A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記92 「美術論集」

2007-09-05 22:39:17 | 書物
タイトル:美術論集 アルチンボルドからポップ・アートまで
原題:L'OBVIE ET L'OBTUS
著者:ロラン・バルト 沢崎浩平訳
カバー:アルチンボルド「春」1573年
表紙:サイ・トゥオンブリ「ナポリ湾」1961年
発行:みすず書房
発行日:1999年6月4日(初版1986年7月10日)
内容:
「意味形成性の場としての眼差しは共感覚をもたらす。つまり、(心理的)諸感覚の区別を曖昧にする・・・したがって、すべての感覚が≪見る≫ことができ、逆に、眼差しは、匂いを嗅ぐ、音を聞く、物に触れる等々のことができる。ゲーテ、≪手は見ようと欲し、眼は愛撫しようとする≫」(バルト)
 本書は、バルトによって書かれた≪美術論≫の初めての集成である。『第三の意味』所収の写真・映画・演劇・音楽論と『明るい部屋』に本書を併せると、バルトの主要な芸術論がすべて邦訳されたことになり、つねに現代批評の先端を走ってきた彼の軌跡をたどることができる。また、これらのエッセー群は1969年から80年にかけて執筆されたが、これはバルトの思想展開において、彼の関心が記号学からテクスト、快楽、身体へと移行していった、きわめて重要な時期にあたっている。
 バルトは書く人であると同時に、みずから演奏する人=描く人でもあった。この経験は本書において、とりわけサイ・トゥオンブリやレキショを語る場合の、生き生きとした自在な眼差しに、またエレテやアルチンボルドを考察する場合には、刺戟的な分析となって遺憾なく発揮されている。
(本書カバー裏より)

購入日:2007年8月26日
購入店:幻游社(下北沢)
購入理由:
数ヶ月前、美術批評家である林道郎氏の『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない ①Cy Twombly』(ART TRACE)を読み、その際に参考文献として挙げられていたのが本書だった。林氏の論考がバルトのサイ・トゥオンブリ論に則って進められていくため、いつか読みたいと思っていた。その思いが通じたのか、偶然下北沢の古本屋で見つけ購入。フーコー、ラカン、ドゥルーズなどがひしめく良書揃いの古本屋であった。


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