A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記247 「まばゆさの在処」

2009-04-02 15:01:47 | 書物
タイトル:伊庭靖子展―まばゆさの在処―
編集・発行:神奈川県立近代美術館
製作:求龍堂
デザイン:U.Shima

内容:
「ものみな光に浸されて―伊庭靖子展に際して」山梨俊夫(神奈川県立近代美術館館長)
「まばゆさの在処―伊庭靖子の現在」水沢勉(神奈川県立近代美術館企画課長)
「伊庭靖子インタビュー」聞き手:是枝開
「具体的な物象との距離―インタビューを終えて」是枝開(神奈川県立近代美術館主任学芸員)
図版
略歴・個展・主なグループ展
Biography/Solo Exhibitions/Group Exhibitions
主要関連文献
作品目録
“Light Intruding on Everything” Toshio Yamanashi
“Whereness of Brilliance” Tsutomu Mizusawa

購入日:2009年3月19日
購入店:神奈川県立近代美術館オランジュ・ブルー
購入理由:
伊庭靖子氏の作品は東京で開催される展覧会があれば、よく見に行っていた。だが、今回の個展で15年ほどの軌跡を辿ってみると、単なるリアリズムを超えてものの表面にあたる光のプリズムの美しさに魅了された。とくに青磁の器を描いた作品がすばらしい。見えるものを通して、見えない空気や光を画面に定着させ、しばし立ち止まらせてしまう。ここには静止した時間が流れ、鎌倉の春の空気と交じり合い、暖かな空気を放出させていた。こんな光を見たい。そして、最新作である草花の模様が入ったシーツやベッドカバーを描いた新作では、装飾を絵画空間に取り込み、その襞や屈折を画面内に取り入れ、「絵画」の問題へと展開してきた。今後の展開がなお楽しみだ。なお、ほとんどの作品が個人蔵のため、おそらく美術館での個展もそうないと思われ、迷った末カタログを購入した。
このカタログだが、伊庭氏の制作プロセスを考えると、いろいろ考えさせられる。それは、写真をもとに「もの」を精密に描きだした絵画を、今度はそれを写真に撮りカタログとして図版になる、というのはなんとも奇妙な循環ではないか。
写真はなにを写しているのだろう、絵画は何を描いているのだろう。


最新の画像もっと見る

post a comment