A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記605 『葉書でドナルド・エヴァンズに 抄』

2012-05-09 23:50:40 | 書物
タイトル:葉書でドナルド・エヴァンズに 抄:[FOOTNOTE PHOTOS]展 テキストブック
著者:平出隆
発行:[不明]
発行日:2012
定価:200円
形態:1冊:21cm
内容:
 2001年に作品社により刊行された『葉書でドナルド・エヴァンズに』の抄録版。

購入日:2012年5月5日
購入店:スパイラルマーケット
購入理由:
 東京・スパイラルガーデンにて開催された「SPIRAL RECORDS presents Goro Ito《GLASHAUS》発売記念:平出隆《FOOTNOTE PHOTOS》展――葉書でドナルド・エヴァンズに 写真と郵便による「もうひとつの世界」への旅」(2012.05.02~05.06)に出かけた際に購入した1冊。

 本書は、伊藤ゴローのアルバム《GLASHAUS》のジャケットデザインを詩人・平出隆が手がけたことから、その発売記念としてジャケットに用いられた架空の郵便切手を描いた画家・ドナルド・エヴァンズをモチーフとした写真展。
 出品された写真は、1980年代に平出隆が亡きドナルド・エヴァンズの足跡を葉書を書きながら旅をした写真『FOOTNOTE PHOTOS』。鑑賞者は、写真の作品番号と対応するテキストブック『葉書でドナルド・エヴァンズに』(作品社、2001年)の抄録を読みつつ(見つつ)、ゆっくり旅をするようにスロープの展示を見ていく(展示の最後には読み終わったテキストブックを郵便ポストに投函(返却)するのもおもしろい)。

 原著は、学生時代に読んで以来大好きな1冊。久しぶりに読んだが、以前と変わらずに言葉が沁みる。言葉が写真と溶け合いすばらしい。無性に旅がしたくなる。私にこんな透明感のある文章は書けないが、個人的にはあこがれの文章。原著は、現在は絶版だが、今秋再刊予定だという。また読みなおしたい。

 なお、私が訪れた日は、平出隆と伊藤ゴローによるトークイベント「ドナルド・エヴァンズ「もうひとつの世界」への旅」が開催され、久しぶりに平出氏のトークも聞けた。学生時代のときの授業とは異なり(?)、軽快、軽妙なやり取りが楽しかった。ここ1ヶ月新しい環境で緊張していたので、マイペースな平出氏、伊藤氏のトークは、肩の力をほぐしてくれた。ついでに、久しぶりに旧友にも会えて、懐かしく楽しい1日だった。