A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記604 『越境する日本人』

2012-05-07 23:31:12 | 書物
タイトル:越境する日本人 : 工芸家が夢見たアジア1910s-1945
別書名:Japanese crossing borders―Asia as dreamed by craftspeople, 1910s-1945
編集:東京国立近代美術館:唐澤昌宏、木田拓也、内藤裕子
翻訳:ルーシー・S.マクレリー、山本仁志
制作:坂井編集企画事務所
デザイン:亀井伸二/原純子(W.O.DESIGN)
発行:東京国立近代美術館
発行日:2012.4.24
定価:1,700円
形態:151p : 挿図 ; 21cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2012年4月24日-7月16日:東京国立近代美術館工芸館
   主催: 東京国立近代美術館
目次:
あいさつ
Foreword
索引
「工芸家が夢みたアジア―工芸の「アジア主義」木田拓也
I 「アジア」へのまなざし
 梅原龍三郎の北京時代 : 嶋田華子
 朝鮮に魅せられた兄弟 : 浅川伯教と巧 : 鄭銀珍
 柳宗悦と朝鮮陶磁
 楽浪遺跡
 小場恒吉と楽浪漆器文様 : 横溝廣子
 山鹿清華の壁掛《熱河壁掛》と《手織錦壁掛清晏舫図》
 アジア主義―「アジアはひとつ」
 海を渡った美術商 : 山中定次郎と繭山松太郎 : 川島公之
 中国陶磁のコレクション : 横河民輔
Ⅱ 1910-20年代の「新古典派」
 工芸済々会
 香取秀真の金工史研究
 七日会
Ⅲ 唐三彩、磁州窯、李朝―新しい美の規範
 唐三彩と磁州窯
 李朝
 富本憲吉の朝鮮旅行―《李朝陶器写生巻》
Ⅳ 越境する陶芸家―朝鮮、満州にて
 浅川伯教の作陶
 北大路魯山人の朝鮮旅行
 半泥子が愛用した朝鮮の土 : 龍泉寺由佳
 小森忍の中国陶磁研究 : 服部文孝
 三和高麗焼 : 忘れられた復興高麗青磁 : 岡本隆志
Ⅴ 「もうひとつのモダニズム」
 河井寛次郎の竹家具
 自由学園「北京生活学校」
 中国における吉田璋也の新作民藝運動 : 木谷清人
 満州国宮殿の室内装飾 : 内藤裕子
 満州風俗を描いた幻の画家 : 中村俊一朗
 吉田初三郎の鳥瞰図
関連年表
作品リスト
Asia as Dreamed by Craftspeople: "Asianist" Craft Arts / [Text by]Kida,Takuya

購入日:2012年5月4日
購入店:東京国立近代美術館ミュージアムショップ
購入理由:
 東近美で一通り展示を見終わってミュージアムショップを物色していたところ、時間の都合で見逃した本展の図録をパラパラ見ていたら、なんと吉田初三郎の鳥瞰図が掲載されているではないか。工芸の展覧会だと思っていたのになぜ? これは見逃しては帰れぬと、翌日予定を変更して工芸館に見に行くことにする。

 予感通り、見逃さなくてよかった充実の展覧会であった。近代における工芸家たちの「アジア」へのまなざしが具体的に検証されており、見応え充分であった。また、個人的には5章の「もうひとつのモダニズム」における満鉄ポスターや初三郎の鳥瞰図が戦中におけるアジアへのまなざしを表象していることがわかる好企画であった。
 初三郎の出品作品は、《東京大絵図「大日本全図」より》(1929)、《朝鮮大図絵》(1929)、《満蒙の交通産業案内図》(1932)の3点。もう少し展示は見やすい位置にしてくれるとよかったが、初三郎の作品中最大の大作である《満蒙の交通産業案内図》が楽しめただけでもよしとしよう。