2月上旬のとある日、筆者は、新潟着20時16分の新幹線から、粉雪舞い散る新潟駅へと降り立った。おりからの降雪で白新線や越後線などは運休となり、列車の運行再開を待つ人々で駅構内はごったがえしていた。タクシーに乗り込み、運転手さんに、るるぶに掲載されていた「モンドール」の地図を示したら、運転手さんは、「ああ寿司安さんの近くね」と言い、すぐに車を走らせた。柾谷小路を三越方面に向けて走り、東堀通りへと左折する。しばらく行くと、左手に「コア東堀」というビルがあり、これの一階にこのフレンチレストランがあった。午後8時半丁度にお店にお邪魔したら、店内には客は皆無!ラストオーダーぎりぎりの遅い時間で、しかもこの大雪である、皆さん食事を終えて帰った後だったのだろう。予約をしておいたので、一番奥の二人掛けの席へと案内された。飲み物はホットワインを勧められたが、筆者は通常の赤ワインのハーフボトルをお願いした。
筆者は、前菜、魚料理、肉料理、デザートから成るコース料理を注文した。前菜は佐渡産牡蠣のグラタンである。大振りで濃厚な味わいの牡蠣が三個あり、その上にチーズ、人参、キャベツを乗せてオーブンで焼いた物だが、磯の香にチーズの風味が纏わりつき、極上の一品である。サーブしてくれたおねーさんは大変愛想がよろしく、「ご旅行で新潟へいらしたんですか?」と問うてきたので、「ええ、明日、佐渡へ行くんですよ」と答えた。するとおねーさんは「まあ~、佐渡ですかあ~、金山とか素敵ですよねえ~」と言った。新潟の人(別に新潟に限らず、島外の人)に「佐渡と聞いて連想するのは?」と問うと、大抵「金山、朱鷺、おけさ」の三つしか返ってこない。専門家が絶賞する史跡の数々などを知る人は皆無と言ってもいいだろう。前菜の次は「すずきのポアレ、アンチョビソース」。シンプルなポアレは火入れ加減と素材の良さで味が決まるが、このお店の魚料理はフレンチの正統派であり、ほっこりした身の美味さを堪能できた。次のお肉が焼きあがるまで少々時間があるのでと、おねーさんが古町案内マップを持ってきてくれた。やがて黒毛和牛のフイレ肉ステーキが出来上がった。筆者にとってはほぼ2週間ぶりのお肉料理である。山形産牛だが、肉の形をハート型に切り抜くと言う茶目っ気を見せてある(画像)。お肉の表面には岩塩が乗せられていて、焼き加減はミデイアムである。やや弾力性のあるお肉だがしっかりとした噛みごたえがあり、肉の旨みをとことん楽しめた。付け合せのきのこやお野菜も全て完食し、ワインも飲み干した。最後のデザートには焼きリンゴを選んだ。芯をくりぬいたリンゴを甘く似た物だが、この上にはバニラアイスがのっかっていて、ママのミルク味お菓子である。全てを食べ終えてお代の10500円をカードで支払い、タクシーを呼ぶようにお願いした。ところが一旦捕まえたタクシーが再び走り去ったため、従業員3人が総出で外に出てタクシーを捕まえる羽目になった。筆者はようやく捕まったタクシーに乗り込み、美味しかったモンドールさんを後にし、ホテル新潟へと向かった。