巷では筆者の素性に関する憶測がかまびすしいようだが、筆者が都内在住だと言う証拠や、又高額所得者だと言う証拠はどこにもない。だから、佐渡島内に住む平均的な島民が金持ちらしく装おいブログ記事を書く事などはいくらでも可能だ。都心の高級ホテルや高級料亭の食べ歩き記事や写真などは、都内在住の知人に頼めば容易に手に入る。つまり佐渡島民であってもこの程度のブログ記事などは更新可能なのだ。とは言え、これだけ都内のレストラン記事がアップされると、さすがに首都圏在住の誰かだと思わざるを得なくなっている。にも関わらず、筆者が新潟県内在住で、虚構の世界を作り上げていると信じ込む人々が少なからずいるようだ。だが、流布されている噂は全て的外れであり、筆者の職業は永遠の秘密で、読者がそれを知る必要もなかろう。とは言え、「一体どこの誰があのようなブログを書いているのだろう?」と疑問に思い、その秘密を知りたがり、想像をたくましくする人々が大勢いるのは事実であり、筆者の職業を妄想する精神病患者もどきが佐渡にはごまんといるの又事実である。筆者は、この4月に職場に赴任してきた、筆者より1歳年下の新人女性職員から、「私より三つ四つ下かと思ってました。あなたの実年齢を知りショックを感じました。随分お若くみえるんですね」と言われた。
毎年1月の下旬に、自宅マンションの排水管清掃が行われる、それも決まって午前11時に業者がやってくる。この作業終了を見届けてからでないと出かけられない。そういう訳で、今日は12時10分に新宿に到達した。伊勢丹第二駐車場に愛車を停め、筆者は小田急百貨店12階にある鰻の名店「双葉」を訪ねてみた。
午後12時半丁度にお店に到着した。店内はほぼ満席状態だったが運良く二人掛け席が一つ空いており、そこへと誘導された。鰻丼は高い順に松竹梅の三種類があったが、鰻の量が違うだけなので、筆者は中間の竹セット(2950円)を注文した。筆者の右隣には、ビールを飲みながら鰻の出来上がりを大人しく待つおじさんがいて、左隣にはスマホを操りながら予定表の記入に余念がない鰻待ち大学生二人組みがいた。まず最初にキュウリとしらすの酢の物と漬物が出された。空腹だったのでこれを瞬く間に平らげた。次いで、柚子大根が出てきたが、これも美味しく頂いてここまでは良かった。それから待つこと20分で、ようやく仲居が鰻丼と肝吸を運んできた。だが仲居は「あら間違えました」と言って、それをお盆の中に戻し、取って返して、右隣のおじさんのテーブルにそれを運んだ。そうだろうなあ~、順番から言えばおじさんの方が先だから、ま、許すとしよう。筆者は、待機受忍限度時間の25分に達したところで、左手の腕時計をちらちら見ながら、「早くしろよ」とでも言いたげな視線を仲居に向けて数回送り、圧力をかけてみた。すると慌てて仲居が飛んで来て、「次にお客さんのを焼いていますからね」と言った。見ると厨房には、板前が二人しかおらず、鰻の焼き手は一人だけで、もう一人は柳川鍋、柚子大根などの鰻以外の料理の調理担当であった。伊勢丹のレストラン街にある宮川本店には焼き手が二人いたので、10分ほどの待ち時間で鰻にありつけたが、双葉では一人で満員の客の鰻を仕上げているのでかなり時間がかかる。午後1時丁度にようやく鰻が出来上がった。お運び担当のおにいさんが「お待たせいたしました」と言ったので、筆者は「大変、を付け加えなさい」と小声でつぶやいてあげた。食べログには「鰻はふっくらと焼かれていて身は柔らかく」と書かれていたが、美味しいもののやや弾力のある硬さで、筆者は伊勢丹の宮川本店の方が上だと感じた。筆者の「長時間待たせる料理屋にろくな物なし」の定理はこの鰻の名店「双葉」でも生きていた。