A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1117 『ひらく美術』

2015-12-11 23:52:57 | 書物
タイトル:ひらく美術: 地域と人間のつながりを取り戻す (ちくま新書)
著者:北川フラム
装幀:間村俊一
発行:東京 : 筑摩書房(ちくま新書, 1135)
発行日:2015.7
形態:190p, 図版 [8] p ; 18cm
内容:
世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。新潟県の里山を舞台に、美術による地域再生を目指して、3年に1度開かれている。本書は、その総合ディレクターによる地域文化論である。文化による地域活性化とはどのようなものか。人と人、人と自然、地方と都市が交わるためにはどうすればいいのか。さまざまな現場での実践をもとに、地域再生の切り札を明かす。

目次
はじめに
第1章 自分のいる場とかかわる――地域と人間の関係を探る
第2章 越後妻有と向き合う――過疎と人口減少のなかで
第3章 美術で地域をつなげる――地域の特色を明らかにするには
第4章 美術の働きを発見する――旅・場所・人々をつなぐ力
第5章 人と人とを交える――サポーターと地元の人々のつながり
第6章 日本の地域を生きる――現代資本主義の限界の先へ
第7章 未来をひらく――学びが次の展望を拓く
あとがき

購入日:2015年12月11日
購入店:丸善 京都本店
購入理由:
 私が参加させて頂いている研究会で「はならぁとアラウンド」について発表することになった。そこで参考文献として使える本をいろいろ調べていたところ、本書の解説に「地域文化論」とあり、興味を惹かれて購入。
 だが、期待は失望に変わった。本書はおそらく北川フラム氏が話したことを文字起しして編集者がまとめたと思われるが、文章が単調で結論めいたことは精神論で終わってしまう。ときどき挟まれる日本の政治や資本主義、都市批判はお説教めいてるし、時間軸には一貫性がなく、突然に固有名詞が出てきたりして混乱する。期待した「地域文化論」は、大局的な提言・格言としては参考になるが、具体的な事柄はなく、抽象的なままである。これが国際芸術祭の総合ディレクターの文章かと思うと残念だ。
 とはいえ、断片的に記述される北川氏が手がけてきた都市や地域で行われたアートプロジェクトはとても評価されるべき試みなのは事実である。やはり北川氏は東京芸大卒なので、アーティストなのである。だから文章も論理的というより感覚的、直観的なのである。では、日本のアートプロジェクトの現場で活躍してて文章も書ける人はいるのでしょうか。



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