A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記258 「高瀬川」

2009-05-04 22:39:16 | 書物
タイトル:高瀬川
著者:平野啓一郎
カバー写真:Christopher Thomas / Gety Images
カバーデザイン:片岡忠彦
デザイン:菊池信義
発行:講談社/講談社文庫
発行日:2006年10月13日
内容:
小説家と女性誌編集者が過ごす、京都の一夜を繊細な心理主義的方法で描き、現代の「性」を見つめる「高瀬川」。亡くした実母の面影を慕う少年と不倫を続ける女性の人生が並列して進行し、やがて一つに交錯する「氷塊」。記憶と現実の世界の間をたゆたう「清水」など、斬新で、美しい技法を駆使した短編4作。

購入日:2009年4月13日
購入店:BOOK-OFF 渋谷センター街店
購入理由:
 そうだ、京都行こう。そう思い立ったら購入する京都本シリーズ。今回は、平野啓一郎の『高瀬川』である。森鴎外も同名の本を書いてなかったっけと思った方、それは『高瀬舟』である。
 そんな冗談はさておき、平野氏の著作はいつか読んでみたいと思っていた。近年のネット社会をモチーフとした作品は、それまでの重厚な作風イメージを覆され、新鮮であった。今回、京都というキーワードから本書を手にしたが読後感がよければ他の著作も読んでみたい。特に『あなたが、いなかった、あなた』(2007)は、表紙、タイトルともに魅かれており、いつか手にしようと考えている。
 本書についてはパラパラとめくれば分かることだが、文字組みが驚くべき体裁となっている。一体このような構成をとる「小説」というのは、どのように組み立てているのか興味をひく。もうこれだけで充分に未読の期待値を高まらせてくれる。
 しかし、このカバー裏の解説はないだろうと思う。京都で小説家と女性誌編集者が一夜を過ごすなどという昼ドラもどきの通俗的な状況設定だけ書き出しても、読者にたいしてどこまでその魅力を伝えたいのかわからない。ただのエロ小説ではないのだから、表紙のデザイン含めていねいに世に出してほしいと思う。なお、表紙は韓国語版が美しい。


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