し、ベーシックな響きから繊細に入り組んだテクスチャーが築き上げられています。(以下略。帯より)

購入日:2007年8月28日
購入店:claro (鎌倉)
購入理由:
夏の終わりに鎌倉に行ってきた。下調べで行きたいと思っていたブラジル音楽の専門店「claro」に立ち寄った。店内で店員の方と話をしていたら、このパト・フのCDを薦められ、店内で視聴してみたら実に良質なポップ・ミュージックで衝動買いしてしまった。ブラジル音楽と言えば、ボサノヴァと思われがちだが、実は本国ではそんなことはないらしい。どこの国でもポップ・ミュージック全盛で、このパト・フもブラジル国内ではたいへん人気のアーティストのようなのだ。(ちなみに、このパト・フは日本のピチカート・ファイブなども好きらしい。なんかわかる気がする。)
 とはいえ、このパト・フのヴォーカルであるフェルナンダ・タカイの、どこかささやくようなゆっくりとした歌い方はボサノヴァを思わせる。これはブラジルテンポなのだろうか。サンバなどのアップビートもあるくらいだから、スローリズム主流というわけではないのだろうが。
 ブラジル好きの私としては、つねづねブラジル文化に触れたいと思っているので、このような未知の出会いはうれしかった。小さい店ながら、店員さんの丁寧な接客が気持ちいい。


未読日記95 「草月の花」

2007-09-07 22:36:36 | 書物
タイトル:草月の花
著者:勅使河原蒼風
装幀:勅使河原蒼風
発行:婦人画法社
発行日:1962年4月15日
内容:
○一月から十二月まで
○草月の花
○飾りかた・展覧会
○三つの技巧
○基本花型法・花型分解
○花型分解・バラの盛り花

草月流創始者・勅使河原蒼風によるいけばなの教則本。一年を通してさまざまないけばな作品をいけ、その写真とともに解説が添えられている。

購入日:2007年8月28日
購入店:芸林荘(鎌倉)
購入理由:
偶然に古本屋の安売りコーナーで見つけたので購入。現在、世田谷美術館で行われた「勅使河原蒼風展」の図録を読んでいるところだったので、勅使河原蒼風つながりで購入を決めた。
蒼風という人は、いけばなのクオリティ、完成度が他のいけばな作家と違って圧倒的だ。それは、花がきれいなどという表層的な次元の問題ではなく、作品そのものが自立し存在しているということだ。このような人はもう現われないだろうし、現在のいけばな作品に蒼風のような力強い作品はなく、いけばなという芸術の限界を感じてしまう。

未読日記94 「異心圓」

2007-09-06 22:39:33 | 書物
タイトル:異心圓 vol.1 明
発行:
発行日:2007年8月
内容:
韓国、ソウルのギャラリーTOPOHAUSにて2007年9月12日-9月17日に開催される「異心圓 vol.1 明」のカタログリーフレット。
出品作家は、中岡奈津美、千凡晋、小倉亜矢子の3名。

贈呈日:2007年8月27日
場所:ギャラリー朋
関係者の方に頂いたもの。
ハングル語の文字がある冊子は新鮮で楽しい。

未読日記93 「GENERATION TIMES」

2007-09-06 22:29:34 | 書物
タイトル:GENERATION TIMES 2007.09
編集:ジェネレーション タイムズ編集部
編集長:伊藤剛
アートディレクション:直井忠英
デザイン:nod.
発行:ラフォーレ原宿
発行日:2007年8月
内容:
新しい時代のカタチを考えるジャーナル・タブロイド誌
特集「65億人の交差点」

入手日:2007年8月27日
入手場所:ラフォーレ原宿
ラフォーレ原宿にて、<ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展>を見に行った際に、配布された冊子。ラフォーレに行くと必ずもらうが、一部の書店で販売されてもいる。無料のフリーペーパーではあるのだが、社会的な視点を忘れないセンスのいい特集は好感がもてる。見るたび毎回感心してしまう。今回も「65億人の交差点」として、世界のさまざまな共通性、差異を比較し、世界と「私」との距離を考察している。

TOUCHING WORD 011

2007-09-05 22:44:08 | ことば
何も知らず、何も教えず、何も欲せず、何も感じず、眠ること、さらに眠ること、かくのごときが今日、私の唯一の願いなのだ。忌まわしくも嫌悪すべき、だが誠実なる願い。


(p.404 「ボードレール全詩集Ⅰ」シャルル・ボードレール 阿部良雄訳、ちくま文庫、1998年)

未読日記92 「美術論集」

2007-09-05 22:39:17 | 書物
タイトル:美術論集 アルチンボルドからポップ・アートまで
原題:L'OBVIE ET L'OBTUS
著者:ロラン・バルト 沢崎浩平訳
カバー:アルチンボルド「春」1573年
表紙:サイ・トゥオンブリ「ナポリ湾」1961年
発行:みすず書房
発行日:1999年6月4日(初版1986年7月10日)
内容:
「意味形成性の場としての眼差しは共感覚をもたらす。つまり、(心理的)諸感覚の区別を曖昧にする・・・したがって、すべての感覚が≪見る≫ことができ、逆に、眼差しは、匂いを嗅ぐ、音を聞く、物に触れる等々のことができる。ゲーテ、≪手は見ようと欲し、眼は愛撫しようとする≫」(バルト)
 本書は、バルトによって書かれた≪美術論≫の初めての集成である。『第三の意味』所収の写真・映画・演劇・音楽論と『明るい部屋』に本書を併せると、バルトの主要な芸術論がすべて邦訳されたことになり、つねに現代批評の先端を走ってきた彼の軌跡をたどることができる。また、これらのエッセー群は1969年から80年にかけて執筆されたが、これはバルトの思想展開において、彼の関心が記号学からテクスト、快楽、身体へと移行していった、きわめて重要な時期にあたっている。
 バルトは書く人であると同時に、みずから演奏する人=描く人でもあった。この経験は本書において、とりわけサイ・トゥオンブリやレキショを語る場合の、生き生きとした自在な眼差しに、またエレテやアルチンボルドを考察する場合には、刺戟的な分析となって遺憾なく発揮されている。
(本書カバー裏より)

購入日:2007年8月26日
購入店:幻游社(下北沢)
購入理由:
数ヶ月前、美術批評家である林道郎氏の『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない ①Cy Twombly』(ART TRACE)を読み、その際に参考文献として挙げられていたのが本書だった。林氏の論考がバルトのサイ・トゥオンブリ論に則って進められていくため、いつか読みたいと思っていた。その思いが通じたのか、偶然下北沢の古本屋で見つけ購入。フーコー、ラカン、ドゥルーズなどがひしめく良書揃いの古本屋であった。

未読日記91 「倫理という力」

2007-09-05 22:15:24 | 書物
タイトル:倫理という力
著者:前田英樹
カバー・イラスト:坂野公一
装幀:杉浦康平+佐藤篤司
発行:講談社/講談社現代新書1544
発行日:2001年3月20日
内容:
なぜ人を殺してはいけないのかわからない子供があちこちにいる今、真に大切なことは何か。人間が本来持っている「倫理の原液」をとり戻すための根源的な提案。
(本書表紙より)

してはいけないことがある-もう、だいぶ以前のことになったが、なぜ人を殺してはいけないの? という中学生の質問を、ある文芸雑誌が大特集で取り上げていた。雑誌特集には、予想されるあらゆる意見が出揃っていた。もちろん倫理学の公式を持ち出すものがあった。人はどんどん殺してよいという意見もあった。質問自体の論理的矛盾を突くものもあった。自分が殺されたくないなら殺すなという意見もあった。それこそ文学の大問題で、簡単には答えられぬという意見もあった。何やら意味不明の回答もいろいろあった。私が呆れたのは、ここに並んだ意見の例外なしの理屈っぽさである。泳ぎ自慢がそれぞれ得意の型を披露してくれる。みな自分は個性的で鋭利なつもりだが、理屈を言い募ることに個性などはない。はっきりしていることは、理屈は誰も救われない、決して誰をも賢明にしないということだ。-本書より
(カバー見返し裏より)

購入日:2007年8月26日
購入店:DORAMA 下北沢パート6店
購入理由:
現在、東京都写真美術館で開催中の<鈴木理策 熊野 雪 桜>展の関連企画として開催される鈴木理策×前田英樹トークショーの予習として購入。前田英樹氏は中村英樹氏とよく間違えるが、前から著作を読みたいと思っていた。今回、このタイミングで読むしかないと思い、その著作を古本屋で調べていたのだが、前田氏唯一の新書であるこの本を幸いにも安く手に入れることができた。
<倫理>をテーマとした本書は、新書にしては扱いにくい重いテーマだが、どのように捌くのか興味深い。目次を見ると「理屈は人を救わない」というテーゼが目をひいた。

音楽論005 「The Kissawey Trail」

2007-09-04 22:44:00 | music
タイトル:The Kissaway Trail
アーティスト:The Kissaway Trail
レーベル:V2 records
発売日:2007年8月8日
内容:
コクトー・ツインズのサイモン・レイモンドが見出したオランダの耽美系ギター・ロック・バンド、キスアウェイ・トレイルのデビュー・アルバム。美しく壮大でポップなメロディ、ストリングスを取り入れているなど、そのスタイルはアーケイド・ファイアやフレイミング・リップスなどと比較されております。米TIME誌では4点(5点満点)、英EME誌でも8点とメディアの高得点を付けるなどメディアも大注目です!(HMVレヴューより)

1.Forever Turned Out To Be Too Long
2.Smother + Evil = Hurt
3.Tracy
4.It‘s Close Up Far Away
5.La La Song
6.Soul Assassins
7.61
8.Sometimes I‘m Always Black
9.Eloquence And Elixir
10.In Disguise
11.Bleeding Hearts

購入日:2007年8月25日
購入店:HMV 渋谷店
購入理由:
発端は友人がくれた1枚のCD-Rだった。独自のセレクトでまとめられたこの極私的コンピレーションアルバムは、普段CDショップにあまり行かない私に、音楽熱を再び湧かせるに充分な1枚だった。その中に入っていた1曲がこのkissaway Trailの「Sometimes I'm Always Black」だった。実際、店頭に行ってみると話題のグループらしくかなり大きく取り上げられていたりした。全編新人とは思えないほど、アルバム全体に統一感があり、聞き惚れてしまう。久しくロックから遠ざかっていた私が、果たしてこのCDをどれぐれい聴き続けられるのかわからないが、いまはこういうサウンドもほしいと思うのだ。

音楽論004 「Englaborn」

2007-09-04 22:20:37 | music
タイトル:Englaborn
アーティスト:Johann Johannsson
レーベル:P-VINE RECORDS
発売日:2007年7月20日
内容:
アイスランドの鬼才、ヨハン・ヨハンソンによる傑作の誉れ高い最初のソロ・アルバムを待望の国内盤化!

同名の舞台劇『エングラボルン(天使の子供たち)』のために書かれた音楽が改訂・再構成され、ヨハンソン自身の鍵盤演奏とエレクトロニクス、弦楽四重奏団、パーカッションという編成で録音された作品。透徹した空気の漲る世界で、圧倒的に美しい弦の旋律が流れていく。冒頭と最後に据えられた「Odi et Amo(我憎み、かつ愛す)」は、カトゥルスの有名なラテン語詩に曲をつけたもの。コンピューターで合成されたカウンターテナーのヴォーカリストとストリングスの組み合わせが素晴らしい効果を生んでいる。
(CD添付のシールより)

購入日:2007年8月25日
購入店:HMV 渋谷店
購入理由:
アイスランド音楽のドキュメンタリー『スクリーミング・マスターピース』を見てからmumを購入し、さらにアイスランド音楽にのめりこんでいる。映画の中でも「アイスランド人はロマンティックなんだ」という発言があったが、それは音楽性にも現われている。神秘的でスケール感があり、それでいてロマンティックな美しい旋律。いまはそういう音楽が聴きたい。
映画の中では取り上げられてなかったのだが、ヨハン・ヨハンソンもアイスランド出身のアーティストだ。彼のサードアルバム『Dis』は、初めて聴いた時からもう何回聴いたかわからない。1週間このCDしか聴いてなかったというときもあるくらいだ。このCDを貸してくれた我が友人に感謝したい。
そのような下地があるところに、ヨハン・ヨハンソンのデビューアルバムが国内盤発売された。実は1度見かけてはいたのだが、その日は視聴だけして買わずに帰った。だが、あの映画を見てから、再度あらためて視聴をしてみると、やはりいいのだ。弦楽四重奏がピアノとエレクトロニクスにどのように絡むのか心配したが、その心配は無用だった。鍵盤、弦の一音一音に崇高な気持ちになる名盤。私はまたしばらくこのCDをリピートし続けるだろう。ジャケットも美しい!

音楽論003 「...of sinking ships」

2007-09-03 22:01:49 | music
タイトル:...OF SINKING SHIPS
アーティスト:...OF SINKING SHIPS
レーベル:GILEAD MEDIA
発売日:2007年7月
内容:
遂に入荷!元HOPESFALLのChad Waldrupによるソロプロジェクトです。一聴鳥肌とはこのこと!!エモーショナル・ポストロックの最高峰作品です!!HOPESFALLはもちろん、EXPLOSIONS IN THE SKY、TRISTEZAファンまで是非とも聴いて頂きたい高内容な一品。多重録音とシネマティックに展開するメロディに心も身体もゆだねて下さい!!(店頭解説POPより)

1.THE LAST SIGNAL...
2.IT NEVER MATTERED TO YOU
3.THE CIRCUMSTANCES
4.THE SPARGO TWIN
5.BUT WE'LL ALL SLEEP BETTER TONIGHT
6.WITH ONE MORE FOR COMPANY
7.I HOPE YOUR TEENAGE DREAMS FIND YOU WELL
8.THOUGH THEY NEVER TURN OUT RIGHT

購入日:2007年8月25日
購入店:ディスクユニオン 新宿本館
購入理由:
友人に薦められた一枚。これを求めに新宿に来たようなもの。ちゃんと手に入れることができたよ。
ジャケットの地図も地図好きとしてはうれしくなる。
外の気温は38度だった。
だが、この音は違った。音は38度などという数字に還元することはできない。
この日の新宿の光と熱とともに記憶された2007年8月という季節に出会った至福の音楽。