昨年の12月23日は、特別な日だった。東京は冬晴れの快晴の一日だったが、佐渡地方は低気圧の通過で大荒れの暴風雪。それに加え、平原氏には超ド級の爆弾も落ちた。筆者は予約した上で、北青山にある、ミシュラン★のイタリアンレストラン「ホンダ」を訪ねてみた。予約の段階で、当日は6850円のクリスマスコースのみだと言われていた。青山通りからベルコモンズの所でキラー通りに入り、眼鏡屋のところを右折した直後の右手に、本当にひっそりと言う感じでこのお店があった。11時半丁度にお店に到着したら筆者が一番乗りだった。店内は狭い感じで、二人掛け席が6卓、4人掛け席が1卓、6人掛けのソファー席が一つというこじんまりとした構成だ。テーブル席の上には紙に印刷したメニューが置かれており、全席予約で埋まっていた。やがて40代後半とおぼしきカップルがご来店!すかさずウエイター氏がお出迎えになり「山下様、いつもブログ読ませて頂いています」と親しげに話しかけた。すると女性は「あら、いやだ。どうして分かったのかしら」などとまんざらでもなさそうな表情を見せた。そしてこのおばさん、料理が運ばれてくるたびに、コンパクトデジ一で料理の写真を撮りまくっていたが、身なりからはそれほどセレブではなさそうだった。本日のコース料理は全員の客に同じ物が出された。苦手食材を申告したのは、筆者(鶏肉駄目)とお隣に座った若いカップル(鴨肉が駄目と)ぐらいで、後の熟年のおばさん集団やカップルには好き嫌いはないようであった。
飲み物は例によって、「アランベージュデュカスで覚えた」無料のタップウオーターを注文した。まず自家製のグリシーヌというグリコのポッキー風のおつまみが出てきた。黒胡麻、アンチョビ、トマト風味の三本。次いで、アミューズとして「トビナンブール(菊芋)の温製スープ」が出された。パイ生地の上にリコッタチーズとトリュフを乗せた物が付属しており、これをスープに漬けて召し上がれとのご指示だ。だが、どれもこれと言って突き上げてくるものがない。前菜は青森県産のヒラメとあん肝のカルパッチョで、その周囲には紅芯大根のビネグレットが添えられていた。ヒラメは美味しかったが、あん肝は、生臭さが抜け切れてはいなかった。ウエイター氏に言わせると、このあん肝は、生をそのままスライスした物ではなく、一度湯がいた後に、更にもう一手間加えてあるそうだが、その手間隙の成果はさほど感じられなかった。次なる第一の皿は、帆立・海老・烏賊・あさりなどの魚介を細かく砕きミンチ状にした、所謂ラグーディマーレを、輪っか状のパッケリと呼ばれるパスタと共に和えた一品だった(画像)。このラグーディマーレも少し生臭く、小首を傾げながら食べ終えた。すると皿を下げにきたウエイター氏が「お料理のお味は大丈夫でしたでしょうか?」と尋ねてきたので、筆者は笑顔で「ええ、大変美味しかったですよ」と答えてあげた。第二の皿は「和牛頬肉のタリアータ(肉をカットしてステーキ風に焼いた物)でワインベースのソースとルッコラのサラダが添えられていた。お肉は美味しかったが、やや筋があったかな。最後のドルチェは「胡桃入りブラウニーとルビーグレープフルーツ・レモン・デコポンの三種の柑橘類、カカオのヌガティーヌとシナモンのジェラート」である。サービス料込みのお代は7507円。う~ん、やっぱり★だなあ~、そう思ったリストランテ「ホンダ」である。