A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記144 「遊歩のグラフィスム」

2007-12-18 23:43:36 | 書物
タイトル:遊歩のグラフィスム
著者:平出隆
装幀:菊地信義
本文目次構成:平出隆
発行:岩波書店
発行日:2007年9月27日
定価:3,570円(本体 3,400円 + 税5%)
内容:
随想による誌的メタフィジックス
語学以前の渾沌状態に、危うくも明晰な形象的思考を与えた、東西の詩人・作家・思想家たち。知られざる道を彼らのあいだに見出しながら、「領域」の神話を破り進む≪遊歩≫のストローク、めざましい言語芸術論。
≪遊歩の階段≫の設計公式つき

ベンヤミンを杖に、プリニウス、リヒテンベルク、正岡子規、河原温、川崎長太郎、吉行淳之介、永井荷風、澁澤龍彦、ポー、ボードレール、ヘッセル、ストーン、カフカ、カミュ、ゲーテ、森鴎外、河東碧梧桐、高浜虚子、上島鬼貫、石川淳、玉城徹、バシュラール、ノヴァーリス、ヨッホマン、カラヴァン、シャールを巡って生成される詩的身辺哲学。
(本書帯より)

B5判変型・上製・カバー・320頁

購入日:2007年12月16日
購入店:有隣堂 ルミネ横浜店
購入理由:
これまた自分から自分へのバースデイギフトとして。1冊だけ買っては、ただの買い物になってしまう、月曜日の憂鬱さを晴らすためにも、もう1冊買ってしまえ!と思い衝動買いした一冊。以前、毎日新聞の書評でこの本のことを知り、読みたいと思い続けていた。たまたま立ち寄った有隣堂の在庫検索機で調べたら、在庫があったので購入。これも何かの縁だと思うことにした。この本のように金額のはるものは、思いが強いうちに買わないとずるずると買う/読む機会を逸すると思うのだ。
画像ではわかりくにが、菊地信義氏による装幀もまたすばらしい(紙も頬擦りしたくなるすばらしさだ)。原稿用紙を思わせるシンプルな升目がただ並んでいるのだが、その灰色と銀色の織りなす線の掠れや濃淡が、ひとつのグラフィスムとなっており美しい階調を作り出している。
最後に内容に触れておこう。全28篇のうち地図に関すると思われる文章が何篇かあり、それを読むのを私は楽しみにしているのだ。地図については、卒論で取り上げ、その後もまだ考え続けている。そのとき平出隆氏の河原温に関するテキストを参考に読み、いたく刺激を受けたので影ながら勝手に恩を感じているのだ。では、そろそろ書物の中へと遊歩してきます。