A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記145 「プライマリー・フィールド」

2007-12-20 23:59:53 | 書物
タイトル:プライマリー・フィールド 美術の現在-7つの<場>との対話
編集:神奈川県立近代美術館
デザイン:桑畑吉伸
制作:コギト
発行:神奈川県立近代美術館
発行日:2007年11月23日
定価:2000円
内容:
2007年11月23日-2008年1月14日まで神奈川県立近代美術館 葉山にて開催された<プライマリー・フィールド 美術の現在-七つの<場>との対話>展の展覧会カタログ。

「モダニズムとしての現在-序章として」山梨俊夫(神奈川県立近代美術館館長)
インタビュー(吉川陽一郎、多和圭三、大森博之、石川順恵、青木野枝、坂口寛敏、さかぎしよしおう)聞き手:是枝開
「原初的な場との対話-インタビューを終えて・追記」是枝開(神奈川県立近代美術館主任学芸員)
図版
作家略歴・参考文献
出品作品リスト

購入日:2007年12月16日
購入店:神奈川県立近代美術館 葉山 ミュージアムショップ オランジュ・ブルー
購入理由:
最近行われている現代美術のグループ展の中では期待度・内容、図録の中身ともに充実した展覧会だったため、購入した1冊。
図録にはインタビューが収録されているが、現代美術の場合、現役の作家が展示するわけで、作家の生の声というのはその時々の制作に向かう姿勢や思考が垣間見えて貴重な研究資料となり、かつ読み物としても楽しめ、よい選択だったと思う。出品作品および掲載図版も旧作から新作まで掲載されていて、各作家の作品の流れがおおまかにつかめるように構成されている。出品作家7名のうち、6名が彫刻・インスタレーションの展示となり、絵画を見たい人にとっては物足りないかもしれない。だが、彫刻作品を制作していても、平面作品を制作している作家もおり、一概に画家、彫刻家などという限定を与えるボーダーはこの際忘れた方がいいだろう。展示は、各作家にギャラリー1つ分のスペースが与えられ、空間にゆったりと作品が展示され、鑑賞者は落ち着いて見ることが出来る。展示数もほどよく、気がつけば予定よりも多く時間を費やして見ていた。作家のセレクトも画廊・ギャラリーをよく見た上で選ばれていることがわかり、通好みにはうれしくなるセレクト。派手さはないが、恬淡としたたたずまいの作品に、確実にこちらにバイブレーションを送り返してくれる。年間ベストなどという企画にはもれる展覧会だろうが、こういう展覧会こそ評価すべき裏ベスト1な展覧会。
また、ミュージアムショップに青木野枝の作品集が販売されており、すばらしい内容ゆえに欲しかったが、持ち合わせがなくあきらめざるをえなかった。韓国のクムサンギャラリーで行った展示写真などを見ると、「この空間に身を置きたいな・・」と考えてしまう。ちなみに、なぜかこのショップでは、図書・図録は現金払いのみということだった。近くに銀行もない場所にありながら、書籍にカードが使えないなんて!ご利用は計画的に、というご親切かしらん?