A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記185 「絵画は二度死ぬ、あるいは死なない⑤」

2008-05-08 23:57:16 | 書物
タイトル:Art Seminar Series 2002-2003 絵画は二度死ぬ、あるいは死なない ⑤中西夏之
著者:林道郎
表紙図版:中西夏之<R・R・W-4ッの始まり-Ⅲ>2002
企画・編集・発行:ART TRACE
発行日:2007年3月2日
内容:
2002年から2003年にかけてART TRACEにおいて開催された林道郎氏(美術批評)による計7回のレクチャーの記録を元に改稿を行い書籍化されたシリーズ「絵画は二度死ぬ、あるいは死なない」の第5弾。

購入日:2008年4月27日
購入店:東京都写真美術館 NADiff × 10
購入理由:
現在、東京・渋谷区立松濤美術館において開催されている<中西夏之新作展>のための予習として購入。
予習などと書くと、いままでも熱心に追って見てきたように思われかねないが、これまで中西夏之という作家に対して特別注意を向けてきたということはなかった。学生時代には<二箇所-絵画場から絵画衝動へ-中西夏之>(東京藝術大学大学美術館、2003)、<中西夏之・カルテット 着陸と着水Ⅹ>(川村記念美術館、2004)のふたつの個展は見ているのだが、当時の私にはその絵画理論も含めて軽く踏み込めない頑丈な城のような作品であった。
それはそれで、気にはならないがすっきりとしない。そこで、今回開催される新作展を機にあらためて見直してみようと思ったところ、ちょうどよい小冊子が存在した。林道郎氏による『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』シリーズの1冊として刊行された中西夏之編である。内容もレクチャー、ディスカッション形式であり、読みやすく巻末には参考文献もついていて値段も手ごろである(参考文献が少ないのは、この年代の作家にしては珍しい・・皆、中西夏之については語ろうとしないのか)。この冊子を地図として中西夏之の絵画世界へと進んでみようと思う。

なお、まったくの個人的な興味として、同時期に開催されている<冒険王・横尾忠則>展(-6月8日、東京・世田谷美術館)と比較して見てみたらどうだろうと考えている。まったく作風が違うふたりだが、横尾忠則が1936年生まれ、中西夏之が1935年生まれでほぼ同世代なのである。世代論で物事を見るのは好きではないが、同年齢のふたりの作品をそれぞれ頭の片隅において見たらどうなるのか。結局、実物を前にすると、眼の前にある作品のことしか考えないのだろうが、何か共通するものがあったりしたらおもしろいものだ。


中西夏之新作展 絵画の鎖・光の森
2008年4月8日(火)-5月25日(日)
渋谷区立松濤美術館