A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記125 「絵画の二十世紀」

2007-11-06 23:23:58 | 書物
タイトル:絵画の二十世紀 マチスからジャコメッティまで
著者:前田英樹
口絵・章扉デザイン:宮口瑚
カバー:Palette(wood) by French School(19th century)
発行:日本放送出版協会 NHKブックス996
発行日:2005年2月10日2刷(初版2004年4月25日)
内容:
絵画の秘密を解き明かす!
マチスの<色>、ジャコメッティの<線>‥‥‥
視覚ではなく感覚で描くとは?創造の謎に迫る
(本書帯より)

[写真以後、絵画はどう変わったのか]
絵画は何のために在るのか?
写真の登場によって、二十世紀の画家たちは
物を見た目そっくりに描くことを超えて
絵画の新たな役割・手法を模索する。
視覚によらず感覚を通して
世界の在るがままの姿を把握し描こうとした
マチス、ピカソ、ルオー、そしてジャコメッティ。
この困難な課題に挑んだ彼ら四人の軌跡を通して、
二十世紀絵画に明快な鑑賞の指針を与える力作。
(本書カバー裏解説より)

本書をすいせんします 保坂和志(作家)
写メールやデジカメなど、視覚を記録する機械はどんどん進化しているけれど、私たちは撮るだけで見ていない。機械は<見る>ことを妨げ、私たちは<経験>として蓄積されない平板な時間を生きることになる。前田さんは、画家の感覚と思考に分け入り、<見る>とは世界が語りかけてくるものに向かって、自分を開くことなのだと教えてくれる。見えないものまで見ること、それが本当の<見る>なのだ。本書によって、世界の、人間の、物の、別の次元が開かれたと思う。
(本書帯より)

購入日:2007年10月28日
購入店:ブリヂストン美術館 ミュージアムショップ
購入理由:
待望の前田英樹本。以前から保坂和志氏のコメント推薦文により読みたいと思っていたが『セザンヌ 画家のメチエ』(青土社)、『倫理という力』(講談社現代新書)、<鈴木理策 熊野、雪、桜>展トークショーを経ていよいよ満を持して本書を手に取った。本を読むにはタイミングというものがある。今回は、前田氏の美術関連の著作において重要な位置を占めるセザンヌが、偶然にも東京のブリヂストン美術館において展覧会が開催されていたため連動して読むとよりセザンヌ及び絵画について考える機会になるのではと思い、展覧会に出かけた際に購入した。本当は事前に読もうと図書館で借りたのだが、目次を見た段階でこれは付箋、書き込みが多くなると判断し購入することにした。したがって、予習として本書を読んでから展覧会に行こうと思っていたのがずるずる延びて、実際に読めるのはいつになるやら。「絵画は何のためにあるのか」という設問も難題だが、以前の著作でも見られた前田氏の「在るもの」に対する絶対的な信頼、見えないものまでも見ようとする見ることから逃げない姿勢に、本書はどのような思考を展開していくのか、いまは本書を読むことを楽しみたい。


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