A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記601 「大阪人 Vol.66-05」

2012-05-03 23:37:52 | 書物
タイトル:大阪人
卷号:第66巻第5号増刊
編集委員:内田樹、佐藤友美子、釈徹宗、橋爪紳也
編集制作:出版編集集団140B
ロゴデザイン:長友啓典(K2)
表紙デザイン:津村正二
本文デザイン:津村正二、中務慈子
表紙地図:大阪市パノラマ地図
表紙・本文写真:浜田智則
編集:有藤ゆか
発行:大阪:大阪市都市工学情報センター
発行日:2012.5.31
形態:128p ; 26cm.
内容:
特集「古地図で歴史をあるく」
ナビゲーター・文:本渡 章
役に立たない、だけど心をゆたかにする、古地図で大阪の魅力を再発見。

・古地図、迷う楽しみ
・古地図入門!はじめて見るならこの10枚
 鳥瞰図/町絵図/名所図/街道図/河川図/小絵図/災害図/都市図/観光図/鉄道図
・体験的古地図の楽しみ
 心得篇
 実践篇
 大塩平八郎の乱、追跡
 謎の名所赤手拭とは!?
・吉田初三郎のパノラマ地図、原画公開中
・図書館で古地図さがし
 大阪府立中之島図書館
 大阪市立中央図書館
・美濃部政治郎に会いたい
・古地図的迷い歩き
 福島篇―旧街道と古道をたどる
 平野篇―旧平野郷めぐり
・本渡章の自著レポート
・こういう古地図が好きだ
・博物館で古地図と出合う
 住まいのミュージアム 大阪くらしの今昔館/大阪歴史博物館/大阪城天守閣/狭山池博物館/堺市博物館
・付録古地図解説
・古地図を手に入れる
 書店――ジュンク堂書店大阪本店
 古書店――中尾書店
・古地図を知るための16冊
・掲載古地図年代早見表
バックナンバー
あとがき・『大阪人』休刊のお知らせ

折込み古地図付録《改正増補国宝大阪全図》文久3年(1863)

購入日:2012年5月3日
購入店:恵文社一乗寺店
購入理由:
 恵文社の平積みのコーナーを眺めていたら、地図特集が組まれており、そこで見つけた1冊。『大阪人』の存在は知っていたが、買うのは初めて。今号で休刊とは残念。

 最初、「古地図で歴史を歩く」という特集名を見て、ご年配の方向けの歴史・街歩き系の特集かと思った。つまり、古代から近世までの古地図を対象とした内容だと思ったのである。それならば、近代を研究対象とする私にはもの足りない。

 だが、誌面を流し読みしていくと、こちらの懸念を払拭するようなボリュームある内容にテンションが上がる。個人的に関心のある吉田初三郎と鳥瞰図、鉄道図を取り上げていたからだ。特集は、古地図の分類から始まり、吉田初三郎や今だ知られざる美濃部政治郎へ。そして、古地図の鑑賞・入手方法や参考図書は当然として、《改正増補国宝大阪全図》まで付録につけてしまう地図マニアぶりである。内容も歴史・街歩き系も踏まえつつ、グラフィカルに拡大図を配置したレイアウトが見やすく楽しい。誌面すべてが古地図特集なので、雑誌というよりムックである。最終号だからこそとは言いたくないが、古地図に対する意気込みが感じられてうれしくなる。眺めているだけで、現実逃避・・やはり地図を見るのは楽しい。
 なお、大阪人のウェブサイトを見たところ、本書は完売したとのこと(5/15閲覧)。手に入れられてよかった。

 ちなみに、本書で掲載されている主な古地図は以下のとおり。
(吉田初三郎のパノラマ地図は残念ながら小さな図版しか掲載されていない)
 
「新撰増補大坂大絵図」(元禄4年・1691)
「グレート大阪市全図」(昭和3年・1928)
「大坂名所一覧」(慶応元年・1865)
「新板大坂之図」(明暦3年・1657)
「浪華名所獨案内」(天保3年)
「五畿内掌覧図」(天保12年・1832)
「大大阪明細地図」(大正14年)
「浪華名所獨案内」(天保3年・1832)
「五畿内掌覧図」(天保12年・1841)
「乗陸必携大川便覧」(安政5年・1858)
「大阪案内獨巡り」(万延元年・1860)
「大阪大火比較一覧図」(明治45年・1912)
「大大阪明細地図」(大正14年・1925)
「大大阪観光地図」(昭和初期)
「最新大日本鉄道地図」(昭和11年・1936)
「伊万里焼日本図皿」(天保年間・1830-1843)
特別付録「改正増補国宝大阪全図」(文久3年)